いわゆる「空飛ぶクルマ」の社会受容性向上活動を進める有志団体 Dream On(ドリームオン、東京)の疑似搭乗体験マシンが3月18日、大阪府吹田市の万博記念公園にお目見えし、多くの来場者の好奇心を刺激している。体験は3月19日(日)も行う。18日には体験を終えた参加者が一様に笑顔を見せ、「おもしろかった」、「早く実現してほしい」、「期待を超えた」と好評コメントを寄せた。Dream Onの中村翼代表は「体験会で頂くリアルなフィードバックはとても価値が高いと思っています。疑似ではありますが、ぜひ五感で味わって頂きたいです」と話している。体験料は無料(会場の万博記念公園・自然文化園・日本庭園共通入場料は一般で大人260円、小中学生80円)。体験の予約はほぼ埋まっているが、スタッフによると「実は、隙間時間があれば、ひょっとすると体験チャンスがあるかもしれません」と話している。
空クル搭乗体験マシンがにぎわいをつくっているのは、万博記念公園内の「EXPO’70パビリオン」の「空飛ぶクルマPRコーナー」だ。2025年の大阪・関西万博で空飛ぶクルマの実現に向けて環境整備に取り組む大阪府が主催する空飛ぶクルマの社会受容性向上事業の一環で、体験を通じて空飛ぶクルマへの理解を深め、親しみを高めてもらう企画だ。クルマ型のマシンのシートにすわり、VRゴーグルを装着すると、目の前に空飛ぶクルマに乗った風景が広がる。VR映像中で空クルが進むのにあわせて、マシンが進むため、実際に動いている感覚も味わえ、没入感を満喫できる。
会場では事前予約の来場者がゴーグルを装着してマシンに搭乗。ゴーグル内ではビル屋上で空クルに乗る前からのシーンが流れる。映像内で空クルが発信すると、それにあわせて搭乗マシンも前進する。映像内では飛行中の日差しも忠実に再現されていて、これも没入案を演出する。体験者は、左右、上下に首をまわすので、風景を楽しんでいる様子がうかがえる。数分で空クル体験は終了するが、ゴーグルをはずすと一様に笑顔がはじける。
終了後には付箋に感想を書いて、ボードにはってもらう。ボードには「実用化を祈念」「もう1かいのりたい」、「こんな未来が早く来て欲しい」、「高い所、苦手ですが楽しめました」などの感想が並んだ。また「がんばってください」とDreamOnの活動にエールを送るコメントもあった。
立ち会ったDreamOnの中村代表は「未来について具体的なコミュニケーションをすることに少しでもお役に立ちたいと思いこの活動を続けています。このマシンだけでこれまでに2000人以上の方に体験して頂きました。みなさまから多くの感想をいただき、そのひとつひとつが、これからを築くために貴重なデータになっています。とくに思ったことをストレートに口にだす子供たちの感想は刺激になります。この体験を通じて未来を仕掛ける側になっていただける方が増えればいいとも思っています。今後もこうした活動を続けていきます」と話している。DroneTribuneも、「ドローンやエアモビリティー前提社会の実現を通じて価値ある未来をたぐりよせる」ことを掲げて活動しており、中村代表の活動に通じる。
PRコーナーには、搭乗体験のほかに、VRゴーグルを使用した空飛ぶクルマVR体験ができるコーナーもある。ここでは大阪を飛ぶ体験ができる。また空飛ぶクルマの理解に役立つパネル展示もあり、スタッフが来場者に説明をしたり、問い合わせに応じたりしている。この日は空飛ぶクルマに詳しく多くのイベントで登壇実績を持つ中央復建コンサルタンツ株式会社(大阪市)の松島敏和氏が、来場者の「どのぐらい飛べるんですか?」、「いつ実現するんですか」などの質問にていねいに応じていた。
空飛ぶクルマPRコーナーが万博会場に設置されるのは3月19日(日)、10:30〜16:00まで。期間中、PRコーナーに近い万博記念公園の「お祭り広場」で、「第2回 魚ジャパンフェス in 万博記念公園」も開かれている(21日まで)。会場には「天然!アラスカ産紅鮭のこぼれいくら丼」(こぼれいくら海越)、「贅沢まぐろ3種丼」(黒潮市場)、「北海宝舟9種盛り海鮮丼」(北の海 どさんこ海鮮市場)など、海の幸の店が全国から集まるので、空クル体験と味覚を同時に味わえる。魚ジャパンフェスには別途入場料300円が必要だ。
有志団体Dream On(東京)が展示した、空飛ぶクルマの乗車感を味わえるアトラクションが体験希望者の記入欄が続々と埋まる人気ぶりだった。プロペラが取り付けられた一人乗りの電動のクルマに、VRゴーグルをつけて座りこむと、まるで空飛ぶクルマに乗っているような感覚を体験できる。体験垢の利用者が次々と「おお」「すごい」などと声を上げることから、そばにいた来場者の関心を引き、あっという間に体験希望者が続出するいわば「行列のできる」展示となった。
Dream Onは空飛ぶクルマ開発を目指す有志団体CARTIVATORが改名した未来の手繰り寄せを目指す有志団体。Japan Droneの会場では、プロペラがとりつけられた一人乗りの電気自動車を中心に設置し、そのわきにディスプレイを据えた。外見のかわいらしさいウルマが目を引くが、味わいどころは乗車体験だ。
クルマに乗り込み運転席に座り、VRゴーグルを装着すると、視界が展示会場から、都心のビル屋上に駐車中のクルマの運転席に座っている光景に切り替わる。空飛ぶクルマから見える風景を映し出していて、ウィンドシールド越しに、いまいる(ようにみえる)ビル屋上の端が見え、その向こうに都心の風景が広がり、ビル群がつくる地平線が左右にのびる。画面の上半分は空だ。
やがて空飛ぶクルマによる空中ドライブがはじまる。空飛ぶクルマがするすると前進しビルを離れると、視界は窓越しに空中をみmることになる。眼下に都心のビルを見下ろし、都心の上空を進む感覚が味わえる。太陽の光が差し込む様子や、その光が川面に反射する様子もリアルだ。快適なドライブ体験で、いわゆる絶叫マシンではない。
リアルな画像は3Dマッピングされた高精細な東京の三次元地図で実現した。VRの映像が動くことで、ゴーグル装着者がまるで実際に動いているような感覚を味わえるのだが、体に感じる進んだり、曲がったりする感覚は、映像だけで与えられているものではない。乗り込んだ車は映像にあわせて実際に、1~2メートル程度の前進・後退を繰り返して加速度を感じさせ、体が感じる空気の流れも風を送り出して再現していた。
視察に訪れていた自民党の山際大志郎ドローン議連(無人航空機普及・利用促進議員連盟)事務局長は体験乗車を終えると「これはいい」「たのしい」と感心するようにクルマを眺めながら感想を述べていた。同行した議員も次々に乗り込み歓声をあげていた。
Dream On共同代表の中村翼さんは、「空飛ぶクルマにのった感覚を五感で体験していただきたくてつくりました。コンテンツは三菱電機との共同制作で、風況データの利活用サービスを実装しました。どのように風況を捉えて安全に飛ぶのか、を体感できるようにしました」と話す。
Dream Onはこの空飛ぶクルマ体感マシンを、7月の開所が予定されている未来生活体験のテーマパーク『FLEX Park(フレックスパーク)』に再現することを考えている。“未来へのタイムマシン”の実現を掲げて活動するDream Onは今後も次世代に残せる技術の開発に取り組む。なお団体名の「a」と「e」を入れ替えるとタイミマシンを乗りこなすあのネコ型ロボットの名前になる。これもなにかの縁だろう。Droeam Onは空飛ぶクルマの乗車体験に続き、宇宙旅行の仮想体験コンテンツも、NTPホールディングス株式会社と共同制作に入る。