ドローン施策の総合調整を担う内閣官房小型無人機等対策推進室(ドローン室)は4月20日、複数の府省庁が独自にサイトなどで公表しているドローン関連施策を一覧できるようにするため、情報共有プラットフォームを構築し、同日、公開した。国の関連施策として関係法令、各種ガイドラインや手引き、交付金や補助金などの施策が一覧でき、自治体の施策、関連イベントも掲載している。同室は「今後も拡充をはかっていきたい」と話している。
公開されたサイトは内閣官房のサイトの「各種本部・会議等の活動情報」に「ドローン情報共有プラットフォーム」として構築されている。国の関係施策として、主な関係法令、ガイドライン・手引き、交付金・補助金、マッチング、技術開発、関連会議、その他、と並ぶ。ガイドラインの中には、「全般」、「物流」、「点検」、「測量」、「消防」が用途ごとに並べられている。
自治体の主な取り組みとして、福島県、東京都、神奈川県、富山県、愛知県、三重県、兵庫県、大分県の事例が紹介されているほか、関連団体、関連イベントなども掲載している。関連イベントとしては、4月20日の「ドローン官民協議会」(=「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」でも公表された、9月開催の「第1回ドローンサミット」が紹介されている。
内閣官房ドローン室では、国の情報については双方向でやりとりをしながら情報共有をはかる一方、地方や関連団体の情報は、幅広いネットワークをいかした情報網からの収集と、地道なヒアリングとを組み合わせるなどして集めている。
プラットフォームについてはアクセスしたユーザーから「情報が一覧できることはありがたい」などの評価の声が上がっている、一方で情報は質、量ともに増えることが明らかで、同室は「トライ・アンド・エラーを繰り返しながらになるとは思いますが、拡充を図っていきたい」と話している。また、同室への情報提供も受け付けている。
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兵庫県と大阪公立大学は、多自然地域等でのドローン利活用の可能性を探る共同研究の一環として、兵庫県猪名川町でドローンを使った見守りや呼びかけ、オンライン診療機器の配送などの実証実験を行った。実証実験ではスピーカーを搭載したドローンを飛行させ音声が住民に届けられることや、住宅の新聞受けに配達された新聞がたまっていないかどうかが判別できることを確認した。主催した兵庫県は、「一定の有効性が確認できました。ドローンに求めたい性能もあり、今後も活用を見据えながら検証を続けたいと考えていきます」と話している。
実験は、兵庫県が研究機関や民間企業などと連携して課題解決にあたるために設置した「公民連携プラットフォーム」を通じて、大阪公立大学都市科学・防災研究センターと共同で実施した。実験には猪名川町、ドローン運用も手掛ける日本コンピューターネット株式会社(大阪市)、音響技術のTOA株式会社(神戸市)、医療機器のニプロ株式会社(大阪市)が協力した。
会場は兵庫県猪名川町の山間部で、「消防防災広場」と「上肝川」のバス停周辺エリアとの区間の約1.0 ㎞を、Matrice300RTKが、高精細カメラ、または、スピーカー、あるいは、③オンライン診療関連機器などを積んで飛行した。高精細カメラを搭載した飛行実証では、地域の住宅の郵便受けに新聞なため込まれた状態を再現し、ドローンで住宅の異変を検知することができるかどうか確認した。カメラでズームをすることで新聞のたまり具合を見ることができ、ふだんと違う乗用である場合、空からドローンで確認できる可能性を示した。
また、スピーカーを積んだ飛行実証では、上空から発した音声が地上に届くかどうかを確認した。ドローンは「地域の見守りの実証をしています」などのメッセージを流した。実証では地上でも明瞭に聞こえることを確認した。オンライン診療器具の配送実証では、血圧計を住民に届けるなどを実施した。
兵庫県と大阪公立大はこれまでもドローンを使った実証を重ねてきており、兵庫県は、「実証を通じて山間部の社会課題につきまとう“距離”の問題を、ドローンで埋め合わせることができることが見えてきました。十分に手を差し伸べるにはさらに長距離飛行が必要となるので、LTEやバッテリー技術の向上が図られることを期待したいと思います。コストも重要なので検証しないといけないと考えています。課題を洗い出したうえで社会に実装することを見据えて、これからも取り組みを進めたいと考えてます」と話している。