君津市(千葉県)、セイノーホールディングス株式会社(岐阜県大垣市)、株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区)、株式会社NEXT DELIVERY(山梨県小菅村)、KDDIスマートドローン株式会社(東京都港区)は2024年1月14日、君津市でドローン配送の実証実験を行った。実験をふまえセイノー、エアロネクストなどが進めるドローンや既存手段を融合させた新スマート物流の構築を進める。実験ではJR君津駅から13㎞南東の中山間地にある清和地域に住む住民の買い物支援のため、7㎞離れた宿原青年館との間で物流専用ドローンAirTruckを飛行させ、日用品やドリンクを運んだ。エアロネクスト、NEXT DELIVERYは能登地震の被災地でもドローン物流で災害対策を支援している。関係者が公表した発表資料は以下の通りだ。
千葉県君津市(市長:石井 宏子)と、セイノーホールディングス株式会社(本社:岐阜県大垣市、代表取締役社長:田口 義隆、以下 セイノーHD)、株式会社エアロネクスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役 CEO:田路 圭輔、以下エアロネクスト)、株式会社 NEXT DELIVERY(本社:山梨県小菅村、代表取締役:田路 圭輔、以下 NEXT DELIVERY)、KDDI スマートドローン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長: 博野 雅文、以下 KDDI スマートドローン)は、2024 年 1 月 14 日に、君津市の清和地区において次世代高度技術の活用により新しい物流サービスの構築を目指した「中山間地におけるドローン配送」の実証実験を実施し、報道関係者に公開しました。
昨年 11 月には君津市、セイノーHD、NEXT DELIVERY の親会社である次世代ドローンの研究開発スタートアップ、株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区、代表取締役CEO田路 圭輔、以下エアロネクスト)、株式会社テラならびに KDDI スマートドローンの 5 者は、ドローンを含む次世代高度技術の活用による地域共創に向けた連携協定を締結しており、新たな物流のビジネスモデルの構築をめざし、連携して活動しています。
今回の実証実験は、NEXT DELIVERY と KDDI スマートドローンが連携して、セイノーHD とエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流*1”SkyHub®“
*2 の社会実装
の検討に向けて行われたもので、清和地域拠点複合施設に仮設のドローンデポを設置し、ドローンを活用し日用品のドローン配送サービスを実施しました。
1.背景と目的
君津市は、都心に隣接した立地でありながら、人口は平成7年の 93,216 人をピークに令和2年には82,206 人に減少しています。また、市の老年人口(65 歳以上)の割合は令和2年には 32.1%となっていますが、中山間地域の清和地区や上総地区では 50%を超え、今後もさらに上昇することが見込まれおり高齢者の買物支援が地域課題として挙げられています。さらに、物流の 2024 年問題の影響により、中山間地域における輸配送の質の維持が困難となり、地域住民の利便性の低下が危惧されています。
このような背景を受け、今回、清和地区において、地域課題の一つである中山間地域における買い物支援等の新たな取り組みに向け、住民の理解度向上、定期飛行に向けた課題の洗い出しを目的として実証実験を行いました。
2.実施内容
今回の実証実験では、買い物代行配送サービスを実施しました。
清和地区に住む、1世帯を対象に、子供が風邪をひいてしまった状況を想定し、お子様向けの緊急物資輸送の配送を実施しました。(お母さんが買い物に出かけられない状況を想定)住民の理解度向上、地域課題の洗い出しを目的として清和地域拠点複合施設を仮設のドローンデポ®*3 とし、宿原地区まで日用品のドローンで配送いたします。
今回のドローン配送の実証はエアロネクストが開発した物流専用ドローン AirTruck*4 を使用し、機体の制御には、KDDI スマートドローンが開発したモバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするスマートドローンツールズ*5 の運航管理システムを活用しました。
清和公民館から宿原青年館までの片道約 7 kmの距離を約 21 分で、子供の風邪を想定した日用品、ドリンクなどの詰め合わせをドローン配送いたしました。ドローンにより配送された荷物を受け取った眞板高子さんは、「すごく楽しかった!自分の住んでいるところも孤立する可能性があるので、その時は本当に助かると思う。色々な課題が解決できるといい。」とコメントしています。
今後も地域住民への理解促進及び地域課題の解決へ向けドローンをはじめとする次世代高度技術を活用しドローン配送と陸上配送を融合した新スマート物流”SkyHub®“の社会実装に向けた検討を進めてまいります。
※本実証実験は、一般社団法人環境普及機構により、令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)として採択されています。
*1 新スマート物流
物流業界が共通に抱える人手不足、環境・エネルギー問題、DX 化対応、等の課題を、デジタルやテクノロジーを活用しながら解を探究し、人々の生活に欠かせない生活基盤である物流を将来にわたって持続可能にするための官民での取り組み。ラストワンマイルの共同配送、陸送・空送のベストミックス、貨客混載、自動化技術、等々、業界内外の壁を越えたオープンパブリックプラットフォーム( O.P.P.)による共創で実現を目指す。
*2 新スマート物流 SkyHub®
エアロネクストとセイノーHD が共同で開発し展開する、既存の陸上輸送とドローン物流を繋ぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流のしくみ。ドローン配送が組み込まれた、オープンかつ標準化したプラットフォームで、ドローンデポ®を拠点に、車とドローンを配送手段として、SkyHub®TMS をベースに、SkyHub®Delivery(買物代行)、SkyHub®Eats(フードデリバリー)、SkyHub®Medical(医薬品配送)、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送など、地域の課題やニーズに合わせたサービスを展開、提供する。SkyHub®の導入は、無人化、無在庫化を促進し、ラストワンマイルの配送効率の改善という物流面でのメリットだけでなく、新たな物流インフラの導入であり、物流 2024 年問題に直面する物流業界において、物流改革という側面から人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を引き上げることが可能になり、地域活性化を推進するうえでも有意義なものといえる。
*3 ドローンデポ®
既存物流とドローン物流との接続点に設置される荷物の一時倉庫であり配送拠点。
*4 物流専用ドローン AirTruck
株式会社エアロネクストが株式会社 ACSL と共同開発した日本発の量産型物流専用ドローン。エアロネクスト独自の機体構造設計技術 4D GRAVITY®*6 により安定飛行を実現。荷物を機体の理想重心付近に最適配置し、荷物水平と上入れ下置きの機構で、物流に最適なユーザビリティ、一方向前進特化・長距離飛行に必要な空力特性を備えた物流用途に特化し開発した「より速く より遠く より安定した」物流専用機。日本では各地の実装地域や実証実験で飛行しトップクラスの飛行実績をもち、海外ではモンゴルで標高 1300m、外気温-15°Cという環境下の飛行実績をもつ(2023 年 11 月)。
*5 スマートドローンツールズ
KDDI スマートドローン株式会社が提供する、ドローンの遠隔自律飛行に必要な基本ツールをまとめた「4G LTE パッケージ」に、利用者の利用シーンに合った「オプション」を組み合わせて利用できるサービス。「4G LTE パッケージ」は、全国どこからでもドローンの遠隔操作・映像のリアルタイム共有を可能とする「運航管理システム」や、撮影したデータを管理する「クラウド」、データ使い放題の「モバイル通信」、どのエリアでモバイル通信を用いた目視外飛行が可能か、事前に確認できる「上空モバイル通信エリアマップ」などのツールをまとめて提供している。
*6 機体構造設計技術 4D GRAVITY®
飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させるエアロネクストが開発した機体構造設計技術。エアロネクストは、この技術を特許化し 4D GRAVITY®特許ポートフォリオとして管理している。4DGRAVITY®による基本性能の向上により産業用ドローンの新たな市場、用途での利活用の可能性も広がる。
ドローン事業者、開発者、愛好家などが組織する一般社団法人オールジャパンUAVフェスティバル実行委員会(代表、橋本健株式会社D-eyes代表取締役)が11月3日から5日にかけて、君津市(千葉県)の約14万平方メートルのドローン専用フィールド「DDFF」(ドリーム・ドローン・フライング・フィールド)やJR君津駅に近いホテルを会場に開催された「オールジャパンUAVフェスティバル2023」は、全国から愛好家、学生、研究者が集まる盛況ぶりだった。フィールドでは数々の機体が模擬飛行を行った。地元を中心とした評判の高い屋台が来場者をもてなし会場を盛り上げた。
「オールジャパンUAVフェスティバル2023」は、屋内展示会場で目を引く機体に対する旺盛な飛行シーン需要にこたえるため、技術紹介、交流促進、情報交換を含めた娯楽性の高い催事として開催した。君津市に拠点を構えるDアカデミー株式会社ほかドローンの事業者や研究者、開発者などの研究交流体「フィールドサイエンスのためのドローン活用研究会(ド研)」との合同開催で、幅広いネットワークを活用して多くの出展と来場を集めた。
開催初日には主催者側から橋本健氏Dアカデミー株式会社の依田健一代表、京都大学東南アジア地域研究研究所連携准教授で合同会社ソラビジョン(京都市)代表の渡辺一生氏らがあいさつしたほか、来賓として会場入りした君津市の石井浩子市長が「君津市では地元で活躍する依田さん(依田健一Dアカデミー代表)の指導で、ドローンによる橋梁点検がさかんに行われるようになりました。これをきっかけでドローンをはじめる動きも活発化しています。オールジャパンUAVフェスティバルの開催でいっそう盛り上げ、ドローンの普及に貢献する君津市となると期待しています」などとあいさつした。君津市のマスコットキャラクター、きみぴょんもいろどりをそえた。
フィールドでは初日のあいさつ直後に、五百部商事有限会社が独自開発した輸送用の機体「AC-0404X」の飛行を披露。その後、Tohasen Robotics株式会社による中国HEQ UAV社のテールシッター型VTOL機「SWAN VOYAGER」の飛行、Autel Robotics社によるVTOL機「Dragonfish lite」が飛行すると、見学者は同じVTOLでありながら鼻先を空にむけるSWAN VOYAGERと、地面に腹を見せたままの姿勢で浮き上がるDragonfish liteとの違いを話題にしたり、より簡単になった操作の進化に驚きの声をあげたりしていた。
株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマークはSkydio2+、SkydioX2の運用デモンストレーション、株式会社システムファイブはDJIの高精度空撮LiDARシステムZENMUSE L2 の運用デモを披露。Japan Mobility Showに自律走行ストレッチャーを出展して話題となった株式会社アトラックラボは、18インチのヘキサコプター「HIYOKO−18」の飛行を公開した。株式会社イデオモータロボテックスは米Freefly Systems社の大型カメラを搭載したALTA Xを飛行させた。
「たおれん棒」「ドローンスパイダー」で知られる株式会社空撮技研、大型のYOROIシリーズが名高いサイトテック株式会社、オランダAcecore Technologies社の機体を扱っている株式会社ACE-1、株式会社ジーウイング、東京工芸大学ドローン・サイエンス研究会、株式会社D-wings、ケイプラス株式会社などが出展事業者に名を連ねた。
会場には全国から愛好家らが来場。福島県の高校生も教員に引率されて来場し、関心のある機体を展示しているブースに立ち寄ってはスタッフに声をかけていた。また一角には広島お好み焼き、スリランカカレー、小籠包、海鮮だしをきかせたから揚げ、深圳ではなく新鮮なミルクを使ったソフトクリームなどの屋台が並び、店のスタッフが晴天にのぼりをはためかせて笑顔もふりまき、味と香りで会場を盛り上げた。