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  • 2022.11.30

    SkyDrive の「SD-05」,ベトナム企業が購入予約 2026年にも納品、最大100機

    account_circle村山 繁
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    いわゆる空飛ぶクルマなどを開発する株式会社SkyDrive(愛知県豊田市)は、ベトナムのインフラ開発を手掛けるパシフィック・グループ(Pacific Group Co Ltd、ベトナム・ホーチミン市)から、SkyDriveが設計開発中の空飛ぶクルマ「SkyDrive式SD-05型」の購入予約(プレオーダー)を受け、両者で覚書を交わしたと発表した。2026年以降にまずは10機を納品する計画だ。パシフィック社の事業環境などに応じ、最大100機まで納品するオプションが含まれる。SkyDriveの空飛ぶクルマの販売について、購入に関わる契約が公表されたのは今回が初めて。ベトナム都市部の渋滞問題への貢献が期待される。SkyDriveの空飛ぶクルマをめぐっては、国内外で複数の交渉が進んでいる。

    セールス関連の実績の公表は初めて コンテスト準優勝を飾り国内外で商談

     SkyDriveによると、覚書を交わしたのは11月28日。10機のSD-05をパシフィック社に販売することが盛り込まれた。SkyDriveは機体提供の形式を販売、リースなど複数の方法を検討している。パシフィック社に対しては「販売」で覚書が交わされた。価格もふまえた覚書になっている見込みだ。また覚書には、パシフィック社は90機まで増やせる選択肢を持つことが盛り込まれた。今後、SkyDriveに生産の申し込みが殺到した場合も、パシフィック社は100社までの追加できることになる。

     SkyDriveは、いわゆる空飛ぶクルマの開発する企業として世界的に知名度を高めている企業のひとつで、世界のスタートアップによるピッチコンテスト「Startup World Cup」に日本大会で優勝して世界大会に進み、10月に米サンフランシスコで開催された大会では決勝に進み、準優勝を飾っている。その後もドバイなど世界各地でプレゼンテーションが進み、現在、国内外から問い合わせを受けている。

     SkyDriveは、購入について①購入先との基本合意が成立している②購入先が公表に合意している、などの基準を満たしたケースについて、購入実績を公表する方針を決めている。今回のパフィシック社の購入予約は、この基準を満たして公表された初めてのケースとなる。

    ※「空飛ぶクルマ」は、手軽に空を移動する乗り物をさす場合に汎用的に用いられる。日本では、電気で動き、垂直離着陸が可能で、自動で飛ぶ乗り物が「ひとつのイメージ」と説明される。「クルマ」とは、手軽であることの象徴として便宜的に使われており、必ずしも道路を走ることが求められていない。また「自動」で飛ぶことが想定されながら、パイロットが乗り込んで操縦することも排除しない。諸外国では用途によって呼び名が使い分けられている。SkyDriveもFlying vehicle、Urban Air Mobility(UAM)、eVTOLなど場面に応じて使い分けており、プレスリリースでは、空飛ぶクルマの定義はない、と断っている。ほかに使われている言葉として、自動車が空を飛ぶことを強くイメージしたFlying carや、先端技術を意識したAdvanced Air Mobility (AAM)、Advanced Air Mobility eVTOL vehicleなどが使われている。

    SkyDriveの発表は以下の通り。

    SkyDrive社、ベトナムのディベロッパー・パシフィックグループと 「空飛ぶクルマ」の最大100機のプレオーダーを合意

     「空飛ぶクルマ」(※1)および「物流ドローン」を開発する株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO 福澤知浩、以下「SkyDrive」)は、Pacific Group Co Ltd(本社:ベトナム、会長兼社長 Le Ngoc Anh Minh、以下、「Pacific Group」)と、空飛ぶクルマ導入に関する覚書を2022年11月28日に締結したことをお知らせいたします。本覚書により、SkyDriveは、設計開発中の「空飛ぶクルマ」の商用機「SkyDrive式SD-05型」(以下、「SD-05」)の最大100機のプレオーダー(10機の確定、90機のオプション)を合意しました。

    ■ 本提携の背景と今後の取り組み

     SkyDriveは現在、小型で電動、2人乗りの空飛ぶクルマ「SD-05」の開発に取り組んでいます。2021年10月には、国土交通省が「SD-05」の型式証明申請を受理し(※2)、日本で初めての型式証明取得を目指して開発を推進しております。

     Pacific Groupは、ベトナムにおける鉄道や高速道路など、国から公共の仕事を受託し、インフラ開発を行っています。

     ベトナムでは日常的に深刻な交通渋滞が発生していて、社会問題として残っています。SkyDriveとPacific Groupは、本社会課題を解決するために、ベトナムで、空飛ぶクルマの活用が重要と考え、本プレオーダーに合意することとなりました。

     今後SkyDriveとPacific Groupは、ベトナムにおいて空飛ぶクルマの活用による社会課題解決を目的として、運航オペレーター、バーティポート(離発着場)や給電インフラなど、実現にあたり必要なあらゆるステークホルダーと共に協力して進めて参ります。

    ■ 各コメント

    株式会社SkyDrive 代表取締役CEO  福澤知浩

     ベトナムの名物とも言える、都市部のバイク、自動車がひしめき合う道路は、活気があり刺激的に感じます。しかし、一方で交通渋滞という社会問題を引き起こしているという現状、また排気ガスを多く排出するという環境問題を考えると、解決する必要がある重要な社会課題の一つかと思います。バイクや自動車の数は増加するばかりで、道路や駐車場の整備に時間を要する状況の中、空を使った移動手段「空飛ぶクルマ」をベトナムの新しい交通インフラの一つとして整備し、ベトナムの社会課題の解決に貢献できると嬉しく思います。国内に多種多様なビジネスネットワークを持つPacific Groupと提携し、Pacific Groupと共にベトナム市場に「空飛ぶクルマ」という新しい移動方法と、移動の楽しみを提供できることを楽しみにしています。

     

    Pacific Group Co Ltd 会長兼社長 Le Ngoc Anh Minh 

     ベトナム政府は、COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)で、2050年までに温室効果ガスの排出量を正味ゼロにすることをコミットしました。これにより、ベトナムの企業や地域は、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスや有害物質を極力排出しない、高い環境調和性を持った先進エネルギー(ゼロエミッションエネルギー)を使用する傾向にあり、今後、ゼロエミッションエネルギーを使用した移動手段は必須になると思います。一方で、ホーチミン、ハノイ等のアジアの大都市で、新しい交通手段を提供するためには、空飛ぶクルマが必要だと感じています。そのために、Pacific Groupは、SkyDriveやベトナム運輸省、ベトナム民間航空会社、ベトナム防衛省などの複数の当局と密接に連携し、空飛ぶクルマに関する動向や技術を説明し、航空許可と規制緩和をする必要があります。交通機関や規制、社会受容性等、障害が沢山ありますが、Pacific GroupはSkyDriveと共に一つ一つ解決していきたいと思っています。来年2023年はベトナムと日本の外交関係樹立50周年を迎えます。Pacific Groupのビジネスの為だけではなく、両国の化学と友好関係を強化するためにも、SkyDriveと共に活動を行っていきたいと思っています。

     

    ■「SD-05」の概要

     「SD-05」は、「電動」「垂直離着陸」といった特徴を備えたコンパクトな航空機です。2人乗り(乗客1名とパイロット1名)で、パイロットが操縦しますが、コンピュータ制御のアシストにより、飛行を安定させています。当社は、将来的に「空飛ぶクルマ」が、自動車のように日常的に空の移動手段として使われる世界を目指して、開発を進めてまいりました。

     この機体は、日本で初めての国土交通省の型式証明取得を目指しており(※3)、事業開始の皮切りとして、2025年の大阪・関西万博における空飛ぶクルマの飛行実現を目指しています。最大航続距離は約10km、最高巡航速度は100km/hで移動できるように設計しています。ただし、今後の設計開発の進捗によりデザインや仕様変更の可能性があります。

     

    ※1 空飛ぶクルマとは:明確な定義はないが、「電動」「自動(操縦)」「垂直離着陸」が一つのイメージ。諸外国では、eVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)や UAM(Urban Air Mobility)とも呼ばれ、新たなモビリティとして世界各国で機体開発の取組がなされている。モビリティ分野の新たな動きとして、世界各国で空飛ぶクルマの開発が進んでおり、日本においても 2018 年から「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催され、2030 年代の本格普及に向けたロードマップ(経済産業省・国土交通省)が制定されている。

     

    引用元:国土交通省(令和 3 年 3 月付) https://www.mlit.go.jp/common/001400794.pdf  引用元:経済産業省(令和 4 年 3 月付)https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/air_mobility/pdf/008_01_02.pdf

    ※2 型式証明申請受理に関する当社リリース

     

    日本初、SkyDrive「空飛ぶクルマ」の型式証明申請が国土交通省により受理されました

    ※3 型式証明取得に関する当社リリース

     

    https://skydrive2020.com/archives/9238

    株式会社SkyDrive:https://skydrive2020.com/

     

    Pacific Group Co Ltd:https://pcgroup.vn/

    設立 2016年2月

    代表者:会長兼社長 Le Ngoc Anh Minh

    所在地: ベトナムホーチミン市

    事業内容: ベトナムにおける鉄道や高速道路など、国から公共の仕事を受託し、インフラ開発を行っています。

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2019.8.6

    アーバンエアモビリティ実現を目指すエアバス“A3プロジェクト”が人材募集中

    account_circle田中 亘
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      エアバスの“A3”は、新興の航空宇宙市場で主導的地位を確保し、まだ考えられていない新しい航空宇宙製品を発見し、デジタル技術を応用した独自の熟練した社内チームを迅速に展開し、継続的に企業として認められることを目的としたプロジェクトだ。A3のサイトでは現在、プロジェクトに必要な人材を募集している。

    求められる人材とは

    UAM開発に取り組むA3のメンバー

      どんな人材が求められているのか。

      A3のサイトでは、アーバンエアモビリティ(UAM)の実現に向けて、いくつかの分野でエ
    ンジニアやオペレーションスキルを備えた人材を求めている。サイトに掲載されている
    主な項目は以下の通りだ。

      ・UAM System Modeling and Simulation Engineer(UAMシステムモデリングおよびシミュレーションエンジニア)
      ・UAM Decision Making and Planning Engineer(UAMの意思決定および計画エンジニア)

      ・UAM, Systems Engineer-Optimization(UAM、システムエンジニア – 最適化)
      ・UAM, Process and Tools-Systems Engineer(UAM、プロセスとツール – システムエンジニア)

      ・UAM Trajectory Planning and Optimization Engineer(UAM軌道計画と最適化エンジニア)

      A3プロジェクトにおけるUAMの目的は、コネクティビティ、人工知能、自律システム、電
    気推進の分野での、技術の限界を押し広げることによって、環境への影響を最小限に抑え
    ながら最大の社会的利益をもたらす持続可能なモビリティシステムの開発にある。

      この目的のためにエアバスは、都市のモビリティの3次元空間を解き放ち、人々をつなぐための実行可能な代替手段を提供するソリューションを開発するために、会社全体でその専門知識を利用している。

      募集している業種の中で、例えば「軌道計画と最適化エンジニア」では、フライトコントロール部長の元で、フライトソフトウェアとサブスケールに関する業務に従事する。その役割は、UAMドローンの飛行計画と軌道を生成する安全でクリティカルなフライトソフトウェアの設計と実行になる。リアルタイムのフライトソフトウェアの設計と実装に、シミュレーションやサブスケールおよびフルスケールの航空機でのソフトウェアとモデルの検証まで、
    開発のすべての段階に携わる。具体的には、制御システムを設計し実行し、テストして、自律走行車、あるいはロボット工学プラットフォームに展開する。

      求められるスキルは、固定翼と回転翼機の飛行力学や古典的で現代的な制御技術などになる。加えて、高い数学的スキルと分析力や、ソフトウェア開発の経験も求められる。フライトビークルのための低次元モデル、ツリー検索や最適化ベースのアルゴリズムを含む動作計画、およびこれらの各手法の長所と短所も理解している必要がある。また、ソフトウェア検証および検証ツールの開発や、モンテカルロシミュレーションなどのシミュレーションに基づいた失敗の確率評価方法の経験も求められる。

      MATLABおよびSimulink / Stateflowの開発および解析ツールの豊富な経験を持ち、アプリケーションレベルのソフトウェアの展開、テスト、およびデバッグに精通した優秀なソフトウェアエンジニアを必要としている。さらに、ハードウェアレベルで何が起きるのかを明確に理解した上でCとC ++によるコーディングの経験も重視される。その他にも、多言語で開発されたコンポーネントでソフトウェアシステムを構成した経験や、システムのコードを通して組織の誰とでも交流し、他人が困っているバグを潰せるスキルも求められる。最終的には、飛行機、ロボットあるいはその両方に情熱を
    持っている人材が重要となる。

      A3プロジェクトは設計上「独創的」であるため、課題や障害に対する創造的な解決策を模索し、調査し、実行し、必要に応じて最小限の勢いで巧みにオペレーションを遂行することが期待されている。

      具体的には、次のような責任が求められている。UAM航空機用の安全性重視リアルタイム軌道計画ソフトウェアの設計と実装軌道解析、検証、検証用のソフトウェアツール開発現実的な飛行シナリオで軌道生成機能の信頼性をテストするためのシミュレーション環境やその他のツールを開発、実装、統合シミュレーションおよび飛行試験データを分析し、これらの結果に基づいて軌道生成機能の
    改善を提案エンジニアリングの意図を他のエンジニアリングチームと効果的に伝達し、社交イベントに参加し、新しいイベントを提案し、自身の情熱と趣味を共有し、どこへ行っても喜びを広めることによって、A3の社会環境に永続的に貢献求められる

      求められる資格や学位などについては、航空宇宙、機械、ロボティクス、コンピュータサイエンス、または同様の分野の修士号または博士号。軌跡の最適化、運動計画、車両シミュレーションの分野で、少なくとも5年間の意欲的な経験、特に線形代数、動的システムおよび最適化における強力な数学的および分析的背景、軌道最適化への応用を伴う数値最適化の実地経験、MATLAB、Simulink、および関連するワークフローに関する幅広い知識、優れたコミュニケーションスキル、専門分野で主導的な役割を果たすことができ、適切な場合には分野を超えて仕事をする能力が列挙されている。

    また、さらにプラスとなるITスキルとして、C、C ++などのコンパイル済み/システム言語、およびPythonなどのインタプリタ言語の経験、Gitまたは他のDVCSでの経験、アジャイル手法、および関連ツール、JIRA、Bitbucketなどに精通、UAV(固定翼、ヘリコプターまたはマルチローター)のための飛行制御システム設計の経験、不確実性下での機会制約付き最適計画と意思決定の経験、フライトソフトウェア認定要件の経験、NASおよびATM/UTMシステムでのフライト運用に関する知識、エントリーフォームなどは、以下のURLで受け付けていて、海外であれば米国で働くための
    資格も求められる。

    https://www.airbus-sv.com/jobs/263

      人材の募集要項を読む限りは、実際にこれだけスキルと経験を備えている人材であれば、UAMプロジェクトに限らず、あらゆる企業から引っ張りだことなる優秀なエンジニアだろう。

    AUTHER

    田中 亘