PC製造やEMS事業を手掛けるVAIO株式会社(長野県安曇野市)は4月9日、ドローン機体開発の子会社、VFR株式会社(東京)の営業を開始したと発表した。VAIOが培ってきたコンピューティングの技術や、2018年以降、国内外のドローン事業者との協業で蓄積してきたドローンの設計、生産などのノウハウを「空飛ぶコンピューターともいわれるドローンの開発」に生かす。当面はテレワークで業務を進め、問い合わせや協業の相談は相談窓口( info@vfr.co.jp )で応じる。
VFRは国内外のパートナーとの共創をベースに、用途に最適化された機体、コンポーネント、ソリューションを提供する。ドローン事業者などからの、設計、製造、修理を請け負うほか、自社製ドローンの企画、設計、製造、販売、修理、保守、点検、輸出入も視野に入る。VAIOのチーフイノベーションオフィサー(CINO)留目真伸氏が代表取締役社長として経営を率いる。「VAIOが作り上げてきたコンピューティングの世界を地上だけでなく空や海などにも拡大」する。
事業はドローン事業者向け、サービサー向け、エンドユーザー向け、全ドローン産業関係者向けの4領域で展開する。ドローン事業者向けには、ドローンの設計・開発・製造を提供する。サービサー向けにはドローンの機体提供、ソフトウェア開発、ソリューション共創を展開し、エンドユーザー向けにドローンを活用したソリューションの提供を進める。さらに全ドローン産業関係者向けに、エコシステム共創を手がける方針だ。
母体のVAIOは2018年からドローン市場で事業を進めている。これまでに、株式会社ナイルワークスの農業用大型ドローン「Nile-T19」の量産、株式会社エアロエクストの重心制御技術4D Gravityの原理試作支援、中国の産業用ドローン大手MMCとの事業検討などを進めてきた。ドローン事業への本格参入し、成長加速のためVFRを設立した経緯がある。
PC製造やEMS事業を手掛けるVAIO株式会社(長野県安曇野市、吉田秀俊社長)は11月28日、中国・深圳に本社を置く産業用ドローン大手の(深圳科比特航空科技有限公司(MMC)と日本国内の産業用ドローン市場創造に向けて共同で事業検討を始めたと発表した。VAIOはドローン事業を強化しており、MMCとは、ともに重心制御技術4D Gravityで知られる株式会社エアロネクスト(東京)取引があるという共通点がある。
VAIO、MMCは今後、協業内容の具体化に入る。日本国内でのMMCの既存機体をベースとした事業創造の可能性や、日本市場向けの機体などの商品企画、開発を模索する。VAIOの主力事業のひとつであるEMS(受託生産)をいかしてMMC機の製造を引き受けることや、日本での事業拡大を展望するMMCの販路確保などビジネスのサポートをすることも視野に入るという。「具体的な内容は決定次第発表する」としている。
VAIOは株式会社ナイルワークス(東京、柳下洋社長)の農薬散布ドローン「Nile-T19」の量産を引き受け、今年5月24日に初出荷したほか、エアロネクストの4D Gravity搭載機のプロトタイプも製造するなどドローンの事業が活発化している。9月には組織改正をし、ドローン事業に力をいれる体制をさらに強化。今後「多様な関係者と産業用ドローン市場を中心に社会起点で事業創造を行い、イノベーションの社会実装に取り組む」方針で、MMCとの協業もその一環と位置付けることになりそうだ。
一方、MMCは中国で警察や消防のほか、災害対応、測量などに向けたドローンの大手で、6月20日には、そのとき開催中だったドローンの展示会「Shenzhen International UAV Expo2019」でエアロネクストと業務提携を発表した。MMCの卢致辉(Zhihui Lu)董事長は、「技術力の強いエアロネクストと連携して一緒に海外市場に進出していきたい」と、海外市場を目指すことを宣言した。VAIOとの協業もMMCにとって海外展開と位置付けられる。
VAIO、MMCがともに取引を持つエアロネクストも含めた取引も視野に入りそうだ。
VAIOは、この協業に対する国内の反応や期待、市場性を見極める考えで、「業務効率の改善にドローンの活用を検討している事業者、ドローンサービスの参入を模索している事業者など、幅広い層と価値を高める意見交換を進めたい」と話している。同社ドローンビジネスGPが問い合わせ、相談を受け付けている。