ロボティクスプラットフォームを提供するチューリヒ工科大学発のスタートアップ、Rapyuta Robotics株式会社(東京都江東区)は3月2日国際物流大手UPSグループの、UPSサプライチェーンソリューション・ジャパン株式会社(東京都港区)と、物流倉庫向け協働型ピッキングアシストロボット(AMR)の導入に向けた覚書の締結をしたと発表した。今後、2021年度中のAMR導入に向けて検討を本格化する。
協働型ピッキングアシストロボット(AMR)は、Rapyuta Roboticsが開発したロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」で制御された柔軟性と拡張性を持つロボット。国内では2020年7月に物流倉庫向けとして初の商用化を果たした。UPS向けでは現在、Rapyuta Roboticsが提供するシミュレーターに、導入候補先の出荷情報、商品情報、レイアウト図などを入力し、AMRを導入した際の動線や期待生産性などの分析を進めている。
AMRのシミュレーターは、AMRの自由度の高い走行や、予測難易度の高い数多くの動きのパターンに対応できるよう最適化したシステム。AMRと同じソフトウェアで人の動きを含めた現場状況を再現し、稼働するロボットの台数、協働するスタッフの人数に応じた期待生産性の試算や、想定されるオーダーに対して出荷期限までにピッキング作業を完了出来るかどうかを検証できる。
特定の要素を変更した分析も可能。このため倉庫で棚の配置や通路幅などのレイアウトや棚割りの変更を行った場合の、生産性の改善程度を検証したり、作業のボトルネックの探索が可能という。
AMRは物流倉庫に導入するさい、既存の棚、人を活かして導入することが可能なところが大きな特徴だ。物流倉庫向けロボティクスソリューションは多くが大規模な導入工事や環境構築が必要だが、AMRではその負担が大幅に解消できる。同社のロボティクスプラットフォーム「rapyuta.io」と連携することで、棚のレイアウト変更や取り扱う商材の変化、需要の増大にも対応する。
医療イノベーションを手がけるHTG株式会社(大阪市)と、ブルーイノベーション株式会社(東京)は、9月1日、医療業界向けソリューションの共同開発に向けて、資本業務提携 契約を締結したと発表した。ブルーイノベーションが開発したドローンや AGV を活用した在庫管理システムを、医薬品、医療機器、医療材料のメーカー、物流事業者向けの在庫管理システムと組み合わせ、効率的で適切な管理を目指す。
新型コロナウイルス感染拡大対策として、医療関連産業でのリモート化需要にこたえるのが目的。HTG社内に向けてシステムを開発したのち、HTGが提携する国内外の医薬品や医療機器関係のメーカー、卸売事業者などに展開する方針だ。
医薬品の適正製造製造や流通のガイドラインGMPDに沿った適切な管理をしたうえで、物流の棚卸の効率化などを目指す。
医薬品業界では、不適切、不十分な管理のため医薬品の品質不良が起きたり、正規流通網に偽造薬が紛れ込んだり、表示が不正であったり、期限切れであったりといった流通管理の問題が世界的に報告されている。厚生労働省は、2018年に事務連絡である「医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインについて」を出すなど是正に力を入れており、両社は適切な製造、流通規範(GMPD)にそったソリューションの共同開発と導入を目指す。