ドローン開発の株式会社ACSL(東京都江戸川区)は3月30日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業として開発した情報漏洩対策ドローンに搭載したフライトコントローラーなどの技術を、株式会社石川エナジ―リサーチ(群馬県太田市)が開発した点検ドローン「ビルドフライヤー」に統合することに成功したと発表した。両者の共同事業で、ACSLがNEDO事業で開発した技術を転用した事例の第一号になる。今後、NEDO事業で開発した高セキュリティー技術の普及にはずみがつきそうだ。
石川エナジーリサーチの「ビルドフライヤー」に統合が成功した技術は、NEDOの「安全安心なドローン基盤技術開発」事業のもとで開発が進められた高セキュリティードローンに採用されたフライトコントローラーとGCSだ。データの漏洩、抜き取りの防止、機体の乗っ取りへの耐性強化を実現させた高性能小型ドローン「SOTEN(蒼天)」に搭載された。
ACSLはNEDO事業で、フライトコントローラーなどの標準基盤設計と開発を担った。開発の成果として「SOTEN」を発表したのは2021年12月で、あわせてフライトコントローラーのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)や、主要部品の接続仕様もコーポレートサイトで公開した。
石川エナジ―リサーチとACSLは、公開されたAPIをもとに、「ビルドフライヤー」にフライトコントローラーとGCSの統合に取り掛かり、実証を重ねた末に成功させた。
石川エナジーのビルドフライヤーは、5㎏までのカメラ、測量機器などの搭載が可能な空撮、点検、測量対応の4本アームのマルチコプターで、5㎏の機材を積載し30分の飛行可能な、本体にマグネシウムを使った超軽量、高剛性の機体だ。NEDO開発事業の技術が統合された機体の現場投入が期待される。
NEDO事業技術の転用第1号を足掛かりに、今後、高セキュリティードローンへの採用が加速する可能性がある。ACSLも今後、公開したフライトコントローラーのAPIの周知、普及に力を入れる方針だ。