AAM開発の株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)はインドネシアのヘリコプター運航大手ホワイトスカイ(PT Whitesky Aviation)と、SkyDriveの機体「SKYDRIVE (SkyDrive式SD-05型)」のフルスケールモックアップ展示を含めた展示、講演などのイベントを6月下旬にジャカルタ近郊で開催した。インドネシア政府関係者や関連産業関係者らを対象にしたイベントで、現地での実装への取り組みが進んでいることを印象付けた。SkyDriveが海外でフルスケールモックを展示したのはインドネシアが初めてだ。
SkyDriveとWhiteskyは昨年(2025年)8月に業務提携契約を結び、導入に向けた取り組みを重ねてきた。議論を重ねる中で、活用法などの具体化が進んだため、関連するインドネシア政府関係者、鉱山開発関連事業者、プランテーション関係者、航空事業関係者らを対象に展示、講演などのイベントを開催した。
会場はWhiteskyの施設「チェンカレンヘリポート」で、ジャカルタ近郊のバンテン州タンゲランにあるインドネシア最大の国際空港スカルノハッタ国際空港に隣接していて、開場には政府、民間企業のトップなどが訪れ、実機の外観、内装、サイズ感、居住性などを確認したほか、都市部の深刻な渋滞や地方、島の移動など移動にかかわる課題などについて意見交換が行われた。
早ければ2029年の商用化を目指しており、ジャカルタでのエアタクシー用途、鉱山・採掘エリアでの作業員移動用途などを軸に期待認証などの取り組みを進める方針だ。
SkyDriveが7月3日に公表したプレスリリースには参加者の声や関係者のコメントが紹介されている。
プレスリリースの全文は以下の通りだ。(注釈、会社概要など除く)
〜海外初となる空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」のフルスケールモックアップを展示、 インドネシア市場の具体的な需要を確認、政府との認証取得への取り組みを具体化~
コンパクトな「空飛ぶクルマ」の開発・製造・販売を行う株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO 福澤知浩、以下「SkyDrive」)は、インドネシア最大級のヘリコプター運航会社であり、遊覧サービス、貨物輸送、医療搬送を行うPT Whitesky Aviation (以下、「Whitesky」)と共同で、2026年6月23日から24日の2日間、スカルノハッタ国際空港に隣接するWhitesky所有のチェンカレン ヘリポートにて、政府関係者および、鉱山、農園等の関係者を対象とした、イベントを開催し需要を確認いたしました。
インドネシア共和国では、年間約65兆ルピアに達するとされるジャカルタ首都圏の交通渋滞による経済損失や、国内主要産業の一つであり、各州の域内総生産(GRDP)において大きな割合(全体合計の約10%)を占める鉱業、総面積1,500万ヘクタールを超える広大な農園地帯におけるインフラ未整備に伴う物流・災害対策の遅れなど、都市と地方の双方で深刻な社会課題を抱えています。
本イベントでは、SkyDriveとして海外で初めて「SKYDRIVE (SkyDrive式SD-05型)」 のフルスケールモックアップを展示し、これらのインドネシア特有の社会課題解決に向けた具体的な空飛ぶクルマのユースケースのディスカッションおよび提案を行いました。

■背景およびこれまでの進捗
SkyDriveとWhiteskyは、2025年8月にインドネシアにおける「空飛ぶクルマ」の社会実装に向けた業務提携契約を締結し(※5)、継続的なディスカッションと事業計画の策定を共同で進めてまいりました。
両社は当初、ジャカルタ首都圏における深刻な社会課題である「慢性的な極度の交通渋滞」の解決を目指し検討をスタートしました。空港から都市中心地への速達性の向上は極めて重要なテーマであり、スカルノハッタ国際空港に隣接するチェンカレンヘリポートと、ジャカルタ中心地を結ぶ「都市型エアタクシー航路」の開設に向けた具体的な議論を先行して重ねてきました。
この都市部における渋滞対策を一歩進め、両社はさらに、インドネシアの持続可能な成長を支える地方の主要産業地帯(鉱山や農園など)が抱える特有の課題へと議論を広げてまいりました。
資源の採掘現場(カリマンタン島、スラウェシ島、スマトラ島など)は、陸路の道路インフラが未整備で悪路が多く、移動効率の低下や、週に数回発生する労働災害時の緊急搬送体制に課題を抱えています。
また、農業分野においても、パーム油などの大規模プランテーションでは、敷地が非常に広大であることから、従来のドローンでは森林火災の早期発見やパトロールといった広域監視に限界が生じていました。
都市型エアタクシーの検討から始まった両社の議論は、これら地方の産業現場特有の課題に対しても空飛ぶクルマがオペレーションコストの削減と環境負荷の低減を両立する有効な解決策になり得るという結論に至り、今回のイベント開催および具体的な地方ユースケースの開拓を本格化させることとなりました。
■想定ユースケース
これまでのディスカッションを通じて、初期に想定していた都市型エアタクシーに加え、地方の主要産業において以下のエリアおよび使用方法における空飛ぶクルマの導入検討が進んでいます。
1.都市型エアタクシー(ジャカルタ首都圏)
スカルノハッタ国際空港からジャカルタ中心地や周辺スマートシティ等への、大渋滞を回避した迅速な送客。
2.鉱山・採掘エリア(カリマンタン島、スラウェシ島、スマトラ島など)
悪路により車やバスでの移動に時間がかかる現場における「作業員やエンジニアの移動(シャトル運航)」や、週に数回発生する労働災害や自然災害に備えた「救急医師の緊急搬送(ドクターヘリ用途)」としての活用。
3.広大な農園エリア(パーム油、製紙、砂糖等のプランテーション)
ドローンでは航続距離が制限される広大な敷地において、敷地オーナーや管理会社による「サイトモニタリング(見回り・パトロール)」や、毎年乾季を中心に発生する「森林火災の早期発見・初期消火コントロール」への活用。
現在、これらの現場では一部移動手段としてヘリコプターが活用されていますが、空飛ぶクルマに置き換えることで、オペレーションコストの削減、および排出ガスや騒音問題の解決が期待されています。
■本イベントの概要
・ インドネシア政府関係者(日本の国土交通省と経済産業省にあたる省庁の方)
・ 大手鉱山開発企業
・ 大手農業・プランテーション関係者
・ 航空業界関係者
イベントでは、海外初出展となる「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」のフルスケールモックアップを前に、政府や民間企業のトップ層が実際のサイズ感や居住性を体感し、インドネシアの地方や都市部における導入に向けた熱心な意見交換が行われました。また、来場者より、「鉱山でのシャトル運航や農園の広域監視といった地方産業の課題解決、さらには都市部の渋滞回避など、インドネシア特有の多様なビジネスケースに使える」「ヘリコプターに代わる新たな移動手段としての経済性や、最先端技術がもたらす新しい産業創出の可能性が魅力的」等の声があがりました。
■コメント
インドネシア観光・クリエイティブ経済省 デジタル創造・技術担当副長官
ムハマド・ニール・エル・ヒマム(Muhammad Neil El Himam)氏
SkyDrive社が開発を進める空飛ぶクルマの技術は、我が国のクリエイティブ経済に革新をもたらす『新たな顔』です。同社の先進技術の導入は、単なる移動手段の進化に留まらず、新たな知的財産や専門職の創出といった多大な経済価値を生み出すと確信しています。インドネシアが自ら新技術を開発・管理できる国となるためにも、SkyDrive社のようなグローバル企業と現地パートナーが一体となり、産学官連携で『完全なエコシステム』を構築していくことが不可欠です。モビリティの未来を前進させる同社の挑戦を歓迎し、強力に後押ししてまいります。
■コメント
インドネシア運輸省 航空性・運航局長
ソキブ・アル・ロフマン(Sokhib Al Rokhman, S.SiT., S.T., M.T.)氏
我が国は次世代モビリティの新技術を歓迎しており、民間企業の取り組みを高く評価しています。航空の安全性とセキュリティに一切の妥協はありませんが、既存の規制枠組みを活用し、実証実験の場として複数の空港を提供するなど、柔軟に法整備を進める準備があります。SkyDriveのような外国製機体の導入に向け、将来的に日本の国土交通省(JCAB)と証明検証プロセスの協定を締結し、円滑な連携を図りたいと考えています。早ければ2029年の商用化を目指す計画に合わせ、今後約3年間で安全な商業運用に向けた規制整備に全力で取り組んでまいります。
■今後の展望
SkyDriveとWhiteskyは、今回のイベントで得られた各業界からの具体的なニーズ(人員・物資輸送、救急搬送、農園監視等)を基に、商用運航に向けた実証実験の計画や機体認証プロセスの構築をインドネシア政府と共に官民一丸となり、推進してまいります。まずはカリマンタン等の鉱山エリアや、ジャカルタ首都圏でのエアタクシー路線におけるインフラの整備や運航体制の構築を進めてまいります。


インドネシアに一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の認定スクールが、南ジャカルタ・クバヨランバルのムストポ(Moestopo)大学に誕生した。2月24日に開講式を行い、開講式の当日から27日までの4日間に第1期の座学、実技講習、試験が行われた。今後、2か月に1回、開講する方針だ。

スクールでは、JUIDAが業務を委託している広告業の中央宣興インドネシア(CSK)が派遣した講師が講習を担当した。インドネシア国内のドローンの飛行ルールは、運輸省航空総局が7キログラム以上の機体を150メートル以上飛ばすさいの取り決めなどに限りルールがあり、今後、現在活用の拡大に伴い、より軽い機体を含むルールの整備が進むと見込まれている。スクールの座学ではこうしたインドネシア国内の状況のほか、米連邦航空局(FAA)などのルールや安全対策、気象に関する講習が行われた。操縦の実技訓練も実施された。
最終日には試験が行われ、合格者にはJUIDAが「無人航空機操縦技術証明証」と「安全運航証明証」を発行する。
ムストポ大学でドローンスクールを担当するアンバール・プラティウィさんは「国内でドローンの産業利用が広まれば、国内の法律や規制が整備される。そうなれば法律や安全対策といった、ドローンの運用方法を体系的に学んだ操縦士が必要になる」との意義を説明したという。
JUIDAは2019年7月24日、ムストポ大学、CSKとドローンの人材育成などに関する覚書(MOU)に調印しており、それ以来、認定スクール開講に向けて話し合いを続けてきた。調印式には、ムストポ大学の運営責任者、THOMAS SUYATNO教授、CSKのRUDY HARJANTO会長らが出席。JUIDAからは鈴木真二理事長、熊田知之事務局長らが出席した。CSKのRUDY会長が「テクノロジーは人間の幸せのためにある。とりわけドローンに期待しており大学としてそれを担う人材育成に貢献したい」と発言し意気投合していた。
日本のドローン人材育成の仕組みには、海外から関心を寄せられ、200を超えるスクール網を持つJUIDAには世界各国の政府、企業、学校から問い合わせが相次いでいる。JUIDAも積極的に交流を進めていて、今回の開講はJUIDAの海外展開にはずみをつけそうだ。


一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は7月24日、インドネシアの中堅私学であるMOESTOPO大学(ジャカルタ)、広告代理事業や現地進出支援事業を展開するCHUO SENKO INDONESIA(CSK、同)とドローンの産業振興や人材育成の重要性などの方向で協議を重ねることについて基本合意し、それぞれと覚書(MOU)を調印した。今後、具体的な内容などについて協議する。JUIDAはマーケットやビジネスチャンスの拡大に向けて海外展開に積極的で、今後の検討次第で、インドネシアでの認定スクール開設も視野に入る。


会談には、MOESTOPO大学側の代表として、大学の運営責任者であるThomas Suytno教授、CSK側の代表としてRudy Harjatno会長らが出席。JUIDAからは鈴木真二理事長、熊田知之事務局長らが出席した。MOESTOPO大学のSuyatno氏はインドネシア私立大学協会の会長も務めている。
会談ではドローン産業の育成の重要性について出席者が意気投合。CSKのHartanto会長は「テクノロジーはテクノロジー自身のためにあるわけではなく、人間の幸せのためにある。とりわけドローンには期待していて、大学としてそれを担える人材育成に貢献したい。そのための機会も提案したい」と発言、JUIDA側出席者が頷いた。また、ドローンの飛行ルールについてインドネシア側から「国内では十分に整備されているとはいえない」という課題が取り上げられると、鈴木理事長が「レギュレーションの制定は産業発展のうえで重要」と指摘。インドネシア側が同意する場面がみられた。会談では今後も協議を続ける方向が確認され、MOUに調印することになった。
今後の協議についての具体的な内容は今後検討することになるが、インドネシア国内でのドローン市場や、特に人材育成のメソッド、ルール策定に関する情報交換などが含まれる見込みだ。大学がJUIDAのメソッドを活用したドローンスクールを開設することも視野に入る。
日本国内のドローンに関連した人材育成の仕組みは、海外でも人材育成の事例として取り上げられることがあり、特に200を超えるスクール網を持つJUIDAには世界各国の企業、政府から問い合わせが相次いでいる。JUIDAも積極的に交流を進めていて、シンガポールでは認定スクール設立にこぎつけた。インドネシアで事業が具体化すればJUIDAの海外展開にはずみがつきそうだ。
JUIDAの鈴木理事長は会談後「今回のMOUはインドネシア、日本それぞれにとって有意義。今後、人材育成を通じたドローンの産業振興について協議することなどが考えられえる。JUIDAにとってはこれまで培ってきたノウハウの有効活用にもつながる」と話した。

