日本海の島、佐渡、粟島からドイツWingcopter社のVTOLドローン、Wingcopter198を飛行させ、海を越えて新潟市の本土側まで特産の魚介を運ぶ実証実験が11月5日に行われた。佐渡からは特産の南蛮エビ(アマエビ)を西海岸公園(新潟市)まで、約48㎞飛行して運んだ。粟島からもアオリイカを岩船港(村上市<新潟県>)まで36㎞運んだ。それぞれの特産品はJR新潟駅で集約し、JR東日本グループが展開する列車荷物輸送サービス「はこビュン」で東京駅に運ばれ、同日昼過ぎには東京・銀座のアンテナショップ「THE NIIGATA」のイベント会場に並んだ。主催したのはマルチモーダル輸送などに取り組む「新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会」で、メンバーの一員としてドローンの運航管理を担った林賢太氏(AIR WINGS合同会社代表)は「ドローンによる配送の価値を感じて頂く取り組みを引き続き進めたい」と話した。
ドローンはそれぞれの島から、前日の漁で獲れた特産品を積んで飛んだ。このうち佐渡からは2便飛んだ。1便目は佐渡を午前7時1分に出発、本土側の西海岸公園に7時31分に到着した。到着機から特産の南蛮エビの入った容器を取り出したあと、空路上に表れた雨雲をやりすごすためにしばらく待機し、午前8時35分に佐渡に引き返すために離陸。9時9分に佐渡に到着した。再びアマエビを乗せて2便目として午前9時18分に佐渡を離陸し、午前9時51分に本土側に着陸した。それぞれ約30分のフライトだった。佐渡と新潟港の間の移動はジェットフォイルなら67分程度、フェリーなら2時間半程度だ。西海岸公園からJR新潟駅までは陸送した。
今回使ったWingcopter198はドイツ、Wingcopter社が過酷な気象条件下でも配送に活用できることを特徴として生産しているバッテリーを搭載するVTOL機だ。電動で垂直離着陸をするという意味では、次世代エアモビリティ(AAM、いわゆる「空飛ぶクルマ」)の代名詞のように使われるeVTOLの代表機であり、実用化されていないAAMのeVTOLよりも先輩にあたる。余談だが電動のVTOLとしては日本でもエアロセンス株式会社(東京)が2020年以降、「エアロボウイング(AS-VT01)」を発売しており、長距離点検、広域測量などに重宝されている。
Wingcopter198は医薬品など高付加価値な荷物を配送するさいに使われることが多い。8つの回転翼(モーター)、8つのESC、2つのバッテリーや二重化されたシステムを備え、万が一の不具合発生時でも飛行を続けられる冗長性に優れている。また高い自律性で運航管理者の負担が小さく、メンテナンスのしやすさにも工夫されていて、日本の運用者にも信頼性の高い機体のひとつとして知られる。最大離陸重量は24.9 kg、ペイロードは4.5 kg。90 km/hで飛ぶ。
この日の運航管理拠点は本土側の着陸地点である西海岸公園に設けられた。公園内にテントをはり、机を並べ、パソコンや通信機器、その他の機材などを並べた。AIR WINGSの林代表ら運航管理を担った運航管理を担ったメンバーはここに陣取り、飛行のミッションを確認し、各島の積み込み状況について連絡を取り合い、天候を確認するなどした。
佐渡からの2便めの飛行を終えた機体から荷物を引き渡したあと、運航管理を担ったAIR WINGSの林代表は、報道陣の質問に答え、今回の実証の狙いや今後の目標について述べた。主な一問一答は以下の通り。
――狙いは
林氏 「佐渡と粟島の特産品をドローンで運ぶこと。その後新幹線で高速輸送につなぎ(首都圏で)高付加価値をつけて販売することです。ドローン配送による付加価値向上を目指しています。(配送をスタートしてから)5、6時間で(離島の特産品を)首都圏に届けられます」
――課題と展望は
林氏 「現状では第三者上空の飛行はまだ難しい。今後は西海岸公園ではなくダイレクトに駅に届けるハードルをクリアしたい。今回は多くのメンバーで飛ばしましたが、今後は省人化、無人化に取り組み、より少ない人数でより多くの運航管理をしたい。また今回は特産品を配送しましたが、今後は戻り便で島に医薬品や血液製剤を輸送することにも取り組みたい」
――通年で活用する予定か
林氏 「はい。地域の足になるべく、フェリー、ジェットフォイルが欠航しても飛ばせるようにしたい。それ以前に、フェリー、ジェットフォイルが就航しているときには飛ばせることを確実にしたい。まずは就航条件を同等まで引き上げたい」
――前回(2023年11月)の飛行からレベルアップした点は
林氏 「高速化で飛行時間が短縮した。前回は約55分。今回は30分程度。また目指してきた二路線での同時飛行も実施しました。機体を変更したことでトラブルの起こりにくさ、運航させやすさ、操縦しやすさ、チェックしやすさが向上した。運航側が運航しやすく安全性が高いとことを重視しました」
――コストとの見合い
林氏 「提供価値がコストに見合うかどうかが大事。価値だと思ってもらえる取り組みを引き続き進めていきたいと考えています、また物流ドローンである以上、今日は飛ぶ、明日は飛ばない、ということでよいのか。コンディションの漁不良にかかわらず飛ばせる(高い)就航率、定時制が課題だと思う」
――実装時期は
林氏 「西海岸公園までの、住宅地に入らない場所までの離着陸について来年度(2025)中をめどに実用化を考えています。住宅街を超え新潟駅近くまでの経路はさらに3年後を考えています」
なおこの日は粟島からもアオリイカが岩船港までWingcopter198で運ばれた。岩船港からはJR村上駅まで陸送し、鉄路でJR新潟駅まで届けられた。












佐渡、粟島から届いた特産物は、JR新潟駅に集約され、午前11時25分発の新幹線とき318号に載せられた。荷物は株式会社ジェイエアール東日本物流(東京)などJR東日本グループが展開する列車荷物輸送サービス「はこビュン」の配送サービスとして、13時28分に東京駅に届いた。そこから陸送され、14時前には東京・銀座の新潟のアンテナショップ「THE NIIGATA」に運び込まれた。
3階のイベント会場には、容器から取り出されたばかりの佐渡の南蛮エビが「ドローンで日本海をわたって本日届きました!」の説明書きとともに並べられ、来場者を楽しませた。飲食店の店主は「一目で鮮度が違うことがわかります」と感心していた。会場にはイベントを知った来場者のほか、離島振興を促進する行政機関も訪れ、特産品の到着に沸く会場の盛り上げを肌で感じていた。
今回の佐渡からのドローン配送、新幹線へのリレー、銀座での店頭転回などの一連の取組は、官民で構成する「新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会」が主催した。ドローン配送やマルチモーダル物流などで新潟の離島振興に取り組んでいて、今後も佐渡、粟島を中心として振興策の練り上げに力を入れる方針だ。
新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会などは今回の取り組みについて、開催前にプレスリリースを発表している。リリース内容は以下の通り。(写真の先です)









実証実施日 2024年11月5日(火)・6日(水) (メディア公開日は11月5日(火)限定) <2拠点の特産品をドローン輸送と新幹線(列車荷物輸送サービス「はこビュン」)で高速輸送を実施>
新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会(以下、「本協議会」)は、「令和6年度スマートアイランド推進実証調査業務」の一環で、 佐渡島・粟島と本土を結び都心と共栄するDX物流および医療・防災プロジェクト実証事業を実施します。本協議会は、官民連携の様々なプロジェクトを通じて新潟でのスマートアイランド※1実現に向けて、貢献していきます。新潟県佐渡市、粟島浦村、新潟市にてドローン運用の社会実装に向けた調査飛行を(以下、「本調査))を11/5(火)・6(水)に実施することをお知らせします。
※荒天の場合中止となる場合がございます。
※1国土交通省が推奨する、離島地域が抱える課題解決のためICTやドローンなどの新技術の実装を図る取り組み
◆「新潟スマートロジスティックアイランド推進協議会」を立ち上げ本調査を行っております。

パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社(東京)https://www.persol-bd.co.jp/
新潟市https://www.city.niigata.lg.jp/
佐渡市https://www.city.sado.niigata.jp/
粟島浦村https://www.vill.awashimaura.lg.jp/
AIR WINGS合同会社(東京)https://www.airwingsllc.com/
株式会社ジェイアール東日本企画(東京)https://www.jeki.co.jp/


【スマートアイランド推進実証調査 取組のご紹介】
◆本プロジェクト概要
❶マルチモーダル物流※による長距離高鮮度直送を利用した地域産業活性化
※マルチモーダル物流とは複数の輸送方法(交通機関)を連携した物流のことであり、今回はドローンと新幹線を連携した物流ルートを開設します。
【今回の事業での取り組み】・・・ 海産物限定受発注の実証実験
①佐渡島(佐渡市)※11/5(火)はメディア公開日です。
佐渡島<ドローンよる高速発送>→西海岸公園→新潟駅<上越新幹線を活用した荷物輸送サービス
「はこビュン」>→東京駅→■11/5(火)銀座_新潟情報館「THE NIIGATA」■11/6(水)都内飲食・販売店等
②粟島(粟島浦村)※11/5(火)はメディア公開日です。
粟島<ドローンよる高速発送>→岩船港→新潟駅<上越新幹線を活用した荷物輸送サービス「はこビュン」>→東京駅→■11/5(火)銀座_新潟情報館「THE NIIGATA」■11/6(水)都内飲食・販売店等
【今後の構想】<JREMALL等Webサイトを通じて>ふるさと納税返礼品への反響→島の漁業活性化
❷ドローンによる離島本土間配送と海岸漁場監視
【今回の事業での取り組み】・・・海岸漁場監視
粟島浦村周辺(定置網・養殖場)→粟島アプリ『しらせあい』※による情報共有
※粟島アプリ『しらせあい』…粟島汽船の運航情報や予約、天気、役場等からのお知らせなどを掲示するアプリケーション
【今後の構想】医薬関連品配送:島内の診療所⇔本土の医療機関の構築
❸ドローンによる島内ホテルベース物流
【今回の事業での取り組み】・・・特産品・高付加価値サービス食品配送
佐渡島内ホテル⇔キャンプサイト
【今後の構想】防災備蓄配送:佐渡島内ホテル⇔市役所等


【輸送海産品のご紹介】
◆各島の海産品を輸送いたします。※下記一部抜粋ご紹介
南蛮エビ (佐渡島)
佐渡で獲れる甘エビは、鮮やかな赤色と形が赤唐辛子(南蛮)に似ていることから「南蛮エビ」と呼ばれています。プライドフィッシュに認定されている「南蛮エビ」は佐渡沖水深400m前後、水温1℃の海洋深層水育ちの南蛮エビは新鮮で甘さが自慢となっています。
新鮮お魚セット (粟島)
新潟県の最北に位置する粟島。コアな釣り人が好んで現地に訪れるほど、四季折々の旬な天然魚が豊富。時期により石鯛やヒラマサ、真鯛など多くの種類の魚が獲れます。(本実装は、獲れた魚を詰め合わせてお届けします。)
漁師が選んだ、本当においしい魚。それが、PRIDE FISH ープライドフィッシュー
魚離れが年々進む中、思わず感動せずにはいられない魚の本当のおいしさをもっとたくさんの人に知ってもらうため、地元漁師が自信を持って勧める魚の底力を感動をもっとしてほしいと「プライドフィッシュプロジェクト」は生まれました。
地域ごと、春夏秋冬ごとに、魚を知り尽くした漁師が選ぶ “今一番食べてほしい魚” をぜひ味わってみてください。
【使用機材のご紹介】
★使用機体
ドイツWingcopter社製のWingcopter198型機(伊藤忠商事所有機体)を利用します。
独自特許のプロペラ・ローターの可変機構や冗長システムが備わっており、飛行効率と安全性の向上を実現しています。また離陸から着陸まで完全自動飛行が可能なため、運航に必要な人員を最小化することができ、運航コストの低減につながっています。海外メーカーとして日本で初めて第一種型式認証を国土交通省に申請しており、越佐海峡の厳しい飛行環境にも耐え得る飛行性能を証明することで、物流ドローンに求められる安全性、定時性、採算性を確保し、社会実装を加速させていきます。

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エアロネクスト,和歌山の市街地(DID)含むルートで補助者なし飛行 三井不動産株式会社(東京)とKDDIスマートドローン株式会社(東京)が11月13日、東京・日本橋の高層ビル「日本橋三井タワー」屋上にドローンの離着陸場となるドックを設置し、遠隔操作のドローンで周辺の情報収集に役立てられるかどうか検証する実験を公開した。ドローンには米Skydio社のAIドローン「Skydio X10」を使い、専用の格納庫「Dock for X10」に格納して屋上に設置した。ドローンは垂直離陸し上空約200mから橋や建物、道路の状況をリアルタイムでとらえた。今後、取り組みの有効性を検証する。
実験場となった日本橋三井タワーは東京・日本橋にある高さ約200m(公式サイトでは「最高高さ194.69m」)と、現時点では日本橋エリアで最も高い建物だ。屋上にSkydio X10を格納したDock for X10を設置し、通信環境を整えるため衛星通信「Starlink Business」を準備した。隣の日本橋室町三井タワー5階に運航管理責任者が待機した。
実験は大規模災害発生を想定して実施。遠隔操作で起動したX10はDockから離陸すると8m上昇し、搭載されたカメラで周辺の様子をとらえた。ドローンの飛行はタワー屋上での垂直離着陸に限られ、目的地に向かうなどはしなかった。ドローンでとらえた映像は、運航管理者が待機する隣のビルのモニターにリアルタイムで映し出された。離陸地点から地上距離にして1.3㎞離れたビルなどもズームで、人がいる様子まで確認できた。
両社は「都心エリアで高層ビル屋上に設置したAIドローンの遠隔飛行の実証実験は初の取り組み」と話している。
三井不動産日本橋街づくり推進部の吉田信貴氏は、同社と日本橋活性化の取り組みや、産業創造とモビリティの関係などを踏まえてこの実験の意義を説明。「日本橋にとってレジリエントな街づくりを推進するうえで防災機能を高めることは欠かせない。今回は防災機能向上の実証実験で、遠隔操作で周辺の被災状況が把握できるのではないかと仮説をたてた。有効な情報なら従業員、テナント、帰宅困難者に判断材料となりうるし、行政や消防機関との連携も検討する。直接の収益事業ではないがテナントの物件価値の向上につながる面はある」と述べた。
KDDIスマートドローンソリューションビジネス推進1部の福井悠貴氏は、KDDIグループやKSDの強みを説明したうえで、「人流の多い東京駅前の八重洲交差点、増水などに注意を払いたい墨田川の湊橋(1928年竣工)、離陸地点から1.3㎞離れている浜町センタービルで見えるかどうかを検証ポイントにします」と述べた。
今回得られた成果は今後の検証に活用する。三井不動産の吉田氏は、「有効であれば他のエリア、他の物件への展開の推進も検討したい」と展望した。
プレスリリースはこちら






DJIは今年7月に発売したDJI Agricultureの農業用ドローン「DJI Agras T70P」と「DJI Agras T25P」を日本でも11月10日販売を始めた。DJI Agriculture認定代理店で購入できる。
| Agras T70Pは最大飛行速度が20m/s、積載能力は、散布時で最大70L、撒布時で最大100L、リフティング作業では最大65kgに対応する。より大きな流量と微かいミスト粒径の散布システムを備えた。また新しい安全性システム3.0を搭載し、ミリ波レーダーとTri-Visionシステムで高精度に障害物を検知し、ルート選択をよりスマートにし、障害物回避性能も向上させた。 |
| Agras T25Pで単独操作もコンパクトかつ柔軟に |
| Agras T25Pは、従来機のコンパクトで折りたたみ可能な設計を引き継ぎながら、20kg高精度スクリュー式散布システム4.0と安全性システム3.0を搭載している。散布作業時の最大積載量は20kg、流量は16L/分で、液滴サイズは50~500μmの範囲をカバーする。空中マッピングや作物保護の完全自動運用にも対応するほか、圃場や果樹園の測量をプログラムしたり、山間地の斜面で地形追従散布を行ったり、複数区画で連続的に散布・散剤処理をしたりすることができる。 |
いずれもDJI Agriculture認定代理店を通じて購入できる。Agras T70Pの公式サイトはこちら
Agras T25Pの公式サイトはこちら

インターネットインフラ、広告、金融、暗号資産事業を展開し、ドローン事業、AAM(いわゆる空飛ぶクルマ)に積極的に関わっているGMOインターネットグループ株式会社(東京、熊谷正寿グループ代表)は、2025年12月3~6日に、東京の大規模展示会場「東京ビッグサイト」で開催される「2025国際ロボット展」(主催:一般社団法人 日本ロボット工業会/日刊工業新聞社)に出展すると発表した。GMOの同展示会への出展は初めてだ。GMOは「すべての人にインターネット」を掲げ、インターネットに関わるインフラ、セキュリティ、フィンテック、メディアなどの事業を展開しつつ、AI、ドローン、エアモビリティ、ヒューマノイドでの取り組みも広げている。2026年を「ヒューマノイド元年」と位置付けるなど、今後も取り組みを拡大させる方針だ。
GMOは国際ロボット展に出展するブースで、グループ会社のGMO AI&ロボティクス商事株式会社(東京、内田朋宏代表取締役社長、GMO AIR)による人とロボットが共存する未来の体験を提供する方針だ。現時点では最新ヒューマノイドロボットの実機デモンストレーションのほか、AI・インターネットインフラ・セキュリティ技術を融合した新しいロボットソリューションや「ロボット人材派遣型サービス」の活用事例の紹介、労働力不足を解決する実証実験の成果展示などを行う予定だ。展示会の出展に関わる特設ページも開設した。
GMO AIRはすでに「ロボット人材派遣型サービス」を展開している。2025年4月に提供を始めたこのサービスでは、Unitree社「G1」を中心に、エンターテインメント領域、研究機関、実証実験現場に派遣している。用途や目的に応じて動作プログラムを実装し、多様なニーズに対応できる特徴を持つ。
日本のヒューマノイドロボット開発企業支援のため、GMOインターネットグループとして、ロボット開発企業向けにクラウドサーバー、セキュリティサービスなどを一定期間提供するなどのインフラ商材の提供支援や、開発支援基金の設立を通じた日本発のロボット技術開発の資金面での支援、GMOグループのAI・セキュリティ技術との連携による開発支援を進める方針で、同社は「日本をヒューマノイドロボット産業における先進国へと押し上げることを目指してまいります」とコメントしている。





GMOのAIやロボティクスへの取り組みは加速している。
今年(2025年)9月25日にはAIやロボティクスの第一人者が登壇する大規模シンポジウム「GMO AI・ロボティクス大会議&表彰式2025」を開催した。熊谷正寿グループ代表は開会挨拶の中でAIとロボット、ヒューマノイドとの関係や、AI搭載のヒューマノイドの進化、その速度に対する恐怖感などに触れたうえ、1000人の来場者を前に「間違いなく来年は世界産業史上、『ヒューマノイド元年』と言われるようになると思います」と述べ、来場者に対しヒューマノイドへの関心と注意を喚起した。
同社は昨年(2024年)9月にGMO AIRを設立して、「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げて活動することを公表した。12月には、熊谷代表の思考やフィロソフィー、GMOインターネットグループのカルチャーを学習した社内向けバーチャル知的ナビゲーター「AI 熊谷正寿」を発表し、今年(2025年)9月24日には、そのAIをヒューマノイド「Unitree G1」に搭載した「ヒューマノイド 熊谷正寿」を発表した。「ヒューマノイド 熊谷正寿」は投げかけられた質問に対し熊谷代表の思考に基づいて回答できる。「GMO AI・ロボティクス大会議&表彰式2025」でお披露目されたほか、終了後の報道陣の取材には、生身とヒューマノイドの“2人の熊谷正寿”がそろって記者団からの質問に答えてみせた。
大会議の冒頭のあいさつの中で、熊谷代表は「AIはパソコンやスマホの画面の中だけですが、ロボットに搭載されてフィジカルに世の中をかえていきます」とAIがロボットに搭載されることの意義を確認。「ヒューマノイド 熊谷正寿」についても「私は寝て食ってサボりますが、彼は電池を食わせれば24時間365日働けます。また私は年を取りますが彼は無限にコピーできます。無限の可能性を秘めているのがヒューマノイドだと感じています」と述べていた。
すでにドローンやAAM市場へのかかわりも強く持っている。ドローンについてはハッキングなどへの対策として、サイバーセキュリティ、情報セキュリティの点から関わっていて、ドローンの大規模展示会Japan Droneにスポンサーに名乗りを上げ、ブースも出展してきた。
AAMについては2023年1月23日に、熊谷代表が、アメリカの1人乗りAAMの開発を手掛けるLIFT社(LIFT Aircraft INC.)から操縦士証「BEGINNER PILOT CERTIFICATE」を日本人として初めて取得したと発表し、3月15日には丸紅株式会社(東京)が大阪城公園(大阪市)で行った実証実験で熊谷代表自身が、LIFT社の1人乗り乗りエアモビリティ、HEXA(ヘクサ)の操縦する様子を公開した。その後もGMOがスポンサーとしてかかわったJapan DroneのブースにHEXAを展示するなど、エアモビリティの社会受容性向上に貢献した。
GMOインターネットグループは「現在、ヒューマノイドロボットの技術革新は急速に進み、将来的には自動車産業を超える規模の産業革命をもたらす可能性があります。一方で、日本は中国・米国・欧州諸国に比べ、この分野での産業化分野において遅れをとっている状況にあります。他国では産官学が一体となってヒューマノイドロボット産業の育成に注力しており、日本においても同様の取り組みが急務となっております」と課題を指摘し、「GMOインターネットグループは、AI技術、堅牢なインターネットインフラ、高度なセキュリティ技術を融合し、ロボット社会実装の安全性と信頼性を支える基盤を提供することで、日本の社会課題解決に貢献してまいります。今回の出展は、日本のロボット産業の発展を後押しし、産官学連携による社会課題解決を推進するという、GMOインターネットグループの姿勢を示すものです」と出展の意義を伝えている。
参考「2025 国際ロボット展」(https://irex.nikkan.co.jp/)



一般社団法人DPCA(ドローン撮影クリエイターズ協会)は設立10周年を記念するシンポジウムを2025年12月10日、京都で開催する。国交省、JAXA、海事協会などが登壇する。参加は事前申し込みで無料になる。
シンポジウムのタイトルは「ドローンと共に紡ぐ、“災害対応の未来”と“産業の確立”に向けて〜人とドローンが共に生きる時代へ『守る・伝える・創る ドローンが拓くこれからの未来〜』。一般社団法人 地域再生・防災ドローン利活用推進協会 ( RUSEA )が共催、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)などが協賛し、京都市にある多目的ホール「ロームシアター京都サウスホール」で行われる。会場にはデモブースが設置され、ドローンやロボットが展示される。午前11時半に開場し、12時半からステージで講演、パネルディスカッションなどが行われる。
国土交通省航空局安全部無人航空機安全課の江口真氏、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小林啓二氏、一般財団法人日本海事協会の平田純一氏が講演し、登壇者とドローン事業者によるパネルディスカッションやDPCAのこの10年の歩みと今後の展望についてのプレゼンテーションが行われる。
DPCAは「改めてドローンの価値と社会的役割を見つめ直し、未来への提言を行います。2026年以降に向けたドローンの制度改正や新たな防災活用の潮流、業界の方向性を、行政・研究機関・指定試験機関・産業界・教育界の視点から多角的に議論・共有するシンポジウムです」と話している。
DPCAの発表はこちらhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000077546.html
参加申込はこちら:https://dpca10th-symposium.peatix.com/
協賛やデモブース出展の問い合わせはこちら:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSc77ZWE8A9-bGT69UBGfiwRil35qi68BT-zsnmLJVOKUrLRSw/viewform



一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、2025年11月26、27日に大阪で「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」を開催する。ドローンとエアモビリティの産業応用、地域実証、自治体連携をテーマにした展示やセミナーを展開する。台湾の電子機器受託製造大手Wistron、米Inspired Flight Technologies社の産業用ドローン「IF800」などを扱う株式会社栄光エンジニアリングが出展するほか、自治体、水中ドローンなどの展示も見込まれる。入場は無料で、会員登録と来場登録が求められる。
Japan Drone in 関西はJUIDAが主催し、株式会社コングレが共催する大規模展示会JapanDrone(本開催は例年、千葉・幕張メッセ)の関西版で、JR大阪駅の玄関口に広がるグランフロント大阪にあるナレッジキャピタル コングレコンベンションセンターで行われる。地方イベントでありながら初出展の団体や初公開のプロダクトが登場することもあり、多くの関係者が出展の動向に関心を寄せている。大阪では二年連続でJapanDroneの地方開催が二度目を数える初のケースとなる。前回の2024年開催時には株式会社ORSO(東京)が新製品をお披露目し会場を活気づけた。
展示では測量、点検、防災、物流などのドローン関連のソリューション展示が中心になるとみられる。エアモビリティ(いわゆる空飛ぶクルマ)関連では、空港連携やモビリティハブ構想など、地域発の実証構想が出展されるとみられる。
出展企業のうち、株式会社栄光エンジニアリング(茨城県つくば市)は、米Inspired Flight Technologies社の産業用ドローン「IF800」「IF1200」を紹介することを公表している。同社はInspired Flight社の日本国内代理店だ。またExyn Technologies社の自律飛行型3Dマッピングシステム「Nexys」「Nexys Pro」、Teledyne Optech社の軽量LiDARシステム「EchoONE」を展示する予定だ。
株式会社ユニック(東京都足立区)は陸上ドローンとしてオール電動ラジコン草刈り機 「ユニモワーズ モデルS」を出展する。最大45度の急傾斜で安定走行し、特許取得済みの刈刃機構で草丈1mを超える雑草を効率的に粉砕する。前後カメラの映像を確認しながら遠隔操作が可能だ。ほかにコンパクト電動ミニブルドーザー「ユニドーザー」も展示する見込みだ。
台湾の大手電子機器受託製造企業(EMS )Wistron(ウィストロン)も出展企業に名を連ねている。コンピューター、通信、家電などの電子製品を、研究開発から製造、販売まで手がける台湾のODM(Original Design Manufacturer)で、ドローンとの関連では、台湾のドローン開発企業である経緯航太科技(GEOSAT Aerospace & Technology Inc.)に出資している。展示内容は今後公表される見通しだ。GEOSATは外為法上の輸出管理コントロールリストに掲載されている企業であることも注目ポイントだ。
ほかにも、ドローンなどの受託造形サービスを手掛けるYokoito Additive Manufacturing(株式会社YOKOITO)イタリアの総合測量、TAKE OVER RILIEVI INTEGRATI S.R.L、水中ドローンの運用、普及促進で知られる株式会社ジュンテクノサービス(埼玉県)、トヨタ自動車株式会社が100%出資するソフトウェア開発やエンジニアリングの株式会社トヨタシステムズ(名古屋市)、水素燃料電池ドローン用の高圧ガスCFRP容器等を製造販売JFEコンテイナー株式会社(東京)などが話題を集めそうだ。
自治体の出展が目立つことも特徴だ。「主催者展示ゾーン」と名付けた展示エリアを設置しており、ここに愛知県、愛媛県、大分県、大阪府、香川県、東京都、長崎県、兵庫県、福島県、今治市(愛媛県)、加賀市(石川県)が取り組みなどを展示する。国土交通省、経済産業省も出展予定だ。なお福島県はこことは別のブースも出展する。
なお入場には会員登録をしたのち入場登録が求められる。必須項目に「回答しない」や「街頭するものがない」の選択肢が設けられていないものがある。登録者の入場は無料だ。



DJIは11月4日、産業用ドローン向けの新型LiDARペイロード「Zenmuse L3」を発表した。高精度マッピングやインフラ点検などを想定したレーザー測距装置で、従来モデル「Zenmuse L2」に比べ測距性能やRGBカメラ解像度が大幅に向上している。国内では、販売代理店の株式会社セキド(東京)と株式会社システムファイブ(東京)が取り扱い開始を告知したほか、株式会社FLIGHTS(東京)はZenmuse L3対応の測量支援ソフトを公開し関連セミナーを告知した。DJI JAPANも製品紹介セミナーを予定している。
Zenmuse L3は1535ナノメートル波長のレーザーを採用した航空LiDARで、最大測距距離は約950メートルに達する。RGBカメラも従来モデルL2の単眼20MPから、L3でDual 100MPとなり、写真測量データの解像度が5倍になった。1秒あたりの最大測定点数は24万点で、1回の飛行で取得できる3Dデータが広域、高密度になった。
作業高度は、L2の最大150m程度からL3で最大500mに大幅に向上。これにより、同一飛行時間あたりのカバー面積が広がった。広域マッピングの効率が向上することになる。
RGBカメラはDual 100MPであるうえメカニカルシャッター付きセンサーを搭載し、L2の20MPから大幅に機能が引き上げられた。森林や反射率の低い対象でも安定した写真測量が可能になった。測量、林業、インフラ点検、防災などの業務効率化に威力を発揮すると期待できる。
Zenmuse L3を搭載できる機体は「DJI Matrice 400」で、搭載には「Zenmuse L3 single gimbal connector(専用ジンバル接続ブラケット)」が必要となる。その他の機体への対応について公式には触れていない。将来的な追加対応は検証中という。
国内でも正規代理店が11月4日付で取り扱い開始を発表している。セキドは製品紹介ページを公開するとともに、DJI産業ソリューション導入を検討する企業や官公庁向けの相談窓口を設置した。今後、導入企業向けのウェビナーや体験会も順次実施予定だ。
システムファイブも、取り扱い開始を発表した。自社サイトで製品概要ページを公開し、DJI製産業ドローンとの組み合わせによるワークフロー紹介記事を掲載している。取り扱い開始に合わせ、公式動画や技術解説資料も提供し、測量・点検用途での早期導入を後押しする。
産業ドローン向けソフトウェアのFLIGHTSは、Zenmuse L3に対応する測量支援アプリ「FLIGHTS PLAN」と点群管理ツール「FLIGHTS DOCS for UAV」の最新版を発表した。DJI公式ソフトで取得したLiDARデータやRGB画像をクラウド上で可視化・管理可能で、Zenmuse L3の高密度点群に最適化した処理アルゴリズムを搭載している。
さらに同社は11月11日(火)13時より、システムファイブと共催で「Zenmuse L3紹介・測量活用セミナー」をオンラインで開催する(申し込みはこちら)。
DJI JAPANもZenmuse L3国内発表にあわせ、製品の技術背景や利用事例を紹介するオンラインセミナーの開催を案内している(11月14日13時~14時=申し込みはこちら、11月21日13~14時=申し込みはこちら)
LiDAR計測とRGB撮影を組み合わせた統合ワークフローの活用方法や、DJI Terraによる解析事例を取り上げる予定で、測量・建設・林業・点検など幅広い産業分野への訴求を狙う。
DJIのLiDARペイロードは、測量や建設分野での作業効率を大きく変える技術として注目されてきた。Zenmuse L3の登場で、飛行高度・カバー面積・解析精度の制約が緩和され、より多くの現場でドローンによる三次元計測が実用段階に入るとみられる。
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