次世代エアモビリティ開発の独ヴォロコプター社は9月3日、経営体制の刷新を実施した。同社のアドバイザリーボード(諮問委員会)は、アドバイザリーボードのチェアマンに、前ダイムラーCEOのディーター・ツェッチェ(Dieter Zetsche)博士を任命した。またジーリーテクノロジーズ(Geely Technology Group=吉利科技集団)CEOのジーハオ・シュウ(Zhihao Xu)博士が新たにアドバイザリーボードのメンバーに加わった。ヴォロコプターの経営を2年間率いてきたダーク・ホーク(Dirk Hoke)CEOは本人の申し出により2025年2月に退任する。ホーク氏の後任CEOは今後、公表される見通しだ。
ディーター・ツェッチェ新チェアマンは任命を受け、ただちに就任した。ツェッチェ氏は就任にあたり「ヴォロコプター社とともに都市交通革命構築を支え、ドイツが21世紀もモビリティの先進地であり続けることに貢献することを楽しみにしています」とコメントした。ステファン・クローク(Stefan Klocke)前チェアマンや、マジド・ムフティ氏(NEOM Investment FundのCEO)は引き続きアドバイザリーボードメンバーにとどまる。
新たなボードメンバーとなったジーハオ・シュウ氏がCEOを務めるジーリーテクノロジーズは、中国の自動車製造大手、吉利汽車や、スウェーデンのボルボ・カーズ、ドイツのメルセデス・ベンツ・グループを傘下に持つ持株会社、ジーリーホールディンググループ(Zhejiang Geely Holding Group=浙江吉利控股集団有限公司)のグループ会社で、ダイムラーとともにヴォロコプターの株主でもある。「未来のモビリティは、道路上と空中とで生じます。相乗効果は明らかで、だからこそ、私の豊富な経験を提供できることを嬉しく思っています」とコメントしている。
ヴォロコプターは8月、オリンピック開催中のパリで、都市部での実践的な運用をためす運用ヴァリデーションフェーズの検証活動キャンペーンを終え、重要な段階を乗り越えた。パリで飛行した機体は「2X」で、今後、大阪万博での飛行が期待されるエアタクシー用「VoloCity」の開発を完了させ、欧州連合の航空当局、EASA(欧州連合航空安全機関)の認可取得を目指すことになる。
2年間経営を率いてきたホークCEOは「私のキャリアの中でこれほど短期間にダイナミックな会社の発展を経験したことはありません」「素晴らしい従業員を抱える偉大な新興企業を率いることができたのは光栄なことでした。2025年2月末までは、EASA認証の取得に全精力を注ぎ、ヴォロコプターの将来に不可欠なビルディングブロックを作り上げるつもりです」などと話している。本人が退任を申し入れ、アドバイザリーボードが受け入れた。
同社の発表はこちら:https://www.volocopter.com/en/newsroom/volocopter-to-undertake-leadership-changes
いわゆる“空飛ぶクルマ”を開発するドイツのヴォロコプター社(Volocopter)は3月8日、2025年に開催する大阪・関西万博でエアタクシーとしての商用運航を目指す機体「VoloCity」の実物大モデルをJR大阪駅に隣接する大規模複合施設「グランフロント大阪」で公開した。公開されたのは万博での飛行を目指し型式証明の申請をしているVoloCity 第4世代機で、飛行や安全などの性能、デザイン、快適性などで前世代機から全面的に進化した。DroneTribuneのインタビューに応じた同社のクリスチャン・バウアーCCOは「交通手段を拡張する機体で大都市・大阪に最適だと思います」と述べた。一般公開は3月10日から12日まで。
公開されたのはVoloCityの最新世代機の実物大モデル。利用者が乗る搭乗部は伸びやかな流線形で、天井から直径11.3メートルの大きな円形の輪が“天使の輪”のように広がり、18個の小型固定ピッチプロペラが取り付けられている。内装は大きな局面ガラスで覆われ視界が広がる。シートや、自動車でいうダッシュボードもツートーンでまとめられていて高級車の運転席に近い。ペダルもなく足元も広い。2つのシートの間にあるひとつのタブレットが唯一の機器だ。ただし公開機は、自動航行バージョンで、万博で飛行を予定している機体は、パイロットが乗るバージョンのため、操縦席にはジョイスティックのような操縦桿がつき、頭上の天井にスイッチ類が並ぶ。万博機と公開機とでは、そこだけが違う。
第4世代では飛行性、安全性、快適性など全面的に改善が施された。ドアの開き方や、乗る時のステップなど、利用者が乗る動作にも工夫が凝らされた。
VoloCityは電気で動き真上に浮き真下に降りられる滑走路を必要としないeVTOL型のマルチコプター機で、バッテリー9本を本体に積む。航続距離は35㎞で、混雑しがちな都市内での速やかな移動需要を見込み、エアタクシーとして運用するUAM(アーバン・エア・モビリティ)だ。離発着場で離着陸をすることを想定していて、大勢の来場が見込まれる万博会場と大阪中心部や主要観光拠点などに離発着場が整備され、航路が作られることが期待されている。
2011年に世界で初めて人を乗せて飛ぶことに成功した電動機で、現在は4世代目。最新機体は現在ドイツ国内で試験飛行を繰り返していて、2024年にシンガポールやフランスのパリで商用運航を始める計画で、その他にも多くの国で飛行が見込まれている。消費者への直接の販売はしない方針だ。
公開初日に行われたオープニングセレモニーでは、大阪府の山口信彦副知事が「2025年に万博が開催されます。商用運航をめざして実現に向けて一歩が進んでいると感じています。その折にこのお披露目会を開催して頂けて大きな意義があると思いました。われわれの空をこのVoloCityが飛ぶことをイメージできると思います。実現にはまだ課題がありますが、デモンストレーションではなく、定着をさせるつもりです」とあいさつした。
またヴォロコプターのクリスチャン・バウアーCCOが「日本とドイツにはものづくりに強みがある点や革新性などさまざまな共通点があると思っています。この公開の機会に、大阪の皆さまにわれわれのUAM、VoloCityを感じ、体験して頂けることはそれぞれにとってとても喜ばしいことです。企業紹介の動画をご覧頂きますが、次にPR動画を作る時には大阪を舞台にしたものになると思っています」などとあいさつした。
ヴォロコプターは「VoloCity」のほか、固定翼を備えたeVTOL型リフト&クルーズ機で100㎞の航行ができる「VoloRegion」も2026年ごろの完成を目指して開発中だ。ペイロード200㎏の物流ドローン「VoloDrone」や、運航管理を司るデジタルインフラ「VoloIQ」、UAMの離発着場である「VoloPort」などを含むUAMのエコシステム整備を進めている。2011年にドイツのブルッフザールで起業したスタートアップで、3月6日には積水化学工業株式会社が資本業務提携の契約を締結したと発表した。2月には住友商事株式会社が出資を発表している。2020年2月にMS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社傘下の三井住友海上火災保険株式会社が業務提携をして以降、日本航空株式会社がCVCを通じた出資や業務提携したほか、東京センチュリーが出資やグループ会社を通じた業務提携するなど、日本経済界との関係が強まっている。
公開初日に会場のグランフロント大阪北館では、仕事や買い物でたまたま来た通行人が足をとめ、写真に収める様子が見られた。
DroneTribuneはヴォロコプターのクリスチャン・バウアーCCO兼CFOにインタビューをした。
――VoloCityを通じ、利用者にどんな価値を提供しますか?
バウアー氏 「新たな交通手段を提供します。これはメトロ、鉄道、乗用車の代用ではなく、新しい交通手段として、既存の交通手段とともに交通分野の可能性を拡張したいと考えています。一例ですが、私の場合は出張でパリに行くと、中心街にたどりつくまで既存の追う通手段使うで多くの時間を費やします。時間に余裕があるときにはそれもよいのですが、会議が立て込んでいるときの移動にはVolocityを使えば時間に苦しまずに済みます。使い分けができる選択肢を提供できることが第一の提供価値です。東京、大阪などベイエリアのダ都市の場合、湾を周る移動には時間がかかります。直接に進めれば時間が節約できます」
――そのほかの価値とは?
バウアー氏 「遊覧飛行です。日本には多くの旅行者がいますが、一部でヘリコプターによるサービスがありますが、ほとんどの旅行者は、都市部上空を空から遊覧することを体験していません。街を眺めるという新たな観点を、手ごろな価格で提供できることがふたつめの価値になると考えています。3点目はサステナビリティの観点から主にふたつの価値を提供します。ひとつが電動のためCO2を出さない飛行です。お客さまには環境負荷の低減に貢献する体験を提供します。そしてもうひとつが騒音です。ヘリコプターの離着陸の音を聞いたことがある方であれば、比較するとその違いがわかると思います。そして4点面が緊急対応です。医師が現場に急行する必要があるときの移動手段を提供することができます」
――大阪はVoloCityが活躍するのに適していると感じますか?
バウアー氏 「最適だと思います。人口が約877万人ととても多く、人の移動も盛んです。空港から中心街までのアクセスにはやや時間がかかり、VoloCityはスケジュールがみっちりつまったビジネスマンの移動に対する期待に応えられると考えています。また大阪府や此花区(大阪市、編集部注:空飛ぶクルマの推進に関わる覚書を2022年5月に交わした)など行政の後押しが強力で、ものごとを進めるうえで大きな支えになっています」
――日本の知恵や技術が生かされているところは?
バウアー氏 「さまざまなところで多くの知恵や技術が生かされています。一例をあげますと機体本体のカーボンファイバーは東レの製品です。業務提携した積水化学の知見も大きく期待しています」
住友商事株式会社は2月21日、AAM(アドバンストエアモビリティ、いわゆる“空飛ぶクルマ”)開発の独Volocopter GmbHに出資したと発表した。Volocopterも住商からシリーズE資金調達ラウンドでの資金を調達したことを公表した。またVolocopterは国土交通省航空局が、同社が開発する「VoloCity」の型式証明(TC)の申請を受理したことも公表。国土交通省もVolocopterからの申請を受理したと発表した。Volocopterは3月8日~12日に、大阪でVoloCityの実物大モデルを初展示する方針だ。Volocopterは、提携する日本航空株式会社が大阪・関西万博での空飛ぶクルマ運航事業者のひとつに決定したことから、同社のVoloCityが万博で利用者を乗せて運航する現実味が高まっている。
Volocopterは、AAM開発を早くから手掛け、日本のエアモビリティ関連の事業者の間で知られてきた。日本企業では2020年にMS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下の三井住友海上火災保険株式会社が業務提携に合意して以降、連携も加速している。住友商事も2018年からAAM分野への取り組みを加速させている。
住友商事の発表は以下の通り
住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 CEO:兵頭 誠之、以下「住友商事」)は、Advanced Air Mobility(以下「AAM」)の分野で電動垂直離着陸機(electric Vertical Take-Off and Landing、以下「eVTOL」)を開発・製造するドイツのVolocopter GmbH(以下「Volocopter(ボロコプター)」)に出資しました。
AAMはeVTOLおよび無人航空システム(ドローン)を用いた航空交通・物流システムの総称です。eVTOLは、既存の民間航空機と比較し、電動のため駆動時の温暖効果ガス排出量が格段に少なく、滑走路が不要で離着陸時の騒音も小さい、環境にやさしい次世代航空機です。また、維持管理が必要な部品点数が少なく、将来的には自律飛行が可能で、運航費用を大幅に節減できると期待されています。eVTOLを活用することで、環境負荷が小さく、安心・安全・安価で手軽な空の交通・物流サービスを実現できます。日本国内おいては「未来社会の実験場」をコンセプトとする2025年大阪・関西万博を皮切りに、eVTOLの社会実装と商業運航開始が計画されています。
Volocopterは2011年にドイツ・Bruchsal(ブルッフザール)市で設立されたeVTOL開発・製造会社であり、開発中のVoloCityについて既存航空機と同基準の安全要求値を実現すべく、500名以上の体制で開発に取り組んでいます。世界の競合企業に先駆けて2024年に欧州航空当局(EASA)からのVoloCityの型式承認取得と運航開始を計画しています。翌2025年には本邦国土交通省航空局(JCAB)からの型式承認取得と大阪・関西万博での運航開始を目指しています。また、機材開発と並行して、航空業界・自動車業界・物流業界のグローバルパートナーとの連携も進めており、eVTOLによる交通・物流サービスの提供、離発着場の開発・運営・整備を含めた全体エコシステムの構築を通じてAAM業界をリードしています。さらに、搭乗可能人数が多く航続距離の長い次世代機材の開発にも着手しており、将来の市場拡大を見据えた取り組みを行っています。
住友商事は、航空業界におけるネットワークや多角的な事業活動を通じて培ったノウハウを活用し、2018年からAAM分野における事業化を検討しています。2020年にはAAMの社会実装に不可欠な無人機管制システムを開発する米国のOneSky Systems Inc.に出資し、日本で市場開拓を行ってきました。同時に物流課題・地域課題の解決に向け、国内外で小型ドローンを用いた各種実証を通じて、AAMと既存物流を組み合わせた持続可能な物流システムの実装に挑戦しています。本出資を通じ、Volocopterとの連携を図り、新たな空の交通・物流手段として期待されるAAMの日本国内の普及浸透と持続可能な新しい社会インフラの構築を行うことで、地球環境と共生しながら地域と産業の発展へ貢献していきます。
国交省航空局の発表は以下の通り
本日、国土交通省は、ドイツの空飛ぶクルマの設計製造者である Volocopter社 が開発中の機体について、同社からの航空法に基づく型式証明申請を受け付けました。空飛ぶクルマとしての型式証明申請の受理は、我が国で3件目となります。国土交通省としては、今後、開発の進捗に合わせて、航空機の安全性及び環境適合性に係る審査を適切に進めることとしております。
○ 今般、ドイツ・ブルッフザールに所在する Volocopter 社において開発が進められている電動・垂直離着陸型の航空機、いわゆる“空飛ぶクルマ”について、同社より航空法に基づく型式証明※1の申請があり、国土交通省は本日付けでこれを受理しました。
※1 型式証明とは、機体の設計が安全性及び環境適合性に関する基準に適合することについて国が
審査及び検査を行う制度のこと。国は、機体の開発と並行して審査及び検査を行う。
○ 空飛ぶクルマとしての型式証明申請の受理は、我が国で3件目※2となります。
国土交通省としては、今後、開発の進捗に合わせて、欧州航空安全当局(EASA)とも連携し、航空機の設計・製造過程等に係る型式証明審査を適切に進めることとしております。
※2 空飛ぶクルマとしての型式証明の申請をこれまでに2件受理。
・㈱SkyDrive (本社:東京都)から、令和3年 10 月 29 日付で受理
・Joby Aviation(所在地:米国・カリフォルニア州)から、令和4年 10 月 18 日付で受理
【Volocopter 社の会社概要及び機体概要】
設立: 2011 年
所在地: ドイツ・ブルッフザール
人数規模: 500 名以上
CEO: Dirk Hoke
事業内容: eVTOLの開発/設計/製造
日本航空等が出資
大阪・関西万博の主催団体である公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は2月21日、大阪・関西万博で利用者を乗せた航行の実現をめざすいわゆる「空飛ぶクルマ」の運航事業者が、ANAホールディングス株式会社とJoby Aviation Inc.のグループ、日本航空株式会社、丸紅株式会社、株式会社SkyDriveの4グループ5社に決定したと発表した。また万博会場内の離発着場となるポートの運営を担う協賛企業について、オリックス株式会社が決定したと発表した。運航事業者に選ばれたSkyDriveの 福澤知浩代表取締役CEOは「今後も事業開発、機体開発に推進してまいります」と話している。
運航事業者に決まった4グループはそれぞれが別々の機体を運航する。万博会場では彩り豊かな機体が運航する見込みだ。
ANAHDとJobyは、Jobyが開発する「S-4」、JALは提携する独Volocopterが開発する「VoloCity」、丸紅は、提携する英Vertical Aerospaceの「VX4」を運航する見込みだ。
丸紅は子会社の丸紅エアロスペース株式会社とともに英Vertical Aerospace社と業務提携し、今年1月に25機分をの前払いして購入予約済みだ。同社は空飛ぶクルマの運航を想定したヘリコプターでの模擬体験ツアーを実施するなど、社会実装を視野に入れた取り組みを加速させている。
日本から選定されたSkyDriveは、商用機として発表された「SD-05」を運航させる見通し。同社は万博開催の2025年の事業開始を目指している。
Volocopterには住友商事株式会社が出資を決めており、日本企業のエアモビリティ事業参入機運が加速している。(「住商がVolocopterに出資」の記事はこちら)
SkyDriveは以下のプレスリリースを発表している。
「空飛ぶクルマ」(※1)および「物流ドローン」を開発する株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO 福澤知浩、以下「当社」)は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)『未来社会ショーケース事業出展』のうち、「スマートモビリティ万博」における空飛ぶクルマの運航に係る事業者に選定されたことをお知らせいたします。
■2025年大阪・関西万博「未来社会ショーケース事業出展」応募の背景
当社は、「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「日常の移動に空を活用する」未来を実現するべく、2018年7月に設立し「空飛ぶクルマ」を開発しています。2019年に日本で初めて「空飛ぶクルマ」の有人飛行に成功し、2025年の大阪・関西万博開催時に大阪ベイエリアでのエアタクシーサービスの実現を目指して開発を推進してきました。
この実現に向け、大阪を舞台とした空飛ぶクルマの社会実装に向けた動きを加速させるため、大阪府が2020年11月に設立したラウンドテーブルに、当社も設立当初から構成員として参加し、様々なステークホルダーとの連携や事業検討のための議論、地域住民の理解促進や社会受容性を高めるための活動を行ってきました。また、2021年9月には更なる認知度や社会受容性の向上を目指し、大阪府、大阪市と連携協定を締結し、断続的な活動を行ってきました。
この度当社は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が実施した、大阪・関西万博の「未来社会ショーケース事業出展」の、会場内ポート及び会場外ポートをつなぐ2地点間での空飛ぶクルマの運航の実施を目指し、運航に係る事業者の募集に応募した結果、選定される運びとなりました。
航路や飛行頻度、機体の稼働台数、サービス提供価格等の詳細は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会を含む関係者の方々と、順次協議、決定してまいります。
■株式会社SkyDrive 代表取締役CEO 福澤知浩 コメント
当社はこれまで、2025年大阪・関西万博にて、現在設計開発中の空飛ぶクルマ「SD-05」を皆さまにお披露目し、未来を感じていただくことを目指してまいりました。この度、「スマートモビリティ万博」空飛ぶクルマ事業における参加企業に選定いただき、大変感慨深く感じます。これまで様々な形で応援・ご支援くださった関係者の皆さまと、大阪・関西万博を目標に共に励んできた社員の皆に、心より感謝申し上げます。
万博の場に向けた空飛ぶクルマへのご期待を改めて実感し、これからのチャレンジに奮い立つ気持ちでございます。10年後、20年後に当たり前となる「日常の移動に空を活用する未来」を体感し、楽しみにしていただける場となるよう、今後も事業開発、機体開発に推進してまいります。
万博協会のプレスリリースは以下の通りだ。
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)における「未来社会ショーケース事業出展」のうち、「スマートモビリティ万博」空飛ぶクルマの会場内ポート運営の協賛企業を決定しました。また、2022年12月27日より2023年1月20日まで募集(第1次)を行った空飛ぶクルマ運航事業について、参加企業を選定しました。
「未来社会ショーケース事業出展」の各事業については、引き続き多数の企業・団体と協議中であり、新たな協賛企業・団体については順次発表する予定です。
■協賛企業
オリックス株式会社(東京都港区 取締役 兼 代表執行役社長・グループCEO 井上 亮)
■協賛内容
万博会場内の北西に位置するモビリティエクスペリエンスに設置予定のポートの運営 (整備・維持管理・撤去を含む)を実施します。
■参加企業
・ANAホールディングス株式会社(東京都港区 代表取締役社長 芝田 浩二)及びJoby Aviation Inc. (アメリカ合衆国 カリフォルニア州サンタクルーズ CEO JoeBen Bevirt)
・日本航空株式会社(東京都品川区 代表取締役社長執行役員 赤坂 祐二)
・丸紅株式会社(東京都千代田区 代表取締役社長 柿木 真澄)
・株式会社SkyDrive(愛知県豊田市 代表取締役CEO 福澤 知浩)
■事業内容
万博会場内ポート及び会場外ポートをつなぐ2地点間での空飛ぶクルマの運航の実施を目指します。関係自治体や国の関係機関の協力を得て、具体的な取り組みを今後行っていく予定です。本事業の詳細については、今後関係者と協議の上決定します。
<ご参考>▽未来社会ショーケース事業について
未来社会ショーケース事業は、大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会」を支える技術・サービスを、2025年以降の未来を感じさせる「実証」と2025年の万博にふさわしい「実装」の形で、「未来社会の実験場」となる万博会場の整備、運営、展示、催事などに活用し、国内外の幅広い参加者や来場者に、体験として提供する事業群の総称です。
いわゆる空飛ぶクルマの開発を手掛ける株式会社SkyDrive(愛知県豊田市)は1月10日、独ボロコプター社(Volocopter GmbH)で最高技術責任者(CTO)を2022年12月まで勤めていたアーナウド・コウヴェル氏(Arnaud Coville)を役員として招聘し、2023年1月1日付けで最高開発責任者(Chief Development Officer/CDO)に就任したと発表した。すでに日本で活動を初めている。三菱航空機株式会社出身の岸信夫最高技術責任者(CTO)と手を携え、機体開発を加速、強化し、エンジナリング部門の組織力を高める。なおボロコプターのCTOには、チーフエンジニアとして活躍してきたセバスチャン・モレス氏(Sebastian Mores)が就任している。
SkyDriveのCDOに就任したコウヴィル氏は、2020年5月にボロコプター社に入社し、同年7月にCTOに就任して、先月まで同社の空クル開発を指揮していた。ロボティクスの博士号を持ち、ドイツのドルニエ社を起源に持つアメリカの航空機メーカー、米フェアチャイルド・ドルニエ社、ドイツの航空技術会社、ディール社(Diehl Aerospace GmbH)、空クル開発でも知られる航空機メーカー大手、会社、エアバスグループなど、航空業界でキャリアを重ねた著名エンジニアの一人でもある。
SkyDriveは商用機「SD-05」の型式証明を2021年に申請し、国交省が受理している。コウヴィル氏の加入で、型式証明取得の対応を強化し、機体開発、社内の多くを占めるエンジニアリング組織の体制固めなども加速させる。
発表は以下の通り
「空飛ぶクルマ」および「物流ドローン」を開発する株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO 福澤知浩、以下「当社」)は、航空機業界で 30 年ほどの経験を持ち、独Volocopter GmbHで最高技術責任者(CTO)を務めたArnaud Coville氏が、2023 年 1 月 1 日に、当社の最高開発責任者(Chief Development Officer/CDO)に就任したことをお知らせいたします。
■ Arnaud Coville氏就任の背景
当社は、2018 年に設立し、「100 年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「空飛ぶクルマ」と「物流ドローン」を開発しています。空飛ぶクルマ「SD-05」は、2021年10月に型式証明申請が国土交通省により受理された商用機です。2025年の大阪ベイエリアでのサービス開始を皮切りに日本の各地域、海外での事業拡大を目指しています。Arnaud氏は、自動制御とロボティクスの博士号を取得後、航空機業界で 30 年ほどの経験を積んできました。Airbus社では、プログラムマネージャーとしてヘリコプターや大型航空機の開発を推進し、Volocopter社ではCTOとしてeVTOL開発のための新技術開発や組織強化に従事しました。SkyDriveではこれまでの知見・経験を生かし、「SD-05」の機体開発をさらに加速していただきます。
「SD-05」の機体開発を推進するCDOのArnaud氏と、型式証明取得に向けてより一層尽力する最高技術責任者(CTO)の岸信夫が密に連携することにより、当社は引き続き 2025 年の事業開始を目指してまいります。
■ 各コメント
最高開発責任者(CDO) Arnaud Coville氏
SkyDriveは業界を牽引する可能性に満ちた企業であり、この度CDOとして入社したことを誇りに思います。これまで培ってきた、航空機開発に関わる国際的な専門知識やマネージャーとしての経験は、SkyDriveのエンジニアリングチームのさらなる成長と、機体開発の加速に貢献すると信じています。SkyDriveのみなさんと協力し、私たちの最初の商用モデルである『SD-05』が市場で成功することを楽しみにしています。
代表取締役 CEO 福澤知浩
この度、当社の最高開発責任者として、Arnaudさんを迎えられることを大変嬉しく思います。航空機だけでなく、ゼロ→イチの機体開発経験が豊富で、スタートアップでのマネジメントに関する知見も深いArnaudさんのCDO就任は、日本発の空飛ぶクルマを開発するという挑戦を更に前に進めるものだと確信しています。チーム全員の個性・強みを最大限に生かしながら開発を率いていただくことで、当社は引き続き、世界中の人々が日常的に心地よく使えるエアモビリティの開発を推進してまいります。
■Arnaud Coville 氏、略歴
2000 年 7 月 Fairchild Dornier GmbH 入社
2002 年 11 月 Diehl Aerospace GmbH 入社
2005 年 1 月 エアバス・グループ 入社
2015 年 3 月 エアバス・グループ H135 のプログラムマネージャー就任
2018 年 6 月 エアバス・ヘリコプターズ トランスフォーメーション/デジタライゼー
ションプロジェクトマネージャー 就任
2020 年 5 月 Volocopter GmbH Volocity の開発マネージャー就任
2020 年 7 月 Volocopter GmbH 最高技術責任者(CTO)就任
日本航空株式会社(JAL)と、三井住友海上火災保険株式会社、MS&ADインターリスク総研株式会社の3社は、9月29日、エアモビリティ開発を手掛けるドイツのボロコプター社(Volocopter GmbH)の日本進出を後押しするなどを目的とした業務提携を発表した。ボロコプター社も同日、Japan Drone 2020で開催された動画講演の中で提携について言及し、Japan Drone 2020の公式ホームページでは提携発表のリリースを紹介している。
3社はこれまで個別にボロコプター社と提携、出資などにより関係を構築してきた。今回の提携で今後は同社の日本進出に共同で取り組む。3社はボロコプター社の日本進出を通じ、日本での新サービスの創造、離島・山間部の課題解決、都市部での渋滞緩和などの課題解決を目指す。あわせて運航管理、保険、リスクマネジメントなどの検討を進める。
報道発表に記された提携内容は以下の通り。
・Volocopterの日本進出に向けた協議、市場調査 ・Volocopterの事業賛同企業への「協力・支援・協業」の依頼に関する対応 ・日本におけるeVTOLを用いたサービスの事業化に向けた研究および実証実験の参画/実施 ・eVTOLの運航における確実な管理、保険およびリスクマネジメントの研究・開発 ・eVTOLの社会実装に向けた社会受容性の向上などに関する議論および検討
ボロコプター社のファビアン・ネストマン国際担当責任者は、「Japan Drone 2020」で行われた動画講演の中で3社提携に言及し機体を表明した。ネストマン氏は動画講演の中で、同社のeVTOL型エアクシー、ボロシティ(VoloCity)の日本での実現可能性について言及。進出の適否の判断に重要な要素を「人口」「(人口」密度」「(人の)動き」と列挙したうえで、東京圏、大阪圏に注目していることを明らかにした。