株式会社ACSL(東京)の株価が引き続き堅調だ。3月25日午前の東京証券市場では株価は1100円から1200円圏で推移した。一時、年明けからの高値となる1290円を付け、2月15日の安値585円から2.2倍の水準で取引された。同社は3月21日、同日の取引終了後に同社製ドローンの航空自衛隊による空撮機としての採用を発表したあとに買いが集まりやすくなっており、市場では引き続き材料視されている。また3月25日は、3月14日に発表した株式会社りそな銀行を相手先とする相対型コミットメントラインの契約締結予定日となっていて、市場がACSLの財務基盤の改善と経営の機動性が高まる期待も好感したとみられる。同社は日本郵便株式会社(東京)と共同開発した物流ドローン「JP2」を3月4日から22日にかけて兵庫県豊岡市で飛行施行を実施しており、今後への期待が高まっている。
ACSL株3月12日に防衛装備庁による同社製品の3億7000万円の受注を発表すると、発表翌日の3月13日には買いが殺到しストップ高となった。3月21日には取引終了後に航空自衛隊による同社製ドローンの採用を発表し、再びストップ高となった。それまで市場環境や販売不振などから株価は低下傾向だったが、市場の見方に変化の兆しが表れた。
ACSLはこれまでも同社の市場へのアプローチについて情報を発信してきたが、市場は今回の情報を、大規模な取引の成立と、今後の取引の展望期待を含むと受け止め、買いが入りやすい状況となっている。
加えてりそな銀行との間で、期間を設定したうえ、限度額の範囲で自由に融資を受けられるコミットメントラインを締結する方針を3月14日に発表しており、3月25日がその契約締結日であることから、経営体制の自由度への期待を集めやすくなっている。なおACSLのコミットメトライン契約の限度額は10億円で、期間は3月25日から7か月間だ。
ACSL株は昨年(2023年)1月3日に最近の高値1811円をつけている。厳しい市場環境などもあり漸減傾向だったが、今回の政府調達と一連のその具体的な採用情報が、同社製品への見直しを強く促しそうだ。
また一連の政府調達とは別に、日本郵便と開発した物流ドローンを3月4日から22日にかけて、兵庫県豊岡市で飛行させた。今後、生活圏上空での飛行が可能になる型式の取得も視野に入れていて同社への期待をけん引することになりそうだ。
株式会社ACSL(東京)の株価が800円台に戻して推移している。東京証券市場グロース市場の同社株は3月14日の午前の取引は、前日3月13日の取引でストップ高のまま終えた857円から7円下げた850円で初値をつけた。その後も800円近辺での取引が続いている。背景には前々日の3月12日の取引終了後に発表した、防衛装備庁からの3億7000万円の受注発表がある。発表翌日の3月13日には買いが集中し、値幅制限いっぱいの150円高でも取引が成立しなかった。14日午前もその勢いを維持した展開だ。受注は2月に発表した2024年12月通期業績予想に織り込み済みだが、市場関係者からは今回の大型受注に対し政府調達の呼び水期待が寄せられている。
同社が受注したのは高セキュリティ型の空撮用ドローン「SOTEN」(蒼天)」で、今年(2024年)12月の納入予定2月を予定している。ドローンで収集した情報の漏洩を防ぐ工夫が凝らされた機体で、秘匿性の高いインフラの点検などへの活用が期待されている。
2月14日の決算発表では、前期業績の悪化要因にSOTENの販売減を挙げていたが、今回の大型受注で不振からの脱出に期待が集まる。同社は今回の受注はすでに通期業績に織り込み済みとしている。同社が発表している2024年12月の通期業績予想は、売上高が33億4千万円、営業損益、経常損益はそれぞれ赤字を見込んでいる。
大型受注の発表は3月12日の取引終了後に行われた。これを受けて翌3月13日の東京株式市場では、午前9時の取引開始直後から買いが殺到して。値幅制限いっぱいの857円のストップ高となって推移し、結局同日は取引が成立しないままとなった。3月14日も800円台を維持した取引で始まっており、2月16日つけた上場来安値の585円からの底割れを回避した水準の取引が続いている。。
ACSLが2月14日に発表した23年12月期連結決算では、売上高が前期比45.2%減の8億円9600万円と大幅に減少した。業績のけん引役と期待された高セキュリティ型の小型空撮ドローン「SOTEN」の販売台数が伸び悩んだことが響いたと分析するととともに、20.7億円の受注残があることも明らかにしていた。
国土交通省は行政が使うドローンの標準的性能を規定化するための実証の取り組みを始めた。2月25日には操縦講習会を川崎港にある国土交通省関東地方整備局首都圏臨海防災センター(神奈川県川崎市)で、国内の民間事業者の機体を使った操縦講習会を実施した。国交省の高田昌行技術総括審議官ら国交省職員、自治体職員、測量会社など関係業務を担う民間企業従業員らが参加し、飛行の様子、操縦の特徴などを確認した。今後、施設点検、業務、物資輸送業務について現場での運用の実証を進める。ドローンの政府調達を視野に、行政ニーズに適した機体の仕様をまとめる。
国交省による現場実証は2月24日のドローンの仕組みを解説する講習で始まり、25日に実機を使った実技講習が行われた。講習を担ったのは国内の民間機関や事業者で、ドローンの経験の有無で内容を分け、初学者向けに関連法規の説明や手動操縦の方法などが行われ、経験者には自動操縦の方法の確認などが行われた。
25日の実技講習では、講習を担当した3機関がそれぞれに開発した機体をデモ飛行が行われた。会場となった川崎港の護岸で現場運用を想定した講習も行われた。飛行中に国交省の職員から飛行時間やその制御の方法、安定飛行を阻害する要因などについて質問が出されると、対応した民間事業者のスタッフが回答していた。
国交省は道路や橋梁、港湾など管轄する構造物の点検業務にドローンの活用を進めている。防波堤点検のためのドローンで取得した画像を解析する技術も開発中だ。
政府や行政がドローンを活用するにあたっては、民間事業者の機体の仕様を見比べて導入することがある。国交省は、行政が発注者としてドローンを調達することを想定し、行政用途に適した仕様を規定化することで、国や自治体など行政の選択の判断を容易にする。あわせてメーカーなど事業者側が行政用途向けの開発を進める場合、開発の方向を明確化させておくことで、開発につきまといがちな無駄の削減を図ることも目指す。
国交省総合政策局技術政策課の斎藤輝彦技術基準企画調整室長は「たとえばクルマを買うときには、カタログだけで買わず、試乗して乗り心地もみて買うことが多いと思います。この講習会はその体験の場としての意味があったと思います。希望者には機体を貸し出します。この業務に使うにはこの仕様があるといい、ここが足りない、といった要望も、アンケートを回収するなどして集めたいと考えています。こうした取り組みを通じて規定化、標準化を進め、示したいと思っています」と話している。
国交省は2021年10月29日、「行政ニーズに対応した汎用性の高いドローンの利活用等に係る技術検討会」を開催し、2022年2月7日には第二回の会合を開催した。今回の実証はこうした議論を踏まえて行われた。3月2日に川崎港で施設点検業務を想定した実証を予定している。このほか、3月中に各地で施設点検業務や物資輸送業務を想定した実証が行われる。