一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長(東京大学未来ビジョンセンター特任教授)は5月21日、参院経済産業委員会に参考人として出席し、情報漏洩などの安全対策が進んだセキュアなドローンの開発が、ドローンの利活用の推進につながる考えを表明した。
鈴木理事長は参考人として、ドローンの開発の活用の歴史や現状、今後の展望について、海外の事例もおりまぜて約15分間説明した。この中で日本のドローンでの普及の経緯や、事故、不正利用の歴史などを振り返ったうえで、2015年4月に首相官邸の屋上で不審ドローンが発見されてからのドローンの管理の経緯と、ドローンの普及状況を説明。現在は官民協議会が利用促進のための計画を「ロードマップ」として毎年更新していることを紹介した。
ドローンがインターネットに接続して使われることで生まれるセキュリティ上の課題についても言及し、米国では安全保障の視点でデータ流出に神経をとがらせており、外国製ドローンの使用規制が始まっていると述べた。課題についてはいくつかの具体例をあげて説明、たとえば飛行履歴流出の課題があり、その対応例として、重要施設周辺の飛行禁止、機体認証、データ暗号化などがあることをを列挙した。そのほか無線による乗っ取りの対策や、ウイルス対策、空撮に伴うプライバシー侵害対策、将来的なUTM、リモートID対策などのセキュリティの重要性を強調した。
今国会に関連法案が提出されていることに触れ「セキュリティ対策が確実になることでわが国のドローンの利活用が進むことが期待される」と指摘。利活用として「農業、空撮ではすでに活用が広がっていて、過疎地での輸送、インフラ点検にも活用され始めた。都市部でも緊急事態での物資輸送などを含めて高齢化対応、災害時対応、生活利便性向上、地方活性化が期待されている。セキュアなドローンの開発は本来、日本が得意とするところ。世界に提供する産業(として育つこと)も期待できる」と、期待の大きさを表明した。