地方の再生、活性化にドローンを取り入れる取り組みが増えています。宮城県大崎市の温泉地、鳴子温泉でも、鳴子ドローン株式会社(宮城県大崎市)が設立され、2月2日に決起集会が開催されました。観光客にドローンを活用したサービス、アトラクションを提供することなどを検討する方針です。
鳴子ドローン株式会社は、アクセンチュア株式会社(東京)で活躍した経験を持つ地元の曹洞宗の寺院、洞川院の住職、菅原利行氏が提唱しました。会社は2月2日設立で、資本金は2020万円。事業を4月1日にスタートさせる予定です。当面は地元の有志、有力者らが幹部となって、観光、監視、農業などのサービス提供を準備する方針です。またドローンやITソリューション開発を手がけるトライポッドワークス株式会社の佐々木賢一代表取締役が技術顧問に就任しました。
決起集会は洞川院で行われ、総会の前にはオープニングアクトがわりに、落語家、古今亭菊龍さんが「徂徠豆腐」を披露して盛り上げました。集会には、宮城県議会議員、大崎市議会議員,、弁護士、現役の東大生らも参加、鍋料理を囲み、日本酒を交わしながらなごやかに行われました。また、幹部の多くはこの日、提唱者である菅原氏から名刺を「はい、これ」と渡されて初めて自身の役割を知る“サプライズ人事”で、高橋正CEOは「急遽大役を仰せつかりました。みなさんのご協力を頂きながら、鳴子活性化のためにがんばりたい」とあいさつするなど、驚きながらも地元愛などを語りました。
鳴子温泉周辺には、5色の変化を見せる酸性湖、潟沼や、紅葉の名所としても知られる鳴子峡にかかる鳴子大橋などの観光資源があり、地元の活性化に役立てる具体策を練る方針です。
米シカゴで開催された航空宇宙産業の大規模展示会、XPONENTIAL2019で現地視察したトライポッドワークス代表、佐々木賢一さんのレポートは今回が完結編です。VTOLの存在感がどれだけ大きかったかを感じ取ることができる臨場感たっぷりの渾身のレポートをどうぞ。あ、佐々木さんが撮影、編集したシカゴの街のスペシャル動画もあります!(DroneTribune 村山繁)
今年は数々のVTOL機が展示されていました
前回、DAY2でレポートをしたBell NEXUSのほかにも、今年はかなり多くのVTOL(垂直離発着)機が展示されていました。
スイスのベンチャーAutoFlight社のWhite Shark V40。
ペイロード8Kg含む総重量45Kg、最高速140Km/h、航続距離1300Km、放送用のCOFDM技術を利用して200Kmのフライトコントロールと1080p/30pの映像の伝送ができるとのことです。
ボーイング社のCargo Air Vehicleのモックアップ。
ペイロード500ポンド(227Kg)!
6つのデュアルローターシステムと12のプロペラを備え、長さ17.5feet(5.3m)、幅20feet(6.1m)、高さ5feet(1.5m)、総重量は500Kgと巨大な機体で都市間の物流を実現すべく開発が進んでいるようです。
同じくボーイング社のPassenger Air Vehicleのモックアップ。
このプロトタイプの今年1月に行われた初飛行テスト様子を収めた動画があります。
https://www.boeing.com/features/2019/01/pav-first-flight-01-19.page
アメリカのベンチャーELECTRAFLY社のPERSONAL FLIGHT VEHICLES。
4つのプロペラと小型ジェットタービンエンジンのハイブリッド機なんですが、スターウォーズ好きの私にはスピーダー・バイクが実現するのか!とワクワクしてしまいます。
これで森の中をハイスピードで飛び、「エピソード6/ジェダイの帰還」ごっこをしたいと思うのは私だけでは無いでしょう(笑)
NASAのUrban Air Mobilityのテスト機、「Langley Aerodrome #8」。
宅配車や6-8人乗りのコミュニティバス的な運用を目指しているとのことです。
NASAのラングレー研究所と言えばNASA最古の研究所で、航空機や宇宙探査機の研究で有名ですね。
BellとNASAが共同で開発している輸送機。
30Kgの積載量と160Km/hの飛行速度。
離発着時は縦に、飛行時は横になって飛び、通称Xwingと呼ばれているようなのですが、Xwingと言えばこれまたスターウォーズですね(笑)
Northwest UAVのVTOL機。
なんだか複雑な機体ですが、UAVエンジンのメーカーなのでとにかくモーター部を強調するデザインになっているようです。
最近、DJI MAVICによく似た小型機EVOの販売を開始したアメリカAUTEL RoboticsのVTOL機。
THREOD SYSTEMSは軍や警察、国境警備向けのSTREAM C VTOL UASを展示。
2000m以上の高度を最高速130Km/hで5時間以上の飛行が可能とのこと。
30倍ズームカメラ、赤外線カメラ、レーザーレンジファインダー搭載で100Km以上の距離で通信できるようです。
アメリカPAE ISRのResolute Eagle。
このメーカーも米国政府機関、NATOなどが顧客で、情報監視や偵察が主な役割とのことで、最高高度4500m、飛行時間12時間が可能なようです。
KARI(韓国航空宇宙研究院)のVTOLプロトタイプ。
名前の通り、日本で言うところのJAXAに当たる研究機関で、宇宙開発に関する研究開発と並んで、UAVの研究にも力を入れているようです。
以上のように、今年のXPONENTIALはVTOL機が展示の中心でした。
離発着に滑走路が要らず、航続距離や速度やペイロードが稼げて、何より長時間の飛行が可能なVTOL。
軍事を含む産業用のUAVとして、ヒトやモノを運ぶFlying VehicleとしてのVTOLは、これからドローンの主流の一つになって行く予感がしました。
3回に分けてお届けしたXPONENTIAL 2019のレポートは如何でしたでしょうか。
まだまだお伝えしたい内容もあるのですが、それはまたの機会とさせて頂きます。
最後に、今回のシカゴにはMAVIC2 ProとOSMO Pocketを持って行き、シカゴの街を撮ってきましたので是非ご覧下さい。
私の勝手なシカゴのイメージは、新旧の建物が入り混じった歴史あるミシガン湖畔の街で、街中を走る鉄道と摩天楼、映画でギャングまたは警察から主人公が逃げる時に使う古い建物の非常階段と暗く狭い路地、そこから車で逃げる時のカーチェイスは鉄道のガード下の道路でって感じでしたので、そのイメージに合う場所をチョイスして撮影しています(笑)
なお、渡米前にFAA(連邦航空局)に機体を登録、飛行場所はClass G空域(届出無しで飛行して良いエリア)かつNo Droneになっていないところを120m以下で飛行、つまりUSの法令を遵守して撮影しています。
来年のXPONENTIALはボストン。
2020年5月4〜7日です!(完)
シカゴで開催されたXPONENTIAL2019で情報収集をした、トライポッドワークス代表、佐々木賢一さんの現地直送の渾身レポート第2弾は、規格外の規模で来場者の度肝をぬいたBellブースに迫っています。以下、佐々木さんのレポートです(DoneTribune 村山繁)
DAY1のレポートの通り毎年このXPONENTIALは航空宇宙産業大手の派手な展示が多いのですが、その中でも今年ひときわ目を引いていたのがBellブースです。
Bellは民間や軍用のヘリコプターを多数製造している老舗メーカー。あのオスプレイをボーイングと共同開発した会社としても知られていますね。
そのBellが開発しているもので話題になっている機体が2つあって、ひとつがオスプレイ進化系の軍用VTOL機のベルV-280 Valor、そしてもうひとつがUrban Air Mobilityをコンセプトとした空飛ぶタクシー、今回展示されていたNEXUSです。
NEXUSは今年1月にラスベガスで開催されたCES(Consumer Electronics Show)で実物大のモックアップが展示され、「電動オスプレイ」とか「空飛ぶタクシー」とか「パッセンジャードローン」とか呼ばれて話題になっていました。
今回展示されていたのは、そのモックアップのバージョンアップ版です。
まずはこの大きさを見て下さい。
とにかくデカい。
直径2.4mのローターは6枚で、離発着時は地面と平行、飛行中は90度回転して地面と垂直になって推進力を得るというシステムです。
そして、内部はクールなデザインで近未来のイメージ。広さも十二分です。
天井は全面が液晶パネル!
5人乗りで、そのうち1人はパイロット。完全な自動航行は技術の進展を待って将来的に実現するとのことです。
ただ、操縦は全てをタッチパネルで行う非常にシンプルな方法なので、従来のヘリコプターの操縦席とは全然イメージが違います。
ブースで上映されていた数年後のイメージはこちらです。
Urban Air Mobilityですから、まずは渋滞回避のソリューションとして大都市部での実用が目指されていますが、いずれは過疎地域のコミュニティバスや、離島への船などが、こんな形になって行くかもしれないな、と感じました。
2020年代の早いうちにテスト飛行が始まるようなので、これをスマホで呼ぶ時代はそう遠くなくやってくるのかもしれませんね。(DAY3に続く)