株式会社ACSL(東京都江戸川区)が11月11日、2022年1~9月期決算(第三四半期)を発表した。売上高は11億6165万円で、通期売上高である16億5000万円(業績予想修正後)をあと約5億円の上積みで達成する。期中に1000万円強の為替差益が発生し営業外収益に計上したことも発表した。インドでは8000万ルピー(1.4億円、1ルピー=1.75円として計算)、日本国内では1.39億円の大型受注をしたとも発表しており、それぞれ2022年12月期か2023年12月期か、いずれかの業績に反映させる見込みだ。
ACSLの1~9月期決算によると、売上高は11憶6150万円、営業損益は13億2901万円の赤字、経常損益は12億5684万円の赤字、最終損益は12億7745万円の赤字だった。前年度の実績については記されておらず比較はできない。その理由を「2021年12月期より決算日を3月31日から12月31日に変更し」「2021年度第三四半期連携財務諸表を作成していないため」と説明している。実際、変更前の決算では、2021年9月期は4~9月期(第二四半期)にあたり、比較対象にならない。
ACSLが力を入れている機体販売について、小型空撮ドローン「SOTEN」は9月末までに488台を出荷済みで、これも含めた受注は初期ロット600台を上回ると言及した。同社は年度末にかけて追加生産を進める方針だ。また株式会社エアロネクストやセイノーホールディングス株式会社が中心となって全国で進めているドローンを組み込んだ物流事業、「新スマート物流」に使われている物流専用ドローン「AirTruck」も9月末までに15台を出荷したという。
なお、2022年7~9月期に生じた為替差益1020万円を営業外収益に計上していることを報告している。インドで受注した8000万ルピーの大型案件も個別に発表していて、それによると受注したのは「プラットフォーム機体」。インドが2022年2月から外国製ドローンの輸入を禁止していることから、ACSLは現地資本との合弁企業、ACSL India Private Limtedに生産を委託するという。2023年5月までに納品する。SOTENも国内で1.39億円を受注していて、納期は12月。業績の上積み要素として、運航支援事業で7700万円の受注(納期は2023年3月)をしたことも発表している。
株式会社ACSL(東京都江戸川区)は11月11日、株主、取引先、従業員、顧客などのすべての関係先に向けた報告書「Integrated Report 2022」を公開した。先行投資が必要な研究開発型の製造業として、目標と現在地を端的な言葉、図表などを活用して示していて、目標達成に向け年間成長率50%以上などを掲げている。ACSLがすべてのステークホルダー向けの報告書を発行するのは今回が初めて。
「Integrated Report 2022」を発表したのは、「包括的・定性的な強みやステークホルダーに知っていただきたい情報の発信を抜本的に強化すべきと考え」たため。「A World 30 Years from Now~世界を“平ら”にするために」「Cutting-edge Technology~制御技術のテックカンパニー」「Clients and Us~強力な顧客バックボーン」「A Global Culture and Workstyle~グローバルな企業文化と働き方」「Financial Results and ESG」の5つの局面から同社の考え方や強みをまとめた。
ACSLは今年(2022年)1月28日に公表した中期経営計画「ACSL Accelerate 2022」で、2025年度について売上高100億円、純利益10億円の達成を掲げている。2022年度の売上高は修正後で16億5000万円を予想しており、2025年度の目標達成には「年間50%以上の成長率が必要」と盛り込んだ。
具体策の一つとして売上高に占める機体販売比率を取り上げ、「2025年度には6割に高めたい」と見据える。2022年度9月末(第三四半期)時点では、約11億6千万円の売上高のうち、「プラットフォーム機体販売」、「用途特化型機体販売」で約7億7千万円と6割超えを達成しており、2025年度までの売上高の拡大と期待販売比率の推移が目標達成のカギになる。
Integrated Report 2022では、企業としての社風にも言及している。社会的に対応が要請されている多様性に関連し、Diversity & Inclusivrも「重要アジェンダ」と説明し、2021年度の女性従業員比率が29%、女性管理職比率が17%であることや、外国籍従業員比率が24%であることを数字で紹介している。該当する社員の声もインタビューで掲載している。Integrated Report 2022では、「国籍や性別、家庭の状況を問わず誰もが活躍し成長できるフェアな環境づくりを目指します」と表明している。
このほか企業価値向上のための取り組みをCxOのインタビューで伝えている。
Integrated Report 2022は、ここからダウンロードできる。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6232/ir_material2/194949/00.pdf