DJIが公開した「DJIドローンレスキューマップ」が話題だ。ドローンによる人命救助の活動を拾い集め世界地図に表示したオンラインレファレンスで、ドローンがDJI製であるかどうかは問わない。7月16日午前9時現在、28か国で253件、414人の救助例が報告されている。
DJIドローンレスキューマップは、信頼できるニュース記事やSNS投稿などの情報を集めて編集し地図に表示した救命情報地図。地図では、発生場所、発生年月日、概要、情報源のリンクなどがみられる。2020年7月16日午前9時現在(日本時間)で、28か国で、253件、414人の給餌例が掲載されている。信頼性を確保するため、DJIは関連当局に情報共有と地図への掲載に協力を求めているという。
掲載されているのは、森林、野原、山などでの行方不明者の発見、河川や海での溺水、落水者の救命具投下による救助、遠隔地の河川で身動きが取れなくなった人々の発見、自殺からの救出などが含まれている。掲載しているケースはいずれも、ドローンが直接、発見、支援、救助などに関わった事例で、ドローンが使われても、直接の発見、救助に関わっていなければ含まれない。たとえば、ドローンを使用した捜索で地上の調査員が行方不明者を発見した場合や、救助活動の様子をドローンが監視した場合は、掲載対象にはしていないという。
掲載事例は多岐に及ぶ。
米国カリフォルニア州レディングでは今年(2020年)6月、サクラメント川に崖から100フィート(約30メートル)落下した10代の少年を、警察がドローンで発見し救助に成功した。オーストラリアのブルーマウンテンズでは2019年7月、ロッククライマーが高さ100メートルの崖で身動きが取れなくなっているところを、警察がドローンで発見し、救助にこぎつけた。
韓国では今年2月、山の中で自殺しようとしている少女をドローンが発見し救出。中国山東省では2018年3月、自殺しようと山に入った女性を携帯電話の電波を追跡しながら警察が捜索。立ち入りが困難な場所でドローンを使って本人を発見した。骨折していて、脱水症状がひどかったため、現場に出動したヘリで救出したという。またインドでは2019年8月、クリシュナ川沿岸の洪水地域で、テック系スタートアップの起業家がサーマルカメラを搭載したドローンで、2人の女性と1人の男性を発見し救助につなげた。
ほかにも米メリーランドでは公園でケガをした男性が、ボランティアのドローンパイロットに発見され救われた例、ユタ州ウェーバー郡捜索・救助ドローンチームが、夜に危険な地域で身動きが取れなくなったハイカーを発見し救助したケースなども紹介されている。
DJI の公共安全インテグレーション担当シニアディレクターRomeo Durscher氏は「公共安全の場で働く人はドローンで自分達の仕事に革命的な変化をもたらしていることを知っている。(中略)DJIドローンレスキューマップは、彼らの素晴らしい救助活動を讃え、将来、ドローンがいかに救助活動において活用され得るかを確認することができる」と、ドローンの救難救助の有効性を説明している。
またDJIの政策&法務担当バイスプレジデント、Brendan Schulman氏は「市場参入の障害を低くし先進的な運用規制に準拠しながら、ドローンを広域でアクセスしやすくすることで、確実に世界中で多くの命を救うことに繋がる。ドローン導入の促進を阻むような運用規則がある地域は、ドローンによる救助活動の報告が格段に少ないようだ」と、ドローンの運用の制限が、救助活動のせいがを活用話している。
DJIによると、ドローンによる救助活動の最初の報告例は2013年のカナダの事例で、2番目の事例はそれから1年以上たった後だった。現在では毎週平均1件程度と報告は増えている。DJIは現在、掲載されているほかにもドローンによる救助活動が多く埋もれているとみており、事例に関する情報提供を呼び掛けている。また、情報提供のさいには、プライバシーを尊重するとともに、当局の活動など機密に関連する情報を共有しないよう求めている。