ドローン普及機運が高まっていた2017年4月5日、「楽しみながら操縦が学べる」を掲げて登場したアプリと18グラムの手のひらサイズの機体を組み合わせた教材が、ドローン関係者の話題を独占しました。教材は株式会社ORSOが開発した「DRONE STAR」で、連動する18グラムの軽量機体は「DRONE STAR01」。この日の発表はその後、部屋の中での操縦トレーニングの普及と、ドローンの教育利用の広がりに寄与しています。4月5日はドローンの教育が新たなフェーズに踏み出すきっかけとなったDRONE STAR記念日と言えそうです。
DRONE STARの発表は、2017年4月5日、東京・永田町で開催されました。発表の内容は、スマホでアプリを起動させ、スマホ越しに小さいドローンを飛ばして障害物を避けるように操作をすると加点するなど、遊び感覚で操縦のトレーニングが楽しめる画期的なものでした。
画期的なだけでなく、初心者をひきつける工夫も盛り込まれていました。起動方法から解説した「チュートリアルモード」で電源の入れ方に慣れ、機体を空中で保つホバリングの腕前を測定してスコア化する「ホバリング検定」で機体の扱いに慣れ、飛んでくるソフトクリームを避けるゲームを通じて技能向上を図る「ソフトクリームパニック」と、機体に搭載したカメラから送られる映像を見ながら操作する「FPVモード」で楽しさに取りつかれます。
発表会の参加者は、坂本義親代表取締役社長CEOの説明に聞き耳を立て、高宮悠太郎氏のデモンストレーションに注目し、実際に体験し、会場のあちこちから「楽しい」、「これは教材として決定版」などと評価する声が聞こえました。
またプロポを使わず、難しいコードも書かずにスマホでドローンを直感的に制御できる「DRONE STARプログラミング」では、ドローンに「前進」、「回転」などの指示をタイムラインに配置することを通じて、プログラミングの基礎を体験でき、プログラミング教育への用途が準備されました。
DRONE STARは発表後にも進化を続けています。
2018年には、「DRONE STARプログラミング」にDJIが技術を提供したRyzeTech社製のトイドローン、TELLOが対応機種に追加されました。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムがドローンを活用した人材教育の研究教材として採用したのもこの時期でした。
2019年4月には、プログラミング講師の養成講座「DRONE STAR Academy」も開講しました。2020年度からはじまるプログラミング教育の必修化を前に、対応に不安を抱えている教員の声にDRONE STARが一役買うことになったわけです。
2019年12月20、21日には大分市で開催された「OITAドローンフェスタ2019」で子供向けドローン操縦・プログラミング体験会が開催され、「DRONE STAR 01」「DRONE STAR プログラミング」や、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の監修を受け、ブルーイノベーションとドローン×プログラミングのジュニアカリキュラムの展示は、親子連れや若者グループなど多くの来場者でにぎわいました。
3年前の2017年4月5日のDRONE STARの最初の発表会で、坂本CEOは「ドローンの操縦の基礎を楽しみながら覚えて、体験できることを目指しました。ドローンの操作がうまくなるには、トレーニングに時間をかける必要があります。トレーニングが楽しくなかったり、上達した実感が得られなかったりすると、せっかくドローンに触れても途中でやめてしまうことが起こります。裾野を広げるためには離脱を防がないといけません」と、開発の動機を説明していました。
「学ぶこと」と「楽しさ」を結びつけることを追求するDRONE STARには今後も進化が期待されています。
DRONE STAR公式サイト:http://www.dronestar.jp/
ORSOホームページ: http://www.orso.jp/
新型コロナウイルス感染拡大防止への取り組みがドローン関連産業や関係機関にも広がっている。1月下旬にいち早く対応を始めた株式会社ORSOは、2月18日以降、全面的にリモートワークで事業を進めている。パーソルプロセス&テクノロジー株式会社は、3月6日に都内で開催する予定だったセミナーをWEBセミナーに切り替えた。大分県は3月14日に予定していた実験の一般公開を延期し、当日はメディアに限り公開する方針だ。
コロナウイルスへの警戒感は日増しに高まっている。経営者、事業主、イベント主催者は、関係者の安全や健康と、事業の継続や経営の維持などとを見比べながら、見通しのきかない先行きと相談しながら、厳しい判断を強いられている。3月下旬に千葉・幕張メッセで開催する予定していたドローンの大規模展示会、Japan Droneも半年ほど開催が延期されることが決まった。すでに多くの企業、催事が対応を進めている。
株式会社ORSOは、1月27日に、ミーティングをオンラインに切り替えるなどの対応を始めた。国内では新型コロナウイルス感染が4人確認された時期で、クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号が横浜に入港する2月3日以前で、早くから対応していたことが分かる。
その後、警戒感を強め、2月17日、21日と状況に応じて対応を強化していて、現在は全社員を対象に原則、在宅勤務に切り替えている。社員の会合出席を制限したり、会社としてかかわるイベントへの協賛も取りやめたりと、社員の感染リスクの極小化を徹底している。
国内の感染者は拡大を続けており、3月5日午前7時現在、横浜港に入港したクルーズ船を含めて331人に増加。6人が死亡しており、ORSOの対応の早さ、機動性の高さは関係者の間で話題になっている。
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社は3月6日、都内で実施を予定していたセミナー「これからのドローンオペレーションサービス~組織に求められる品質管理~」をWEB開催に切り替える。
セミナーは2020年3月6日10:00 ~ 12:00にZOOMで開催される。一般社団法人セキュアドローン協議会会長でドローン・ジャパン株式会社取締役会長の春原久徳氏が、「実用化に向けてドローン活用企業が困っている課題-地域と企業を結ぶハブへ」を演題に講演するほか、ドローンを活用したい事業者が、ドローン業者に発注をするさいに抱える不安と、解消に必要なドローンオペレーションについて、パーソルP&Tが提唱する運用管理、品質管理を紹介したりする。現場で使える運用ツールや研修サービスの紹介もある。受講料は税込み5000円でPEATIXで申し込む。申し込みと入金を確認したあと、視聴用のURLを送付する。(申し込みはこちら)
大分県は、3月14日に開催を予定していた16キロメートルの長距離物流実験の一般公開を延期することにした。メディア限定で公開し、一般向けのお披露目について適切な方法や時期を改めて探る。
実験では大分県津久見市の市民会館から沖合16キロに浮かぶ無垢島まで5キログラム以内のヘルスケア用品、医薬品を配送し、ドローン物流にかかわる課題を洗い出す。機体にはciRobotics株式会社(大分市)が開発したシングルローター機「ciDroneSR」を活用。ドローン配送薬局を開設や、離発着場となるポートつきの荷物収納ボックスの運用を、ドローンの長距離飛行、自動電話受発注システム、運航管理システムとくみあわせて、離島物流の有効性を探る狙いだ。実験そのものは3月2日に開始していて、14日の最後飛行を一般にも公開する予定だった。
このほか多くの企業、団体が感染課題対応を導入しているほか、関連する発表会のWEB開催への切り替えなどが続いている。