アーバン・エア・モビリティ(UAM)開発の独ヴォロコプターは2人乗りの電動超軽量マルチコプター型AAM「VoloXPro」を開発したと発表した。パイロット訓練や航空スポーツなどの用途を想定。2026年末までに超軽量航空機(ultralight aircraft)としての認証を取得する見込みで、ほかの欧州諸国でも認可手続きが進んでいるという。4月22~25日にドイツの見本市会場「メッセ・フリードリヒスハーフェン」(Messe Friedrichshafen)で開催されるジェネラルアビエーション展示会「AERO Friedrichshafen 2026」で初公開される。
VoloXProは2人乗りで18枚のローターを持つ「ウルトラライトエアクラフト(ultralight aircraft)」と呼ばれる超軽量航空機で、最大離陸重量600kgの電動機。積載量154kg。公表された巡航速度は時速70km、最大航続距離40kmだ。欧州での主なターゲット層として、飛行学校、飛行クラブ、航空スポーツ愛好家、遊覧飛行事業者を挙げているが「国際的には、VoloXProはプロの旅客輸送におけるエアタクシーとしての利用を想定」と位置付けているうえ、「用途や顧客の要件に応じて、さまざまな技術仕様でVoloXProを提供することが可能」という。
VoloXProは2023年3月に大阪で実寸大モデルが公開されたエアタクシー用機体「VoloCity」向けに開発されたコンポーネントを組み込んでいて、「民間航空機の信頼性に匹敵する極めて高い安全性を備えた構造を実現」しているという。また「事業者や個人ユーザーにとって魅力的な価格設定を実現」しているといい、デビッド・バウセック(David Bausek)CTOは「高級車並みの価格で利用できる」とコメントとしている。
VoloXProは、シングルスティック操作で操作できる。コスト効率に優れたミニマルなコックピットオプションから、プロフェッショナル向けの高性能モデルまで、技術的構成や装備で幅広いバリエーションがある。外装塗装、バッテリーにもオプションがある。
デビッド・バウセックCTOは「超軽量の『VoloXPro』により、旅客機並みの安全基準を満たし、高級車並みの価格で利用できる電動マルチコプターが、一般顧客や商業事業者にとって現実のものとなります。フライ・バイ・ワイヤ制御システムのおかげで、操縦はかつてないほど容易になり、しかも低騒音かつ排出ガスゼロを実現しています」とコメントしている。
ヴォロコプターは2011年に設立されたAAMメーカーで、アーバン・エア・モビリティ(UAM)のパイオニアとして知られる。2024年12月26日の破産申請を経て、2025年3月以降はオーストリアの軽飛行機メーカー、ダイヤモンド・エアクラフト・インダストリーズの完全子会社として事業を継続している。
■参考
ヴォロ、大阪でVoloCityのモデル公開:https://dronetribune.jp/?s=VoloCity
ヴォロをダイヤモンドエアクラフトが統合へ:https://dronetribune.jp/articles/24668/



経営再建を目指すドイツのAAMメーカー、ヴォロコプター(Volocopter)は2025年11月18日、AAMの開発について、実運用に近い環境を再現する「サンドボックス・プログラム」と呼ぶ試験運用プログラムを2026年に欧州で開始すると発表した。対象機体は「VoloCity」と「VoloXPro」(「2X」から改称)で、型式証明取得と商用航開始を視野に入れた重要な工程と位置づけている。今回の発表は、昨年末の破産公表から今年3月の経営体制刷新を経て、改めて開発姿勢を示した形だ。
ヴォロコプターの発表によると、サンドボックス・プログラムは都市部と地域間を想定した実飛行で構成され、離着陸場での地上オペレーション、乗客体験、ポイント-ツー-ポイント(Point-to-Point)ミッション遂行手順など、商用運航を見据えた要素を盛り込む計画だ。運用データを蓄積し、同社が目指す型式証明取得に向けた準備を進める。
今回の取り組みにはドイツの救急航空を担うADAC Luftrettungがパートナーとして加わり、将来的な医療用途への展開可能性も含めて評価を進めるとみられる。
対象機体の一つであるVoloCityは、同社が都市空間でのエアタクシー運用を想定して開発するeVTOL型AAMで、乗客輸送を中心に据えたモデルである。もう一つのVoloXProは、600kg級の軽量eVTOLで、これまで「2X」の名前で公開されてきた機体をリブランディングした機体だ。同社はこれまでエアタクシーとしての都市内移動サービスを目指しており、都市内の短距離移動から郊外連絡まで幅広いミッションに対応する見込みだ。両機とも今回の試験で運航準備性の確認を進める。
ヴォロコプターは2030年までに複数の機体をサービス投入する方針を掲げてきたが、経営体制の変化によりAAMの発部隊に登場する機会が減っていた。今回の発表は改めてAAMの開発計画を進める意向表明で、2026年以降の事業計画の軸を明確化した形となった。実運用を想定したサンドボックス・プログラムを通じ、欧州でのエアタクシーサービス実装につなげる方針だ。
ヴォロコプターは昨年(2024年)12月26日に破産申請し、今年(2025年)3月14日、中国の自動車部品・機器製造で航空部門も持つ浙江万豊汽車有限公司(ワンフェン・オート・ホイール)のグループ会社でオーストリアの軽飛行機メーカー、ダイヤモンド・エアクラフト・インダストリーズが統合すると発表した。日本では2023年3月にVoloCityのフルスケールモックが大阪市で公開されたほか、同年12月12日には2X(現VoloXPro)が大阪・北港緑地でデモフライトを披露している。現在、経営再建とAAMの社会実装を目指している。
(参考)
DroneTribune記事「ヴォロ、中国系オーストリア社が統合」


