風況観測技術の開発を手掛けるメトロウェザー株式会社(京都府宇治市、古本淳一代表取締役)は4月11日、海運、鉄道、物流、金融など12社から約7億円を調達したと発表した。調達先は既存株主のリアルテックファンド、DRONE FUNDのほかヤマトホールディングス系やJR東日本系のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)などが名を連ねる。調達した資金を体制の構築や開発にあてるほか、事業の現場も抱える出資企業と連携を深め、海外も含めた事業展開の加速化を図る。
調達は12社を引受先とした第三者割当増資等でシリーズAラウンドとして実施し。メトロウェザーは京都大学発スタートアップで、風向きや風速を三次元でとらえリアルタイムで可視化する小型・高性能ドップラー・ライダー・システムを持つ。風況観測はドローンや空飛ぶクルマの自律飛行の実装に欠かせない技術で、出資企業と連携し実証実験を重ねる。
発表は以下の通り(以下、引用)
風を3次元に可視化する小型・高性能ドップラー・ライダー・システムを擁するメトロウェザー株式会社(本社:京都府宇治市、代表取締役 古本淳一、以下「メトロウェザー」)は、このたび 既存株主であるリアルテックファンド、DRONE FUND 及び新たにグローバル・ブレインが運営するCVCファンドをはじめとした、VC及び事業会社計12社を引受先とした第三者割当増資等により、シリーズAラウンドにおいて総額約7億円の資金調達を実施したことをお知らせします。
メトロウェザーは、小型高性能ドップラー・ライダーにより空の風況を立体的に把握し、可視化することで「風」の課題を解決し、「エアモビリティー社会」と「安全安心な都市生活」の実現に貢献することを目指しております。シリーズAラウンドの資金調達により、各株主企業様との連携をより一層深め、国内のみならず海外展開を視野に入れた組織体制の構築と、さらなる事業展開を加速させてまいります。
メトロウェザーは、ドップラー・ライダーの活用により、ドローンの運行に必要不可欠となるリアルタイムでの高精細風況情報の提供を実現します。これによりレベル4飛行の大きなハードルとなっている「高度な安全性の確保」を達成し、ドローン前提社会における必須のインフラとなることを目指します。
さらに、独自の気象予測シミュレーションを組み合わせることで、都市防災・風力発電・航空・海運・鉄道領域等、ドローン関連のみならず弊社技術に関連する幅広い分野の市場への参入を進めてまいります。
■ シリーズA資金調達先 計12社
(既存先)
・リアルテックファンド
・DRONE FUND
・株式会社日本政策金融公庫(資本性ローン等)
(新規先)
・JGC MIRAI Innovation Fund(運営:グローバル・ブレイン株式会社)
・KURONEKO Innovation Fund(運営:グローバル・ブレイン株式会社)
・株式会社MOL PLUS(株式会社商船三井100%出資CVC)
・JR東日本スタートアップ株式会社
・ACSL1号有限責任事業組合
・鐘通株式会社
・三菱UFJキャピタル株式会社
・SMBCベンチャーキャピタル株式会社
・京銀リース・キャピタル株式会社
<各社のコメント>
■リアルテックホールディングス株式会社 永田暁彦代表取締役
言語の壁を超えて全世界70億人にイノベーションを提供する、これを実現できるのがリアルテックの価値です。メトロウェザーはこの実現に大きく近づきました。同社のドップラーライダーを活用したユースケースの拡大、そして空のインフラ構築を、今回参画頂いた事業会社等の力強い仲間と共に、今後もリード投資家として全力で支援して参ります。
■DRONE FUND 大前創希共同代表パートナー
ドローン・エアモビリティの社会実装の機運を受け、メトロウェザーの存在感が高まっており、大変頼もしく感じます。人々の頭の上をドローンやエアモビリティが飛び交うレベル4の実現には、メトロウェザーの技術は不可欠なものになっていくと確信しています。本ラウンドでは新たに参画頂いた日本を代表する事業会社の方々と事業を一層加速できるよう、 DRONE FUNDとして全力で支援していきます!
■グローバル・ブレイン株式会社(JGC MIRAI Innovation Fund・KURONEKO Innovation Fundを運営) 百合本安彦代表取締役社長
メトロウェザー社のドップラーライダーは、海外含めた競合他社と比較して高スペックであり、また圧倒的な小型サイズと低製造コストを実現しています。風力発電量予測等いくつかの用途での活用が期待されておりますが、特にドローン自動運行への風況予測データ提供において高いポテンシャルを見ています。ドローン自動運行で不可欠となる高い時空間解像度のデータを提供する上で、メトロウェザー社の技術が唯一無二のソリューションとなりうると考えています。グローバル市場を取れるポテンシャルを持つ当社の今後の事業成長に貢献すべく、弊社としてもしっかり支援してまいります。
■日揮株式会社 未来戦略室 / JGC MIRAI Innovation Fund CVCフロントチームリーダー 坂本惇氏
日揮グループは安全・安心で持続可能な社会システムの実現に向けて、革新的な技術やビジネスモデルを有するスタートアップ企業への投資を行っています。今回の出資に際して、メトロウェザーが目指すビジョンに強く共感し、また、下支えとなる優れた信号処理、風況観測・予測シミュレーション技術を高く評価致しました。今後、日揮グループが培ってきたエンジニアリング技術や各領域の知見を融合させる事で、産業プラント、風力発電領域に加え、新たな社会インフラ構築に向けたイノベーションを起こす事を期待しています。
■ヤマトホールディングス株式会社イノベーション推進機能/KURONEKO Innovation Fundシニアマネージャー足立崇彰氏
風況計測は、 安全なドローン運行にとって重要な要素です。メトロウェザー社のドップラー・ライダーは、観測技術の高さとコスト面で高い優位性を持っています。ヤマトグループは、ドローンを活用した「新たな空の輸送モード」を現在構築しており、そのなかでドップラー・ライダーは、必要不可欠なテクノロジーです。今後、協業を通じて、両社がより事業成長できるよう取り組んでまいります。
■株式会社MOL PLUS 阪本拓也代表
メトロウェザー社の事業ビジョンに共感し、また直近1年間で多様な産業へのソリューション展開をスピーディーに推進されていることに可能性を感じ、この度他の多くの出資者の皆様とともに、ご一緒させていただくことになりました。MOL PLUS はメトロウェザー社が実現を目指す風況予測ソリューションの各産業への社会実装に貢献します。とりわけ海運や海洋事業領域での社会実装について推進させていただきます。具体事例として、今回の出資に際し商船三井の『ウインドハンタープロジェクト』においてドップラー・ライダーを用いた風況予測の実証実験を共同で取り組みます。今後の取り組みを楽しみにしております。
■JR東日本スタートアップ株式会社 柴田裕代表取締役社長
ドップラーライダーのテクノロジーを応用して、鉄道工事の課題を解決する…。 そんな無謀…否、果敢なチャレンジをいま、メトロウェザー社と一緒に進めています。場所はリアルの鉄道路線(休止線)。そこにドップラー・ライダーを持ち込んで支障物を検知する実証実験は、なんともダイナミックで斬新なものでした。まだ課題は山積ですが、この技術は未来の鉄道現場に広く活用できると思っています。共創パートナーのメトロウェザー社を、私たちはこれからも応援していきます。
■株式会社ACSL 早川研介取締役CFO
株式会社ACSLはドローンメーカーとして、ドローンを活用した社会課題の解決に向けた取り組みを進めております。レベル4の法規制整備やデジタル田園都市国家構想の推進、脱炭素化に向けた動きの加速などによりドローンが活用される場面が増えていくことが想定されるなかで、空の風況を適時かつ正確に把握することは、ドローンが安全に飛行するうえで無くてはならないものであると考えております。今後もメトロウェザー社と連携し、ドローンの社会実装に向けた取り組みを進めてまいります。
■鐘通株式会社 松井宏記代表取締役社長
地球温暖化等による様々な自然災害に対し、現在の技術力をもってしても人類は無力です。そのような得体の知れない巨大な敵に対し立ち向かうメトロウェザー株式会社。様々な視点から自然の可視化に挑む産まれたての企業に無限の可能性を感じ出資させて頂きました。同じ京都の企業という事もありますので弊社としても部材調達や最新の製品情報提供等のサポートを全力でさせて頂きます。共に京都から世界へ、これまでに無かった新たな価値を提供して参りましょう。
■三菱UFJキャピタル株式会社 矢野潤大阪投資部次長
「風を制し空の安全を守る」を企業Visionとして2015年に設立された京都大学発スタートアップ企業です。これまで培ってきた独自のリモートセンシング技術と信号処理技術に気象情報を組み合せ、高精度の風況観測を実現する小型ドップラー・ライダーを開発しました。ドローン運行のための風況情報提供に加え、都市防災、風力発電など、幅広い分野への展開を目指します。当社の技術が、未来社会における大事なインフラになっていく事を期待して、全力で支援してまいります。
■SMBCベンチャーキャピタル株式会社 池田一生関西投資営業部副部長
空を見上げれば物を運んだり測量をしたりしているドローンが当たり前に見える未来、メトロウェザー社の風況計測技術はそのような未来を実現する基礎インフラになり得る技術と感じ今回初めて出資をさせて頂きました。新しい未来の実現の一助になればと思い全力で今後も支援させて頂きたいと思います。
■京銀リース・キャピタル株式会社 村田義樹氏
「エアモビリティ―社会」と「安心安全な都市生活」の実現に対し、京都大学発ベンチャーとして非常に高い技術力をもって貢献される当社の取組や姿勢に共感し、今回投資を行いました。京都銀行グループとして、今後の当社の成長と発展を支援してまいります。
■メトロウェザー株式会社 古本淳一代表取締役
この度は既存投資家様をはじめ多くの事業会社様を中心にシリーズAラウンドの資金調達が完了できましたこと皆様に心より御礼申し上げます。弊社のドップラー・ライダーは商用ベースでドローンが安全・安心に飛行するために必要不可欠である3次元の風情報をリアルタイムに提供し、高度なオペレーションが要求されるレベル4運航実現の切り札になるものと考えております。このラウンドを機に事業会社様との連携をさらに深め、 幅広い市場への参入を図るとともに国内はもとより海外展開の礎を構築し、 次のラウンドで本格的な海外展開を果たすことを目指してまいります。
■ メトロウェザー概要 設立 : 2015年5月 代表者 : 代表取締役 古本 淳一 URL : https://www.metroweather.jp 所在地 : 京都府宇治市大久保町西ノ端1-25宇治ベンチャー企業育成工場6号 事業内容 : 弊社は、赤外線を用いて風に舞った大気中の塵や微粒子を散乱体として反射光を受信し、ドップラー効果を利用した解析を実行することで、 風況をリアルタイム・3次元に把握・可視化するドップラー・ライダーの開発・販売及びデータ提供を行っております。京都大学で長年培った大気リモートセンシング技術の開発・解析技術をベースに弊社が開発した小型高性能ドップラー・ライダーは、従来の大型ドップラー・ライダーと同等の性能を維持しつつ、低価格を実現しております。弊社ドップラー・ライダーを活用した社会課題の解決に向け、弊社は国内外で複数の企業様・研究機関様との共同研究や実証を進めており、2021年からはNASAの研究開発プロジェクトにも参画しております。


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エアロネクスト,和歌山の市街地(DID)含むルートで補助者なし飛行 三井不動産株式会社(東京)とKDDIスマートドローン株式会社(東京)が11月13日、東京・日本橋の高層ビル「日本橋三井タワー」屋上にドローンの離着陸場となるドックを設置し、遠隔操作のドローンで周辺の情報収集に役立てられるかどうか検証する実験を公開した。ドローンには米Skydio社のAIドローン「Skydio X10」を使い、専用の格納庫「Dock for X10」に格納して屋上に設置した。ドローンは垂直離陸し上空約200mから橋や建物、道路の状況をリアルタイムでとらえた。今後、取り組みの有効性を検証する。
実験場となった日本橋三井タワーは東京・日本橋にある高さ約200m(公式サイトでは「最高高さ194.69m」)と、現時点では日本橋エリアで最も高い建物だ。屋上にSkydio X10を格納したDock for X10を設置し、通信環境を整えるため衛星通信「Starlink Business」を準備した。隣の日本橋室町三井タワー5階に運航管理責任者が待機した。
実験は大規模災害発生を想定して実施。遠隔操作で起動したX10はDockから離陸すると8m上昇し、搭載されたカメラで周辺の様子をとらえた。ドローンの飛行はタワー屋上での垂直離着陸に限られ、目的地に向かうなどはしなかった。ドローンでとらえた映像は、運航管理者が待機する隣のビルのモニターにリアルタイムで映し出された。離陸地点から地上距離にして1.3㎞離れたビルなどもズームで、人がいる様子まで確認できた。
両社は「都心エリアで高層ビル屋上に設置したAIドローンの遠隔飛行の実証実験は初の取り組み」と話している。
三井不動産日本橋街づくり推進部の吉田信貴氏は、同社と日本橋活性化の取り組みや、産業創造とモビリティの関係などを踏まえてこの実験の意義を説明。「日本橋にとってレジリエントな街づくりを推進するうえで防災機能を高めることは欠かせない。今回は防災機能向上の実証実験で、遠隔操作で周辺の被災状況が把握できるのではないかと仮説をたてた。有効な情報なら従業員、テナント、帰宅困難者に判断材料となりうるし、行政や消防機関との連携も検討する。直接の収益事業ではないがテナントの物件価値の向上につながる面はある」と述べた。
KDDIスマートドローンソリューションビジネス推進1部の福井悠貴氏は、KDDIグループやKSDの強みを説明したうえで、「人流の多い東京駅前の八重洲交差点、増水などに注意を払いたい墨田川の湊橋(1928年竣工)、離陸地点から1.3㎞離れている浜町センタービルで見えるかどうかを検証ポイントにします」と述べた。
今回得られた成果は今後の検証に活用する。三井不動産の吉田氏は、「有効であれば他のエリア、他の物件への展開の推進も検討したい」と展望した。
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DJIは今年7月に発売したDJI Agricultureの農業用ドローン「DJI Agras T70P」と「DJI Agras T25P」を日本でも11月10日販売を始めた。DJI Agriculture認定代理店で購入できる。
| Agras T70Pは最大飛行速度が20m/s、積載能力は、散布時で最大70L、撒布時で最大100L、リフティング作業では最大65kgに対応する。より大きな流量と微かいミスト粒径の散布システムを備えた。また新しい安全性システム3.0を搭載し、ミリ波レーダーとTri-Visionシステムで高精度に障害物を検知し、ルート選択をよりスマートにし、障害物回避性能も向上させた。 |
| Agras T25Pで単独操作もコンパクトかつ柔軟に |
| Agras T25Pは、従来機のコンパクトで折りたたみ可能な設計を引き継ぎながら、20kg高精度スクリュー式散布システム4.0と安全性システム3.0を搭載している。散布作業時の最大積載量は20kg、流量は16L/分で、液滴サイズは50~500μmの範囲をカバーする。空中マッピングや作物保護の完全自動運用にも対応するほか、圃場や果樹園の測量をプログラムしたり、山間地の斜面で地形追従散布を行ったり、複数区画で連続的に散布・散剤処理をしたりすることができる。 |
いずれもDJI Agriculture認定代理店を通じて購入できる。Agras T70Pの公式サイトはこちら
Agras T25Pの公式サイトはこちら

インターネットインフラ、広告、金融、暗号資産事業を展開し、ドローン事業、AAM(いわゆる空飛ぶクルマ)に積極的に関わっているGMOインターネットグループ株式会社(東京、熊谷正寿グループ代表)は、2025年12月3~6日に、東京の大規模展示会場「東京ビッグサイト」で開催される「2025国際ロボット展」(主催:一般社団法人 日本ロボット工業会/日刊工業新聞社)に出展すると発表した。GMOの同展示会への出展は初めてだ。GMOは「すべての人にインターネット」を掲げ、インターネットに関わるインフラ、セキュリティ、フィンテック、メディアなどの事業を展開しつつ、AI、ドローン、エアモビリティ、ヒューマノイドでの取り組みも広げている。2026年を「ヒューマノイド元年」と位置付けるなど、今後も取り組みを拡大させる方針だ。
GMOは国際ロボット展に出展するブースで、グループ会社のGMO AI&ロボティクス商事株式会社(東京、内田朋宏代表取締役社長、GMO AIR)による人とロボットが共存する未来の体験を提供する方針だ。現時点では最新ヒューマノイドロボットの実機デモンストレーションのほか、AI・インターネットインフラ・セキュリティ技術を融合した新しいロボットソリューションや「ロボット人材派遣型サービス」の活用事例の紹介、労働力不足を解決する実証実験の成果展示などを行う予定だ。展示会の出展に関わる特設ページも開設した。
GMO AIRはすでに「ロボット人材派遣型サービス」を展開している。2025年4月に提供を始めたこのサービスでは、Unitree社「G1」を中心に、エンターテインメント領域、研究機関、実証実験現場に派遣している。用途や目的に応じて動作プログラムを実装し、多様なニーズに対応できる特徴を持つ。
日本のヒューマノイドロボット開発企業支援のため、GMOインターネットグループとして、ロボット開発企業向けにクラウドサーバー、セキュリティサービスなどを一定期間提供するなどのインフラ商材の提供支援や、開発支援基金の設立を通じた日本発のロボット技術開発の資金面での支援、GMOグループのAI・セキュリティ技術との連携による開発支援を進める方針で、同社は「日本をヒューマノイドロボット産業における先進国へと押し上げることを目指してまいります」とコメントしている。





GMOのAIやロボティクスへの取り組みは加速している。
今年(2025年)9月25日にはAIやロボティクスの第一人者が登壇する大規模シンポジウム「GMO AI・ロボティクス大会議&表彰式2025」を開催した。熊谷正寿グループ代表は開会挨拶の中でAIとロボット、ヒューマノイドとの関係や、AI搭載のヒューマノイドの進化、その速度に対する恐怖感などに触れたうえ、1000人の来場者を前に「間違いなく来年は世界産業史上、『ヒューマノイド元年』と言われるようになると思います」と述べ、来場者に対しヒューマノイドへの関心と注意を喚起した。
同社は昨年(2024年)9月にGMO AIRを設立して、「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げて活動することを公表した。12月には、熊谷代表の思考やフィロソフィー、GMOインターネットグループのカルチャーを学習した社内向けバーチャル知的ナビゲーター「AI 熊谷正寿」を発表し、今年(2025年)9月24日には、そのAIをヒューマノイド「Unitree G1」に搭載した「ヒューマノイド 熊谷正寿」を発表した。「ヒューマノイド 熊谷正寿」は投げかけられた質問に対し熊谷代表の思考に基づいて回答できる。「GMO AI・ロボティクス大会議&表彰式2025」でお披露目されたほか、終了後の報道陣の取材には、生身とヒューマノイドの“2人の熊谷正寿”がそろって記者団からの質問に答えてみせた。
大会議の冒頭のあいさつの中で、熊谷代表は「AIはパソコンやスマホの画面の中だけですが、ロボットに搭載されてフィジカルに世の中をかえていきます」とAIがロボットに搭載されることの意義を確認。「ヒューマノイド 熊谷正寿」についても「私は寝て食ってサボりますが、彼は電池を食わせれば24時間365日働けます。また私は年を取りますが彼は無限にコピーできます。無限の可能性を秘めているのがヒューマノイドだと感じています」と述べていた。
すでにドローンやAAM市場へのかかわりも強く持っている。ドローンについてはハッキングなどへの対策として、サイバーセキュリティ、情報セキュリティの点から関わっていて、ドローンの大規模展示会Japan Droneにスポンサーに名乗りを上げ、ブースも出展してきた。
AAMについては2023年1月23日に、熊谷代表が、アメリカの1人乗りAAMの開発を手掛けるLIFT社(LIFT Aircraft INC.)から操縦士証「BEGINNER PILOT CERTIFICATE」を日本人として初めて取得したと発表し、3月15日には丸紅株式会社(東京)が大阪城公園(大阪市)で行った実証実験で熊谷代表自身が、LIFT社の1人乗り乗りエアモビリティ、HEXA(ヘクサ)の操縦する様子を公開した。その後もGMOがスポンサーとしてかかわったJapan DroneのブースにHEXAを展示するなど、エアモビリティの社会受容性向上に貢献した。
GMOインターネットグループは「現在、ヒューマノイドロボットの技術革新は急速に進み、将来的には自動車産業を超える規模の産業革命をもたらす可能性があります。一方で、日本は中国・米国・欧州諸国に比べ、この分野での産業化分野において遅れをとっている状況にあります。他国では産官学が一体となってヒューマノイドロボット産業の育成に注力しており、日本においても同様の取り組みが急務となっております」と課題を指摘し、「GMOインターネットグループは、AI技術、堅牢なインターネットインフラ、高度なセキュリティ技術を融合し、ロボット社会実装の安全性と信頼性を支える基盤を提供することで、日本の社会課題解決に貢献してまいります。今回の出展は、日本のロボット産業の発展を後押しし、産官学連携による社会課題解決を推進するという、GMOインターネットグループの姿勢を示すものです」と出展の意義を伝えている。
参考「2025 国際ロボット展」(https://irex.nikkan.co.jp/)



一般社団法人DPCA(ドローン撮影クリエイターズ協会)は設立10周年を記念するシンポジウムを2025年12月10日、京都で開催する。国交省、JAXA、海事協会などが登壇する。参加は事前申し込みで無料になる。
シンポジウムのタイトルは「ドローンと共に紡ぐ、“災害対応の未来”と“産業の確立”に向けて〜人とドローンが共に生きる時代へ『守る・伝える・創る ドローンが拓くこれからの未来〜』。一般社団法人 地域再生・防災ドローン利活用推進協会 ( RUSEA )が共催、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)などが協賛し、京都市にある多目的ホール「ロームシアター京都サウスホール」で行われる。会場にはデモブースが設置され、ドローンやロボットが展示される。午前11時半に開場し、12時半からステージで講演、パネルディスカッションなどが行われる。
国土交通省航空局安全部無人航空機安全課の江口真氏、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小林啓二氏、一般財団法人日本海事協会の平田純一氏が講演し、登壇者とドローン事業者によるパネルディスカッションやDPCAのこの10年の歩みと今後の展望についてのプレゼンテーションが行われる。
DPCAは「改めてドローンの価値と社会的役割を見つめ直し、未来への提言を行います。2026年以降に向けたドローンの制度改正や新たな防災活用の潮流、業界の方向性を、行政・研究機関・指定試験機関・産業界・教育界の視点から多角的に議論・共有するシンポジウムです」と話している。
DPCAの発表はこちらhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000077546.html
参加申込はこちら:https://dpca10th-symposium.peatix.com/
協賛やデモブース出展の問い合わせはこちら:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSc77ZWE8A9-bGT69UBGfiwRil35qi68BT-zsnmLJVOKUrLRSw/viewform



一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、2025年11月26、27日に大阪で「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」を開催する。ドローンとエアモビリティの産業応用、地域実証、自治体連携をテーマにした展示やセミナーを展開する。台湾の電子機器受託製造大手Wistron、米Inspired Flight Technologies社の産業用ドローン「IF800」などを扱う株式会社栄光エンジニアリングが出展するほか、自治体、水中ドローンなどの展示も見込まれる。入場は無料で、会員登録と来場登録が求められる。
Japan Drone in 関西はJUIDAが主催し、株式会社コングレが共催する大規模展示会JapanDrone(本開催は例年、千葉・幕張メッセ)の関西版で、JR大阪駅の玄関口に広がるグランフロント大阪にあるナレッジキャピタル コングレコンベンションセンターで行われる。地方イベントでありながら初出展の団体や初公開のプロダクトが登場することもあり、多くの関係者が出展の動向に関心を寄せている。大阪では二年連続でJapanDroneの地方開催が二度目を数える初のケースとなる。前回の2024年開催時には株式会社ORSO(東京)が新製品をお披露目し会場を活気づけた。
展示では測量、点検、防災、物流などのドローン関連のソリューション展示が中心になるとみられる。エアモビリティ(いわゆる空飛ぶクルマ)関連では、空港連携やモビリティハブ構想など、地域発の実証構想が出展されるとみられる。
出展企業のうち、株式会社栄光エンジニアリング(茨城県つくば市)は、米Inspired Flight Technologies社の産業用ドローン「IF800」「IF1200」を紹介することを公表している。同社はInspired Flight社の日本国内代理店だ。またExyn Technologies社の自律飛行型3Dマッピングシステム「Nexys」「Nexys Pro」、Teledyne Optech社の軽量LiDARシステム「EchoONE」を展示する予定だ。
株式会社ユニック(東京都足立区)は陸上ドローンとしてオール電動ラジコン草刈り機 「ユニモワーズ モデルS」を出展する。最大45度の急傾斜で安定走行し、特許取得済みの刈刃機構で草丈1mを超える雑草を効率的に粉砕する。前後カメラの映像を確認しながら遠隔操作が可能だ。ほかにコンパクト電動ミニブルドーザー「ユニドーザー」も展示する見込みだ。
台湾の大手電子機器受託製造企業(EMS )Wistron(ウィストロン)も出展企業に名を連ねている。コンピューター、通信、家電などの電子製品を、研究開発から製造、販売まで手がける台湾のODM(Original Design Manufacturer)で、ドローンとの関連では、台湾のドローン開発企業である経緯航太科技(GEOSAT Aerospace & Technology Inc.)に出資している。展示内容は今後公表される見通しだ。GEOSATは外為法上の輸出管理コントロールリストに掲載されている企業であることも注目ポイントだ。
ほかにも、ドローンなどの受託造形サービスを手掛けるYokoito Additive Manufacturing(株式会社YOKOITO)イタリアの総合測量、TAKE OVER RILIEVI INTEGRATI S.R.L、水中ドローンの運用、普及促進で知られる株式会社ジュンテクノサービス(埼玉県)、トヨタ自動車株式会社が100%出資するソフトウェア開発やエンジニアリングの株式会社トヨタシステムズ(名古屋市)、水素燃料電池ドローン用の高圧ガスCFRP容器等を製造販売JFEコンテイナー株式会社(東京)などが話題を集めそうだ。
自治体の出展が目立つことも特徴だ。「主催者展示ゾーン」と名付けた展示エリアを設置しており、ここに愛知県、愛媛県、大分県、大阪府、香川県、東京都、長崎県、兵庫県、福島県、今治市(愛媛県)、加賀市(石川県)が取り組みなどを展示する。国土交通省、経済産業省も出展予定だ。なお福島県はこことは別のブースも出展する。
なお入場には会員登録をしたのち入場登録が求められる。必須項目に「回答しない」や「街頭するものがない」の選択肢が設けられていないものがある。登録者の入場は無料だ。



DJIは11月4日、産業用ドローン向けの新型LiDARペイロード「Zenmuse L3」を発表した。高精度マッピングやインフラ点検などを想定したレーザー測距装置で、従来モデル「Zenmuse L2」に比べ測距性能やRGBカメラ解像度が大幅に向上している。国内では、販売代理店の株式会社セキド(東京)と株式会社システムファイブ(東京)が取り扱い開始を告知したほか、株式会社FLIGHTS(東京)はZenmuse L3対応の測量支援ソフトを公開し関連セミナーを告知した。DJI JAPANも製品紹介セミナーを予定している。
Zenmuse L3は1535ナノメートル波長のレーザーを採用した航空LiDARで、最大測距距離は約950メートルに達する。RGBカメラも従来モデルL2の単眼20MPから、L3でDual 100MPとなり、写真測量データの解像度が5倍になった。1秒あたりの最大測定点数は24万点で、1回の飛行で取得できる3Dデータが広域、高密度になった。
作業高度は、L2の最大150m程度からL3で最大500mに大幅に向上。これにより、同一飛行時間あたりのカバー面積が広がった。広域マッピングの効率が向上することになる。
RGBカメラはDual 100MPであるうえメカニカルシャッター付きセンサーを搭載し、L2の20MPから大幅に機能が引き上げられた。森林や反射率の低い対象でも安定した写真測量が可能になった。測量、林業、インフラ点検、防災などの業務効率化に威力を発揮すると期待できる。
Zenmuse L3を搭載できる機体は「DJI Matrice 400」で、搭載には「Zenmuse L3 single gimbal connector(専用ジンバル接続ブラケット)」が必要となる。その他の機体への対応について公式には触れていない。将来的な追加対応は検証中という。
国内でも正規代理店が11月4日付で取り扱い開始を発表している。セキドは製品紹介ページを公開するとともに、DJI産業ソリューション導入を検討する企業や官公庁向けの相談窓口を設置した。今後、導入企業向けのウェビナーや体験会も順次実施予定だ。
システムファイブも、取り扱い開始を発表した。自社サイトで製品概要ページを公開し、DJI製産業ドローンとの組み合わせによるワークフロー紹介記事を掲載している。取り扱い開始に合わせ、公式動画や技術解説資料も提供し、測量・点検用途での早期導入を後押しする。
産業ドローン向けソフトウェアのFLIGHTSは、Zenmuse L3に対応する測量支援アプリ「FLIGHTS PLAN」と点群管理ツール「FLIGHTS DOCS for UAV」の最新版を発表した。DJI公式ソフトで取得したLiDARデータやRGB画像をクラウド上で可視化・管理可能で、Zenmuse L3の高密度点群に最適化した処理アルゴリズムを搭載している。
さらに同社は11月11日(火)13時より、システムファイブと共催で「Zenmuse L3紹介・測量活用セミナー」をオンラインで開催する(申し込みはこちら)。
DJI JAPANもZenmuse L3国内発表にあわせ、製品の技術背景や利用事例を紹介するオンラインセミナーの開催を案内している(11月14日13時~14時=申し込みはこちら、11月21日13~14時=申し込みはこちら)
LiDAR計測とRGB撮影を組み合わせた統合ワークフローの活用方法や、DJI Terraによる解析事例を取り上げる予定で、測量・建設・林業・点検など幅広い産業分野への訴求を狙う。
DJIのLiDARペイロードは、測量や建設分野での作業効率を大きく変える技術として注目されてきた。Zenmuse L3の登場で、飛行高度・カバー面積・解析精度の制約が緩和され、より多くの現場でドローンによる三次元計測が実用段階に入るとみられる。
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