一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は8月8日、12月5日に運用が始まる国家資格としての操縦ライセンス制度について、認定スクールを対象にオンライン説明会を開催した。国家資格としての操縦ライセンスの講習を提供する登録講習機関になるための登録が9月5日にスタートすることが改めて紹介されたほか、人口集中地区での補助者なし目視外などリスクの高い「カテゴリー3飛行」が登場するのは「2023年1月以降、年度末あたり」などの見込みや、現在の管理団体が登録講習機関の外部監査を担うことなどが説明された。このほか、登録講習機関になるための手続きなどが解説された。説明会にはJUIDAの鈴木真二理事長があいさつ、国土交通省航空局安全部無人航空機安全課の小御門和馬無人航空機企画調整官が説明で登壇した。
説明会ではJUIDAの鈴木真二理事長が、国家資格としての操縦ライセンスは、カテゴリー3飛行を実現させるための要件の一つであることや、国家資格としての操縦ライセンスの運用が始まったのちも民間ライセンスは併存することなどを説明し、「高度な操縦技能が求められる場面も想定されるため、スクールにはますます空の産業革命を支える貢献と連携を期待したい」とあいさつした。
国交省の小御門調整官は、7月末までに公表された政令、告示、資料などをベースに制度の概要を説明した。この中でカテゴリー3の飛行を解禁するための航空法改正が今年6月11日に公布され、12月5日には運用開始となることを概観。カテゴリー3が可能となる要件として第一種型式認証機体認証書、国家資格としての一等操縦ライセンスを取得し、ルールにのっとって個別に許可を得ることが必要になるとおさらいした。
また、登録講習機関は、国家資格としての操縦ライセンスを取得するための「一般的な流れ」として位置づけられ、受講者が講習を受け、修了審査に合格すると、指定試験機関では実地試験を免除され、CBT方式の学科試験と身体検査に合格することでライセンスが取得できることも外観した。
さらに、登録講習機関には国家資格としての操縦ライセンスの講習などが適切に運用される環境が整っているかどうかを点検するための監査が行われることを説明。監査は外部監査方式で行われ、現在の管理団体の枠組みを活用することを念頭に置いていることや、管理団体が国に外部監査報告書を提出し、そこに疑義がある場合には、国が直接、立ち入り検査を行うことなどが解説された。
国交省の小御門調整官はまた、「JUIDAには今後も官民協議会(=「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」)などの席で「知見を頂きながら検討をすすめたい」と述べ、連携を維持する姿勢を示した。JUIDAも今後も政府と連携する方針だ。また、現時点で積み残しとなっている課題も含め、今後も認定スクールのサポートを強化する方針だ。
政府は3月9日、ドローンの操縦ライセンス制度や、機体の安全性を保障する認証制度の創設などを柱にした航空法改正案を閣議決定した。2022年に第三者上空での補助者無し目視外飛行のいわゆる「レベル4」などのリスクが高いと言われる飛行を解禁し、ドローンの活用を広げることが目的。政府は改正案を今国会に提出し成立を目指す。
ドローンの「レベル4」飛行解禁に向けた航空法改正の柱は、国が操縦者の技能の認証する操縦ライセンスの創設と、機体の安全性を保障する機体認証制度の創設だ。このうち操縦ライセンスは、第三者上空の上空を飛ばせる高度な技能を認証する「一等」と、それ以外の「二等」に分類する。操縦ライセンスを取得するには国が指定した試験機関で学科と実技の試験を受けて合格する必要がある。ただし、国に登録した講習機関の講習を受けてカリキュラムを修了すれば、試験の一部、または全部が免除される仕組みも創設する。取得できるのは16歳以上で、3年ごとに更新する必要がある。
「レベル4」などリスクの高い飛行は現在、許可されていないが、新制度が創設されると、一等操縦ライセンス取得者が、認証された機体を、許可・承認を受けた場合に、飛ばすことができる。
操縦ライセンスの要件や取得するための試験内容、講習内容は今後検討する。指定試験機関や登録講習機関は民間を活用する方針で、その要件も今後定める。機体認証の要件も今後具体化する。
なお国交省航空局のHPに掲載されている「講習団体」や「管理団体」などのドローンスクールや、講習団体が発行している技能認証は、国交省は今後も維持する方針だ。しかし新制度導入後に、技能認証取得者の操縦ライセンスへの移行の可否や、講習団体が登録講習機関になるための要件など、現行の仕組みと新制度との接続部分については検討が進んでおらず、今後の検討に委ねられることになる。
このほか、事故発生時の国への報告の義務付けや、運輸安全委員会が調査対象とする航空事故にドローンに関する事故のうち重大なものを追加することも盛り込んだ。
今回閣議決定された航空法改正案はドローンの飛行に関わるものに加え、①航空ネットワーク確保のための交通運送事業基盤強化方針の策定②保安検査の受検義務付けなど航空保安対策の確実な実施ーが3本柱だ。
閣議決定を伝える国交省のサイト