IHI運搬機械株式会社(IUK)とブルーイノベーション株式会社(BI)は、ドローンの積み荷を自動運転モビリティに受け渡しするポートを共同開発したと発表した。使われないままになっている立体駐車場の屋上階の有効活用などでの用途を想定しているという。
開発したポートは箱状で、ドローンが正確に着陸できる機能をそなえた離発着場と、ドローンの積み荷を受け取り、自動運転車両に引き渡す機能を持つボックスを中心としたシステム。ボックス屋上部分の離発着上がドローンの正確な着陸を誘導し、積み荷を受け取ると、所定の位置に待機している車両に無人で引き渡す。車両は自動運転のモビリティを想定している。
自動運転時代の到来を見据え、対応する駐車場などインフラ側の技術開発を進めてきたIUKと、精度の高い着陸を実現する「BIポートシステム」や、監視、制御のプラットフォーム「Blue Earth Platform」を開発してきたBIがIUKの沼津の開発拠点などで共同開発を進めてきた。
ICTやロボティクスなどの技術を活用して、公共交通や都市生活の利便性を飛躍的に高めるスマートシティ構想の実現を目指す声が高まる中、ドローンと自動運転車両との連携技術として、高い期待を集めそうだ。
ブルーイノベーション株式会社の熊田貴之社長は17日、ドローンが高い精度で離着陸できるだけでなく、自律的に地上を走行するAGVが運んできた荷物を受け取るなどの機能を持つポートについて、「間もなく公表します」と予告した。横浜市の総合展示場、パシフィコ横浜で開催されたセミナーに登壇し、同社の取り組みを紹介する中で言及、参加者がメモを走らせていた。
熊田社長が登壇したのは、「サービスロボット開発技術展、産業用ロボット開発技術展、ロボットITソリューション展、次世代モビリティ開発技術展」(主催、横浜ロボット開発技術展実行委員会)で行われた「ロボット・モビリティ専門セミナー」。熊田氏は「ドローンビジネスの最前線」について、同社の独自統合システム「ブルー・アース・プラットフォーム(BEP)」、SORAPASSなどを紹介し、「豊かな生活の実現に貢献する」と改めて宣言した。
講演では冒頭、熊田社長がブルーイノベーションのこれまでのの取り組みを紹介。この中では、ドローンの担い手を育成する必要性が高まると感じて、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の設立に関わり事務局を運営していることや、その後、点検、監視などのソリューションを開発することに注力し、「One Command Full Mission」を実現させるシステム「ブルー・アース・プラットフォーム(BEP)」の開発にたどりついたことなどを説明した。またBEPについて、情報統合管理、サーバー通信、自己位置推定システム、操縦システムの4つのサブシステムで構成されている、なども説明した。
具体的な活躍の現場として屋内警備ソリューション「T-FREND」、スイスのFLYABILITY社が球体ドローン「ELIOS」を活用した屋内点検事業、物流用ドローンポートの開発による物流ソリューションなどの事例を紹介し「それぞれにBEPが組み込まれている」と説明。9月22日に発表したばかりの7つのセンサーを搭載したELIOSの新型機、「ELIOS2」を日本市場に投入したことも紹介し、動画を投影しながら解説した。
最近は、屋内でフライトをさせることで課題を解決する、インドアフライトプラットフォームAMY(エイミー)の活用を推進していることも紹介。倉庫内棚卸、点検などのソリューションを展開していることを強調した。自己位置は誤差がプラスマイナス1センチのレベルで、「現在、倉庫内の在庫管理などでの展開に問い合わせが非常に多い状況」と説明した。
さらに、最近力をいれていることとして、「物流ソリューション」を提示。パーキンギシステムのIHI運搬機械株式会社や7月に提携した中国の物流会社ANTWORKと、基礎研究から4年かけて開発した離発着ステーション「BIポート」を、「間もなく公表します」と予告した。
詳細の言及は避けたものの、ポートは、荷物が格納できるスペースをもち、荷物を運んできた自動ロボットから荷物を受け取り、次のモビリティに受け渡す機能を持っているといい、たとえば、倉庫からAGVで持ち込まれた荷物をポートにいったん格納し、ポートで待機しているドローンが荷物を自動で積み込んで配送をするイメージだと概要を説明した。
熊田氏が会場でANTWORKのPR動画を投影すると来場者はスマホをかざすなどして撮影していた。
熊田氏はポートについて、屋内外で活躍するドローンの離発着として活躍することを想定していて、「警備、点検、エンタメ、物流でポートを設置し、離発着ステーションの提供でドローンの産業振興をサポートしたい」と話した。