AAM開発の米アーチャー(Archer Aviation Inc.)のニクヒル・ゴール(Nikhil Goel)CCO(最高商務責任者)は、「日本における空飛ぶクルマの商用化を支援する取組みとして、2026 年のデモンストレーション運航を計画し実現したいと考えています」との談話を、万博のAAM運航事業者でアーチャー製の機体の運航を目指してきた株式会社Soracle(東京)のプレスリリースを通じて公表した。
Soracleは4月3日に公表したリリースで、万博期間にアーチャーのAAM「MIDNIGHT」の実物大模型を展示する方針を表明。展示機関を調整していると明かした。昨年(20024)年9月以降、実施を目指してきたデモ飛行については正式に断念することを表明。理由については「タイミングが合致せず」と伝えた。一方で利用者を乗せて運航する商用運航を目指す方針を維持し、「2026年に大阪・関西エリアでの実証運航を実施します」と宣言した。
また、リリースの中でArcher社最高商務責任者(CCO)ニクヒル・ゴール(Nikhil Goel)氏のコメントも公表し、商用運航への方針維持と日本でのデモ飛行方針を示した。ゴール氏は米国でAAMを活用する輸送事業をリードしたUber Elevate社の共同設立者で、2023年7月にArcherの経営に参画することが公表されている。
Soracleの発表は以下の通り
株式会社 Soracle(以下「Soracle」)は、2025 年日本国際博覧会(以下「大阪・関西万博」)において、eVTOL “Midnight” 実機サイズのモデル機体を展示いたします。また、空飛ぶクルマによる旅客輸送サービスの商用化に向けて、2026 年に大阪・関西エリアでの実証運航を実施します。
大阪・関西万博における取組み
Soracle は、2024 年 9 月、大阪・関西万博「スマートモビリティ万博 空飛ぶクルマ」協賛契約を締結し、日本航空株式会社から「空飛ぶクルマ」運航事業を承継のうえ、米国 Archer Aviation Inc.(以下「Archer 社」)とともにeVTOLデモンストレーション運航を目指してまいりました。しかしながら、タイミングが合致せず、Archer 社は大阪・関西万博会期中のデモンストレーション運航に対応できなくなりました。そのため、大阪・関西万博において Soracle は、Archer 社の実機サイズのモデル機体展示を行うことといたしました。
このモデル機体展示では、Archer 社が開発を進める“Midnight”を間近に体感いただき、新しい空の移動手段として eVTOL の可能性を感じていただけるよう準備を進めてまいります。
【モデル機体展示概要】
・展示期間 調整中(詳細については決まり次第公表予定)
・展示場所 モビリティエクスペリエンスエリア内 EXPO Vertiport
・展示機体 eVTOL “Midnight” 全長 約 10m、全幅(翼長)約 15m、全高 約 4m
eVTOL 社会実装に向けた取組み
Soracle は、日本初の eVTOL による旅客運送事業を実現すべく、大阪・関西万博でのモデル機体展示の実施と並行し、航空運送事業許可の取得準備を進めています。なお、Archer 社“Midnight”の機体開発は着実に進んでおり、2026 年には、当該機を使用して大阪・関西エリアにおける有人・二地点間の実証運航を計画しています。詳細については、決まり次第公表いたします。
Archer 社 最高商務責任者(CCO)ニクヒル・ゴールのコメント
「現在、機体の型式証明取得と商用化に向けて必要なマイルストーンを通過できるよう、有人試験飛行プログラムに社を上げて取り組んでいます。そのため、Archer 社として、現時点では米国での飛行試験に注力することが必要であると判断しました。残念ながら大阪・関西万博でのデモンストレーション運航についてはタイミングが合致せず対応できませんが、日本における空飛ぶクルマの商用化を支援する取組みとして、2026 年のデモンストレーション運航を計画し実現したいと考えています。大阪・関西万博においては、Soracle と連携し、Midnight 機の実機サイズのモデル機体展示を実施し、来場者の皆さまが空飛ぶクルマを間近でご覧いただける機会を提供します。Archer 社は、日本におけるパートナーと共にこうした取組みを進めていけることを楽しみにしています。」
Soracle は、大阪・関西万博でのモデル機体展示を皮切りに、2026 年の実証運航を通じて、eVTOL 社会実装を早期に実現し、地球に優しく、より身近で新しい移動価値の創造を目指します。