いわゆる空飛ぶクルマの開発を手掛ける株式会社SkyDrive(愛知県豊田市)は1月10日、独ボロコプター社(Volocopter GmbH)で最高技術責任者(CTO)を2022年12月まで勤めていたアーナウド・コウヴェル氏(Arnaud Coville)を役員として招聘し、2023年1月1日付けで最高開発責任者(Chief Development Officer/CDO)に就任したと発表した。すでに日本で活動を初めている。三菱航空機株式会社出身の岸信夫最高技術責任者(CTO)と手を携え、機体開発を加速、強化し、エンジナリング部門の組織力を高める。なおボロコプターのCTOには、チーフエンジニアとして活躍してきたセバスチャン・モレス氏(Sebastian Mores)が就任している。
SkyDriveのCDOに就任したコウヴィル氏は、2020年5月にボロコプター社に入社し、同年7月にCTOに就任して、先月まで同社の空クル開発を指揮していた。ロボティクスの博士号を持ち、ドイツのドルニエ社を起源に持つアメリカの航空機メーカー、米フェアチャイルド・ドルニエ社、ドイツの航空技術会社、ディール社(Diehl Aerospace GmbH)、空クル開発でも知られる航空機メーカー大手、会社、エアバスグループなど、航空業界でキャリアを重ねた著名エンジニアの一人でもある。
SkyDriveは商用機「SD-05」の型式証明を2021年に申請し、国交省が受理している。コウヴィル氏の加入で、型式証明取得の対応を強化し、機体開発、社内の多くを占めるエンジニアリング組織の体制固めなども加速させる。
発表は以下の通り
「空飛ぶクルマ」および「物流ドローン」を開発する株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO 福澤知浩、以下「当社」)は、航空機業界で 30 年ほどの経験を持ち、独Volocopter GmbHで最高技術責任者(CTO)を務めたArnaud Coville氏が、2023 年 1 月 1 日に、当社の最高開発責任者(Chief Development Officer/CDO)に就任したことをお知らせいたします。
■ Arnaud Coville氏就任の背景
当社は、2018 年に設立し、「100 年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「空飛ぶクルマ」と「物流ドローン」を開発しています。空飛ぶクルマ「SD-05」は、2021年10月に型式証明申請が国土交通省により受理された商用機です。2025年の大阪ベイエリアでのサービス開始を皮切りに日本の各地域、海外での事業拡大を目指しています。Arnaud氏は、自動制御とロボティクスの博士号を取得後、航空機業界で 30 年ほどの経験を積んできました。Airbus社では、プログラムマネージャーとしてヘリコプターや大型航空機の開発を推進し、Volocopter社ではCTOとしてeVTOL開発のための新技術開発や組織強化に従事しました。SkyDriveではこれまでの知見・経験を生かし、「SD-05」の機体開発をさらに加速していただきます。
「SD-05」の機体開発を推進するCDOのArnaud氏と、型式証明取得に向けてより一層尽力する最高技術責任者(CTO)の岸信夫が密に連携することにより、当社は引き続き 2025 年の事業開始を目指してまいります。
■ 各コメント
最高開発責任者(CDO) Arnaud Coville氏
SkyDriveは業界を牽引する可能性に満ちた企業であり、この度CDOとして入社したことを誇りに思います。これまで培ってきた、航空機開発に関わる国際的な専門知識やマネージャーとしての経験は、SkyDriveのエンジニアリングチームのさらなる成長と、機体開発の加速に貢献すると信じています。SkyDriveのみなさんと協力し、私たちの最初の商用モデルである『SD-05』が市場で成功することを楽しみにしています。
代表取締役 CEO 福澤知浩
この度、当社の最高開発責任者として、Arnaudさんを迎えられることを大変嬉しく思います。航空機だけでなく、ゼロ→イチの機体開発経験が豊富で、スタートアップでのマネジメントに関する知見も深いArnaudさんのCDO就任は、日本発の空飛ぶクルマを開発するという挑戦を更に前に進めるものだと確信しています。チーム全員の個性・強みを最大限に生かしながら開発を率いていただくことで、当社は引き続き、世界中の人々が日常的に心地よく使えるエアモビリティの開発を推進してまいります。
■Arnaud Coville 氏、略歴
2000 年 7 月 Fairchild Dornier GmbH 入社
2002 年 11 月 Diehl Aerospace GmbH 入社
2005 年 1 月 エアバス・グループ 入社
2015 年 3 月 エアバス・グループ H135 のプログラムマネージャー就任
2018 年 6 月 エアバス・ヘリコプターズ トランスフォーメーション/デジタライゼー
ションプロジェクトマネージャー 就任
2020 年 5 月 Volocopter GmbH Volocity の開発マネージャー就任
2020 年 7 月 Volocopter GmbH 最高技術責任者(CTO)就任
株式会社ACSLは2月21日、取締役会長の太田裕朗氏が退任する人事を内定した。3月 25 日開催の株主総会で正式に決定する。退任後は同社の顧問に就任する。
太田氏の取締役退任と顧問就任は、ACSLが同日発表した「役員の異動に関するお知らせ」の中で公表された。太田会長は2016年7月ACSLのCOOに就任し、2020年6月に代表取締役最高経営責任者(CEO)に就任した。21年6月に代表を退き、以降、取締役会長に就いている。
ACSLはこの間、2017年にVisual-SLAMで飛行する自律制御技術を開発して商用化したほか、2018年11月には日本郵便株式会社の郵便局間でのドローン輸送に機体を提供して話題を集めた。2018年12月には東京証券取引所マザーズに上場。ドローン専業のスタートアップとして国内で初めての上場企業となった。
この日公表された役員の異動には、鷲谷聡之代表取締役社長兼CООの再任を含む5人の名前が取締役内定者として連ねられている。新たに2021年5月から技術顧問を務める株式会社東芝出身の島津忠美氏が取締役に抜擢する。