一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長は、JUIDAが「創立5周年記念シンポジウム・交流会」を8月19日に開催するのを前に、DroneTribuneのインタビューに応じ、黎明期を振り返り、今後を展望しました。「ここまで大きくなるとは思っていませんでした」と成長速度が予想を上回ったことを明かす一方、今後の取り組みの方向について「機体登録で安心の制度化を」と明確に示しました。
――JUIDAの創設から理事長として歩んできました
鈴木理事長 創設した当時は、これほどドローンに深く関わることになるとは、思ってもみませんでした。ドローンに「空飛ぶクルマ」が入ってきていて、ドローンというカテゴリーそのものも変化しています。これまでも大きく変化してきましたが、これからも今までとは異なった大きな変化が起こるのだと思います。
――どんな5年でしたか
鈴木理事長 ドローンが今の電動マルチコプターとして広がりだしたのは2010年以降です。その後DJIのPhantomシリーズが出て、Amazonが宅配にドローンを使うと動画を流し始めたのが2013年12月1日で、2014年ごろには、今後はドローンが広がるとみていました。当時、ユーザーの立場の団体がなく、「作りましょう」と声をかけられて、「ではやりましょう」みたいな話から始まりました。最初は10人ほどの規模でのスタート。会員が1万人規模になるなど予想できませんでした。
――目指していたのは?
鈴木理事長 ドローンと呼ばれているものが、ちゃんと、安全に使える環境づくりです。それには、ネットワークがないと困るだろうということではじめました。とはいえ、ネットワークがどれほど広がるか、までは予想していませんでした。そもそも当時は、「小型無人航空機」というカテゴリーがなかったので、暗中模索で動いていました。
――当初は不審がられました
鈴木理事長 ありましたね。ドローンを持って歩いていると、不審なものを持っているように見られたり、「何やってるんだ」って言われたり、通報されたり、などという話がたくさんありました。ただしわれわれは、業務用のツールとして定着するだろうな、と思っていました。社会にネガティブなとらえ方があることを知ったのはJUIDAを設立した後です。そこで、ドローンが不審なものとして受け止められることがないよう、使うための安全ガイドラインの必要性を感じて、事業者や国交省航空局、経産省などに入って頂いて、意見交換を始めたんです。2015年1月あたりから、何回か会合をやって、議論をし始めた2015年4月22日、首相官邸で不審なドローンが落下しているのが見つかった。いやこの日はですね、国交省航空局の松本大樹安全企画課長(当時)の誕生日だったんです。松本課長の功績は大きくて、大変なご尽力をされました。その松本課長の誕生日に、首相官邸の屋上でドローンが見つかった。私はその日、あるところで講演をしていたのですが、連絡が入ってNHKのニュースに出ることになりました。その日の夜のニュース番組、翌朝のニュース番組、午前11時まで、帰らずに出ることになりました。『おはよう日本』にも出ました。その日は渋谷の放送センターに近いホテルで仮眠してそのまま、という、そんな出来事がありました。
――ドローンにとっては大きな出来事でした
鈴木理事長 ドローンを国民が広く知るきっかけとなったと思います。
――航空法改正のきっかけにもなりました
鈴木理事長 そうなんですが、当初はすぐに法改正なんて、できるわけないよねって思っていました。特に航空法改正は時間がかかると聞いていたこともあって、すぐに小型無人機の制度ができるとは思ってもみなかったわけであります。ところがそれが実現する。それにはそれまで議論を重ねていたことが生きるわけです。このときの改正法、施行は2015年12月10日なんですが、交付されたのは9月11日でして、この日って、私の誕生日なんです。松本さんがいつもおっしゃっていました。「事件が起きたのははわたしの誕生日、交付されたのが鈴木先生の誕生日」って。(笑い)
――JUIDA設立の5年間には質的、量的にいろんな変化があったと思いますが、その変化について、こうなってくれてよかったと思うことと、こうなっていればよかったと思うことは?
鈴木理事長 やはりよかったことは、航空法の改正が迅速だったこと。何をしてはいけないかが明確になったことで、利用者が使いやすくなった面があります。持っているだけで通報された経験をお持ちの方も、それを守ればいいわけです。
――こうなっていればよかった、ということはありますか
鈴木理事長 逆に法制度がほかよりもはやく進んだひずみ、とでもいいますか。そんな面もあります。今、議論されているのは機体の登録制度です。ドローンは今、自動車のようにナンバープレートをつけているわけではなく、どこかに落ちていても、誰のものだからわからない。海外からの旅行に来られた方が、ルールを知らないまま飛ばして話題になることがありますが、機体の登録や、業務用機体の審査など、管理された状況に関する制度があれば、問題にはならないわけです。そうはいっても、すべてが整うまで待っていては時間ばかりかかるので、とりあえず飛ばし方の部分の制度化を先行したわけです。そこがほかより早く整備されたがゆえに、未整備部分が問題視されています。そこをJUIDAとしても取り組んでいかないといけないと思っています。手始めが機体の登録制度。誰がどのドローンをもっているかわかるようにする。放置してあっても誰の自動車だかわかるようになっているのと同じです。それがあると所有者が責任をもって管理する環境が整います。
――必要性の説明が大切ですね。安全性を高める、とか・・・
鈴木理事長 安全ということよりも、安心して使える、ということでしょうか。安心を制度化する意味で必要だと思っています。不正な使い方をする人への抑止効果もあると思います。が出てくると思う。少なくともブレーキがかかるでしょう。今は場所によってはどこでもだれでもとばせるのですが、それが、ある種の不安になっている面もあります。登録はある種の規制強化ではありますが、安心の制度化です。自動車には車検制度があります。隣に走っているクルマはちゃんと整備されたクルマなわけです。安心してクルマを使える背景になっています。。前を走っているクルマが突然、停まるかもしれない環境では安心して走れないですよね。ドローンにもその安心がないといけない。その第一歩が登録です。つきつめていくと、ちゃんと整備しているのか、ということにもなってくるので、さらに制度作りが必要かもしれません。利用を広げる意味でも、あまりにも怖がってもいけないのでバランスが大事です。
――利用も広がりました。空撮、測量、点検、農業。
鈴木理事長 農業は昔からラジコンヘリによる農薬散布という長い歴史をもっています。ここはすでに市民権を得ているところでしょう。点検、測量は新しく始まったところ。空撮も広がりました。今目にする上空からの映像はほとんどがドローンですね。10年前にはほとんどなかったですが、いまや日常的ですね。
――次に起きるのは?
鈴木理事長 私は人間の根源に、自由に空を飛びたいという、思いがあると思っています。ビジネスとして事業化が進むことの一方で、純粋に、空を飛べる体験がもっと、広がっていいと。その意味で自由に飛ばせるフィールドがもっと提供されればいいなと思っています。大分県湯布院町で、ドローンの方々だけが泊まれる日を設けている温泉旅館を運営しておられる方がいらっしゃいますね。(=「ドローンの宿 時のかけら)。これはすごいな。と思いました。敷地を持つ寺社仏閣などが飛ばせる場所を提供して頂けたりしたらいいな、とも思います。「空を自由に飛べるということは素晴らしいことだ」と共有してくれるといい。
――初めての人がドローンに触れる入口のひとつにスクールがあります
鈴木理事長 スクールの意義は導入教育にあると思っています。使ったことがない人が、標準化されたカリキュラムのもとで、もっとも効率のいい教育を受けて、ちゃんと動かせるようになり、どういうところに気を付けたらいいかを分かる。その次にはもっと専門的で高次なことをやりたいということもあるでしょうから、そこはJUIDAの中で議論をしていますが、底辺を広げることに貢献していると思います。もっと多くの人が、空を飛ぶ体験ができればいいと思っています。
――学ぶという意味では、事故から学ぶことの重要性も多く聞きます
鈴木理事長 重要です。安全を維持する上では事故から学ぶ文化が必要です。事故を起こした人への責任追及では済まされません。その文化を作ることもわれわれの重要な使命だと思っています。事故にならなくても、ちょっと怖い目にあった、というときには、ちゃんとそれを届け出て、それをみんなで共有できることが必要。事故になる前にヒントがあります。「ハインリッヒの法則」というのがありますね(=ひとつの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するという労働災害の経験則)。ささいなことの中から、重大なことの芽を発見するということが事故を防ぐ重要な手段ということで、こんなあぶないことをしちゃったよ、みたいなことが、共有できる環境を整えなくてはいけないと考えていまして、JUIDAが取り組む課題のひとつです。あぶないからやめてしまえ、では進化がない。
――ところで鈴木理事長は空への憧れから研究の道に入ったのでしたね
鈴木理事長 私自身は飛行機に乗ると酔っちゃったりするので、小さい飛行機は乗れないんですけどね。旅客機はいいんですけど。そういう意味で自由に操縦することはかないませんでしたけれど、飛行機に携わる仕事ができた、という意味では、子供のころからの夢がかなったと思っています。
――ドローンにも携わることを決めたのは、空を飛ぶから、っていうのは本当ですか
鈴木理事長 はい。それだけの話(笑い)。もともと飛行機が子供のころから好きで、大学の航空学科に入ったんですけど、入ってみると安全に対する、非常に重い責任を負わないといけない、といったところに直面します。『マッハの恐怖』(柳田邦男氏の航空事故の原因を究明したノンフィクション)という本が出てそれを読むと、空を飛ぶのを、カッコいい、ということでこの道を目指したことに、ちょっと反省をするわけです。もっと重い事実だな、と。そこで安全をいかに維持、向上させるか、というところに取り組まないといけないな、と思いまして、それで落ちない飛行機を研究しようと思ってずっときたわけです。単に飛ぶ、ではなく、安全に飛ぶを追求したいわけです。有人機と無人機とは違うわけですが、私の中の存在感としては、あまり違わないです。飛ぶことを自由にコントロールするという意味において。同じような存在です。
――JUIDAとしてほかに取り組むことは
鈴木理事長 実はもうひとつ、JUIDAでやろうとしていることがあります。いま、ドローンの技術、テクノロジー、創意工夫などを共有する場がないのです。学会、技術論文集、発表、というアカデミアの世界があるのですが、ドローンでは育っていない。技術の発表先がほとんどないのです。すそ野を広げることも大事ですが、技術のレベルをあげること、頂点を高くするということも必要。そういった技術を発表する場として、ドローンの技術ジャーナルのようなものを作ることに取り組みたいと思っています。
――ドローンの業界をリードし得るプレイヤーがどんんどん登場し、買活しています。伝えたいことは
鈴木理事長 心強い限りで、どんどん活躍して頂きたいです。伝えたいことがあるとすれば、ビジネスには競争がありますので自社の利益を追求することになるのですが、それだけでは社会全体に広がらない側面もあるということ。みんなで築くプラットフォームなり文化なりも視野に入れて頂ければいい。みんなで基盤を作って、みんなで広げられればいいと思います。
――ありがとうございました。
大阪・関西万博でいわゆる空飛ぶクルマの運航を目指している大阪府は3月28日に、空飛ぶクルマの運用が地域や日本にもたらすビジネスチャンスなどについて解き明かす「空飛ぶクルマビジネスセミナー~大阪・関西におけるビジネス展開の可能性~」を大阪で開催する。東京大学大学院特任研究員の中村裕子氏、株式会社日本政策投資銀行調査役の岩本学氏が登壇する。会場参加、オンライン参加のいずれも可能で参加は無料だ。
空飛ぶクルマビジネスセミナーは3月28日、15時30分から16時50分までで、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻特任研究員の中村裕子氏は「空飛ぶクルマの現在地、実装の課題と世界の取り組みについて」、株式会社日本政策投資銀行産業調査部兼航空宇宙室調査役の岩本学氏は「空飛ぶクルマのビジネスチャンス~万博後に登場する新産業~」の演題でそれぞれ講演する。会場は大阪・難波の産業経済新聞社大阪本社会議室でオンライン参加も可能だ。講演終了後の名刺交換などを目的とする交流会が催される予定で、会場参加の場合は交流会にも参加が可能だ。
参加は申し込みフォームから。締め切りは3月27日午前11時。
会場参加の申し込みはこちら
オンライン参加の申し込みはこちら
開催概要に関する大阪府の発表は以下の通りだ(以下、引用)
大阪府では、府内における空飛ぶクルマの社会実装に向けて、認知度の向上や有用性の理解促進等を図るため、「空飛ぶクルマ社会受容性向上事業」を実施しています。このたび、空飛ぶクルマの現在地、経済的なポテンシャルやビジネス展開の可能性について解説するセミナーを開催しますので、ぜひご参加ください。
【セミナー概要】
1.日時
令和6年3月28日(木曜日)午後3時30分から午後4時50分まで
2.開催方法
会場とオンラインの同時開催
会場:株式会社 産業経済新聞社 大阪本社 会議室(大阪市浪速区湊町2丁目1番57号)
3.定員(申込先着順)
会場:100名
オンライン:500名
4.参加費
無料
5.内容
(1)基調講演1 空飛ぶクルマの現在地、実装の課題と世界の取り組みについて
講師:中村 裕子氏(東京大学 大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻 特任研究員)
(2)基調講演2 空飛ぶクルマのビジネスチャンス~万博後に登場する新産業~
講師:岩本 学氏(株式会社日本政策投資銀行 産業調査部兼航空宇宙室 調査役)
セミナー終了後、30分程度参加者交流会(名刺交換や情報交換)を行う予定です。
6.申込方法
関連ホームページ「空飛ぶクルマホームページ」https://soratobu-kuruma.jp/
の申請フォームよりお申し込みください。
7.申請期限
令和6年3月27日(水曜日)11時まで
株式会社ACSL(東京)の株価が引き続き堅調だ。3月25日午前の東京証券市場では株価は1100円から1200円圏で推移した。一時、年明けからの高値となる1290円を付け、2月15日の安値585円から2.2倍の水準で取引された。同社は3月21日、同日の取引終了後に同社製ドローンの航空自衛隊による空撮機としての採用を発表したあとに買いが集まりやすくなっており、市場では引き続き材料視されている。また3月25日は、3月14日に発表した株式会社りそな銀行を相手先とする相対型コミットメントラインの契約締結予定日となっていて、市場がACSLの財務基盤の改善と経営の機動性が高まる期待も好感したとみられる。同社は日本郵便株式会社(東京)と共同開発した物流ドローン「JP2」を3月4日から22日にかけて兵庫県豊岡市で飛行施行を実施しており、今後への期待が高まっている。
ACSL株3月12日に防衛装備庁による同社製品の3億7000万円の受注を発表すると、発表翌日の3月13日には買いが殺到しストップ高となった。3月21日には取引終了後に航空自衛隊による同社製ドローンの採用を発表し、再びストップ高となった。それまで市場環境や販売不振などから株価は低下傾向だったが、市場の見方に変化の兆しが表れた。
ACSLはこれまでも同社の市場へのアプローチについて情報を発信してきたが、市場は今回の情報を、大規模な取引の成立と、今後の取引の展望期待を含むと受け止め、買いが入りやすい状況となっている。
加えてりそな銀行との間で、期間を設定したうえ、限度額の範囲で自由に融資を受けられるコミットメントラインを締結する方針を3月14日に発表しており、3月25日がその契約締結日であることから、経営体制の自由度への期待を集めやすくなっている。なおACSLのコミットメトライン契約の限度額は10億円で、期間は3月25日から7か月間だ。
ACSL株は昨年(2023年)1月3日に最近の高値1811円をつけている。厳しい市場環境などもあり漸減傾向だったが、今回の政府調達と一連のその具体的な採用情報が、同社製品への見直しを強く促しそうだ。
また一連の政府調達とは別に、日本郵便と開発した物流ドローンを3月4日から22日にかけて、兵庫県豊岡市で飛行させた。今後、生活圏上空での飛行が可能になる型式の取得も視野に入れていて同社への期待をけん引することになりそうだ。
株式会社ACSL(東京)の株価が800円台に戻して推移している。東京証券市場グロース市場の同社株は3月14日の午前の取引は、前日3月13日の取引でストップ高のまま終えた857円から7円下げた850円で初値をつけた。その後も800円近辺での取引が続いている。背景には前々日の3月12日の取引終了後に発表した、防衛装備庁からの3億7000万円の受注発表がある。発表翌日の3月13日には買いが集中し、値幅制限いっぱいの150円高でも取引が成立しなかった。14日午前もその勢いを維持した展開だ。受注は2月に発表した2024年12月通期業績予想に織り込み済みだが、市場関係者からは今回の大型受注に対し政府調達の呼び水期待が寄せられている。
同社が受注したのは高セキュリティ型の空撮用ドローン「SOTEN」(蒼天)」で、今年(2024年)12月の納入予定2月を予定している。ドローンで収集した情報の漏洩を防ぐ工夫が凝らされた機体で、秘匿性の高いインフラの点検などへの活用が期待されている。
2月14日の決算発表では、前期業績の悪化要因にSOTENの販売減を挙げていたが、今回の大型受注で不振からの脱出に期待が集まる。同社は今回の受注はすでに通期業績に織り込み済みとしている。同社が発表している2024年12月の通期業績予想は、売上高が33億4千万円、営業損益、経常損益はそれぞれ赤字を見込んでいる。
大型受注の発表は3月12日の取引終了後に行われた。これを受けて翌3月13日の東京株式市場では、午前9時の取引開始直後から買いが殺到して。値幅制限いっぱいの857円のストップ高となって推移し、結局同日は取引が成立しないままとなった。3月14日も800円台を維持した取引で始まっており、2月16日つけた上場来安値の585円からの底割れを回避した水準の取引が続いている。。
ACSLが2月14日に発表した23年12月期連結決算では、売上高が前期比45.2%減の8億円9600万円と大幅に減少した。業績のけん引役と期待された高セキュリティ型の小型空撮ドローン「SOTEN」の販売台数が伸び悩んだことが響いたと分析するととともに、20.7億円の受注残があることも明らかにしていた。
ブルーイノベーション株式会社(東京都)は3月11日、能登半島地震で被災した輪島市(石川県)で、決壊の危険性が指摘される土砂ダムを定期的に自動で点検する河川監視活動を実施したと報告した。土砂崩れにより道路がふさがり作業員が現地に近づけない中、ブルーイノベーションが開発したドローンの自動離発着システム「BEPポート」を適切な場所に設置し、ドローンが自動離陸することで点検を遂行した。点検は1月31日から2月6日にかけて行われ、五光物流株式会社(筑西市<茨城県>)、VFR株式会社(名古屋市<愛知県>)が協力した。
河川監視活動の対象となったのは輪島市内を流れる牛尾川につみあがった土砂が河川の水をせきとめている土砂ダムで、1月31日から2月6日にかけて、輪島市の要請を受け、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が統括して行われた。監視活動ではBEPポートに待機したドローンが、定期的に自動で離陸し、往復約3㎞を飛行して状況把握に必要な情報を収集した。ブルーイノベーションのドローンポートシステムは東日本大震災で被災した仙台市<宮城県>が設置している。災害支援活動として活用されるのは今回が初めてとなる。
発表内容は以下の通り
ブルーイノベーション株式会社
五光物流株式会社
VFR 株式会社
令和 6 年能登半島地震 二次災害に備え、ドローンポートシステムを活用
した自動監視システムを国内ではじめて実災害現場に導入・社会実装
ドローンポートから自動離発着するドローンにより、
河川上流の土砂ダム決壊の危険性を定期監視
この度の能登半島地震の影響により、被災された方々やご家族の皆様に、心よりお見舞い申し
上げると共に、皆様の安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田 貴之、以下 ブルーイノベーション)は、五光物流株式会社(本社:茨城県筑西市 代表取締役社長:小林 章三郎、以下五光物流)、VFR 株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長 蓬田 和平、以下 VFR)と、石川県輪島市からの要請を受け、ドローンの業界団体である一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)の指揮の元、ドローンポートシステムを活用した河川監視活動を実施しました。
本取り組みは、輪島市内を流れる牛尾川(鈴屋川の支流)に出来た土砂ダムの状況を、ブルーイノベーションが開発したドローンポートシステム「BEP ポート」を活用し、自動かつ定期的に離発着するドローンにより土砂ダムを撮影・監視し、決壊の危険性有無を常時把握することで、二次災害による被害を未然に防ぐことを目的としています。
なお、実災害現場でのドローンポートシステムの社会実装は国内初となります。
■BEP ポートを活用した災害支援活動内容
・巡回点検実施日:2024年 1 月 31 日(水)~ 2 月 6 日(火)
・場所:石川県輪島市町野町
・活動内容:
輪島市を流れる牛尾川(鈴屋川の支流)では、土砂災害による河口閉塞が数か所発生したため、道路も寸断され、人が近づくことが困難な状況でした。輪島市から JUIDA に、ドローンによる二次災害予防のための巡回点検要請があり、JUIDA指揮の元、ブルーイノベーションが開発したBEP ポートからドローンが自動で離発着し、牛尾川の上流往復約 3km を飛行。土砂ダムの状況を上空から定期的に監視を実施しました。
<鈴屋川の経時変化(同一地点)>
定点観測による撮影画像の比較から、河口閉塞による溜まり場の大きさに大きな変化がないことを確認することができました。
・使用機材
■協力
第二回京阪奈ドローンフォーラムには、課題解決に向けたカスタマイズを手がけるドローンを手がける菱田技研工業株式会社(堺市)が、吸盤で壁にくっつく仕掛けの“ひっつきドローン”と家庭用コンセントから電源を得る“コンセントドローン”を披露する。“堺のエジソン”の呼び声高いエンジニアのプロダクトが、来場者の創造意欲を掻き立てそうだ。
菱田技研は壁面吸着親子ドローンと家庭用コンセントにつないで飛ぶ有線給電のドローンを持ち寄る。
壁面吸着親子ドローンは、ビルの高層階の外壁など高所での反力(支持箇所に生じる力)の発生する作業を実現可能にするドローンシステム。子機には、ハンドドリルを搭載する。実際に吸着によるコンクリートボードへの穴あけに成功している。親機の動力源に採用している燃料電池も展示する。フォーラムではモニタの映像で動きが核にできるほか、吸着グリッパを手持ちのアクリル板に吸着させる実演も行う。来場者は吸着中の吸着グリッパ、アクリル板に触れて吸着の安定性を体験できる。
家庭用コンセントからの有線給電で飛行する機体は、会場となる咲洲モリーナのフライトエリアで飛行の実演を実施する予定で、来場者は飛ぶ姿を間近で見られる。
菱田技研工業株式会社はカスタマイズドローンによる課題解決を手がけていて、その工夫には高い評価が寄せられている。2023年6月に千葉・幕張メッセで開催されたJapanaDrone2023では、技術論文「ポスターセッション」の出品者の優秀作品を顕彰するポスターアウォードで最高賞を受賞している。
第二回京阪奈ドローンフォーラムで、長時間、長距離飛行チャレンジに取り組んでいる株式会社エアロジーラボ(AGL、箕面市〈大阪府〉)が、ハイブリッド機の最新機、AeroRange G4S(エアロレンジジーフォーエス)を持ち寄る。ハイブリッド機ならではの機構と、軽量化のために随所に凝らされた工夫が来場者のクリエイティビティを刺激しそうだ。
AGLはハイブリッドドローンを中心に開発している。ハイブリッドドローンはバッテリーとガソリンなどの燃料を併用して推進力を得るドローンて、バッテリーに頼る機体に比べ、長距離、長時間の飛行が期待できる。主力機AeroRangeQuadはペイロードなしで140分以上、ペイロード 2kgで90分の性能を持ち、国産ハイブリッド機の代表モデルの一つとして多くの現場で飛行実績を積み上げている。
今回、第二回京阪奈ドローンフォーラムに出展する機体「G4S」は、機体の構造をゼロベースで構造、素材、機構を見直した新型機、ハイブリッド機では、燃料、電力の併用で強い推進力が得られる一方、発電機とモーターを積むため自重が大きくなるため、推進力を生かすには、軽量化の工夫が欠かせない。軽くしたために剛性がおろそかになるわけにもいかず、技術者の知恵と工夫が試される。
AGLは国交省が2月29日に福島県で行った実証実験にも参加し、長時間、長距離飛行性能を測定した。福島ロボットテストフィールド浪江滑走路を離発着場に行われ、敷地と沿岸を飛行した。現在、詳細な計測結果が集計されているが、不具合発生で中断するまでだけでも60㎞を超える距離を実際に飛行したとみられる。確報値では実飛行距離と、残りの燃料から推計した性能がはじき出される予定だ。
第二回京阪奈ドローンフォーラムは、確報値が公表される前のG4Sを間近で確認する機会となる。驚く準備はここでできる。
<イベント概要>
催事名:「SUPER D★EXPERIENCE~第2回京阪奈ドローンフォーラム」
日時:2024年3月12日(火)、10:00~16:00(予定)
会場:咲洲モリーナ(西尾レントオール株式会社R&D国際交流センター内)
住所:大阪府大阪市住之江区南港北1-12-75
アクセス:「コスモスクエア」下車徒歩5分、「トレードセンター」下車徒歩6分
会場MAP: https://www.nishio-rent.co.jp/sakishima/access/
主催:京阪案ドローンプロジェクト実行委員会(代表企業:マスオグループ本社=奈良県奈良市三条大路1丁目1番93、株式会社奈良自動車学校)
参加費:無料
※詳細は参考資料及び公式サイトをご確認ください。
参考資料 https://prtimes.jp/a/?f=d101951-10-f1c576f0f6d030002fa6df5bd75f525b.pdf