DJI JAPANは10月1日、散布向けの農業用ドローンの新モデル「Agras T30」と「Agras T10」を発表した。「T30」は6ローターの回転翼機。16個の噴霧ノズルを持ち1時間あたり16haの散布が可能だ。DJIは「農業の新たなデジタルフラッグシップ」と位置付けた。また「T10」は4つの回転翼を持つ初心者向けの機体で、DJIは「コンパクトながら強力な空中散布ソリューション」をコンセプトに掲げた。発表会でDJI JAPAN農業ドローン推進部の岡田善樹氏は「テクノロジーは限られた人の特権ではない」とより多くの利用者が利便性を享受できると訴えた。
T30は16個の噴霧ノズルを搭載し1時間で16haの散布ができる。散布幅は9mで、8個の電子制御弁を持つ。プランジャーポンプの搭載で1分あたり8ℓを吐出。水稲のほか果樹にも対応する。液剤の搭載は30ℓで一度の飛行で2haの散布ができる。散布品質も向上し、より均一になり強力な浸透も実現した。360度検知球形レーダーシステムを持ち、ほこりや光の干渉を受けずにあらゆる環境、気象条件、視野角で障害物や周囲の状況を認識する。自動障害物回避と適応飛行機能は、操作中の安全性を確保する。液面のリアルタイム表示で補充の適切なタイミングを知らせる。
粒剤も40㎏積める。散布の均一性が50%向上し、1分で20㎏の散布ができる。残量検知センサーも搭載している。
機体前後にはFPVカメラを備え、正面と背面のビューが提供される。このため方向転換せずに飛行状況を確認できる。高輝度のサーチライトで暗視機能を2倍に高めた。
制御モジュールは、完全な密閉構造を採用。IP67の保護等級で農薬、ほこり、肥料、腐食から守る。機体は落りたたみ式で運搬時は使用時の80%程度の大きさになる。アームにはワンタッチロック式の機構が搭載されたほかロックされないままで放置するとアラートで警告する。
新しいインテリジェントルートモードでは、各操作に最適なルートを個別にする。自動航行中は残りの薬剤量をリアルタイムで表示し、適切な補充ポイントと作業時間を示す。圃場を縁取るように散布する額縁散布も設定できる。
送信機は、最大4 km離れた場所からの映像伝送に対応。5.5インチの高輝度スクリーンを備える。1台の送信機で一度に複数のドローンを操作できる。標準のRTK高精度測位モジュールは、センチメートルレベルで計画できる。より強力な信号伝送、干渉防止、動作安定性機能が追加された。
専用のインテリジェントフライトバッテリーは、1000サイクルの製品保証で29,000 mAhの電力を蓄える。冷却を待たずに充電でき、回路基板のポッティング保護、防水性と耐腐食性を備える。
また、初心者向けのT10は、コンパクトながら強力な空中ソリューションを提供することをコンセプトに開発された。散布幅は最大6mで、1時間あたり最大6.7haの散布効率だ。機体は70%まで折りたため、持ち運んで使うことを想定した。バッテリーとタンクは取り付けや取り外しがしやすいよう工夫された。IP67防水で、監視用のデュアルFPVカメラも搭載、高精度の完全自動運転なども特徴だ。自動航行システムは、圃場に合わせた最適な飛行ルートを生成。RTKモジュールのセンチメートル単位での高精度な測位も標準装備されている。
4つのノズルは最大2.4リットル/分の出力で、デュアルチャンネルの電磁流量計が農薬の散布吐出量を均一に制御する。球形レーダーシステムも採用し、自動障害物回避機能と適応飛行機能を持つ。前面、後面のデュアルFPVカメラも搭載した。保護等級はIP67。T10専用のインテリジェント フライトバッテリーは、1000サイクルの製品保証で9500 mAhの電力を蓄える。またT10バッテリーステーションは3,600ワットの充電電力を提供する。
粒剤散布装置への切り替えも可能。10 kgの容量で噴霧幅は最大7.5メートル。リアルタイムの重量監視に対応する。
■Agras T30 :https://www.dji.com/jp/t30
■Agras T10 :https://www.dji.com/jp/t10
株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)は、山口県山口市で重ねてきたリハーサル飛行を収めた動画を公開した。
リハーサル飛行は、山口県山口市の「山口きらら博記念公園」内に設けた飛行試験場で春から行われていて、動画には大阪・関西万博のデモフライトに使われるSD-05が離陸し、移動し、向きを変えて飛行するなどの様子が納められている。
大阪・関西万博では7月31日から8月24日まで、火、水曜以外の原則週5日の予定で、来場者の前で飛行する様子を公開する。
建設設備大手の三機工業株式会社(東京)は7月11日、グループ会社、有限会社キャド・ケンドロ(仙台市)と共同で狭小空間ドローン開発の株式会社リベラウェア(Liberaware、千葉市)のドローンとレーザースキャナを併用した既存設備の3Dモデル化するデジタル化手法を確立したと発表した。Liberawareも同日、三機工業に「IBIS2」を「導入した」と発表した。
三機工業は設備更新や模様替えなどのさいに、現場を3Dモデリングし、現状を把握してから取り組む。完成後の更新や追加工事で現状が図面通りになっていないことが多く、作業の妨げになるおそれがあるためだ。しかし天井裏などでダクトや配管が込み入っている場合に、すべての設備にはレーザーが届き切らずに十分な3Dモデルができあがらない場合がある。こうした課題を乗り越える手法の開発を進めているところ、今回、ドローンとレーザースキャナを併用してデジタル化する手法を開発した。
同社が実施した実用化検証では、IBIS2とレーザースキャナを併用した場合、従来の3Dスキャン手法と比べ、機械室などの天井の無い空間の場合、認識できた建築部材が約135%、天井の一部が解体された天井裏空間で約400%向上したという。
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丸紅株式会社(東京)は7月8日、大阪・関西万博でデモフライトを披露する計画を公表している英ヴァーティカルエアロスペース社(Vertical Aerospace Group Ltd.)開発の5人乗りAAM「VX4」について実施を「見送る」と発表した。英国で行われているVX4試験機での有人飛行試験で判断したという。
丸紅は発表の中で「現在英国で行われているVertical社製VX4試験機による有人飛行試験の進捗状況から、大阪・関西万博でのデモフライトへの対応を見送ることとなりました」と伝えた。VX4のキャビンを再現したモデル空間は予定通り万博会場に出展し、8月から搭乗体験を実施する予定という。
また丸紅が万博で飛ばすもうひとつの機体、米LIFT AIRCRAFT社(以下、「LIFT社」)製の1人乗り機「HEXA」については、デモフライトを近く再開させる方向で調整中だ。HEXAは4月26日のデモフライト中に部品が落下したためデモフライトを中断して原因究明を続けている。
その結果「モーター搭載箇所の部品について、サプライヤーが仕様と異なる素材の部品を誤って供給していたことが判明」したと説明し、「当該部品の交換およびその他重要部品の再点検を完了した上で、再発防止策として、LIFT社において部品の受領・品質管理について包括的な監査を実施し、必要な工程について改善したことを確認しました。関係機関の許可を以て、今後大阪・関西万博でテストフライトを実施し、十分に最終確認を行った後、安全を最優先として関係機関および関係各社と協議・判断し、デモフライトの再開に関しては改めてお知らせいたします」と伝えている。
丸紅は大阪・関西万博でのAAM運航事業者4グループのひとつだ。
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英ロックバンド、オアシスの再結成後初のコンサート会場となるウェールズの首都カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで現地時間7月2日、ドローンで形作られた「OASIS」のロゴが浮かび上がった。ツアーは7月4日に始まり、11月まで世界各国をまわる。ツアー初日を翌々日に控えたドローンの演出はオアシスの公式アカウントで公開されている。
ドローンのロゴは公演開始前に上空に描かれ、オアシスの再結成ツアー開催を祝福し、喜ぶファンの気分の高揚に貢献した。
オアシスは1991年にマンチェスターで結成され、7000万枚以上のアルバムを売ったロックバンドだ。2009年に解散したが昨年2024年に再結成した。再結成後初のコンサートツアーが7月4日にはじまり、北米、南米、オーストラリア、韓国など各地をまわる。2025年は11月23日のサンパウロ公演で幕を閉じる予定だ。日本公演も10月に予定されている。チケットはいったん予定枚数の販売を完了したが、機材席の解放による追加販売が決定し、7月12日正午に抽選の受付を開始する予定だという。
音楽シーンとドローンとは、MV撮影、ライブ映像撮影、演出としての屋内ドローンショーなどの例があるなど縁があり、今後も活用の幅が広がる可能性がある。
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AAM開発の米ジョビー・アビエーションは6月30日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでパイロットが搭乗し、垂直離着陸の固定翼飛行を実施した。ジョビーは「2026年に最初の乗客を運ぶ」と2026年のサービス開始を目指している。ジョビーは開催中の大阪関西万博で「運航事業者」にもなっている。
ジョビーによるドバイでの飛行は、「piloted, vertical-takeoff-and-landing wingborne flights」で、パイロットが乗り、垂直離着陸をしたうえで、機体の固定翼で移動した飛行で、「eVTOL分野では初めての取り組み」としている。ジョビーはこの飛行を通じて、ドバイ地域での商用市場準備の取り組みを開始したことも明らかにした。ジョビーは直接運航、航空機販売、地域パートナーシップを商業化戦略の3本柱と位置付けていて、今回の試験飛行が「重要な一歩」と話している。
試験飛行はドバイ道路交通局、ドバイ民間航空局、UAE民間航空総局と連携して実施された。またドバイ道路交通局長官兼理事会会長のマタール・アル・タイヤー会長が立ち会った。
ジョビーは、ドバイ国際空港(DXB)、ペルシア湾の人工島であるパーム・ジュメイラ、現在建設が進められている世界第2の面積の人工のマリーナであるドバイ・マリーナ、超高層ビルブルジュハリファで知られるドバイ・ダウンタウンでの商業サービス導入を目指している。バーティポートはすでに建設が進められている。
ジョビーはDXBからパーム・ジュメイラまでをエアタクシーサービスで移動した場合、移動時間は12分で、45分かかる車での移動時間が大幅に短縮されると見込んでいる。
ジョビーがエアタクシーサービスで使う機体は電動で、パイロット1人と最大4人の乗客を乗せ、最高時速200マイル(約320km)で輸送できる設計と説明していて、ジョビーは「短時間の通勤、小旅行、地域間のシームレスな移動のために、より速く、より静かで、より便利な空の旅を提供します」と話している。
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東京株式市場グロース市場で7月2日、ACSL株がストップ安となった。午前9時29分にいったん1187円で寄り付いたがその後も売りが殺到し、再び取引の成立したない売り気配で推移した。ACSLは前日の7月1日、前CEOによる不適切取引判明を発表していて嫌気を誘ったとみられる。
ACSL株は取引き開始前から売り注文を集めていて、取引開始がはじまったしばらく値が付かないまま推移した。午前9時29分に値幅制限いっぱいいの、前日終値比300円安のストップ安となる1187円で取引が成立したが、その後も売りは止まらず、再び取引が成立しない展開が続いた。
ACSLが7月1日に発表した「お知らせ」はこちら