• 2020.10.15

    DRONE FUND3号、目標100億円掲げ発進! SMBC日興証券、NTTドコモなど参画

    account_circle村山 繁

     ドローン関連特化型のベンチャーキャピタル、DRONE FUND(ドローンファンド、東京都渋谷区)は10月14日、「DRONE FUND 3号投資事業有限責任組合」を設立したと発表した。目標調達額の100億円に向け今後資金調達を進め、来年2021年3月にファイナルクローズを予定している。ドローンやエアモビリティの社会受容性強化や、第5世代移動通信システム(5G)活用高度化などに取り組む。目標を達成すると、1号の15.9億円、2号の52億円とあわせて167.9億円となり、世界最大規模のドローン関連特化型ファンドとしての位置づけの足固めとなるうえ、DRONE FUNDが掲げる「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現をさらに後押しすることになる。また1~3号の活動を通じ、通信大手3社すべての参画を獲得したことになる。 

    「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現に向けたステップを加速 通信大手3社の参画を獲得

     DRONE FUNDの発表によると、3号ファンドの設立は今年(2020年)5月で、9月にファーストクローズを迎えた。すでにSMBC日興証券株式会社、株式会社NTTドコモ、ソフトバンク株式会社、小橋工業株式会社、国際航業株式会社、株式会社リバネスなどの参加が公表されている。

     調達した資金は、フィールド業務の自動化やリモート化など、ドローン・エアモビリティの社会実装に寄与するテクノロジーに照準を定めて投資する方針で、「社会実装ファンド」となる方向性を打ち出している。このため連携先としてはドローン・エアモビリティ産業の発展を重視しており、スタートアップ支援に限定しないと表明していることが今回のひとつの特徴だ。

     さらに、ドローン、エアモビリティの社会実装を通じて、人口構造、気候変動、インフラ老朽化、広域災害などの社会課題を従来よりも広くとらえ、国連が掲げる「2030年までに達成すべき17の目標」に対応することを掲げた。より強い社会性を打ち出したことで、幅広い層の関心を引き寄せ、参画を促すことが期待される。

     この日は、ドローン運用のトータルサポートサービス「docomo sky」を展開するNTTドコモも、3号ファンドに10億円の出資を決定したことを発表。小橋工業も参画決定を発表した。

     ドローンファンドは2017年5月30日に個人投資家の千葉功太郎さんが創設を発表し、翌日の6月1日に、ドローン系スタートアップ特化型ファンドとして正式に発足した。その後、ドローンをめぐる解釈や寄せられる期待、取り巻く環境や社会情勢の変化を柔軟に取り入れ、2号ファンドではエアモビリティを投資先判断に加えるなど、ファンドそのものも質的、量的に成長、進化している。

     一方、社会情勢の変化への対応速度が諸外国と比べ見劣りする日本経済の中で、もどかしさを感じる声は年々高まっており、ドローンファンドはこうした声も吸収しながら、社会課題の解決や、希望や夢の成就、実現を引き受けていくことになりそうだ。

     DRONE FUNDが発表した3号ファンド設立の背景は以下の通り。

     <【3号ファンド設立の背景】今日、労働人口の減少やインフラの老朽化、苛烈さを増す気候変動や自然災害、そして新型感染症の流行など、国内外の様々な社会課題に対し、AIやロボティクス、そして新しいモビリティを活用したイノベーションによる解決とNew Normalな世界の構築が強く期待されています。ドローンファンドは、「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現を目指し、関連スタートアップへの投資を積極的に実行して参りました。15.9億円で組成した1号ファンド、および52億円で組成した2号ファンドを通じて、国内外40社以上のポートフォリオを形成しております。1号ファンドの代表的な投資先としては、2018年12月、ドローン銘柄として初の東証マザーズ上場を果たした株式会社自律制御システム研究所が挙げられます。2号ファンドでは、株式会社SkyDriveなどのエアモビリティの領域、マレーシアのAerodyne Groupに代表される海外の有力なスタートアップ、その他必要不可欠なコアテクノロジーを有するスタートアップなどに投資領域を拡大するなど、「空の産業革命/移動革命」を全方位的に牽引してまいりました。昨年度は「2022年度におけるドローンのレベル4運用の解禁」、そして「2023年度におけるエアモビリティの事業化開始」というチャレンジングな政策目標が閣議決定され、それらの動きに呼応するように地方自治体の活動も活発化しています。これらの機運を追い風に、日本のドローン・エアモビリティ関連のスタートアップにはますますの飛躍が期待されています。>

     また、3号ファンドについては、次のように説明している。

     <【3号ファンドに関して】ドローンファンドは、「ドローン・エアモビリティ社会実装ファンド ~社会受容性の強化と5Gの徹底活用~」というコンセプトのもと、3号ファンドの活動を展開してまいります。具体的には、次世代通信規格の5Gをはじめとする通信インフラの徹底活用などを通じて、フィールド業務の自動化やリモート化などの産業活動のDX(デジタルトランスフォーメーション)を可能とし、ドローン・エアモビリティの社会実装に寄与するテクノロジーへの投資を実行いたします。また既存のファンドも含めると、ドローンファンドには大手通信事業者3社の皆さまに投資家として参画いただくなど、スタートアップ支援に限らず、ドローン・エアモビリティ産業の発展にあたって理想的な座組みが形成できつつあります。ドローンファンドは、今後3号ファンドにご参画いただける投資家の皆さまとも精力的な連携を行いながら、ドローン・エアモビリティ前提社会の実現にむけた投資を加速してまいります。>

     この時点で公表された、3号ファンドに参画した投資家情報(一部)は以下の通り。

    ・SMBC日興証券株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:近藤 雄一郎)
    ・株式会社NTTドコモ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:吉澤 和弘)
    ・ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼CEO:宮内 謙)
    ・小橋工業株式会社(本社:岡山県岡山市、代表取締役社長:小橋 正次郎)
    ・国際航業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:土方 聡)
    ・株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表取締役グループCEO:丸 幸弘)
    【3号ファンド代表のプロフィール】 
    ■千葉 功太郎 (創業者/代表パートナー)
    1997年、慶應義塾大学環境情報学部を卒業し、リクルートに入社。サイバード、KLabを経て、2009~16年、株式会社コロプラに参画(副社長)。エンジェル投資家(60以上のスタートアップ、40以上のVCに個人投資)であり、2017年にDRONE FUND、2019年には千葉道場ファンドを創業。慶應義塾大学SFC招聘教授。ホンダジェットの国内顧客第1号で、航空パイロット(自家用操縦士)でもある。
     
    ■大前 創希 (共同創業者/代表パートナー)
    2002年、Web/ITコンサルティングの(株)クリエイティブホープを創業(現会長)。2014年よりドローングラファとして活動(2016年3月ドローンムービーコンテスト2016 準グランプリを受賞。2018年3月~8月に放送された読売テレビ・ドローン絶景紀行の総合監修を担当)し、ビジネス・ブレークスルー大学/大学院の教授職(専門はデジタルマーケティング)も兼任。
     
    【3号ファンド概要】
    ドローンファンドは、「ドローン・エアモビリティ前提社会」を目指し、ドローン・エアモビリティ関連のスタートアップに特化したベンチャーキャピタルです。1号および2号ファンドを通じて、国内外の合計40社以上のポートフォリオを形成しています。3号ファンドでは、ドローン・エアモビリティおよびその社会実装に資するテクノロジーへの投資活動を幅広く展開してまいります。
    ・   正式名称: DRONE FUND 3号投資事業有限責任組合
    ・   運営会社: DRONE FUND株式会社
    ・   代表パートナー: 千葉 功太郎、大前 創希

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
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