株式会社ACSL(東京都江戸川区)は、火力発電所の煙突内部を点検する煙突点検ドローンに対応した専用のGCS(基地局)アプリケーション「Smokestack TAKEOFF」を開発したと発表した。煙突の内径や高さ、飛行条件、カメラ種別、センササイズなどを入力すると、飛行ルートを算出し、ボタンをおせば自動飛行する。飛行中がGCS画面でドローンのとらえた映像をリアルタイムで確認できる。ACSLは開発の委託を受けた関西電力グループと実務に適用できることを確認し、7月15日に受注を開始した。
開発したGCS(基地局)アプリケーション「Smokestack TAKEOFF」は、必要な情報を入力することで飛行設定を算出しルート作成する。GCS上のボタンで自動飛行し煙突内を撮影。飛行中のテレメトリ情報や点検用カメラの映像をリアルタイムで確認できる。
発表内容は以下の通り。
株式会社ACSL (本社:東京都江戸川区、 代表取締役社長:鷲谷聡之、 以下、 ACSL)は、 関西電力株式会社(以下、 関西電力)より受託され、 ACSLの用途特化型機体である煙突点検ドローンに対応した専用の基地局アプリケーション(以下、 GCS)である「Smokestack TAKEOFF」を開発しました。 そして、 関西電力のグループ会社である株式会社Dshift(以下、 Dshift、 https://www.dshift.co.jp/ )と関西電力との協業体制により実務適用できたため、 ACSLは煙突点検ドローンと本専用GCSをセットにし、 本日より受注を開始しますのでお知らせいたします、
背景
発電所や化学プラントに設置されている煙突の内部は、 排出ガスの熱や酸腐食等の要因により劣化していくため、 定期的にゴンドラを架設する等し、 目視点検を行う必要があります。 点検時には稼働を停止した状態となり、 ゴンドラを設置した点検では一般的に2-3週間かかり人手も要するため、 コストと人員不足の点から課題となっています。 また、 高所作業のため、 安全面での不安を抱えながらの作業となります。
そうした課題を解決するため、 ACSLは関西電力より受託され、 煙突内部の点検を行うための専用ドローンを2020年8月に開発しました※1。 ドローンによる点検は、 人が地上にいながら自動飛行による点検が可能であり、 安全かつ迅速に状況確認ができるのが特徴です。 煙突1基あたりの点検時間は、 求められる画像品質によりますが、 詳細な点検で1-2日、 360度カメラで簡易的に見るだけであれば半日で完了します。 また、 高所作業による労働災害の心配がなくなるという点においても効果が期待できます。
※1 2020年8月6日 関西電力が火力発電所の煙突内部点検で活用するドローンを開発 関西電力特許出願(特願 2020-063862)
https://www.acsl.co.jp/news-release/press-release/1357/
煙突点検ドローン専用GCS「Smokestack TAKEOFF」
ACSLは、 関西電力より受託され、 煙突点検ドローンの実装を推進するために必要な専用GCSを開発しました。 本GCSにより、 ドローンを活用して初めて煙突内部を点検する方でも、 必要な情報を入力してボタンを1つ押すだけで、 安全に煙突内部を飛行し点検データを取得することが可能です。
【特徴】
煙突の情報やカメラ設定および撮影条件を入力することで最適な飛行設定を算出しルート作成することが可能です
GCS上のボタン1つで自動的に飛行撮影が可能で、 飛行中の各テレメトリ情報や点検用カメラの映像をリアルタイムで確認することができます
ACSL-PF2に搭載したカメラにより高精度な点検画像を取得することができるため、 微細なクラックが検知可能です。
近鉄グループホールディングス株式会社(大阪市)が空飛ぶクルマの実現にまた一歩踏み出した。同社は4月7日、空飛ぶクルマ開発の株式会社SkyDrive(愛知県豊田市)への出資を決定したと発表した。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)での「空飛ぶクルマ」の実現を目指す。また大阪・伊勢志摩エリアなど近鉄沿線地域での空飛ぶクルマ事業の可能性を検討する連携協定の締結を協議中だ。
近鉄グループホールディングスは、株式会社大林組(東京)、関西電力株式会社(大阪市)、東京海上日動火災保険株式会社(東京)とともに、大阪での「空飛ぶクルマのエアタクシー事業」の実装に向けた「空飛ぶクルマによるエアタクシー事業性調査」を実施することで、SkyDriveと連携している。2021年10月には大阪港の中央突堤でSkyDriveの貨物輸送ドローンを海上飛行させる実験を実施した。実験後には、SkyDriveの空飛ぶクルマ「SD-03」のモデル機を展示したレジャー施設「天保山マーケットプレース」に足を運び、主催者とともに空飛ぶクルマへの意欲を語るなど連携の強さを印象付けていた。
この日の発表は以下の通りだ(以下引用)。
近鉄グループホールディングス株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長 小倉敏秀、以下「近鉄グループ」)は、株式会社 SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役 CEO福澤知浩、以下「SkyDrive」)への出資を決定したことをお知らせいたします。今後、近鉄グループでは、2025 年日本国際博覧会(以下「大阪・関西万博」)において「空飛ぶクルマ」の実現を目指してまいります。また、両社では、大阪・伊勢志摩エリアなど近鉄の沿線地域における「空飛ぶクルマ」事業の成立可能性を検討するための連携協定の締結を協議中です。
近鉄グループは、運輸、不動産、流通、ホテル・レジャーなど暮らしにかかわる多様な事業を展開し、暮らしに新たな喜びや豊かさを提供することを目指しています。SkyDrive は、空飛ぶクルマの機体メーカーとして、日常の移動に空を活用することを目指し、2020年11月より大阪府が設立したラウンドテーブルの構成員として参加し、2021年9月には大阪府・大阪市と「空飛ぶクルマ」実現に向けた連携協定を締結いたしました。
これまで共同での実証実験の実施などの取り組みを行ってまいりましたが、「空飛ぶクルマ」の実現に向けた検討を加速するため、近鉄グループは出資を行う運びとなりました。
現在両社で、大阪エリアや伊勢志摩エリアなど近鉄の鉄道沿線地域やレジャー施設等を中心に、市場性調査やビジネスモデルなど、事業の成立可能性を検討する連携協定の締結を協議中です。
今後、近鉄グループでは、SkyDrive をはじめとする様々な機体メーカーや関連する技術や知見をお持ちの企業様と協業して、2025 年の大阪・関西万博において「空飛ぶクルマ」の実現を目指してまいります。
■ コメント:近鉄グループホールディングス株式会社 小倉敏秀代表取締役社長
近鉄グループでは、社会の構造が大きく変化する中、共創による豊かな社会の実現に向けた取り組みを進めています。このたび、国内で唯一有人飛行試験に成功し、「空飛ぶクルマ」のフロントランナーである SkyDrive さんへ出資させて頂くことになりました。今後、鉄道など既存交通との結節による移動の利便性向上、離発着場を核としたまちづくり、観光・レジャー用途での観光地の魅力向上などを検討し、「空飛ぶクルマ」を通じた魅力ある社会づくりに貢献してまいります。
■コメント:株式会社 SkyDrive 福澤知浩代表取締役 CEO
近鉄グループさんとは、SkyDrive 創業以来、空飛ぶクルマ実装に向けた議論や活動を一緒にさせて頂いています。2021 年 10 月には、地域住民の方々の理解と社会受容性を高めるために、「空飛ぶクルマによるエアタクシー事業性調査」を共同で実施させて頂き、今回、出資頂く運びとなりました。近鉄グループさんは、運輸・ホテル・レジャー・流通などの領域で、地域の方々と直接接しながら、人々の暮らしに喜びや豊かさを提供されています。SkyDrive のビジョンである「空を、走ろう」が、近鉄グループさんの各領域とシナジーを生みながら広がっていくことを目指し、まずは、大阪エリアや伊勢志摩エリアにおける空飛ぶクルマの社会実装を目指して参ります。地域経済の発展ならびに、安全で楽しく便利な暮らしの実現に貢献できるよう精進して参ります。
ドローン運用人材の育成事業を手掛ける合同会社Kanden DOTs(カンデンドッツ、大阪府大阪市中央区)が、関西電力株式会社の社員ら8人に、ドローンによる電力設備点検に関する技能や知見を授ける講習を実施した。関電は設備点検をグループ内で遂行できる体制づくりを目指していて、今回の講習が体制づくりへの前進となる。講習は10月4~7日に行われた。
Kanden DOTsによる講習は、姫路第二発電所全体(兵庫県姫路市)の外部設備の日常点検に向けて行われた。受講者は関電社員4人と、発電設備の運営、管理を手掛ける関電が100%出資する株式会社関電パワーテック(大阪市)の社員4人の8人からの出向社員で、DJIの業務用機、Matrice 300 RTKを設備内で自動航行させる方法などを学んだ。
関電は8人でドローンによる設備点検をスタート。その後順次、運用者を拡大する方針だ。関電が進めているDX推進の取り組みを加速させる狙いもある。
関電は点検について、作業員の危険回避と安全確保、精度向上、コスト削減、点検結果のデータ化などを目指し、スマート保安の導入を進めている。姫路第二発電所で、株式会社オプテージと自営で構築できるローカル5Gを活用するスマート保安の実証実験も進めており、ローカル5Gの予備免許も4月に取得済みだ。
Kanden DOTsは関電パワーテックと、ドローンの運用や操縦講習などの事業を展開する一般社団法人DPCA(京都市)が折半出資して4月に設立したドローン操縦士養成の講習事業を行う会社。送電線や鉄塔などがそろう関電の研修施設、茨木研修センターで点検を想定した講習を提供している。関電とDPCAは2017年に業務提携しており、電力設備の点検を見据えた講習で豊富な実績がある。