米国シアトルで開催された Microsoft Build 2019でマイクロソフトは、救命措置を支援するロボット、遠隔地の施設を点検してくれるドローン、工場の機器を自律的に調整してくれるシステムなど、自律型システムの構築を容易にするための新プラットフォームを発表した。このコンポーネントの最初のバージョンは、現在、限定的プレビュープログラムとして利用可能だ。
Microsoft Build開発者カンファレンスでマイクロソフトは、自律型システムの構築を容易にするプラットフォームの最初のコンポーネントを発表した。開発者が専門家と協力してMicrosoft AIとAzureツールを使い、物理システムを自律的に実行できるインテリジェントエージェントを構築する限定プレビュープログラムになる。
開発者が自律システムを作成するのを支援するマイクロソフトのプラットフォームは、以下になる。
・データサイエンスのスキルがなくても、ドメインエキスパートが自分の知識を使ってAIシステムを構築できるようにする独自の機械教育ツール
・MicrosoftのAirSimや業界のシミュレータなど、安全でありながら非常に現実的な環境で機械の学習を可能にするシミュレーションテクノロジ
また、マイクロソフトの多様なIoT(Internet of Things)サービス、使いやすい深層強化学習プラットフォームやその他のAIソリューション、および開発者がインテリジェントなロボットシステムを構築できるようにするROS for Windowsなどのツールも利用できる。そして、デバイス上でもクラウド内でも、安全なプラットフォームを構築できる。
限定プレビュープログラムに参加する初期の開発者は、マイクロソフトと協力してインテリジェントで自律型のフォークリフトを開発しているToyota Material Handlingのような企業と同じ自律システムツールを使用する方法を学べる。
Sarcosのエグゼクティブバイスプレジデント兼最高マーケティング責任者であるKristi Martindaleは、次のように述べている。
「今日、商用のGuardian Sロボットを制御している人は、狭いスペースやさまざまな地形でそれを導くためにジョイスティックのボタンやレバーを押すことに注意を向けなければなりません。階段のような共通のランドスケープ上でヘビの各セグメントを適切に操作するには、いくつかのステップが必要です。マイクロソフトのツールチェーンの要素を使用して、エンジニアは、蛇型ロボットが障害物を回避し、階段を移動し、金属製の壁を独力で登ることを可能にする自律制御システムを開発することができました。現実のシナリオでは、オペレーターはロボットを誘導する役割を果たします。しかし、Guardian Sロボットが周囲の状況を感知して、階段を横切るためにすべての中間動作を実行できる場合、オペレーターはシーンの評価とより重要な判断の呼びかけに集中することができます」
マイクロソフトが公開したブログによれば、マイクロソフトのAI開発者プラットフォームは、自動化システムから自律システムへの加速を目指している。対象となるロボットは、ドローンを含むあらゆる遠隔制御機器となる。
例えば、地震の余波の中で、がれきや狭い空間を通って這う蛇のようなロボットは、救助隊員などが行くことができない、あるいは調査できない場所にアクセスできる。また、小さなロボットのカメラを通した目視検査プラットフォームは、工業用パイプラインの亀裂を探したり、不安定な建物の中に閉じ込められた人を見つけたり、事故現場での有害ガスの有無など、最初の対応者への安全上のリスクを検出できる。
しかし、現在のロボットの多くは、安全な距離で作業している誰かによって制御されている。誰かがカメラを通してシーンを見て、ビデオゲームのジョイスティックのようなコントローラーで遠隔操作している。現在、MicrosoftとSarcos社は、Guardian Sにインテリジェント機能を追加して自律的にナビゲートできるようにすることで、オペレーターがより重要な決定に集中できるようにしている。
自動化された産業用アプリケーションとロボットを使用するという考えは新しいものではない。ロボットアームは、製品を組立ラインに沿って移動させ、工作機械は金属の塊を部品に変える。車は運転者の操作なしでギアをシフトする。
しかし、それは実際に自律的なシステム、つまり周囲の状況を感知し、なじみのない状況に直面したときの対処方法を知っているシステムからはかけ離れている。特定のタスクを変更せずに繰り返し実行する代わりに、これらの自律システムは、困難な問題を解決するために変化する環境に動的に対応できる。自律システムによって稼働するロボットは、人々の仕事の方法を変革し、人々にとって危険か費用がかかる仕事を解決するための大きな可能性を有する。
マイクロソフトは、すべての開発者や組織に向けて、ロボットやドローンなどが簡単に自律化できるように、エンドツーエンドのツールチェーンを構築し、各自のシナリオに合った自律システムの開発を支援する。そして、生命を脅かす状況で救難者を救助することができるロボットや、リモート機器を検査することができるドローン、自律的に機器を調整して工場のダウンタイムを減らすシステムなどの開発を可能にする。
マイクロソフトのビジネスAI担当副社長、Gurdeep Pallは、「私たちは、顧客にAIの専門家チームを持つことなく、その目的を達成する一助になりたいと思っています」と話している。
Bonsai社の元CEOで、マイクロソフトのビジネスAI担当ゼネラルマネジャーを務めるMark Hammond氏は、「自律システムについて考えると、後部座席に座って本を読んでいる間に自律走行する完全自律走行車のビジョンを直視する人が多い」と指摘する。
しかし、自動車メーカーは、何年もの間、運転手が湿った滑りやすい路面で危険に遭遇したときに何をしようとしているのかを感知するクルーズコントロールやアンチロックブレーキシステムなど、自律機能を自動車に組み込んできた。運転手が車輪をロックするような方法でブレーキをかけた場合、その制御システムが引き継ぎ、自動車がけん引力を失うのを防ぐ。
マイクロソフトのビジョンは、スマートビルディングやエネルギー企業から産業メーカーまで、他の種類の企業が自社の産業における自律性に向けてこれらの段階的なステップを達成するのを支援すること。
Hammond氏によると、サルコス社のロボットの例が示すように、多くの人が現状のテクノロジーで最大の価値を見つけようとしている。それに対して、「物理的な世界と相互作用する機械的システムを持っているあらゆる種類の操作において、おそらくよりスマートにより自律的にすることができます。しかし、人々を特定の運用周期の中にとどめることは依然として非常に望ましいことであり、目標は本当にそれらの人間ができることの能力を向上させることです」(Hammond氏)
強化学習はAIの一分野であり、アルゴリズムは一連の決定を実行することによって学習し、どのアクションが最終目標に近づくかに基づいて報酬またはペナルティを課している。それは、地質が塊であるか砂であるか岩であるかに応じて地下ドリルを操縦する方法やトラクターブレードを傾ける方法を決定するなど、機械が自律制御タスクを行う方法を学ぶのを助けるのに適している。
しかし、徹底的な強化学習アルゴリズムがビデオゲームのプレイヤを凌駕する一方で、現実世界のタスク習得は、より困難になっている。物理的な世界では、自律システムが遭遇する可能性のある動的な環境(人や物が予測不可能な方法で移動したり、気温や天候が少しずつ変化したり)は、はるかに複雑になる可能性がある。システムが長い一連のステップのどこでうまくいかなかったかを正確に特定することは、困難な計算作業だ。
マイクロソフトの自律システムプラットフォームは、マシンティーチングと呼ばれる独自のアプローチを使用して、これらの課題のいくつかを克服する。それは開発者または専門家の知識(AIの背景は持っていないがドリルを操縦する方法や安全なレベルでオフィスビルの気流を保つ方法を理解している人)に頼るものだ。
強化学習アルゴリズムを使って問題をランダムまたは素朴に解決する方法を探る代わりに、Inklingというプログラミング言語を使用して、より単純な問題を最初に解決する方法を示し、重要な問題についての手がかりを提供する。これにより、学習プロセスが短縮され、アルゴリズムがはるかに早く解を見つけられるようになる。
マイクロソフトのプラットフォームは、非AI専門家が報酬システムを確立し調整することを可能にする。それは本当にうまくいく解決策に到達するための鍵となる。そしてタスクに取り組むためのアルゴリズムを選択して設定し、機械学習の専門家がカスタムビルドソリューションを作成する必要性を排除する。
一例として、住宅、建物、産業のエネルギー管理をデジタル化する世界的企業であるSchneider Electricと協力して、大型商業ビルの冷暖房に使用されるHVACシステムの二酸化炭素排出量削減に役立つかどうかをテストした。
Schneider ElectricのEco Buildings Division担当シニアバイスプレジデント兼最高技術責任者であるBarry Coflanは、次のように述べている。
「Schneider Electricは持続可能社会に焦点を当てています。大きな建物は炭素排出の最大の原因です。長年の関係を中心に、マイクロソフトのツールチェーンとシュナイダーが提供するシミュレーションを使用して概念実証テストを実施し、AIシステムをトレーニングして、会議室の換気と暖房を制御するHVACシステムを自律的に実行しました。それは、省エネと他の目標、例えば室内の温度を快適に保つこと、二酸化炭素レベルが上がらないようにするのに十分な新鮮な空気があることを確認してバランスをとる必要がありました」
MicrosoftのHammond氏によると、これらすべての要因(異なる物理システムによって制御される要素)を最適化するには、単純なサーモスタットよりもはるかに高いインテリジェンスが必要になるという。システムは常に変化している環境変数を考慮する必要があり、一日を通して変動するエネルギーコスト、部屋から出入りする人々、外の天気がしていること、空気がどのように流れるかの物理学も求められる。
そこで、機械学習のアプローチを使用して、Schneider Electricとマイクロソフトの専門家は最初に温度をうまく制御するための強化学習システムをトレーニングした。その後、AIシステムは、空気の質を健全なレベルに保つために空気の流れを制御する方法を学習した。それからは部屋の占有がそれらの結果にどのように影響したかを考えることを学んだ。
これらすべての要因を考慮すると、MicrosoftのAIシステムは、快適さと空気の質を維持しながら、室内のエネルギー消費量を約20%削減することができた。チームは現在、さまざまなタイプの部屋にまたがってシミュレーションを拡張し、さらに省エネを促進するための共同作業の第2段階に着手している。
Coflan氏によると、段階的なアプローチとさまざまな評価を重ねることで、AIシステムがどのように学習しているかを理解し、最大の要因を追跡できたという。
「私たちがしていることの多くには安全上の問題があるので、AIシステムがどのように意思決定を下しているのかを本当に理解する必要があります。このアプローチにより、システムの賢さが増し、安全性と再現性に欠かせない監査証跡が得られます。私たちの顧客もそれを望んでいるでしょう。」とCoflanは話している。
実際の工場や風力発電所や高速道路では、学習中にロボットやインテリジェント制御システムが何百万ものミスを犯すことは許されない。そのため、強化学習アルゴリズムは何千ものシミュレーション環境で再現する必要がある。例えば、自律ドローンの実現には、遭遇するかもしれない何百万もの実世界のシナリオが求められる。
マイクロソフトのツールチェーンには、AirSimも含まれている。これは、もともとマイクロソフトの研究者がAIを使用してドローン、自動運転車、またはロボットを忠実度の高いシミュレーション環境で学習するために開発したオープンソースシミュレーションプラットフォーム。開発チームは、顧客と協力して既存の業界固有のシミュレータを使用して自律システムをトレーニングできる。
トレーニング環境では、Azureクラウドでこれらのデータを大量に消費するシミュレーションを実行し、システムは何千もの異なる意思決定シーケンスを並行してテストできる。
マイクロソフトの主任研究マネージャであるAshish Kapoor氏は「一度に何千ものシミュレーションを生成することができ、それぞれで通りを横断する歩行者が異なり、道路のカーブが異なる場合、AIシステムは短時間でより多様な経験を集めることができます。Azureはこれらのシミュレーションを大規模に実行する機能を提供します。これは非常に重要です」と話している。
AirSimは、開発者がより複雑な問題のさまざまな部分を解決するために、さまざまなAIおよび制御ツールを訓練することを可能にする。公開された動画のように、トヨタのマテリアルハンドリングのための自律型フォークリフトの開発を支援する際に、研究者は課題を学習とデバッグがより簡単なサブコンセプトに分割している。
「複雑なシナリオでは、パレットを拾うなどの基本的な制御作業についてフォークリフトを訓練するために強化学習を使用することが合理的であるかも知れません。機械教育は、リフトを水平に調整してから適切な角度を見つけるなど、システムが段々と困難なステップで学習するのに役立ちます」(Kapoor氏)
しかし、問題の他の部分は、障害物の検出と回避のアルゴリズム、ロボット工学の経路計画、または古典的な制御技術など、まったく異なるツールによってよりよく解決される可能性がある。大きなタスクを小さなタスクに分解することで、開発者はその特定の仕事に最適なツールを選択して展開できる。
Hammond氏は、「開発、運用、そしてエンドツーエンドのライフサイクル管理をカバーするインテリジェントな自律システムを構築したい開発者のための包括的なプラットフォームの提供に取り組んでいます」と述べている。
株式会社ACSL(東京)の株価が800円台に戻して推移している。東京証券市場グロース市場の同社株は3月14日の午前の取引は、前日3月13日の取引でストップ高のまま終えた857円から7円下げた850円で初値をつけた。その後も800円近辺での取引が続いている。背景には前々日の3月12日の取引終了後に発表した、防衛装備庁からの3億7000万円の受注発表がある。発表翌日の3月13日には買いが集中し、値幅制限いっぱいの150円高でも取引が成立しなかった。14日午前もその勢いを維持した展開だ。受注は2月に発表した2024年12月通期業績予想に織り込み済みだが、市場関係者からは今回の大型受注に対し政府調達の呼び水期待が寄せられている。
同社が受注したのは高セキュリティ型の空撮用ドローン「SOTEN」(蒼天)」で、今年(2024年)12月の納入予定2月を予定している。ドローンで収集した情報の漏洩を防ぐ工夫が凝らされた機体で、秘匿性の高いインフラの点検などへの活用が期待されている。
2月14日の決算発表では、前期業績の悪化要因にSOTENの販売減を挙げていたが、今回の大型受注で不振からの脱出に期待が集まる。同社は今回の受注はすでに通期業績に織り込み済みとしている。同社が発表している2024年12月の通期業績予想は、売上高が33億4千万円、営業損益、経常損益はそれぞれ赤字を見込んでいる。
大型受注の発表は3月12日の取引終了後に行われた。これを受けて翌3月13日の東京株式市場では、午前9時の取引開始直後から買いが殺到して。値幅制限いっぱいの857円のストップ高となって推移し、結局同日は取引が成立しないままとなった。3月14日も800円台を維持した取引で始まっており、2月16日つけた上場来安値の585円からの底割れを回避した水準の取引が続いている。。
ACSLが2月14日に発表した23年12月期連結決算では、売上高が前期比45.2%減の8億円9600万円と大幅に減少した。業績のけん引役と期待された高セキュリティ型の小型空撮ドローン「SOTEN」の販売台数が伸び悩んだことが響いたと分析するととともに、20.7億円の受注残があることも明らかにしていた。
ブルーイノベーション株式会社(東京都)は3月11日、能登半島地震で被災した輪島市(石川県)で、決壊の危険性が指摘される土砂ダムを定期的に自動で点検する河川監視活動を実施したと報告した。土砂崩れにより道路がふさがり作業員が現地に近づけない中、ブルーイノベーションが開発したドローンの自動離発着システム「BEPポート」を適切な場所に設置し、ドローンが自動離陸することで点検を遂行した。点検は1月31日から2月6日にかけて行われ、五光物流株式会社(筑西市<茨城県>)、VFR株式会社(名古屋市<愛知県>)が協力した。
河川監視活動の対象となったのは輪島市内を流れる牛尾川につみあがった土砂が河川の水をせきとめている土砂ダムで、1月31日から2月6日にかけて、輪島市の要請を受け、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が統括して行われた。監視活動ではBEPポートに待機したドローンが、定期的に自動で離陸し、往復約3㎞を飛行して状況把握に必要な情報を収集した。ブルーイノベーションのドローンポートシステムは東日本大震災で被災した仙台市<宮城県>が設置している。災害支援活動として活用されるのは今回が初めてとなる。
発表内容は以下の通り
ブルーイノベーション株式会社
五光物流株式会社
VFR 株式会社
令和 6 年能登半島地震 二次災害に備え、ドローンポートシステムを活用
した自動監視システムを国内ではじめて実災害現場に導入・社会実装
ドローンポートから自動離発着するドローンにより、
河川上流の土砂ダム決壊の危険性を定期監視
この度の能登半島地震の影響により、被災された方々やご家族の皆様に、心よりお見舞い申し
上げると共に、皆様の安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田 貴之、以下 ブルーイノベーション)は、五光物流株式会社(本社:茨城県筑西市 代表取締役社長:小林 章三郎、以下五光物流)、VFR 株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長 蓬田 和平、以下 VFR)と、石川県輪島市からの要請を受け、ドローンの業界団体である一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)の指揮の元、ドローンポートシステムを活用した河川監視活動を実施しました。
本取り組みは、輪島市内を流れる牛尾川(鈴屋川の支流)に出来た土砂ダムの状況を、ブルーイノベーションが開発したドローンポートシステム「BEP ポート」を活用し、自動かつ定期的に離発着するドローンにより土砂ダムを撮影・監視し、決壊の危険性有無を常時把握することで、二次災害による被害を未然に防ぐことを目的としています。
なお、実災害現場でのドローンポートシステムの社会実装は国内初となります。
■BEP ポートを活用した災害支援活動内容
・巡回点検実施日:2024年 1 月 31 日(水)~ 2 月 6 日(火)
・場所:石川県輪島市町野町
・活動内容:
輪島市を流れる牛尾川(鈴屋川の支流)では、土砂災害による河口閉塞が数か所発生したため、道路も寸断され、人が近づくことが困難な状況でした。輪島市から JUIDA に、ドローンによる二次災害予防のための巡回点検要請があり、JUIDA指揮の元、ブルーイノベーションが開発したBEP ポートからドローンが自動で離発着し、牛尾川の上流往復約 3km を飛行。土砂ダムの状況を上空から定期的に監視を実施しました。
<鈴屋川の経時変化(同一地点)>
定点観測による撮影画像の比較から、河口閉塞による溜まり場の大きさに大きな変化がないことを確認することができました。
・使用機材
■協力
第二回京阪奈ドローンフォーラムには、課題解決に向けたカスタマイズを手がけるドローンを手がける菱田技研工業株式会社(堺市)が、吸盤で壁にくっつく仕掛けの“ひっつきドローン”と家庭用コンセントから電源を得る“コンセントドローン”を披露する。“堺のエジソン”の呼び声高いエンジニアのプロダクトが、来場者の創造意欲を掻き立てそうだ。
菱田技研は壁面吸着親子ドローンと家庭用コンセントにつないで飛ぶ有線給電のドローンを持ち寄る。
壁面吸着親子ドローンは、ビルの高層階の外壁など高所での反力(支持箇所に生じる力)の発生する作業を実現可能にするドローンシステム。子機には、ハンドドリルを搭載する。実際に吸着によるコンクリートボードへの穴あけに成功している。親機の動力源に採用している燃料電池も展示する。フォーラムではモニタの映像で動きが核にできるほか、吸着グリッパを手持ちのアクリル板に吸着させる実演も行う。来場者は吸着中の吸着グリッパ、アクリル板に触れて吸着の安定性を体験できる。
家庭用コンセントからの有線給電で飛行する機体は、会場となる咲洲モリーナのフライトエリアで飛行の実演を実施する予定で、来場者は飛ぶ姿を間近で見られる。
菱田技研工業株式会社はカスタマイズドローンによる課題解決を手がけていて、その工夫には高い評価が寄せられている。2023年6月に千葉・幕張メッセで開催されたJapanaDrone2023では、技術論文「ポスターセッション」の出品者の優秀作品を顕彰するポスターアウォードで最高賞を受賞している。
第二回京阪奈ドローンフォーラムで、長時間、長距離飛行チャレンジに取り組んでいる株式会社エアロジーラボ(AGL、箕面市〈大阪府〉)が、ハイブリッド機の最新機、AeroRange G4S(エアロレンジジーフォーエス)を持ち寄る。ハイブリッド機ならではの機構と、軽量化のために随所に凝らされた工夫が来場者のクリエイティビティを刺激しそうだ。
AGLはハイブリッドドローンを中心に開発している。ハイブリッドドローンはバッテリーとガソリンなどの燃料を併用して推進力を得るドローンて、バッテリーに頼る機体に比べ、長距離、長時間の飛行が期待できる。主力機AeroRangeQuadはペイロードなしで140分以上、ペイロード 2kgで90分の性能を持ち、国産ハイブリッド機の代表モデルの一つとして多くの現場で飛行実績を積み上げている。
今回、第二回京阪奈ドローンフォーラムに出展する機体「G4S」は、機体の構造をゼロベースで構造、素材、機構を見直した新型機、ハイブリッド機では、燃料、電力の併用で強い推進力が得られる一方、発電機とモーターを積むため自重が大きくなるため、推進力を生かすには、軽量化の工夫が欠かせない。軽くしたために剛性がおろそかになるわけにもいかず、技術者の知恵と工夫が試される。
AGLは国交省が2月29日に福島県で行った実証実験にも参加し、長時間、長距離飛行性能を測定した。福島ロボットテストフィールド浪江滑走路を離発着場に行われ、敷地と沿岸を飛行した。現在、詳細な計測結果が集計されているが、不具合発生で中断するまでだけでも60㎞を超える距離を実際に飛行したとみられる。確報値では実飛行距離と、残りの燃料から推計した性能がはじき出される予定だ。
第二回京阪奈ドローンフォーラムは、確報値が公表される前のG4Sを間近で確認する機会となる。驚く準備はここでできる。
<イベント概要>
催事名:「SUPER D★EXPERIENCE~第2回京阪奈ドローンフォーラム」
日時:2024年3月12日(火)、10:00~16:00(予定)
会場:咲洲モリーナ(西尾レントオール株式会社R&D国際交流センター内)
住所:大阪府大阪市住之江区南港北1-12-75
アクセス:「コスモスクエア」下車徒歩5分、「トレードセンター」下車徒歩6分
会場MAP: https://www.nishio-rent.co.jp/sakishima/access/
主催:京阪案ドローンプロジェクト実行委員会(代表企業:マスオグループ本社=奈良県奈良市三条大路1丁目1番93、株式会社奈良自動車学校)
参加費:無料
※詳細は参考資料及び公式サイトをご確認ください。
参考資料 https://prtimes.jp/a/?f=d101951-10-f1c576f0f6d030002fa6df5bd75f525b.pdf
第二回京阪奈ドローンフォーラム(主催:京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会)として3月12日に開催する超体感イベント「SUPER D★EXPERIENCE」では、株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW、東京)が、会場の咲洲モリーナから、東京オフィスに待機させている米Skydio(スカイディオ社)の 機体を動かす様子を披露する計画だ。約500㎞の遠隔操作は、防災、警備、点検、エンターテインメント、観光など幅広い事業にヒントを与えそうだ。
JIWは鉄塔、橋梁などの点検業務をロボットやドローンなどのテクノロジーで支援する企業で、数多くの実績を重ねている。米AIドローンメーカー、Skydio(スカイディオ)社の機体をいち早く日本に導入したことでも知られる。今回の第二回京阪奈ドローンフォーラムでは、Skydioの機体と、機体の離発着場にもなる多機能格納庫、SkydioDockを東京オフィスに待機させ、会場の咲洲モリーナから操作をする。約500㎞離れた遠隔操作が見ものとなる。
点検や被災地支援、警備などドローンの活躍が期待される現場では、作業員を現場に待機させる必要性の有無が重要な検討項目のひとつになっている。Skydioのトム・モス氏は2020年のDroneTribuneのインタビューに「いつでも点検に、パトロールに、災害調査に出動できるようになったらいいと思っています」と話している。JIWによるパフォ-マンスは、Skydio機の特徴である高度な障害物検知能力とそれをフル活用した被写体への接近などを堪能しつつ、長距離遠隔操作の可能性を実感し、事業や取り組みの可能性を広げる機会となりそうだ。
第二回京阪奈ドローンフォーラム(主催:京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会)は超体感イベント「SUPER D★EXPERIENCE」として、東日本大震災が発生した3月11日の翌日、3月12日に大阪・咲洲モリーナ(大阪市住之江区)で行われる。防災意識が高まるこの時期に、イベントには能登半島地震、東日本大震災のいずれの対応にもあたっている株式会社Liberaware(リベラウェア、千葉市)のIBIS2(アイビス・ツー)が、飛行シーンを御披露目する。活躍する現場は倒壊の危険のある建屋の中や、原子炉格納容器の中だが、今回は、咲洲モリーナの中で、来場者の目の前で飛行シーンを御披露目する。
リベラウェアは狭い、暗い、汚いなど作業員が入れない狭小空間に入り込んで内部を確認するドローンの開発を重ねてきた。第二回京阪奈ドローンフォーラムに登場するドローン、IBIS2は、20㎝×20㎝で243gの世界最小クラスの産業用ドローンで、ひっくりかえっても跳ね上がって体制を立て直すタートルモードを搭載するなど、狭小空間点検機に求められる性能を極めた機体だ。2023年6月に開催されたJapanDroneでの表彰企画「Japan Drone & AAM Awards 2023」では、ハードウェア部門の最優秀賞を獲得した。
作業員が立ち入れない場所の点検を得意とする特徴は、震災の被災地で活躍している。1月に起きた能登半島地震の被災地では、倒壊の危険がある建物の中に入り込み、取り残されている要救助者の有無を確認し、内部の状況の共有に大きな役割を果たした。
また2011年の東日本大震災で爆発した東京電力福島第一原子力発電所の原子炉格納容器の内部調査にも、IBISが4機使われ、デブリのたまり具合や落下物の有無、2015年に投入しながら途中で動けなくなって残置された機器の確認など、大きな役割を果たした。
第二回京阪奈ドローンフォーラムでは、会場である咲洲モリーナの特徴的な木材を組み合わせた天井部分をどうとらえるかがみもの。来場者はふたつの震災の被災現場で活躍するドローンが真価を発揮する瞬間の目撃者になることができそそうだ。
<イベント概要>
催事名:「SUPER D★EXPERIENCE~第2回京阪奈ドローンフォーラム」
日時:2024年3月12日(火)、10:00~16:00(予定)
会場:咲洲モリーナ(西尾レントオール株式会社R&D国際交流センター内)
住所:大阪府大阪市住之江区南港北1-12-75
アクセス:「コスモスクエア」下車徒歩5分、「トレードセンター」下車徒歩6分
会場MAP: https://www.nishio-rent.co.jp/sakishima/access/
主催:京阪案ドローンプロジェクト実行委員会(代表企業:マスオグループ本社=奈良県奈良市三条大路1丁目1番93、株式会社奈良自動車学校)
参加費:無料
※詳細は参考資料及び公式サイトをご確認ください。
参考資料 https://prtimes.jp/a/?f=d101951-10-f1c576f0f6d030002fa6df5bd75f525b.pdf