DRONE FUND創業者でエンジェル投資家の千葉功太郎氏が社外取締役を務める特別買収目的会社(SPAC)の米PONO CAPITAL TWOが8月5日、米株式市場NASDAQに上場した。今後、米国株式市場への上場を目指すディープテック関連の日本の未上場スタートアップを主な対象に、PONO CAPITAL TWOとの合併に応じる呼びかけを本格化させる。SPACと合併を果たした未上場企業は、市場で株式が取引される上場企業となる。通常のIPOより簡易な手続きで米国市場に上場できる利点があり、上場を目指すスタートアップにとっては米市場上場への近道となる可能性がある。千葉氏は日本でスタートアップのムーブメントを起こす立役者の一人で、ドローン前提社会の構築にも大きな役割を演じている。今度はSPACを通じて日本のスタートアップをグローバルな成長に手引きする考えだ。
NASDAQに上場したPONO CAPITAL TWOは、SPAC運営の米Mehana Capital LLC (ハワイ州、CEO、Dustin Shindo氏)が設立した同社としてのSPAC第2号だ。第1号のPono Capital Corpは昨年8月に発足しており、CEOのShindo氏と知人である千葉氏がエンジェル投資家兼社外取締役として参画した経緯がある。第2号は1号の成功をふまえ、量産スキームとして設立した。千葉氏も1号同様に経営と資金面で参画するほか、日本国内の初期投資家を集めて資金調達をする役割と、日本のスタートアップから合併候補先を探し、上場させるDe-SPACプロセスに乗せる役割を担う。このため初期投資家の多くに日本人投資家だ。
一方、Shindo氏や、PONO CAPITAL TWOのCEO、Darryl Nakamoto 氏が、SPAC本体の上場実務や市場からの資金調達、IR活動、De-SPAC 実務などを担う。
特徴のひとつが規模1億ドル(約135億円)と、米国で主流の時価総額1000億円を超える大型SPACに比べて小型である点。テック関連株の世界的な急落で米国市場では大型SPACの合併が成立せず「空箱」呼ばわりされる状況さえあるが、小型SPACにとっては合併対象候補が増える追い風となっている。また外国為替市場で米ドルに対し円相場が安くなっていることも、ドル建てのSPACにとっては戦略が立てやすい環境ともいえる。
千葉氏はPONO CAPITAL TWOの上場について、「米NASDAQに上場し海外投資家に評価された方がグローバルでの成長と活躍が見込める日本スタートアップを、SPACという枠組みを通じてニューヨークへ連れて行く大プロジェクト」と位置付けている。ボードメンバーの大半がハワイ在住日系アメリカ人のため、「日本人と日系ハワイ米国人とのコラボによって、ニューヨークへのカケハシになる、を実現させたい」と意気込んでいる
また、これまでドローンやエアモビリティのスタートアップや関連産業の振興を、千葉道場やDRONE FUNDを通じて支えてきた経緯もあり、「日本のドローンや空飛ぶクルマのような、テクノロジーものつくり産業を、全世界で戦えるNASDAQ上場企業にしたい」との思いも強く、周回遅れ、などと言われる日本のドローン関連の眠れる技術が世界でSPACを通じて世界で脚光を浴びる可能性もある。
■SPACとは
Special Purpose Acquisition Companyの略で「スパック」と称され、「特別買収目的会社」と略される。未公開会社の買収を目的として設立される法人。自身は事業を行なっていない。上場後に株式市場から資金調達を行い未公開会社の買収を行う。SPACに買収された未公開会社は、従来の上場のプロセスを行わずに上場する。SPAC自身は事業を行っていないため、著名経営者や投資家が代表に就任したり参画したりして信用を獲得し、それを背景に資金調達することが一般的。従来のIPOに比べ短期間での上場が可能と言われる。一方SPACには上場から18カ月までに買収を周知するなどのルールがある。日本国内ではSPACを用いた上場はまだ認められていないが、2021年11月には岸田文雄首相が設置した「新しい資本主義実現会議」でSPAC導入の検討が盛り込まれた緊急提言がまとめられるなど機運が高まっている。
株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)は、山口県山口市で重ねてきたリハーサル飛行を収めた動画を公開した。
リハーサル飛行は、山口県山口市の「山口きらら博記念公園」内に設けた飛行試験場で春から行われていて、動画には大阪・関西万博のデモフライトに使われるSD-05が離陸し、移動し、向きを変えて飛行するなどの様子が納められている。
大阪・関西万博では7月31日から8月24日まで、火、水曜以外の原則週5日の予定で、来場者の前で飛行する様子を公開する。
建設設備大手の三機工業株式会社(東京)は7月11日、グループ会社、有限会社キャド・ケンドロ(仙台市)と共同で狭小空間ドローン開発の株式会社リベラウェア(Liberaware、千葉市)のドローンとレーザースキャナを併用した既存設備の3Dモデル化するデジタル化手法を確立したと発表した。Liberawareも同日、三機工業に「IBIS2」を「導入した」と発表した。
三機工業は設備更新や模様替えなどのさいに、現場を3Dモデリングし、現状を把握してから取り組む。完成後の更新や追加工事で現状が図面通りになっていないことが多く、作業の妨げになるおそれがあるためだ。しかし天井裏などでダクトや配管が込み入っている場合に、すべての設備にはレーザーが届き切らずに十分な3Dモデルができあがらない場合がある。こうした課題を乗り越える手法の開発を進めているところ、今回、ドローンとレーザースキャナを併用してデジタル化する手法を開発した。
同社が実施した実用化検証では、IBIS2とレーザースキャナを併用した場合、従来の3Dスキャン手法と比べ、機械室などの天井の無い空間の場合、認識できた建築部材が約135%、天井の一部が解体された天井裏空間で約400%向上したという。
三機工業の発表はこちら
リベラウェアの発表はこちら
丸紅株式会社(東京)は7月8日、大阪・関西万博でデモフライトを披露する計画を公表している英ヴァーティカルエアロスペース社(Vertical Aerospace Group Ltd.)開発の5人乗りAAM「VX4」について実施を「見送る」と発表した。英国で行われているVX4試験機での有人飛行試験で判断したという。
丸紅は発表の中で「現在英国で行われているVertical社製VX4試験機による有人飛行試験の進捗状況から、大阪・関西万博でのデモフライトへの対応を見送ることとなりました」と伝えた。VX4のキャビンを再現したモデル空間は予定通り万博会場に出展し、8月から搭乗体験を実施する予定という。
また丸紅が万博で飛ばすもうひとつの機体、米LIFT AIRCRAFT社(以下、「LIFT社」)製の1人乗り機「HEXA」については、デモフライトを近く再開させる方向で調整中だ。HEXAは4月26日のデモフライト中に部品が落下したためデモフライトを中断して原因究明を続けている。
その結果「モーター搭載箇所の部品について、サプライヤーが仕様と異なる素材の部品を誤って供給していたことが判明」したと説明し、「当該部品の交換およびその他重要部品の再点検を完了した上で、再発防止策として、LIFT社において部品の受領・品質管理について包括的な監査を実施し、必要な工程について改善したことを確認しました。関係機関の許可を以て、今後大阪・関西万博でテストフライトを実施し、十分に最終確認を行った後、安全を最優先として関係機関および関係各社と協議・判断し、デモフライトの再開に関しては改めてお知らせいたします」と伝えている。
丸紅は大阪・関西万博でのAAM運航事業者4グループのひとつだ。
丸紅の発表はこちら
英ロックバンド、オアシスの再結成後初のコンサート会場となるウェールズの首都カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで現地時間7月2日、ドローンで形作られた「OASIS」のロゴが浮かび上がった。ツアーは7月4日に始まり、11月まで世界各国をまわる。ツアー初日を翌々日に控えたドローンの演出はオアシスの公式アカウントで公開されている。
ドローンのロゴは公演開始前に上空に描かれ、オアシスの再結成ツアー開催を祝福し、喜ぶファンの気分の高揚に貢献した。
オアシスは1991年にマンチェスターで結成され、7000万枚以上のアルバムを売ったロックバンドだ。2009年に解散したが昨年2024年に再結成した。再結成後初のコンサートツアーが7月4日にはじまり、北米、南米、オーストラリア、韓国など各地をまわる。2025年は11月23日のサンパウロ公演で幕を閉じる予定だ。日本公演も10月に予定されている。チケットはいったん予定枚数の販売を完了したが、機材席の解放による追加販売が決定し、7月12日正午に抽選の受付を開始する予定だという。
音楽シーンとドローンとは、MV撮影、ライブ映像撮影、演出としての屋内ドローンショーなどの例があるなど縁があり、今後も活用の幅が広がる可能性がある。
公式アカウントが公開した動画はこちら
AAM開発の米ジョビー・アビエーションは6月30日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでパイロットが搭乗し、垂直離着陸の固定翼飛行を実施した。ジョビーは「2026年に最初の乗客を運ぶ」と2026年のサービス開始を目指している。ジョビーは開催中の大阪関西万博で「運航事業者」にもなっている。
ジョビーによるドバイでの飛行は、「piloted, vertical-takeoff-and-landing wingborne flights」で、パイロットが乗り、垂直離着陸をしたうえで、機体の固定翼で移動した飛行で、「eVTOL分野では初めての取り組み」としている。ジョビーはこの飛行を通じて、ドバイ地域での商用市場準備の取り組みを開始したことも明らかにした。ジョビーは直接運航、航空機販売、地域パートナーシップを商業化戦略の3本柱と位置付けていて、今回の試験飛行が「重要な一歩」と話している。
試験飛行はドバイ道路交通局、ドバイ民間航空局、UAE民間航空総局と連携して実施された。またドバイ道路交通局長官兼理事会会長のマタール・アル・タイヤー会長が立ち会った。
ジョビーは、ドバイ国際空港(DXB)、ペルシア湾の人工島であるパーム・ジュメイラ、現在建設が進められている世界第2の面積の人工のマリーナであるドバイ・マリーナ、超高層ビルブルジュハリファで知られるドバイ・ダウンタウンでの商業サービス導入を目指している。バーティポートはすでに建設が進められている。
ジョビーはDXBからパーム・ジュメイラまでをエアタクシーサービスで移動した場合、移動時間は12分で、45分かかる車での移動時間が大幅に短縮されると見込んでいる。
ジョビーがエアタクシーサービスで使う機体は電動で、パイロット1人と最大4人の乗客を乗せ、最高時速200マイル(約320km)で輸送できる設計と説明していて、ジョビーは「短時間の通勤、小旅行、地域間のシームレスな移動のために、より速く、より静かで、より便利な空の旅を提供します」と話している。
ジョビーの発表はこちら
東京株式市場グロース市場で7月2日、ACSL株がストップ安となった。午前9時29分にいったん1187円で寄り付いたがその後も売りが殺到し、再び取引の成立したない売り気配で推移した。ACSLは前日の7月1日、前CEOによる不適切取引判明を発表していて嫌気を誘ったとみられる。
ACSL株は取引き開始前から売り注文を集めていて、取引開始がはじまったしばらく値が付かないまま推移した。午前9時29分に値幅制限いっぱいいの、前日終値比300円安のストップ安となる1187円で取引が成立したが、その後も売りは止まらず、再び取引が成立しない展開が続いた。
ACSLが7月1日に発表した「お知らせ」はこちら