神戸市の市街地でアナウンスドローンが活躍している。神戸市は外出自粛要請を呼びかける啓蒙活動の一環として繁華街での上空からの呼びかけに取り組んでおり、ITインフラ事業を手掛ける日本コンピューターネット株式会社(NCN、大阪市北区)と拡声放送機器大手のTOA株式会社(神戸市)が、拡声器搭載のスピーカードローンを三宮の繁華街上空で飛行させた。
スピーカードローンが飛んだのは1月30日。JR、阪急、阪神三宮駅から徒歩10分の生田神社(神戸市中央区)境内にある生田神社会館の屋上を起点に、午後2時から20分間、午後4時から20分間の2回に分けて飛行した。ドローンは繁華街上空から、搭載したスピーカーを通じ、女性の声で「健康を守るための行動をお願いします」などと呼びかけた。呼びかけは地上でもはっきりと聞き取れた。
ドローンの運用を担当したNCNは技術で地域に貢献する理念を掲げ平成9年に創業したIT企業。沖貴博代表は「音声が地上で聞き取れるように改良を重ねてきました。かなり聞き取れるようになったと感じております。これからも防災や災害対応などにお役にたてる活用を進めて参ります」と話している。
神戸市が今回の緊急事態宣言に伴う呼びかけを実施したのは、1月20日に続き2度目。また前回、昨年4月7日から出された緊急事態宣言下のさいも、ドローンを活用して上空からの呼びかけに取り組んでいた。
神戸市は4月17日、神戸市中央区の三宮の繁華街に隣接する生田神社でスピーカーを備えたドローンを飛ばし、新型コロナウイルス感染拡大防止のため外出を控えるよう空から呼びかけた。ドローンの運用は一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)が担った。
神戸市がドローンを飛ばしたのは、兵庫県には4月7日に特措法第32条第1項に基づく緊急事態宣言が発令されたにも関わらず、県内最大の繁華街の玄関口、三ノ宮駅周辺の人手が目標ほどに減っていない事態を重くみたため。この日は、DPCAのパイロットが生田神社からスピーカーを装備したMavicを飛ばし、上空50メートルほどの高さから「兵庫県には緊急事態宣言が出ています。みだりに外出しないようにしましょう」と女性の声で呼びかけた。
呼びかけた声は地上で明瞭。関係者は「ドローンからであれば呼びかけが広範囲に届く。地上でもはっきりと聞き取れる。新型コロナウイルス感染症対策での一環としてドローンをもっとうまく使うべきだと思う」と話し、この日のドローンの有効活用への手ごたえを感じていた。
新型コロナウイルス感染症への対策としては、世界各国でもドローンが殺菌剤などの散布、監視、輸送、呼びかけなどで活用されている。DPCAはこうしたドローンの有効活用を、災害協定を締結している自治体などに提案しており、賛同を表明した神戸市で今回の取り組みが実現した形だ。
この日は兵庫県や県の要請をうけた神戸県警も外出自粛を呼びかける活動を展開。夕方には三宮の繁華街で制服姿の警察官が通行人に外出自粛を促した。今後、福原エリア(神戸市兵庫区)や神田新道エリア(尼崎市)、魚町リエア(姫路市)などの歓楽街でも、同様の活動を実施するという。