大規模物流施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」で10月26日、地域住民との交流を図るイベント「MIRAI FES」が開かれ、施設内のドローンラウンジでは子たちがドローン操縦体験で歓声をあげた。一般社団法人日本UAS産業振興協議会、ブルーイノベーション株式会社が監修するドローンの実証実験施設「ドローンネットフィールド」では、元サッカー日本代表の中澤佑二氏が参加する小学生サッカー教室が行われた。
「MIRAI FES」は、10月2日に竣工式を迎えたMFLP・LOGIFRONT東京板橋を地域に開かれた施設としてお披露目するため、三井不動産株式会社、日鉄興和不動産株式会社が開催した。「街づくり型物流施設」として開発した施設で、会場にはMFLP・LOGIFRONT東京板橋に関連する企業や地域の警察、消防の展示ブースなどが並んだほか、味自慢のキッチンカーが来場者をうならせた。
施設内の屋内多目的施設「ドローンラウンジ」では子供向けのドローン操縦体験が行われ、磁石をくくりつけたロープのついた小型ドローンをあやつって、磁石につくプレートをほどこしたスナック菓子やチョコレート、カップ麺などをつりあげる子供向けの体験が催された。参加した子供たちは、係員にコントローラーの使い方を教わったあとに自力でドローン操縦に挑戦。つきそいの親が「もうちょっと」「あと少し右」など声援を送る中、子供たちは思い思いのドローンを操作した。上手にお菓子をつりあげた子供は満面の笑顔で釣果を報告していた。
併設されたネットで覆われた屋外施設「ドローンネットフィールド」は、ドローンの教習やフットサルのコートなどして活用できる施設で、MIRAI FESでは小学生サッカー教室の会場として使われた。元サッカー日本代表の中澤佑二氏が事前に申し込んだサッカー少年たちを盛り上げた。中澤氏は特設ステージでのスペシャルトークショーにも登壇し、フェスを沸かした。
企業ブースが並ぶコーポレートブースには、ドローンフィールドなどを監修し、研究所が施設に入居するブルーイノベーションがドローンやドローンポートなどを展示した。同社のブースには、ブルーイノベーションが指導にあたった日本大学豊山女子高等学校ドローン部の活動をパネルでまとめて展示してあったり、立ちよった子供たちが付箋に描いたドローンを張り出してあったりした。
MFLP・LOGIFRONT東京板橋でドローンスクールを運営するKDDIスマートドローンアカデミー東京板橋校もブースを出展し、SkydioやPRODRONEの機体を展示した。
MIRAI FESの間も敷地の河川側の公園は地域に開放され多くの市民が休日を楽しんだ。またローストビーフ、から揚げ、キッシュ、ケバブ、たこやき、トルティーヤなどを提供する多くのキッチンカーが来場者を楽しませた。
東京都内に竣工した大規模物流施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」に、ドローンの実証実験が可能な施設「板橋ドローンフィールド(板橋DF)」が誕生し、10月2日にお披露目された。LOGIFRONT東京板橋は三井不動産株式会社、日鉄興和不動産株式会社が開発した地元と協議を重ねて竣工した「街づくり型物流施設」でドローンフィールドは物流施設に寄せられる新産業創出機能に対する期待を担う。ドローンフィールドは一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)、ブルーイノベーション株式会社が監修した。飛行用ネットフィールドやドローンポートが備わり、稼働中の物流施設を使った実験も可能で、都心の実験場の開設で、高頻度の実験が可能になる。会員制コミュニティも運用し共創を加速させる。
LOGIFRONT東京板橋と板橋DFは9月30日に竣工し、10月2日に竣工式典と説明会が行われた。説明会では日鉄興和不動産の加藤由純執行役員、三井不動産の篠塚寛之執行役員、板橋区の坂本健区長が参加した。加藤氏、篠塚氏が施設を説明し、坂本区長があいさつをした。施設内では内覧会でドローンのデモフイライトが行われ、ここでは三井不動産ロジスティクス事業部の小菅健太郎氏が概要を説明、JUIDAの鈴木真二理事長があいさつをした。ブルーイノベーションの熊田貴之代表取締役社長も登壇した。
板橋DFはドローン飛行用のネットフィールド、ドローン事業者用R&D区画、交流スペースを備える。物流施設に併設していることから、施設を実験会場として活用することも想定していて、施設の外壁を使った点検や配送などの垂直飛行、屋上にはりめぐらされた太陽光パネルの点検、接地されているドローンポートの活用、AGV(自動搬送車)との連携などが想定されている。ドローンオペレーター輩出で実績をもつドローンスクール、KDDIスマートドローンアカデミー(東京)が東京板橋校を構え、人材育成にあたることも発表された。
このうちネットフィールドは、敷地内の広場に整備された広さ約650㎡、高さ14mのネットに囲まれた設備で、この中では申請をせずにドローンを飛ばせる。KDDIスマートドローンアカデミー東京板橋校の講習会場にもなる。敷かれている芝はフットサルコート仕様で、時間帯によって地域住民の健康増進にも開放される。
ネットフィールドに近い入り口から建物に入るとすぐ、ネットフィールドをのぞむ位置にドローン事業者の交流を目指して設置された交流施設「ドローンラウンジ」がある。大型モニター付きのミーティングルームなどが備わり、ネットワーキングイベントにも使える。
この日はデモフライトも行われ、施設内では物流施設内で照明を落とし、光が届きにくい場所で球体ドローンELIOS3などの機体を飛行させる様子や、建物の外壁を点検するような飛行を公開した。
説明会では、東京大学と三井不動産の産学共創協定に基づく「三井不動産東大ラボ」が主体となる共同研究としてGPSに依存しないドローン位置特定技術、高層マンションなどでの垂直配送実現性検証や、ブルーイノベーションが主体となる長距離、長時間、自動航行に対応する高性能ドローンポートの開発などが含まれることが紹介された。
三井不動産の篠塚執行役員は「都心での高頻度な実験が進みにくい課題を解決することが可能となります。ドローン技術のイノベーションが起こることを期待しています。またここで検証された技術が配送、建物管理、災害時対応などの分野で課題解決につながることを期待しております」と述べた。
監修を担当したJUIDAの鈴木真二理事長は「ドローン産業の発展に少しでもお役にたてることを期待しております」とあいさつした。
板橋DFの入るLOGIFRONT東京板橋は、三井不動産、日鉄興和不動産が手掛ける大規模街づくり型物流施設で、物流拠点として高い機能と豊かなデザインを備えながら、地元の要望を取り入れた街に開かれた施設で、三井御不動産の篠塚執行役員は「街づくり型物流施設の集大成」と位置付けた。
板橋区との協議では、災害に強いまちづくり、地域に開かれた憩いの場の整備、新産業機能の要望を取り入れ、近くを流れる荒川、新河岸川の氾濫などの災害を想定し、住民の対比場所の確保、支援物資の補完場所の確保なども設けていることが特徴だ。あいさつした板橋区の坂本健区長は「防災力向上に多大な貢献を頂いております」と謝辞を述べた。
開発したのは日本製鉄の製鉄所があった場所で、フロアプレート約36000㎡、屋上に設置した太陽光パネルは4MV、敷地の河川敷として公開空地を設定して地域にも開放した。
ドローンフィールドとの相乗効果について、今回の説明会で物流用途や防災用途でのグ遺体的な実装計画には触れられなかったが、大型物流施設に併設されたフィールドであり、大型河川の流域に位置し、防災に高い問題意識を持つ板橋区にあることなどから、ドローンの実装にも高い期待がかかりそうだ。