路面から浮いて進む“空飛ぶバイク”を開発する株式会社A.L.I.Technologies(東京)が、10月26日に発表した「XTURISMO Limited Edition(エックスツーリスモ・リミテッド・エディション)」の公式動画を公開した。26日に富士スピードウェイ(静岡県小山町)で開催されたお披露目会での飛行の様子も収められている。
XTURISMO Limited Editionは全長3.7m、全幅2.4m、全高1.5mの1人乗りバイクで、内燃機関と電動を組み合わせて動く。最大40分の航続航行が可能で100㎏のペイロードに対応する。最高速度は時速100㎞という。
26日には販売の受付も開始し、保険料、税、運転講習を含め7770万円という価格とともに話題になっている。
ホバーバイクを開発する株式会社 A.L.I.Technologies(東京)は10月26日、「XTURISMO Limited Edition」の走行を、富⼠スピードウェイ(静岡県⼩⼭町)でお披露目した。機体はレーシングコース上で高さ5mほどまで浮かび上がり、ゆったりと来場者の前を往復した。A.L.I.はまた、この機体の発売の受付開始も発表した。価格は税込み7770万円で、2022年の年明けから海外でも受付を始める。話題性では「空飛ぶクルマ」が先行するが、この日を境に「空飛ぶバイク」が猛追を始める。
走行デモでは、「XTURISMO Limited Edition」の特別使用機をレーシングコース上に設置。ライダーがまたがり、エンジンを始動させると、プロペラが回転しはじめ、やがて回転が加速すると、轟音とともに機体が浮上した。5mほどの高さまで浮上すると、ゆったりと前進し、しばらくしてUターンすると、今度はいま飛んできたルートを戻るように進み、最後は離陸点に着陸した。
ホバーバイク「XTURISMO Limited Edition」は3.7m×2.4m×1.5mの浮かぶバイク。車体ボディのほかあらゆる部品にCFRPを使い軽量化を図った。戸田レーシングと共同開発した駆動系を搭載しし、カワサキモーターズ株式会社のエンジンをベースに開発した内検機関を採用したほか、セキュリティ機能を内蔵するルネサスエレクトロニクス株式会社のRH―850シリーズ、エヌビディア社製NVIDIA Jetson AGX Xavierシリーズなど、モーションコントロールやエッジコンピューティングを仕上げた。
A.L.I.の⽚野⼤輔代表取締役社長は「もともとは道路インフラが未整備な国や地域の湿地、砂漠を移動する手段として2017年からホバーバイクのプロジェクトに取り組んでいます。XTURISMO Limited Editionは、ホバーの力で走行する“浮く車両”です。新しいモビリティの体験や新しいライフスタイルを提案したいと考えています」と述べた。
またA.L.I.に出資するDRONE FUNDの創業者で代表パートナーの千葉功太郎さんもあいさつに立ち、「(この日の飛行お披露目は)歴史的な瞬間に立ち会ったということになります。私もホンダジェットを購入したり、航空機のパイロットになったりして、空を新しい産業にすることに人生をかけています。『飛ばないけど、飛ぶバイク』として、未来のモビリティとして期待しているプロダクトです」とXTURISMO Limited Editionに大きな期待を寄せた。
この日の走行のお披露目には多くのメディアが参加した。デモ走行後は、XTURISMO Limited Editionと片野代表のツーショットを納めようとカメラが殺到した。10月22日には大阪港で株式会社SkyDriveの空飛ぶクルマの周りに人垣ができたが、この日のA.L.I.のXTURISMO Limited Editionに対する関心も高く、この日をきっかけに“空飛ぶバイク”は、“空飛ぶクルマ”とともに、エアモビリティの認知度向上を中心的に担うことになりそうだ。