エンルート、解散を決議 14年8カ月の歴史に幕

2021.06.05

 株式会社エンルートは6月3日、臨時株主総会を開き、会社の解散を決議した。これに伴い事業活動を終了し、清算手続きに入った。日本のドローン産業の黎明期から主に産業用ドローン開発や操縦士の育成などで市場をけん引してきた主要プレイヤーは、2006年10月の設立から14年8カ月の歴史に幕を下ろした。清算手続きの結了により同社は消滅する。

臨時株主総会開催、公式サイトで業務終了を報告 清算手続き開始

 エンルートは6月3日の臨時株主総会で解散を決議し、同社の公式サイトに「会社解散のご報告」を掲載した。この中で「当社は2006年の会社設立以来、国産ドローンメーカーとして農業及び測量用ドローン機体の開発・製造・販売を軸に事業活動を行なって参りましたが、2021年6月3日の当社臨時株主総会にて解散を決議しましたことをご報告申し上げます。また、2021年6月3日を以て通常業務は終了となり、必要な手続きが完了次第、清算結了となる予定です」などと短く伝えた。

 エンルートは今年1月末にドローン関連事業を、NTT東日本系の株式会社NTT e-Drone Technology に引き継いだ。2月以降は、事業譲渡の判断を迫られる引き金となった助成金不正受給に関わる対応に専念し、作業が終了したことなどから解散を決めたとみられる。

 エンルートは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に採択された事業で助成金、委託費の受給をめぐる不正が発覚し、2020年2月に社長を交代するなど経営を一新した。しかしその後の調査で、農林水産省や国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)関係でも不正が見つかったため、受給した資金を返納し、9か月の指名停止処分を受けるなどさらなる対応が必要になり、事実上の撤退を判断し、今年2021年1月に「一部、事業譲渡」などとしてNTT e-Drone Technologyへの事業譲渡を発表した。NTT e-Drone Technology が扱っている農業用の散布機「AC101」はもともとはエンルートが開発した機体で、小型、軽量の散布機として技術を継承している。またエンルート出身の技術者、操縦士で現在もドローン産業をけん引する立場で活躍している人材は多く、エンルートの実績の一端がうかがえる。

 なおエンルートの公式サイトでは「これまで皆様から賜りましたご愛顧に心から感謝申し上げるとともに、社を解散することとなり、ご迷惑をおかけしますことを、深くお詫び申し上げます。略儀ながら書中をもってご報告させていただきますとともに、皆様の今後ますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。」と結んでいる。

公式サイトに掲載された「解散報告」
展示会でのエンルートのブーズには人垣ができていた=2019年10月、千葉・幕張メッセ
埼玉県の上田清司知事(当時)が視察に訪れたこともある=2018年8月、埼玉県朝霞市
事業を譲渡するまで拠点だった埼玉県のエンルート本社社屋.。2021年5月に東京・赤坂に本社を移転した
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