デジタル化事業を手掛けるCalTa株式会社(カルタ、東京)は、同社が提供しているデジタルツインソフトウェア「TRANCITY」を、7月をめどにAIドローン、Skydioの2機種を対応させる。Skydio 2+、Skydio X10が対象で、取得したデータをTRANCITYにアップロードすれば、3D・点群データの生成が可能になる。すでにCalTaと米Skydio社の日本法人、Skydio合同会社(東京)は技術連携を進めていて、ドローンの映像特性の解析や、それに基づくアルゴリズム調整などの技術連携を進めている。
TRANCITY の対象拡大は、Skydio合同会社、CalTa株式会社が5月29日に発表した。DroneTribuneが内容を確認した。TRANCITYはドローンやスマートフォンなどの動画データから3D・点群データを地図基盤の当該位置に自動生成するソフトウェア。データをアップロードするデバイスごとに特性があるため、最適なデータにするため、ドローン等のカメラ特性に応じた最適化処理も可能だ。
現在両社が進めている連携作業で、Skydio 2+、Skydio X10のデータをアップロードすることで、最適な3D・点群データの生成が可能になる見通しだ。
両者の発表は以下の通り
デジタルツインソフト「TRANCITY」がSkydio製ドローンの映像データに対応!点検・維持管理などの業務を効率化
自律飛行技術におけるグローバルリーダーである、米国のドローンメーカーのSkydio, Inc.(スカイディオ、本社:米国カリフォルニア州)の日本法人Skydio合同会社(所在地:東京都港区、代表:柿島英和、以下「Skydio」)と、鉄道をはじめとするインフラ業界を中心に、製造、プラント業界などあらゆる業界のデジタル化を進めるCalTa株式会社(カルタ、本社:東京都港区、代表取締役CEO:高津 徹、以下「CalTa」)は、Skydio製ドローンで取得した映像データを活用し、CalTaが開発したデジタルツイン※1ソフトウェア「TRANCITY」(トランシティ)上で3D・点群データを最適に生成できるよう、技術連携を開始したことをお知らせいたします。AIを活用した自律飛行技術に優れるSkydio製ドローンにTRANCITYを対応させることで、従来のドローンでは自律飛行が困難だった高架下などの非GNSS環境下※2でも安定的にドローンを飛行させ、対象物をより確実に撮影しデータを取得できるため、デジタルツインの高精度化につながります。これにより、現地の状況把握や施工の進捗管理などの更なる業務効率化に貢献できます。連携対象はSkydio 2+とSkydio X10の機体で取得したデータで、機能検証を進め、2024年7月からの提供を予定しています。
TRANCITYは、スマートフォンやデジタルカメラのほか、ドローンで撮影した動画をアップロードするだけで、3D・点群データを自動生成し、可視化できるソフトウェアです。インフラ業界をはじめとしたさまざまな業界における、現地の状況把握や施工の進捗管理などの更なる業務効率化に期待されるデジタルツインですが、安定的なデータの収集が課題となります。
従来のドローン技術では、高架下などの非GNSS環境下における飛行や近接撮影が難しく、撮影データの取得方法が限られていることが課題でした。Skydio製ドローンにはAIを活用した自律飛行技術が搭載されており、非GNSS環境であっても、特定のラップ率※3 を確保し映像品質を担保したうえで、障害物を回避しながら自律的かつ安定的に飛行することができます。Skydio製ドローンでは従来のドローンでは困難だった場所のデータ収集も可能であるため、安定的なデータの収集ができ、そのデータをTRANCITY上でデータ連携できるようにすることで、より高精度なデジタルツインを構築することができます。
ドローンで撮影した映像データには、それぞれの機種特有の性質があるため、高精度なデジタルツインを構築するには、機種の特性に合わせたデータの処理が必要不可欠です。CalTaとSkydioはこの課題に対処すべく、以下2つの機能検証を実施し、Skydioの機体で取得できた高品質な映像データから、TRANCITYにより最適な3D・点群データの生成を可能にしました。
■検証1:Skydio製ドローン「Skydio 2+」と「Skydio X10」のカメラ検証
「Skydio2+」「SkydioX10」のカメラで撮影された映像データから、カメラレンズのゆがみや画角などをはじめとする映像特性を解析。
■検証2:Skydio 製ドローンの映像データを使用したTRANCITYの3D化・点群処理の最適化
検証1で解析した映像特性を踏まえ、TRANCITYのSfM※4 アルゴリズムを調整し、Skydio製ドローンで撮影した映像データを最も高品質に3D化・点群処理できるようプログラムを最適化。
これまでの検証を通じて、2024年7月からSkydioに最適化されたTRANCITYを提供する予定です。
※1 デジタルツイン:現実空間で収集したデータを基に、現実空間を仮想空間に再現する技術。
※2 非GNSS環境下:ドローンの位置情報を特定する測位衛星システム「GNSS」の信号が受信できない環境。
※3 ラップ率:写真測量における撮影された画像やデータの隣接するエリアがどれだけ重なっているかを示す割合。
※4 SfM:「Structure from Motion」の略。映像から特徴点を抽出し、対象物の仮想空間における位置座標を算出する技術。
Skydioの主力機体として、建設現場やケーブル点検など重要な社会インフラの点検においても用いられるなど、土木建設、電力、製造業、通信など多様多種の業界において活用されています。(詳細:https://www.skydio.com/ja-jp/skydio-2-plus-enterprise)
エンタープライズ向けの最新ドローン。従来のモデルよりセンサー機能とインテリジェンスが改良され、電力をはじめとする他の重要インフラの点検ツールとしても活用が期待されています。(詳細:https://www.skydio.com/ja-jp/x10)
ドローンやスマートフォンなど様々なデバイスで撮影された動画データをアップロードするだけで、3D・点群データを地図基盤の当該位置に自動生成できます。その際、ドローン等のカメラ特性に応じた最適化処理も可能です。生成した3D・点群データから、実物の寸法や面積、体積の計測も可能です。取得時期の異なる3D・点群データやBIM(Building Information Modeling)の略で、様々な情報を結び付けた三次元構造物モデル)データを重ねて表示し、時期の異なる現場状況の確認や、計画構造物との比較が可能です。また時系列バーを備えており、各データの取得時期を時系列に沿って簡単に管理できます。撮影動画から切り出した写真を表示できるほか、3D空間内にメモやURLを保存して、関係者間での情報共有や各種資料への紐付けが可能です。スマートフォン感覚で直感的に扱えるユーザーインターフェースを搭載し、ブラウザー上で複数人が同時にアクセス可能です。また、専用の高機能なパソコンを用意する必要はなく、一般的なパソコンやスマートフォン、タブレットで操作することが可能です。
(詳細:https://calta.co.jp/service/
)
Skydioについて
Skydioは、米国最大のドローンメーカーで、自動飛行技術のグローバルリーダーです。AIを活用した自律飛行技術を搭載するドローンとそのソフトウェアを開発・製造しており、導入実績はエンタープライズや政府機関向けなど多岐にわたります。Skydioは「自律飛行により、世界をより生産的に、よりクリエイティブに、そしてより安全にする(Make the world more productive, creative, and safe with autonomous flights.)」ことをミッションとして掲げています。日本では、国内におけるドローン飛行の安全性向上ならびにドローンを活用した業務全体の高度化・効率化の実現を目指し、エンタープライズ向けに事業展開しています。Skydioの製品・技術は国内でも、土木建設、電力、製造業、通信など多様多種の業界において活用されています。https://www.skydio.com/ja-JP
CalTaについて
CalTaは、JR東日本スタートアップ株式会社などが出資した、鉄道をはじめとするインフラ業界のデジタル化を進めるスタートアップ企業であり、2021年7月に設立されました。インフラ管理の効率化に向けて、ドローンやロボット技術を活用した現地調査およびデジタルツインを活用した管理手法をお客さまへ提供しています。
TRANCITYはCalTaが開発したデジタルツインソフトウエアで、インフラ業界だけにとどまらず、製造業やプラント業界といった設備管理が必要な業界でも活用が進んでいます。https://calta.co.jp/
球体ドローンELIOSシリーズを取り扱うブルーイノベーション株式会社(東京)は、ELIOS 3に搭載する専用の高性能LiDAR「測量ペイロード」(ELIOS 3 SURVEYING PAYLOAD)の販売を始めた。地下鉱山など人が立ち入れない場所の点群データを素早く取得できる。点群データは測量ペイロードとともに提供する米FARO社の解析ソフト「FARO connect」を使うことで正確性が格段に高まる。
ブルーイノベーションが1月18日に発表した内容は以下の通りだ。
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田貴之)は、屋内点検用球体ドローン「ELIOS3」(https://blue-i.co.jp/elios3/)に搭載するペイロードの新製品 、高性能 LiDAR「測量ペイロード」の販売を1月18日より開始します。
測量ペイロードはELIOS3に後付けで装脱着できる測量デバイスで、正確度0.1%※2、精度±6mm(標準偏差)、照射距離最大100mの性能をもち、高精度な点群データを短時間で取得します。取得した点群データは 、「測量ペイロード」とあわせて提供する点群処理ソフト「FARO connect」(https://www.faro.com/)で解析することで、より正確な点群データの取得が可能となります。
「測量ペイロード」を採用することで、例えば 340m のトンネルにおいて、従来の人が行う固定点から測量する場合は全体を測量するために6~7回の測量、約2時間が必要なのに対し、「測量ペイロード」を搭載した ELIOS3では、わずか18分の作業で完了します。
これにより、測量・点検作業に係る時間が最低限に抑えられ、安全な業務遂行および全体の工期期間短縮、費用圧縮が可能になります。
■測量ペイロード 特長とメリット
【測量の正確性】
「測量ペイロード」と「FARO connect」を組み合わせることによって、正確度 0.1%、精度±6mm(標準偏差)の高精度な点群データを取得することができ、3D モデル化時の二重壁
等のデータ処理上のゆがみを防ぎます。
【高精度な点群データ】
光感度は従来の10倍。今まで3Dモデル化が困難であった狭くて特徴点の少ない細長い通路内などにおいても、正確に点群データの取得ができ、「FARO connect」により精細な視覚表現を作成できます。
【マッピング効率の向上】
最大 100mの照射距離とスキャン速度約130万ポイント/秒の点密度をもって、1 回の作業(18分)で340mのトンネル(約5,100m2 ※3)の点群データの取得が可能です。数日要していた作業が短時間に縮小することができます。
※3:横幅は画像から判断。ブルーイノベーション調べ。
【解析ソフトの互換性】
解析結果は、汎用的な拡張子(例えば.las形式)で出力が可能※4なため、CADソフトなど、様々なソフト※5 への連携が可能です。
※4:出力可能な拡張子は、.las、.laz、.ply、.txt、.E57 に対応しています。
※5:例えば Auto CAD、Geo SLAM、Revit、Cloud Compare、TREND-POINT など
【地形データの参照】
点群データの取得時、標点となる反射板を現場に設置することにより、解析時にその他の地形データと連携が可能となります。複数回に分けて取得した点群データが、自動で1つの3D モデルとして出力可能です。
■測量ペイロード開発の背景
国内のプラント施設、道路橋、トンネル、下水道等のインフラ施設は、今後20年で建設後 50 年以上経過する施設の割合が加速度的に高まり、点検の需要が増大する一方で、危険を伴う作業がある、少子高齢化などによる点検員が不足しているといった課題があります。こうした課題に対して、ブルーイノベーションは2018 年に日本おける独占販売契約を Flyability 社と締結し、非GNSS環境下の屋内空間などの飛行特性に優れた屋内用ドローンELIOSシリーズを使用した点検ソリューションの提供を開始し、プラントや発電所、下水道などを中心に 250 ヶ所を超える現場への導入を進めてまいりました(https://blue-i.co.jp/elios3/)。
こうした中で、「より精度を高くしたい」など、点検のDX化が進む中で高まる3Dモデル化に対する期待や要望に応えるため、今回の測量ペイロードの開発・提供に至りました。この度の「測量ペイロード」(https://www.flyability.com/elios-3-surveying-payload)の提供により、建設現場や製造業の工場などにおいても、活用の場が拡大することが期待されます。今後も、ブルーイノベーションでは現場の安全確保・業務効率化に貢献してまいります。
■ブルーイノベーションの提供するソリューション
ELIOSシリーズをはじめとした各種ドローンを活用したブルーイノベーションが提供する「BEPインスペクション」は、ドローン点検の現場の運用サポート、機体の提供だけでなく、ドローン導入時の講習やパイロット育成のための教育ソリューションなども提供しております(https://blue-i.co.jp/inspection/)。
また、ドローンを活用したソリューションは点検以外の分野でも幅広く提供しており、2024 年1月1日に発生した令和 6 年能登半島地震では、被災地での捜索や状況確認などの災害時活動で貢献しています(https://www.blue-i.co.jp/news/release/20240111_1.html)。
■補足資料:正確度と精度について
測量機器の品質評価を示す指標として、「正確度(accuracy)」と「精度(precision)」があります。正確度とは、その値が「真値」に近い値であることを示す尺度を示しており、精度とは、その複数回の値のばらつきの小ささの尺度を示しています。日本では、「正確度」はあまり使用されていないようですが、ISO 規定に基づく地理情報基準(JPGIS)の評価尺度として導入されています。正確度が高くても精度が低いこともあれば、逆に精度が高くても正確度が低いこともあります。下図からもわかるように、測量機器は正確度・精度の両方が高い品質であることが重要です。
株式会社Liberaware(千葉市)は同社の狭小空間専用ドローンIBISが撮影した動画から3D点群データを生成する事業について、事例紹介動画を制作、公開した。
Liberawareは狭小空間専用小型ドローンIBISが撮影した動画をもとに3D点群データを生成する画像処理技術(SfM:Structure from Motion)に力を入れている。特に建物や構造物の天井裏、地下ピット、工場のボイラ内部など、これまでレーザースキャナを持ち込めずに点群化を諦めてきた場所で力を発揮する。その様子を動画で公開した。
IBISで設備内を動画撮影し、点群化できることがわかる。3D点群化で経年変化も確認しやすくなり、将来予測の精度向上につながる期待も高まるという。(※【DF】LiberawareはDRONE FUNDの投資先企業です)