神奈川県横須賀市内の海洋関連技術の企業、研究機関が知見を持ち寄り技術の普及を目指す「ヨコスカ・ブルーテックコンソーシアム」(代表:古谷知之慶應義塾大学教授)は1月25日、この分野の第一人者が取り組みの成果を披露する「ヨコスカブルーテックシンポジウム」を「横須賀芸術劇場 ヨコスカ・ベイサイド・ポケット」で開催する。入場無料。国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)、日本海洋事業株式会社や横須賀市などが登壇する予定で、海洋スマート化の事例が取り上げられる見通しだ。DroneTribuneの村山繫は進行役で手伝う。
ヨコスカ・ブルーテックコンソーシアムは、慶應義塾大学SFC研究所、横須賀市のほか、横須賀市内の海洋技術・知見を持つ企業・研究機関などを中心に組織した活動体。水中ドローンの研究開発、人材育成など通じて海洋活動における各種課題を解決する新技術開発や海洋都市づくりを目指す。
シンポジウムは2部制で、午後3時の開会に続いて行われる第一部では、ブルーテック関連機関、企業がブルーテックに関連する取り組みを発表する。午後4時からの第二部ではコンソーシアム代表の古谷知之教授らをまじえてテーマを深堀りするパネルディスカッションを行う。ヨコスカ・ブルーテックコンソーシアムが主催。
開催概要は以下の通り。
■日時:2022年1月25日(水) 15時00分~17時00分(14時30分開場)
■会場:横須賀芸術劇場 ヨコスカ・ベイサイド・ポケット[小劇場](横須賀市本町3-27)
■スケジュール:
14:30 開場
15:00 開会
15:10 第一部 ブルーテック事例紹介
16:00 第二部 パネルディスカッション
17:00 閉会(閉会後に名刺交換などの交流時間あり)
ドローンの知識、技能の習得に力を入れている神奈川県立海洋科学高等学校(神奈川県横須賀市)の生徒が、ドローンを活用した環境調査に乗り出した。地元、横須賀市の漁場で進行する磯焼けと呼ばれる現象を、海中環境の撮影などで調査する。磯焼けの原因のひとつとされるムラサキウニなどの食害生物の有効活用も模索する。6月16日には同高の所有する実習船で沖合に出て、技能を習得中の水中ドローンで海中の撮影に挑んだ。今後10年間にわたり地元の海を守る課題に取り組む方針だ。
海洋科学高校が参加した海中調査は、ドローン研究、人材育成、社会実装に力を入れる慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム、長井町漁業協同組合、横須賀市の取り組み。横須賀市はドローンを課題解決に役立てる実験に協力的で、6月10日には牛丼の注文デリバリー実験の市内での開催に関わった。今回は、調査員が潜水することなく水中を調べられる水中ドローンの有効利用にも範囲を広げた。
調査当日は海洋科学高校の情報通信系列3年生4人が、慶應SFCの研究員らとともに午前中に、同校が所有する小型実習船「わかしお」(19トン、定員38人)に乗りこみ、沖合約1キロメートルの地点まで航行。ここで水中ドローンを使い海中の様子を調べた。磯焼け対策を検討する生物系列の生徒4人も同行した。
この日使った水中ドローンは筑波大学発のスタートアップ、株式会社 FullDepth(フルデプス)の水深300メートルまで潜れる産業機「Dive Unit300(ダイブユニット300)」と、中国・深圳に本社を構える水中ドローンメーカー、QYSEA Technology(キューワイシー、テクノロジー、中国名:鰭源科技)社の「FIFISH V6S」。調査地点までたどり着いたところでドローンを海に投下。学校のプールとは異なり、流れのある海での操作にてこずりながら、機体が少しずつ潜る。水深11メートルほどの海底にたどりつくと、ドローンのカメラがとらえた海底の映像が、ドローンの居場所の水深などのデータとともに、モニターに映し出された。磯焼け対策を講じるにあたり、現状を把握するための重要な映像だ。
生徒たちは、操縦と映像の観察を1時間ほど行った。一行は磯焼けの象徴でもあるムラサキウニなどを採取し、長井町漁港に帰港した。ウニはさっそく研究機関に持ち込まれた。環境の状況を知るためのデータを取得するほか、ウニそのものを食材として活用する方法も探る方針だ。今後10年間、地元の海洋環境の保全に、地元の高校生が身に着けたドローンの知見、技術を生かす。