国交省航空局は8月1日付けでHPに掲載する「管理団体」、「講習団体」の情報を更新した。管理団体は先月(8月)と変わらず49、講習団体は先月から20増えて820となった。講習団体では24件が新規掲載となった一方、4件が姿を消した。講習団体は、「操縦者に対する講習等を実施する団体」だが、一つの事業所が、複数の技能認証を別名義で提供することで、ひとつの事業所が複数の団体として“重複カウント”されるケースが急増している。講習「団体」数は事業所数とはもとより一致しないが、このところの増加が目立ち、実質的には、スクールとして掲げられている看板の枚数(件数、本数)になりつつあることに留意が必要だ。
数字を機械的に整理すると、49ある管理団体のうち、傘下に抱える講習団体が10以上ある管理団体は14だ。このうち一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が169と最も多い。これに一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)が156、DJI JAPAN株式会社が119、一般社団法人農林水産航空協会が78、一般社団法人無人航空機操縦士養成協会が34で追う。
ただ、この「団体」の数は、法人や事業所の数と必ずしも一致しない。複数の技能認証を、複数のスクール名(講習団体名)を掲げて運営すれば、ひとつの事業所でも個別に「団体」としてカカウントされる。ひとつの事業者が別の顔でも1団体とカウントされることになり、たとえて言えば、プロデューサー、古坂大魔王とアーティスト、ピコ太郎を、2人と数えたり、歌手、加山雄三と作曲家、弾厚作を2人と数えたりする状況に似る。
最多のJUIDAは、認定スクールの重複カウントがみられず、事業所の数とほぼ一致する。しかし管理団体の中には、複数の技能認証を発行し、所属事業所が別のスクールとして運営しているところがある。所属団体数を管理団体の規模の目安にすることへの限界はかねて存在したが、その傾向が顕著になってきた。所属団体の数で管理団体の規模を比較する意味は希薄になってきている。そもそも管理団体の規模の比較を目的として公表されているものでもない。
8月1日に新規に掲載された24の講習団体をみると、管理団体に所属していない団体が5つ掲載されており、管理団体に頼らない講習団体が増えている。DPCAに所属する講習団体として6つが新規掲載されているが、同一事業所がふたつの技能認証を別名義で提供しており、実施的に事業所としては3つだ。
一方で、ひとつの事業所が、同一名義で複数の技能認証を提供するケースもある。ホームページでは、ひとつの事業所が、複数の技能認証を提供していることを明示しているが、「講習団体」の数としては、技能認証ごとにカウントされるため、1事業所が複数団体とカウントされる。DroneTribuneでは、ひとつの事業者が2つの技能認証を提供している場合に「2刀流」、3つの技能認証を提供している場合に「3刀流」として紹介している。
こうしたことから、8月1日時点で820ある「講習団体」は、事業所の数ではなく、重複カウントを含め、どれだけの看板が掲げられているかを示す数字となっている。
現在、ひとつの事業所で提供する技能認証の数としては、株式会社ピットモーターズジャパン(茨城県筑西市)、一般社団法人日本ドローンビジネスサポート協会(岡山市)、株式会社スペースワン(福島県郡山市)の4本が最多で、それぞれ「4刀流」として活躍している。事業所の意図とは無関係に、4団体とカウントされることになってる。
8月1日付で新規掲載された24の講習団体のうち1団体は、すでに2団体を運営している事業所で、今回の掲載で「3刀流」の事業所となった。また2事業所が「2刀流」になった。
なお、「管理団体」、「講習団体」については、今後の環境変化への対応も議論の対象だ。2022年度を目安に「レベル4」の飛行を解禁とする準備が進むと、2017年に「操縦の底上げ」を目的にはじまった「講習団体」「管理団体」のありかたも論点になる。
現在は、航空局ホームページの「無人航空機の講習団体及び管理団体一覧」に記載された講習団体等の講習修了者は、「飛行許可を受ける際に当該講習団体等が航空局HPに掲載された日以降に発行した技能証明書等の写しを提出することで申請書様式3及び無人航空機を飛行させる者の追加基準への適合性の提出が不要となる」と定められている。「レベル4」解禁に向けた議論が本格化する中では、この規定の適否や改変が議論の対象となる。
すでにスクールごとに、指導の巧拙、内容、密度、方針に大きな開きがあることも指摘されており、レベル4時代に向けた議論は、これまで国内のドローンの普及に一定の貢献してきたスクールに、新たな方針の策定や戦略の構築を促す局面がありそうだ。
株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)は、山口県山口市で重ねてきたリハーサル飛行を収めた動画を公開した。
リハーサル飛行は、山口県山口市の「山口きらら博記念公園」内に設けた飛行試験場で春から行われていて、動画には大阪・関西万博のデモフライトに使われるSD-05が離陸し、移動し、向きを変えて飛行するなどの様子が納められている。
大阪・関西万博では7月31日から8月24日まで、火、水曜以外の原則週5日の予定で、来場者の前で飛行する様子を公開する。
建設設備大手の三機工業株式会社(東京)は7月11日、グループ会社、有限会社キャド・ケンドロ(仙台市)と共同で狭小空間ドローン開発の株式会社リベラウェア(Liberaware、千葉市)のドローンとレーザースキャナを併用した既存設備の3Dモデル化するデジタル化手法を確立したと発表した。Liberawareも同日、三機工業に「IBIS2」を「導入した」と発表した。
三機工業は設備更新や模様替えなどのさいに、現場を3Dモデリングし、現状を把握してから取り組む。完成後の更新や追加工事で現状が図面通りになっていないことが多く、作業の妨げになるおそれがあるためだ。しかし天井裏などでダクトや配管が込み入っている場合に、すべての設備にはレーザーが届き切らずに十分な3Dモデルができあがらない場合がある。こうした課題を乗り越える手法の開発を進めているところ、今回、ドローンとレーザースキャナを併用してデジタル化する手法を開発した。
同社が実施した実用化検証では、IBIS2とレーザースキャナを併用した場合、従来の3Dスキャン手法と比べ、機械室などの天井の無い空間の場合、認識できた建築部材が約135%、天井の一部が解体された天井裏空間で約400%向上したという。
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丸紅株式会社(東京)は7月8日、大阪・関西万博でデモフライトを披露する計画を公表している英ヴァーティカルエアロスペース社(Vertical Aerospace Group Ltd.)開発の5人乗りAAM「VX4」について実施を「見送る」と発表した。英国で行われているVX4試験機での有人飛行試験で判断したという。
丸紅は発表の中で「現在英国で行われているVertical社製VX4試験機による有人飛行試験の進捗状況から、大阪・関西万博でのデモフライトへの対応を見送ることとなりました」と伝えた。VX4のキャビンを再現したモデル空間は予定通り万博会場に出展し、8月から搭乗体験を実施する予定という。
また丸紅が万博で飛ばすもうひとつの機体、米LIFT AIRCRAFT社(以下、「LIFT社」)製の1人乗り機「HEXA」については、デモフライトを近く再開させる方向で調整中だ。HEXAは4月26日のデモフライト中に部品が落下したためデモフライトを中断して原因究明を続けている。
その結果「モーター搭載箇所の部品について、サプライヤーが仕様と異なる素材の部品を誤って供給していたことが判明」したと説明し、「当該部品の交換およびその他重要部品の再点検を完了した上で、再発防止策として、LIFT社において部品の受領・品質管理について包括的な監査を実施し、必要な工程について改善したことを確認しました。関係機関の許可を以て、今後大阪・関西万博でテストフライトを実施し、十分に最終確認を行った後、安全を最優先として関係機関および関係各社と協議・判断し、デモフライトの再開に関しては改めてお知らせいたします」と伝えている。
丸紅は大阪・関西万博でのAAM運航事業者4グループのひとつだ。
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英ロックバンド、オアシスの再結成後初のコンサート会場となるウェールズの首都カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで現地時間7月2日、ドローンで形作られた「OASIS」のロゴが浮かび上がった。ツアーは7月4日に始まり、11月まで世界各国をまわる。ツアー初日を翌々日に控えたドローンの演出はオアシスの公式アカウントで公開されている。
ドローンのロゴは公演開始前に上空に描かれ、オアシスの再結成ツアー開催を祝福し、喜ぶファンの気分の高揚に貢献した。
オアシスは1991年にマンチェスターで結成され、7000万枚以上のアルバムを売ったロックバンドだ。2009年に解散したが昨年2024年に再結成した。再結成後初のコンサートツアーが7月4日にはじまり、北米、南米、オーストラリア、韓国など各地をまわる。2025年は11月23日のサンパウロ公演で幕を閉じる予定だ。日本公演も10月に予定されている。チケットはいったん予定枚数の販売を完了したが、機材席の解放による追加販売が決定し、7月12日正午に抽選の受付を開始する予定だという。
音楽シーンとドローンとは、MV撮影、ライブ映像撮影、演出としての屋内ドローンショーなどの例があるなど縁があり、今後も活用の幅が広がる可能性がある。
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AAM開発の米ジョビー・アビエーションは6月30日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでパイロットが搭乗し、垂直離着陸の固定翼飛行を実施した。ジョビーは「2026年に最初の乗客を運ぶ」と2026年のサービス開始を目指している。ジョビーは開催中の大阪関西万博で「運航事業者」にもなっている。
ジョビーによるドバイでの飛行は、「piloted, vertical-takeoff-and-landing wingborne flights」で、パイロットが乗り、垂直離着陸をしたうえで、機体の固定翼で移動した飛行で、「eVTOL分野では初めての取り組み」としている。ジョビーはこの飛行を通じて、ドバイ地域での商用市場準備の取り組みを開始したことも明らかにした。ジョビーは直接運航、航空機販売、地域パートナーシップを商業化戦略の3本柱と位置付けていて、今回の試験飛行が「重要な一歩」と話している。
試験飛行はドバイ道路交通局、ドバイ民間航空局、UAE民間航空総局と連携して実施された。またドバイ道路交通局長官兼理事会会長のマタール・アル・タイヤー会長が立ち会った。
ジョビーは、ドバイ国際空港(DXB)、ペルシア湾の人工島であるパーム・ジュメイラ、現在建設が進められている世界第2の面積の人工のマリーナであるドバイ・マリーナ、超高層ビルブルジュハリファで知られるドバイ・ダウンタウンでの商業サービス導入を目指している。バーティポートはすでに建設が進められている。
ジョビーはDXBからパーム・ジュメイラまでをエアタクシーサービスで移動した場合、移動時間は12分で、45分かかる車での移動時間が大幅に短縮されると見込んでいる。
ジョビーがエアタクシーサービスで使う機体は電動で、パイロット1人と最大4人の乗客を乗せ、最高時速200マイル(約320km)で輸送できる設計と説明していて、ジョビーは「短時間の通勤、小旅行、地域間のシームレスな移動のために、より速く、より静かで、より便利な空の旅を提供します」と話している。
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東京株式市場グロース市場で7月2日、ACSL株がストップ安となった。午前9時29分にいったん1187円で寄り付いたがその後も売りが殺到し、再び取引の成立したない売り気配で推移した。ACSLは前日の7月1日、前CEOによる不適切取引判明を発表していて嫌気を誘ったとみられる。
ACSL株は取引き開始前から売り注文を集めていて、取引開始がはじまったしばらく値が付かないまま推移した。午前9時29分に値幅制限いっぱいいの、前日終値比300円安のストップ安となる1187円で取引が成立したが、その後も売りは止まらず、再び取引が成立しない展開が続いた。
ACSLが7月1日に発表した「お知らせ」はこちら