ドローンやロボット、モビリティの動向を体感できる「OITA ドローンフェスタ2019」が12月20日、大分市の大分県立美術館OPAM とiichiko 総合文化センターで開幕し、大分県の広瀬勝貞知事、大分市の佐藤樹一郎市長がそろってあいさつするなど、大分のドローンに対する取り組みの強さをアピールした。あいさつの中で広瀬知事は、「大分県は地域課題の解決に活用すべくドローンに力を入れています。フェスタで大分に英知を集め、大分から発信したいと考えています」と述べた。
フェスタは大分県と大分市が主催し、ブルーイノベーション株式会社が企画運営、一般社団法人日本UAS産業振興協議会が監修している。社会的受容性の醸成や、関連事業の集積、人材育成、科学振興を目的としている。
開幕のあいさつに立った広瀬知事は「ドローンは機械面、頭脳面のそれぞれで日進月歩の進化を遂げています。大分県も地域課題の解決に活用すべくドローンに力を入れています。遠隔地へのお弁当の配達もドローンでできたらいい。いろいろな取り組みを実現させるための実験環境や、研究設備も整えてきました。今回のフェスタの開催で大分に英知を集め、ドローンの発展に貢献できればうれしい。また、ドローンといえば大分であると言ってもらえるようにしたいと考えています」とあいさつした。
続けて登壇した大分市の佐藤市長も「ドローンの用途が広がる中、大分市でも消防でドローンを導入し、人命救助に役立てています。リング状のゴールに球体ドローンをくぐらせて得点を競うドローンサッカーの大会も開催していて、競技の練習を通じて技術の向上や、産業の発展につながることを目指しています。フェスタが開幕しましたが、大分で議論の機会ができたことを喜ばしく思っています」と述べた。
大分県は、ドローンをはじめとして、AI、先端技術などへの取り組みを加速させている県として知られている。県内ではグーグルの米国本社で副社長を務めた村上憲郎元グーグル日本人社長が理事長を務める公益財団法人ハイパーネトワーク社会研究所や、医療、会議、福祉機器領域の発展を目指す大分県医療ロボット・機械産業協議会、大分県内のエネルギー関連企業や大学、行政機関の研究開発促進、人材育成、事業拡大を目指す大分県エネルギー産業企業会などが次々と設立され、研究や事業拡大に取り組んでいる。
ドローンについても、「大分県ドローン協議会」が平成29年6月に発足。すでに約220の企業会員や協力会員が加盟し、ドローンの振興に力を入れている。この日開幕したフェスタでも協議会として展示ブースを構え、会員企業、団体の開発した機体や取り組みが披露され、多くの来場者が足を止めていた。
大分県商工労働部新産業振興室の山上啓輔室長は「大分県がドローンに力を入れているのは、広瀬知事が先端産業の育成への取り組みに力を入れている側面は大きいと思います。ドローンの実証実感を実施するさいには、会場となる地元に説明会を開きます。関連事業には財政支援もしていて、令和元年度はドローンの振興のための予算を約8000万円計上しています。自治体でこの規模の予算をドローンで計上している例はありません。次年度も2019年度に匹敵する予算の計上を目指しています」と話している。
フェスタでは、大分県内、九州のドローン事業者を含めた30社が、ドローンの取り組みや機体を公開し、来場者に説明している。講演会場には、買い物弱者対策、スマート農業など県の取り組みの紹介パネルが並び、「おんせん県」として知られる大分県が、ドローン県としても存在感を高めていることを示していた。フェスタは21日まで。