XR技術のFoxtrot株式会社は、VRにもARにも対応し、Meta Quest Storeでリリースされている複合型ドローン操縦トレーニング用シミュレータアプリ「SimFlight XR」について、開発者が解説する無料オンラインセミナーを1月14日に開催する。操縦トレーニングへのXR活用は、場所、コスト、天候などの課題対策として海外を中心に研究用、商用などに向けて複数がリリースされているが、Foxtrotの「SimFlight XR」はVR/AR複合型が特徴的で関係者の間で話題となっていて、今後の活用拡大が見込まれる。
SimFlight XRは、XRでリアル環境を再現したドローン操縦トレーニング用のアプリでFoxtrotが開発した。VR/ARの両モードに対応しMeta Questで使える。利用者が装着したヘッドマウントディスプレイに飛行させる環境を再現し、画面内のドローンを操作させると手元の操作と画面が統合さる。実機の飛行が難しい場所でも安全な反復訓練ができるうえ、操縦時の状況判断トレーニング、飛ばしたい環境を想定した事前検証やリハーサルへの活用が見込める。
昨年(2025年)6月に千葉、幕張メッセで開催されたドローンの大規模展示会Japan Droneでは、⼀般社団法⼈ドローン操縦⼠協会(DPA)が出展するブースでは「XR Drone Simulator」としてコンセプトが展示され、スクールやトレーニング担当者らが足を止めてのぞき込んだり開発者に話を聞いたりしていた。「SimFlight XR」は「XR Drone Simulator」の製品版で、Meta Quest Storeで個人利用向けエディションがリリースされている。業務利用や教育用途にも対応可能で相談を受ける。
セミナーは1月14日 (水) 、19:00〜20:00にオンラインで開催される。開発者であるFoxtrotの田中健司代表がXR活用の意義、VR/ARモードの使い分け、想定されるユースケースなどを解説する見通しだ。セミナーの参加は無料。(申込はこちら)
田中氏は昨年、関連技術や製品について包括的に整理し考察した論文「A Survey on XR-Based Drone Simulation: Technologies, Applications, and Future Directions」(XRベースドドローンシミュレーションに関する調査:テクノロジー、アプリケーション、および将来の方向性)をまとめ、論文は香港拠点の学術出版社、SCIE Publish社が発行するドローンなどの自律システムを扱う国際的な学術ジャーナル「Drones and Autonomous Vehicles」に掲載されている。(論文はこちら)
論文はXRベースのドローンシミュレーションシステムのシステムアーキテクチャ、シミュレーションエンジン、物理モデリング、訓練アプリケーションなどを包括的に調査し、手動操作のマルチロータードローン運用については、VR(仮想現実)とAR(拡張現実)がパイロット訓練やミッションリハーサルでますます重要になっていることを明らかにしている。論文内では、Flightmare、AirSim、DroneSim、Inzpire Mixed Reality UAV Simulator、SimFlight XRなどの具体的なプラットフォームを分析し、研究用、商用トレーニング向けなど設計戦略を整理している。また、ユーザーの没入感、規制との適合性、実機の挙動の再現など課題も提示している。
参考
■SimFlight XRせミナー参加申し込み:申込はこちら
■SimFlight XR (Meta Quest Store)
ドローン関連技術の研究開発を手掛ける株式会社ロックガレッジ(茨城県古河市)は、ドローン、AI、MRを組み合わせ、災害時の捜索活動で迅速、確実な遭難者発見を支援する技術を開発し、1月8日、福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールドで実証実験を行った。実験では自動飛行したドローンが人影を検知すると、参加者が装着するウェアラブルディスプレイに人の形をした半透明の3Dオブジェクトの映像で浮かび上がる様子が披露され実験の見学者、参加者をうならせた。映像は複数のディスプレイに同時に投影することが可能で、複数の捜索隊員がディスプレイを装着すれば、見過ごしや伝言ミスなどの見逃しリスクの解消にも期待が高まる。
実験は、福島ロボットテストフィールドの市街地を再現した「市街地フィールド」で行われた。想定したのは、津波などで周囲に水があふれ、住民1人がビル屋上に避難し救助を待っている状況だ。ビルの外から屋上の避難者は確認できない。
実験開始後、ドローンがビルから離れた場所で離陸し自動飛行でビルに向かった。ドローンのカメラがとらえた映像はサーバーに送られAIで解析される。参加者とスタッフがウェアラブルディスプレイを装着しドローンを目視で追った。ドローンがビル上空にたどり着くとしばらくして、ドローンを見上げていた視界に、ドローンがとらえた画像と、人の形をしたオブジェクトが浮かび上がった。画像は枠で囲まれ、そこから延びる引き出し線が、ビルに伸び検知した場所を示した。また、表示には「倒れている」と検知した人の様子を文字でも表示した。情報は、ディスプレイ装着者全員が共有しており、隊員同士では「出ましたね」で通じる。視野を共有できれば捜索現場で「今、人影を検知しました」「あのビルのあそこです」など言葉で伝達する手間と誤解リスクを省ける。視野が共有できる安心感を体感できた。
試験は昼間に3フライト、日没後に2フライト行われた。日没後もドローンは自動飛行し、AIは人影を検知し、MRは検知結果を映像としてディスプレイに表示した。
ロックガレッジの岩倉大輔社長は今回の実験した技術について「コンセプトは“未来の捜索”です。未来の捜索では、捜索隊がウェアラブルデバイスを装着し、要救助者を肉眼で直接確認することができなくても、そこにいることを把握できるものと考えています」と説明した。
この技術が求められる背景について、岩倉氏は大規模自然災害では、足場が悪いなど捜索隊の現場入りが困難だったり、現場入りする捜索隊の安全を確保が難しくなったりすることがあることや、捜索を始めるとすぐに夜になり活動の中断を余儀なくされもどかしさを感じる声があること、ドローンが取得した情報を分かりやすく共有する必要があることなどを挙げ、「生存率が下がってしまう被災後72時間の壁があります。一人でも多く、一秒でも早く被災者を把握する手段としてこのシステムを提案しています」と説明した。
さらに、最近広がりを見せている捜索活動でのドローンの活用でも、「タブレットの映像を確認した人が、救難に向かわせる人や向かう人、責任者などに確認情報を伝える時点で情報のロスが発生する恐れがありますし、そもそも伝える手間も効率化できたほうがいい」と指摘する。
今回実験した技術について岩倉氏は「まだ発展途上」という。「近いうちにディスプレイが産業利用されたることが当たり前になり、それがレスキューにもつかわれると思っています。言葉による伝達をしなくても人間の視覚の拡張で、担当者全員が共有できるようになることが当たり前になっていくと思っています」と述べ、今後も研究を続ける。また、MR技術の現場利用についてトライアルや研究開発協力も募っていく方針だ。
株式会社ロックガレッジ:https://www.rockgarage.tech/
(以下、更新情報)
(更新情報1)株式会社ロックガレッジは1月12日、実験した技術開発を周知するプレスリリースを発表した。システムの名称は「3rd eyeドローンシステム」。プレスリリースはこちら。
(更新情報2)ソフトウェア開発などを手掛ける株式会社mofmof(東京都渋谷区)も1月12日、「3rd eyeドローンシステム」でMR技術開発に協力したことを発表した。株式会社mofmofのサイトはこちら。プレスリリースはこちら。




