経産省は、能登半島地震の災害支援対応にあたった企業、団体などに感謝状を贈った。贈呈先が明らかにされている207組の中には、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)、ブルーイノベーション株式会社、株式会社Liberaware、株式会社エアロネクストなどドローンに関わる企業・団体28組が含まれる。6月17日に行われた式典ではJUIDAの鈴木真二理事長が齋藤健経産相から感謝状を受け取った。
JUIDAが受け取った感謝状には、「貴団体は令和六年能登半島地震への対応において格別な支援を行い復旧復興活動に大きく貢献されました。その支援活動に敬意を表し心から感謝申し上げます」と記されている。
能登半島地震にあたりJUIDAは発災直後の1月1日夕刻から幹部間で調整を開始。被災地上空が原則としてドローンの飛行が禁止される「緊急用務空域」に指定される中、JUIDA の嶋本学参与が被災地入りし、現地自治体にドローンの有効性を説明するなどして飛行要請の発出を掛け合った。輪島市が1月4日に被災地として最初の要請を出したことから、JUIDAがドローン関連各社にも応援を呼びかけ、倒壊家屋内点検、橋梁点検、緊急物資輸送、土砂ダム警戒などにドローンが使われた。ドローンでの対応は復興局面により形をかえているものの、6月に入ってもJUIDAは現地と定期的に情報交換を続けている。
感謝状の対象のドローン関連企業、団体は以下の通り。(順不同)
株式会社Liberaware
ブルーイノベーション株式会社
株式会社ACSL
株式会社ドローンオペレーション
株式会社エアロネクスト
株式会社NEXT DELIVERY
川崎重工業株式会社
イームズロボティクス株式会社
日本DMC株式会社
株式会社やさか創研
株式会社スペースエンターテインメントラボラトリー
エアロセンス株式会社
合同会社SKYTRYING
日本システムバンク株式会社
五光物流株式会社
佐川急便株式会社
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
株式会社ウェザーニューズ
双葉電子工業株式会社
ANAホールディングス株式会社
伊藤忠商事株式会社
日本航空株式会社
KDDIスマートドローン株式会社
埼玉ドローンサービス株式会社
株式会社チェンジ
一般財団法人日本気象協会
Drone Quest(株式会社Phoegend)
なお能登半島地震の災害対応として現地で支援にあたったドローン関連事業者、運航者が上記のほかにも複数存在することをDroneTribuneは把握している。上記の表彰された企業、団体とかわらぬ敬意を表したい。
次世代通信規格5Gとサイバーセキュリティー対策を講じたドローンの開発、導入などを促進する「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律(5G・ドローン促進法)」が8月31日に施行された。要件を満たした「認定開発供給事業者」、「認定導入事業者」が、政府指定の金融機関から低利融資を受けられたり、租税特別措置法に基づき30%の特別償却を受けられるなど制度として普及促進の後押しを得られる。デジタルトランスフォーメーションやドローン前提社会の実現などに向けて追い風となりそうだ。
対象となる事業は、「情報通信の業務を一体的に行うように構成された無線設備、交換設備、関係プログラムの集合体」で、「3600メガヘルツを超え、無線局、特定基地局に割り当てられた電波を使って、大量の情報を、高速で送受信するなど高度な技術を活用した」もの。農業、林業、漁業、建設業、鉄鋼業、郵便、警備業といった事業に関連し、点検、測量、調査、営巣、監視、警備、輸送に使われるドローンのうち、風速8m毎秒の環境下で、飛行位置、姿勢、状態を制御できれば対象となることも明記された。
事業者が所定の計画を提出し経産相、または総務相から「認定開発供給事業者」「認定導入事業者」と認められた場合には、開発、供給、維持管理、導入などの促進のため、株式会社日本政策投資金融公庫、銀行、長期信用銀行、信用金庫などから支援を得られるほか、税制上の優遇を受けられる。
中小企業投資育成株式会社は、条件を満たす中小企業の株式、新株予約権、新株予約券付き社債の引き受けもできる。
政府は経済分野の安全保障を重視する姿勢を鮮明にしており、その一環で国内企業を後押しする方針で、関連法案が5月27日に参議院法会議で可決し、法案が法となったのち、6月3日に交付、8月31日に施行された。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長も5月21日に参院経済産業委員会に参考人として出席し、セキュリティーの重要性について発言。この中で、5G・ドローン促進法案については、「セキュリティー対策が確実になることでドローンの利活用が進む」と期待を表明していた。