政府は3月9日、ドローンの操縦ライセンス制度や、機体の安全性を保障する認証制度の創設などを柱にした航空法改正案を閣議決定した。2022年に第三者上空での補助者無し目視外飛行のいわゆる「レベル4」などのリスクが高いと言われる飛行を解禁し、ドローンの活用を広げることが目的。政府は改正案を今国会に提出し成立を目指す。
ドローンの「レベル4」飛行解禁に向けた航空法改正の柱は、国が操縦者の技能の認証する操縦ライセンスの創設と、機体の安全性を保障する機体認証制度の創設だ。このうち操縦ライセンスは、第三者上空の上空を飛ばせる高度な技能を認証する「一等」と、それ以外の「二等」に分類する。操縦ライセンスを取得するには国が指定した試験機関で学科と実技の試験を受けて合格する必要がある。ただし、国に登録した講習機関の講習を受けてカリキュラムを修了すれば、試験の一部、または全部が免除される仕組みも創設する。取得できるのは16歳以上で、3年ごとに更新する必要がある。
「レベル4」などリスクの高い飛行は現在、許可されていないが、新制度が創設されると、一等操縦ライセンス取得者が、認証された機体を、許可・承認を受けた場合に、飛ばすことができる。
操縦ライセンスの要件や取得するための試験内容、講習内容は今後検討する。指定試験機関や登録講習機関は民間を活用する方針で、その要件も今後定める。機体認証の要件も今後具体化する。
なお国交省航空局のHPに掲載されている「講習団体」や「管理団体」などのドローンスクールや、講習団体が発行している技能認証は、国交省は今後も維持する方針だ。しかし新制度導入後に、技能認証取得者の操縦ライセンスへの移行の可否や、講習団体が登録講習機関になるための要件など、現行の仕組みと新制度との接続部分については検討が進んでおらず、今後の検討に委ねられることになる。
このほか、事故発生時の国への報告の義務付けや、運輸安全委員会が調査対象とする航空事故にドローンに関する事故のうち重大なものを追加することも盛り込んだ。
今回閣議決定された航空法改正案はドローンの飛行に関わるものに加え、①航空ネットワーク確保のための交通運送事業基盤強化方針の策定②保安検査の受検義務付けなど航空保安対策の確実な実施ーが3本柱だ。
閣議決定を伝える国交省のサイト
国交省航空局がドローン情報基盤システムDIPSで公表しているドローンの技能認証を提供する講習団体と、講習団体を管理する管理団体情報は、5月1日時点で更新されていて、講習団体は765件と、4月1日時点の735件から30件増加した。31件が5月1日に新規に登場し、1件が姿を消した。また、管理団体は前月と変わらず変わらず48だった。
管理団体を管理する講習団体数で整理すると、上位は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の160、一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)の135、DJI JAPAN株式会社の114だった。これに続く一般社団法人農林水産航空協会は、講習団体のうち農業関連講習を2体系持っていた団体について1体系に整理したため、前月の111から37減って74となっている。。
また複数の技能認証を掛け持ちしている講習団体の中では、株式会社スペースワン(福島県)、日本ドローンビジネスサポート協会(岡山市)、株式会社ビットモーターズジャパン(さいたま市など)の3団体が、4つの技能認証を提供する“4刀流”となっている。
国交省航空局による講習団体、管理団体のホームページでの公表は2017年6月1日に開始した。このときの公表内容は、「所要の要件を満たすことが確認できた『無人航空機の操縦技能講習を行う民間講習団体(43団体)』及び『講習団体を指導し管理する団体(4団体)』を航空局ホームページに掲載しました」だった。