GMO AI&ロボティクス商事株式会社(東京、GMO AIR)は4月2日、GMOインターネットグループ陸上部と連携し、所属するアスリートの走りをヒューマノイドの動作に取り入れる実証実験プロジェクト「GMOインターネットグループ陸上部 – GMOロボッツ」をスタートさせたと発表した。発表会は等々力陸上競技場(川崎市)で行われ、GMO陸上部の選手やヒューマノイドも登壇した。説明後には選手とヒューマノイドの競演も公開した。GMO AIRはヒューマノイドが人の動きを再現する過程で得られる知見を社会実装に活用する。また8月に中国で開催される予定のヒューマノイドの競技会にも出場し優勝を目指す。
「GMOロボッツ」はGMOインターネットグループ、GMO AIR 、GMO Various Robotics株式会社の3社が共同で進めるプロジェクトで、AIの学習手法、強化学習に強みを持つGMO AIRと、自律走行技術に強みを持つGMO Various Roboticsが組むことで、ヒューマノイドの走行性能、運動性能を磨き上げる。発表会ではGMO AIRの内田朋宏代表取締役社長が「ヒューマノイド競技チームです」とも話していた。
発表会には、GMO AIRの内田社長のほか、「ひとみん」と名付けられたUnitree Robotics社製ヒューマノイド「G1」、GMO陸上部に所属する4人の選手が登壇した。GMO陸上部は今年(2026年)元日に開催されたニューイヤー駅伝(第70回全日本実業団対抗駅伝競走)で大会新記録での優勝を果たしていて、登壇した4人のうち吉田祐也選手、今江勇人選手、嶋津雄大選手はこのときのメンバーだ。また残る1人は、今年(2026年)の箱根駅伝に青山学院大学のメンバーとして出場し、往路の山登りの最終区(5区)で区間新記録を打ち立てた黒田朝日選手で、発表会の前日が入社式だった。
GMO AIRの内田社長は、「プロジェクトの大きな特徴はトップアスリートの走行フォームをモーションキャプチャでデータ化し、その知見をヒューマノイドの動作学習にいかすところ。走行のような特定のデータは質の高いお手本データを与えて精度を高めることが大事になり、われわれはニューイヤー駅伝で優勝したアスリートのデータを活用できます。通常、走行のデータはばらつきが出ますが、トップアスリートのデータは一貫性がありデータの質が高く、われわれはそれを実際に体感しています」などと、陸上選手との連携の意義を説明した。
選手は体の動きを3次元データ化する技術、モーションキャプチャなどを通じて走行データを提供する。ヒューマノイドは、人間とのつくりなどの違いも加味したうえで取り入れられるデータを性能向上に役立てる。そこで得られた知見は選手にもフィードバックする。GMO AIRの内田社長は「人もロボットから新たな気づきを得るような、双方向なものになる可能性を秘めていると感じています。人とロボットが互いに高め合う構図になるようこのプロジェクトを昇華させていきたいと感じています」と話した。
当面は8月に中国で開催される予定の総合型スポーツイベント「世界ヒューマノイドロボット競技大会」への出場と優勝を目指して活動するが、その先に社会実装を見据える。内田社長は協議会に挑むにあたり、主に歩く機能を高める走行性能、人にとって違和感のない動きを獲得する動作学習、環境を認識しでリアルタイムに制御する自律制御の3技術を磨く計画で、「これらの3技術は、将来の社会実装に不可欠な基盤技術になると考えています」と述べた。そのうえで8月のヒューマノイド競技大会で優勝することが目標ですが、その先に労働人口減少などの社会課題の解決にコミットしたいという思いがあります」と抱負を述べた。
GMOインターネットグループはAIとヒューマノイドに力を入れている。昨年(2025年)9月25日にAIやロボティクスの第一人者が登壇する大規模シンポジウム「GMO AI・ロボティクス大会議&表彰式2025」を開催し、熊谷正寿グループ代表が「2026年は世界産業史上『ヒューマノイド元年』と言われるようになると思います」と述べ、来場者に対しヒューマノイドへの関心を呼びかけて話題になった。
この日の発表でもGMO AIRの内田社長が、会社が発足した2024年6月からの2年の間の進化に言及し、「インターネット産業も非常に速く進化しましたが、AI、ロボティクス産業はそれをはるかに上回る。(中略)この変化を目の当たりにし、2026年はヒューマノイド元年になるだろうと確信しているところです」と述べた。
発表会では、登壇した陸上部選手もプロジェクトへの関心を吐露した。
G1の「ひとみん」が体を動かすと、黒田選手が「これがホンモノのロボットダンスだなと思いました」と笑いを取り、プロジェクトについては「モーションキャプチャに興味があります。自分のフォームを客観的に見ることをして来なかったので、その機会が得られることで楽しみです」と話した。
吉田選手は「すごく革新的。陸上部としてニューイヤー駅伝の二連覇を狙っているので、ヒューマノイドでも優勝を狙うということなのでお互いに相乗効果をもって頑張れるところがすごく楽しみです」と述べ、嶋津選手も「楽しみなプロジェクトというのが最初の印象です。ロボットが隣にいる日常のスタートラインなのかなとも思いました。いっしょに走っていけたらいいと思います」と話した。
すでにモーションキャプチャでデータを取った今江選手は「スマホで撮った映像はみることがありましたが、モーションキャプチャは初めてで、頭や関節などに動きをより詳細に客観的にみられました。ヒューマノイドに落とし込むことはもちろんですが、データが自分の走る技術の向上にもつながりそうでおもしろいと思いました」などと述べた。
4選手は発表会後、室内トラックと屋外トラックでヒューマノイドと共演する様子も公開した。このときはヒューマノイドがレーンからはずれるなどの場面もあったが、今後の競技会出場に向けて精度を高めていくことになる。








米カリフォルニア工科大学(Caltech)とアラブ首長国連邦アブダビのテクノロジー・イノベーション研究所(Technology Innovation Institute:TII)は、ヒューマノイドと空陸両用ドローンが連携して行動する「マルチロボット応答システム(multi-robot response system)」の実証を行った。Caltechが2025年10月14日(現地時間)に公式サイトで発表した。
実証は、Caltechの自律システム・技術センター(Center for Autonomous Systems and Technologies:CAST)で実施されたもので、中国・杭州Unitree Roboticsのヒューマノイドロボット「Unitree G1」とCaltechが開発した変形型モビリティロボット「M4(Multi-Modal Mobility Morphobot)」が協調して動作する様子を披露した。
デモンストレーションでは、ヒューマノイドロボットが建物内を歩行し、屋外に出るとM4を起動。M4は地上走行から飛行モードに変形し、上空から周囲を監視した。両機体は無線通信でつながり、カメラやセンサーで得た情報を共有しながら、空と地上の連携探索を行った。
M4は車輪走行、歩行、飛行を切り替え可能な機構を備え、状況に応じて最適な移動モードを自律選択する。ヒューマノイドは人間環境下での操作や調査を担い、M4が空から支援することで、災害現場などの不確実な環境でも効率的な任務遂行が可能になるという。
Caltechの研究チームを率いるMory Gharib教授は、「異なるプラットフォームのロボットが協調して行動する新たな枠組みを示した。今後は災害対応や宇宙探査など、さまざまな応用が見込まれる」とコメントしている。
研究チームは今後、より多くのロボットが同時に協働できるネットワーク構造への発展を目指し、屋外・屋内の複雑地形での自律動作の高度化を進める方針だ。
出典:Caltech公式発表 “Caltech and Technology Innovation Institute Demo Multirobot