能登地震の災害対応にあたっていた株式会社ACSLは1月16日までに当面の役割を果たして輪島市(石川県)から引き揚げた。輪島市では同社の空撮用ドローンSOTENで、仮設住宅の設置候補地の現状把握や、機能停止に陥っている港湾の被災状況把握を支援した。SOTENはISO15408に基づくセキュリティ対策が施された堅牢な情報漏洩機能が特徴だが、降雪に見舞われた中での活動では、カメラ、ジンバル、バッテリー搭載時の防塵・防水性がIP43だったことが役立ったと振り返る。
ACSLは1月7日から14日まで、輪島市から要請を受けたJUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)の災害対策活動に合流した。現地には同社製のドローンも持ちこんだ。空撮用ドローンSOTENは4機、持参した。また、途中で交代した人員も含め延べ6人が現地で活動した。
現地入りしたときには、土砂災害や家屋倒壊、道路寸断などで周囲の状況把握がままならないことが最大の課題で、「とにかく被災状況を撮影できれば、という状況だった」という。
SOTENは高い情報漏洩防止機能が特徴だが、現場で重宝されたのはまずは「防水性」だったという。災害対策活動中、輪島市では雨や雪が降っていた。その中でも被災状況を急いで把握する必要があったため、「カメラやバッテリーを搭載した状態でIP43の防水性を持つSOTENは問題なく飛行でき」頼られたという。
ACSLと同じタイミングで、株式会社エアロネクスト(東京)と、エアロネクストの物流事業を担うグループ会社株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>)がJUIDAの災害活動に合流した。ACSLとエアロネクストが共同開発したAirTruckも2機持ちこまれたため、AirTruck物流・配送をエアロネクストとNEXT DELIVERYが担い、ACSLは空撮を担ったという。
ACSLの現地活動は一週間を超えた。エアロネクスト、NEXT DELIVERYは1月16日現在も現地に滞在し、引き続き活動を続けている。輪島市でもドローンの有効性が改めて見直される機会になっているという。ACSLは今後、被災地の活動の局面が推移に伴い、改めて情報セキュリティの高さが求められる可能性もあるとみている。
株式会社NTTドコモは、米SkydioのAIドローン「Skydio 2」向けの飛行支援ソフトウェア「Skydio 3D Scan」の提供を日本で始めた。建物など構造物を撮影するさい、障害物を避けながら、撮影の目的に応じた最適な飛行を自動・自律で可能にする。法人、自治体などへの提供を想定しており、提供を通じ産業へのドローン導入の促進と安全運用への貢献を目指す。ドコモが7月16日(金)~19 日(月)に開催する「docomo 5G DX MEETUP for business」に出展する予定だ。
「Skydio 3D Scan」は、Skydio 2で構造物の撮影をするさいに運用者を支援するアプリケーションで、5月に提供を始めた機能拡張ソフト「Skydio Autonomy Enterprise Foundation」(AEF)と連携させて利用する。3D仮想モデル作成、状況把握など、目的に応じた飛行や撮影の自動運用が可能になる。特にGPSの取得が難しい環境や複雑な構造物でも、機体の6つのカメラが取得したデータをもとに、障害物を回避して自動飛行をするなど本領を発揮し、安全な運用を支える。
Skydio 3D Scanを運用するには、撮影対象の構造物について、上面、下面、幅など領域を指定する。そのうえで機体と構造物との距離や、撮影する写真の重なり具合(ラップ率)などを設定する。デジタル空間上に 3D仮想モデルを作成する場合は、構造物に接近して多くの写真を取得する。迅速な状況把握が目的のときには速やかに網羅する撮影をする。Skydio 3D Scan を使うことで、カメラの角度や機体の向きをドローン自身が自動調節しながら飛行する。また飛行エリアを設定すれば、機体は該当エリアから外に出ないように飛行するため安全な運用を支える。設定もシンプルで、産業へのドローン活用の促進が期待できる。
さらに、ドコモの飛行管理プラットフォーム「docomo sky」の AI解析機能、3D構築ソフト、ビューワーと使うと、飛行軌跡上から詳細画像を確認することもできる。
ドコモは100%子会社である株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ(東京)を通じSkydio 社に出資している。Skydio 3D Scan提供に先立ち、2020年から日米で技術検証を繰り返し、改善点を技術開発に還元してきた。今回、日本で最初の Launch Partner として6月28日に取り扱いを始めた。7月7月16日(金)~19 日(月)にはドコモが開催する「docomo 5G DX MEETUP for business」にSkydio 3D Scanを出展する予定だ。
電源開発株式会社(Jパワー)と岡山理科大学は1月12日、ドローンで送電線や保護設備である架空地線を自律撮影する技術を開発し、特許を取得したと発表した。電源開発送変電ネットワーク株式会社と実用化に向けた検証や評価を行い、4月からの2021年度に本格的な導入を目指すとしている。
発表によると取得した特許は「自律移動制御システムおよび自律移動体」(特許第6719738号)で、センサー技術や高速画像処理技術でドローンをリアルタイムに制御し、点検業務の安全性、点検質の向上を図る。これにより「従来の架空電力線点検の作業時間から50%以上の効率化が期待できます」としている。
Jパワーなどは「自律移動撮影制御システムおよび自律移動体」 につて、送電設備情報、センサー技術、制御技術、カメラ技術、画像処理技術を搭載したドローンが、自動で飛行ルートを計画し、撮影対象物である送電線・架空地線に接近し、一定速度で飛行しながら精細な画像を取得する技術と説明している。
あらかじめドローンに送電設備情報を入力することで飛行ルートを自動で計画し、撮影飛行中には、複数のセンサー情報、画像処理技術で、GPSに頼らずに撮影対象物と一定距離を保つという。強風などの飛行環境の変化、撮影対象物の状態の変化などに強みを発揮するとしている。
Jパワーなどは、「衛星電波の届かない橋梁下やトンネル内の自動撮影など幅広い用途に活用できる可能性があります」としている。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)とデジタルハリウッド・ロボティクスアカデミーは空撮作品コンテスト「Drone Movie Contest 2020」のグランプリと審査員賞の入賞者を発表した。グランプリには瀬戸内ドローンプロジェクトの「ASAKUCHI Fireworks display 2019」が選ばれた。9月29、30日に延期開催を予定しているドローンの大規模展示会Japan Drone 2020が予定通り開催された場合、入賞作品の上映と表彰式を行うことにしている。
このほか、「エイミー賞」に株式会社一旗の「DRONE×NINJA DAIJUJI ドローン×忍者~大樹寺~」、「伊藤賞」に石橋建氏の「KOH LIPE」、「猪川賞」に、瀬戸内ドローンプロジェクトの「ASAKUCHI Fireworks display 2019」が決まった。瀬戸内ドローンプロジェクトはグランプリとのダブル受賞となった。
また、齋藤英雄氏の「2019 JPKA ISE WAN CUP ~Japan Kite Racing First Round~」、向田隆氏の「終わりなき旅~山下財宝を探して~」、Marks Branding incの「佐渡―Sado Island-/Into Japan Nature」が最終審査まで入賞を競った。
コンテストでは写真家、映画監督のAIMY MORI氏、ドローングラファの伊藤広大氏、英語損門Webマガジン「PRONEWS」やドローン専門Webマガジン「DRONE」編集長の猪川トム氏、株式会社Dron e motionが審査員を務め、JUIDAの岩田拡也常務理事が監修した。
Drone Movie Contest 2020の受賞者は本来、2020年3月に開催予定だったJapan Drone 2020で発表される予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のために開催が9月に延期されたため、入賞者を3月に先行発表した。見直し案件が浮上したために審査を見直し、4月に入ってから改めて受賞結果を公表した。Japan Drone 2020が9月に開催される場合にはそこで表彰式が開催される予定だ。