ドローン、エアモビリティ系スタートアップ特化型のファンド、DRONE FUND(本社・東京)は2017年6月1日に発足し、2020年6月1日に3周年を迎えました。少子化、高齢化といった構造的な課題解決に欠かせないドローンのテクノロジーを、資金、知見、環境整備のすべてで支える活動は、日本のドロ ーン前提社会実現のけん引役となっており、さらなる活躍が期待されています。千葉功太郎代表パートナーは、このタイミングで自家用操縦士の取得も発表しました。2022年度の「レベル4」解禁、2023年度の「空飛ぶクルマ」の解禁に向けて議論の活発化が確実な中、パイロット免許取得で得た知見は、技術面、政策面、制度面に加え、ミーティングでの説得力などあらゆる場面で大きな力となりそうです。ただ、千葉さんのライセンス取得への道は精神的にも肉体的にも険しく、「心が折れて、後悔しまくってました」と振り返るほどでした。
千葉さんが、操縦士免許取得を目指すと決めたのは、テレビCMを観てビジネスジェット「HondaJet Elite」を買うと決めた時と同時でした。もともと機械は自分で操縦する、という考えの持ち主。クルマと同じように買ったら自分で操縦する気でいました。「当たり前のつもりでいたのですが、それが後悔の始まりでもありました」。
最初に門をたたいたハワイのスクールでは、分厚いマニュアルを渡され圧倒されます。量が多いだけでなく、基礎知識がないところからのスタートなので、字面を拾ったところで頭に入らない。加えて教官が厳しいスタイルで接してくるタイプだったため、圧力も強い。教官の質問に答えられないと「なんでこんなことが分からないんですか?教科書くらい理解してください」と容赦なく怒られました。そのため「分からないし怒られるしで4日で心が折れ、1週間後には恥ずかしながら『やめます』って言おうかと思うところまでいきました」と言います。
それでもやめなかったのは、自分自身で空を飛ぶことが楽しかったから。当初、仕事の合間にハワイに出向いて訓練し、短期取得を目指していました。しかし、しっかり学ぶ必要があると考えなおし、世界でも最も厳格といわれる日本で学び直すことを決めました。自分を追い込むために飛行機も買いました。それがDRONE FUNDのイメージキャラクター、美空かなたちゃんのイラストに覆われた、パイパー・エアクラフトの単発機です。さらに千葉さんの国内飛行免許取得に向けた訓練教官には、元航空自衛隊でF15戦闘機のパイロットをしていた、まさに航空界のエリートである船場太教官が内定。「まさに猫に小判でしたが、退路はなくなりました」と振り返ります。また訓練空港は航空自衛隊小牧基地として知られる名古屋空港が決定。名古屋への「通学」が始まります。
2018年7月末、千葉さんは「DRON FUND2号」の発表にのぞみ、会場となった竜ヶ崎飛行場(茨城県龍ヶ崎市)で飛行機「かなたちゃん号」をお披露目しました。この年の12月には念願のHondaJet Eliteの日本1号機を手に入れることになり、こちらもメディアに公開しました。メディアに公開したのは、「自分を追い込むためでした」(千葉さん)。そして、実際に、追いつめられる経験を積み重ねることになります。
千葉さんは、日本で操縦を学び始めてから免許を取得するまで、のべ150時間のフライト訓練と383回の離発着を重ねました。規定では40時間以上あれば免許の基準に合致しますが、「とてもそんな時間では取れそうにありませんでした。遠回りしたかもしれません」と話します。
千葉さんが挑んだのは、自家用操縦士のうち「VFR単発機」と呼ばれる、地面を見て飛ぶスタイルです。ほかに「VFR双発機」、計器だけで飛行できる「IFR」、さらに機種ごとのライセンスがあります。「かなたちゃん号」は「VFR単発機」の免許で操縦できますが、HondaJet Eliteを操縦するには、機種ごとのライセンスまで取得する必要があります。
千葉さんは「VFR単発機」取得への挑戦を振り返ると、この間に大きく5つのヤマ場があったといいます。第一は、ゼロからの挑戦期、第二が筆記試験、第三が初の単独飛行である「ファーストソロフライト」、第四が試験本番に向けた訓練の仕上げ、第五が試験当日です。
第一段階では、ゼロからスタートして、視界の悪い空中で飛行機を操縦することによって体に起きる空間識失調(VERTIGO=ヴァーティゴ)の体験が大きかったといいます。この状態になると感覚がまひして、機体の動きを理解できなくなります。水平に飛んでいると感じていても、機体は下降している、ということがあり、危険な状態です。このため教官は「異変を感じたら、自分の感覚を捨てろ、計器を信じろ」と繰り返し叩き込んだといいます。
第二段階のヤマ場は国家試験の筆記試験でした。自家用操縦士の免許を取得するには、航空気象、航空工学、航空法規、航空通信、航空航法の5科目の試験に合格することが必要です。そのうえ、実地試験で単独飛行をするためには、特殊航空無線技士をもっていなければいけないので、実質6科目の勉強をする必要があります。仕事をしながら本格的な受験生の勉強もこなすことになり、脳みそをいじめ抜くような苦しい日々が続きました。千葉さんは「最終的に効果的だったのは過去問をひたすら解くことでした」と振り返ります。なお千葉さんは、必要な6科目に加え、「第二種陸上特殊技士」も「ついでに」受験して合格しました。
第三段階のヤマ場は、横に教官が座らずに、初めて完全に一人で空を飛ぶ「ファーストソロフライト」です。隣にいるのが当たり前の教官がいなくなる恐怖。千葉さんは「死をリアルに感じた」と言います。
なお、ファーストソロフライトに関連して、千葉さんが大きな出来事として刷り込まれているのが、教官から「ソロフライトの前に、不安なことはありますか」と当日本番直前に尋ねられたときのことです。このとき千葉さんは、「上空でエンジンが止まったら、死ぬんですか」と尋ねたそうです。すると教官は「では1回それをやってみましょう」と言い、空中でエンジンを止める体験するはめになってしまいました。離陸して1000フィートまで上昇し、滑走路近くでエンジン出力を切る(スロットルをアイドルにする)。エンジンが切られた状態の飛行機を、教官の指示に合わせて滑空状態で操縦しながら滑走路に対して直角に接近して、最後に滑走路方向に姿勢をかえて着陸。「不安を解消するためにやって頂けたことなんですが、そりゃ怖いですよ。空中で本当にエンジンをスパっと切られると、あとはただ『うおおおっ』て言いながら死にもの狂いでした」。もちろん、空港の管制官の許可を得ての特別な訓練です。
「ファーストソロフライト」はどのパイロットにとっても、最も思い出深い一日にあげる記念日だそうです。このあと単独飛行を無事に成功させて戻ってきた千葉さんを、教官は、日本式で水をかけて祝ってくれたそうです。この瞬間は千葉さんにとっても「本当に感動した瞬間です」と言います。
第四段階は試験本番に向けた練習で、試験に向けて難易度がさらに高くなっていきました。試験までにソロフライトを10時間、積み重ねる必要があり、さらに「エアワーク」と呼ばれる特殊な飛行と、「ナビゲーション」と呼ばれる空港間の長距離飛行をGPS利用なしで安全に時間通りに飛行する2つの飛行試験に向けた訓練を行います。
エアワークは、操縦士が計器だけをみて機体を操縦する計器飛行と、エンジンを空中でアイドルにして、機体を「失速」させて、落下から通常姿勢に戻す特殊飛行訓練などで構成されます。例えば計器飛行の異常姿勢からの回復操作では、空中で外が見えない目隠しメガネをされ、「目を瞑って操縦桿から手を離してください」と言われ、教官が飛行姿勢をわざと大きく崩します。機体の姿勢が崩れたところで、姿勢を立て直すよう指示が出され、操縦士は計器だけを見ながら体制を立て直します。さらに失速訓練では、実際に空中飛行時にエンジンをアイドル(出力をほぼ止める)にして、機体の揚力が消えるまで姿勢維持すると、ある瞬間に機首がガクンと下がり落下を始めます。そこから冷静に手順通り機体を立て直します。「いつも命がけですが、これも命がけ」と、命がけの緊張度の高い訓練が続きます。
「ナビゲーション」では、予め計画した精密な長距離飛行計画の実施途中に、突然予定外の目的地を告げられ、それに対応します。目的地が変わると、航路を確定させるために紙の地図に定規で線を引くことにもなっています。地図は操縦士の膝の上にあり、それを開き、かつ定規で線をひくとなると、手放し操縦をしなければならなくなります。それを手際よくできるかどうかカギとなるそうです。なお、追い打ちをかけるのが、教官からの高まるプレッシャーです。「それまで鍛えられてきたはずのメンタルが、ここにきてさらに折られる思いをします。最後の2、3日は本当にきつかった」と振り返ります。
そして最後のヤマ場が試験本番。試験は口頭試問と、2種類の実地試験。2種類はエアワークとナビゲーションです。この口頭試問が「耐えがたいプレッシャーをかけてくる」難しい質問の波状攻撃なうえ、千葉さんの場合「試験勉強でいう山カンがはずれて」焦った受験となりました。口頭試問に合格して、受験資格を獲得した実地試験は、強風による悪天候で予定がかわり、さらに新型コロナウイルスの影響をみながら日程も調整し、試験本番にパフォーマンスを最大に発揮できるかどうかの管理も試されながらの受験となりました。結果として、エアワーク、ナビゲーションとも「奇跡的にうまくいって」合格したといいます。
合格は「とにかくうれしかったし、教官をはじめ、大勢の協力があってのことなので、ほっとしました」と話しています。
この間がどれだけの極限状態であったかは、千葉さんのメモから読み取れます。
千葉さんの試験前のメモには「守るべきこと」として、数点の箇条書きがあります。
その最初が、「あくまでもマイペースを守る」です。
千葉さんによると、空では「足し算ができなくなるほどアホになる」といいます。多くのことを同時に考えてこなさなければならないうえ、イレギュラーなことが当たり前に起こるため「CPUがフル稼働でそれ以上は考えられない状況。ふだんの10%もアタマが使えません。放っておけば、自分のペースを守れない。事故は多くの場合、パニックに陥ったときにおこります。マイペースを保つ、ということは、命を守ることに直結するんです」。
そしてもうひとつ、「色気を出さない」とも書いてあります。
これは、「こうできたらカッコよさそう」などと考えてはいけないという戒めだそうです。着陸が難しそうなら躊躇なくやり直さなければいけません。また、聞き取れなかった交信は必ず聞き返して理解する、ということも含むそうです。「航空管制無線が聞き取れなかったにもかかわらず、自分には直接、関係のないであろうと思い込み、分かったフリをしたことがありました。そうしたら教官からめちゃめちゃ怒られました」。
こうした経験から何を得たのでしょうか。
千葉さんは「いくつもありますが」と言いながら、メンタルが強くなったこと、空から俯瞰する地理感覚や、相対座標という感覚を手に入れたこと、パイロットだからこそ一目置かれる立場に入れたこと、などをあげてみせました。空の利用をめぐる議論の中でも、自家用操縦士の免許を持つドローンの立場からの発信は、ドローン・エアモビリティ前提社会を目指すうえでより説得力を持ちそうです。HondaJet Eliteを操縦したい、という「軽いノリ」から始まった壮絶な免許取得への挑戦は、千葉さんに新たな視点を授けたことは確実です。
なお、千葉さんが今回取得した「VFR単発機」の免許では、千葉さんが目指す「HondaJet Elite」を単独で操縦することはできません。ここを尋ねると、「それができるように免許を取ろうと思っています」と即答しました。「『VFR双発機』はできれば年度内に。3年以内に機種別を取得してHondaJetEliteを操縦したいと思っています」。
門をたたいてから「後悔しまくっていた」「心が折れた」と振り返るほどの壮絶な免許取得のストーリーには、まだ続きがありそうです。
山を削ったり土を盛ったりしてできる法面の緑化に専門技術を持つ東興ジオテック株式会社(東京)とドローン開発のエアロセンス株式会社(東京)は6月23日、種子や肥料などを混ぜた人工土壌をドローンで吹き付けるための工法を共同開発したと発表した。緑化材料を供給するホースを有線給電ドローンに搭載して使う。法面緑化は人手頼みの傾向が強く、新技術で作業の負担軽減を目指す。さらなる自動化への検討を続け、将来的なモルタル吹付施工も視野に入れる。
両者は開発した植生基材吹付工法を「グリーンインパルス」と呼ぶ。法面垂直高が80mを超える現場での吹付が可能なハイグリーンショット工法(長距離高揚程植生基材吹付工法)と、金網張り付け工程を省けるノンラスグリーン工法をベースに、ドローン施工を組み合わせた。
施工では、材料供給ホースと給電ケーブルをドローンにつなぎ、ドローンで吹き付ける。種子や肥料などを混合した人工土壌をドローンで吹き付ける植生基材吹付工法は前例がないとみられる。
発表は以下の通りだ。
法面作業の安全性向上と労働力不足の解消に布石
高松コンストラクショングループの一員で、法面保護、地盤改良などの事業を展開する東興ジオテック株式会社(所在地:東京都中央区、代表取締役社長:吉井睦雄、以下、東興ジオテック)とエアロセンス株式会社(所在地:東京都北区、代表取締役社長:佐部浩太郎、以下、エアロセンス)はこのたび、法面吹付用の大型有線給電ドローンと吹付工法を共同開発したことをお知らせいたします。
エアロセンスが有する有線ドローンの技術を生かして開発を行った、法面吹付用の大型ドローンによる植生基材吹付工法(工法名:グリーンインパルス)は、大型ドローンでありながら、有線給電により長時間の施工が可能で、これまで作業員が行っていた法面での吹付作業をドローンが担うことにより、法面施工の安全性の向上と労働力不足の解消を図ります。 また、ドローンで法面への吹付をおこなう際、クレーンやバックホウ(ショベルカー)などの重機を利用することなく、かつ高所でも施工が可能となるため、法面から山腹崩壊地をはじめとする災害復旧工事まで施工範囲が大幅に広がります。なお、ドローンによる種子や肥料などを混合した人工土壌を吹き付ける植生基材吹付工法はこれまでに例がなく、国内初の技術(※1)となります。
従来の法面への吹付施工は、作業員がロープにぶら下がりノズルを持って施工する人力施工が主流で、重労働かつ高所作業で危険をともなうことに加え、作業員の平均年齢が高く後継者不足も喫緊の課題となっています。法面事業で国内3位のシェアを有する東興ジオテック(※2)では、グリーンインパルスを運用することでこれらの課題解決と、作業の大幅な効率化と省人化および安全性を向上させて、施工現場のオートメーション化を図ります。
今後は山腹崩壊地をはじめとする、これまで機械施工が困難だった現場の完全無人施工を実現させるために、吹付厚さのリアルタイム計測技術の充実と機体の改良による完全自動航行(施工)技術を検討してまいります。また、将来的にはこのドローン技術をモルタルの吹付施工などに活用していくことも視野に入れています。
【グリーンインパルスの展開について】
東興ジオテックは、従来の植生基材吹付工法では施工が困難だった法面垂直高80m以上の現場を吹付可能にしたハイグリーンショット工法(長距離高揚程植生基材吹付工法)と、通常の植生基材吹付工法で必要な吹付前に法面全面に金網を張り付ける工程を省略できるノンラスグリーン工法をベースに、ドローン施工を組み合わせる新しい吹付工法を「グリーンインパルス」と名付け、山腹崩壊地をはじめとする長距離高揚程圧送が必要な現場の新たな技術として活用を目指します。
【グリーンインパルスの構成について】
ドローンによる施工システムは、材料供給ホースと給電ケーブルをドローンに接続し、ドローン操作システムを用いて吹付をおこなう仕組みです。ドローン機体は6つのプロペラを有し、ペイロードは約40kg、ホースを装填した状態で最高約30m上空まで飛行できます。地上の電源装置とドローンは車載可能なため、山間の場所でも現場運用でき、地上からの吹付厚さのリアルタイム計測技術を備えているため、吹付厚さの計測作業を地上からおこなうことも可能です。
さらに、東興ジオテックでは、現在開発中の全自動施工プラントを組み合わせることにより、将来的には通常5名程度必要となる作業員の数(監督者を除く)を2名に削減し、従来の約6割の省力化を見込んでいます。
【植生基材吹付工法について】
植生基材吹付工法(または厚層基材吹付工法)は、法面緑化工法のひとつで、植物が発芽・生育するための生育基盤をエアーの力で圧送して法面に吹き付ける緑化工法です。植生基材吹付工法は、東興ジオテックが1974年に開発して以降、50年以上作業員がロープにぶら下がりながらノズルを持って生育基盤を吹き付ける施工が行われてきました。
昨今では法面施工においても機械化やICT技術の活用による生産性の向上が図られるようになりつつありますが、吹付作業については重機を使った機械化にとどまり、近年頻発している豪雨災害や地震災害で生じた山腹崩壊地など、重機が搬入できない現場では人力施工を余儀なくされています。また、生物多様性国家戦略2023-2030において、法面緑化工事における外来種等の使用回避・拡散防止の具体的施策も示されています。
【植生基材吹付工法について】
植生基材吹付工法(または厚層基材吹付工法)は、法面緑化工法のひとつで、植物が発芽・生育するための生育基盤をエアーの力で圧送して法面に吹き付ける緑化工法です。植生基材吹付工法は、東興ジオテックが1974年に開発して以降、50年以上作業員がロープにぶら下がりながらノズルを持って生育基盤を吹き付ける施工が行われてきました。
昨今では法面施工においても機械化やICT技術の活用による生産性の向上が図られるようになりつつありますが、吹付作業については重機を使った機械化にとどまり、近年頻発している豪雨災害や地震災害で生じた山腹崩壊地など、重機が搬入できない現場では人力施工を余儀なくされています。また、生物多様性国家戦略2023-2030において、法面緑化工事における外来種等の使用回避・拡散防止の具体的施策も示されています。
東興ジオテックは、法面分野の専門業者として多数の緑化工法を保有し、主にインフラ整備や災害復旧におけるさまざまな要求に応えてまいりました。1996年から運用している独自の在来種子貯蔵出荷施設(RSセンター)を保有する強みを活かし、これまでの法面緑化に加えて地域生態系に配慮する必要がある地域等において在来種による自然回復緑化をグリーンインパルスで展開し、ネイチャーポジティブ(自然再興)の実現に貢献してまいります。
エアロセンスは、国産ドローンメーカーとして多数のドローン製品ラインアップを揃え、多くの企業や自治体で導入・活用されており、国土交通省や文部科学省等、各省庁からも高い機体性能や信頼性が認められています。自社開発体制を持つ強みを生かし、機体性能の向上をはかり社会に普及させることで、ドローンの社会実装を拡大させてまいります。
(※1)東興ジオテック調べ
(※2)2024年9月時点、日経クロステック調べ
東興ジオテック株式会社について
1956年設立。芝の種子を吹付機で吹付け、広範囲の法面を急速に緑化する「種子吹付工法」を我が国で初めて京都大学と共同で開発し、法面の緑化工事分野に進出。環境アセスメントの思想をいち早く取り入れ、自然と社会との調和をはかりながら法面事業、地中事業、ロック事業、リニューアル事業、プラント事業などの特殊専門技術を活かした事業を推進してまいりました。今後も自然環境との調和をはかりながら豊かな生活環境を創造し、社会に貢献し信頼される企業であり続けてまいります。
東興ジオテックホームページ:https://www.toko-geo.co.jp/
エアロセンス株式会社について
2015年設立。「ドローン技術で変革をもたらし、社会に貢献する」をミッションに、高い技術力から生み出されるユニークなハードウェアとソフトウェアのソリューションを測量・点検・監視・物流などの分野で展開。ハードウェアの設計からクラウド・データ解析まで自社内の開発体制をフルに生かし、現場の方々がボタン一つで簡単に仕事を進めることができる “One push solution” を提供しています。受託開発や現場で実証実験などを行い、各企業に新たな価値(働き方)を創ります。
エアロセンスホームページ:https://aerosense.co.jp/
一般社団法人日本産業用無人航空機工業会(JUAV)は6月25日に東京都内で研究会を開く。「社会実装のさらなる拡大に向けて~欧米の動向も踏まえ~」をテーマに官公庁、会員企業の登壇者が講演する。会場と配信の両建てで実施する。
研究会では実装の拡大に向けて踏まえるべき制度の変化、期待される活用、たちはだかる課題などをとりあげる。会場参加の場合は、研究会後に開催される立食形式の情報交換会に参加することも可能だ。
研究会参加費は7700円(税込)。ただしJUAV会員は無料。また、立食の情報交換会への参加は会員、非会員とも6600円(税込)。
東京株式市場で6月11日、ドローン関連銘柄が物色された。ブルーイノベーション株式会社(東京)の株価は一時ストップ高の2023円をつけ、2023年12月に上場して以来の2000円台を回復した。同社株のストップ高は2日連続。株式会社Liberaware(リベラウェア、千葉市)、株式会社ACSL(東京)、Terra Drone株式会社(テラドローン、東京)も買われた。ドローン4銘柄はグロース市場の午前の売買高ランキング上位10銘柄にそろって登場した。
ブルーイノベーション株は寄り付き前から買い注文を集め、前日終値の1623円より316円高い1939円で寄り付いたあと午前9時24分に、前日終値比400円高いストップ高となる2023円をつけ、上場日以来の2000円超えとなった。なお前日も獲りき時間中に、その日の値幅制限である300円高のストップ高をつけていた。
そのほかのドローン関連株も買われていて、リベラウェアは一時、前日終値113円高の1870円、ACSLも一時、前日終値比79円高い1359円、テラドローンも一時、前日終値の6240円から600円高い6940円を付けた。
ドローン関連株はトランプ米大統領が6月6日に署名した“Unleashing American Drone Dominance” と“Restoring American Airspace Sovereignty,”の2つの米国内でのドローン開発やビジネス活性化に関わる大統領令を受けて買われやすくなっていた。6月10日にはロンドンで開催されていた米中閣僚級協議で、ラトニック米商務長官が中国によるレアアース輸出規制を「解決されるだろう」と見通した発言が伝わるなど協議の進展が経済の活性化を展望させたことでハイテク株を中心に投資を呼び込み、ドローン株への物色を後押ししたとみられる。
また日本国内では、政府による道路陥没対策やコメ不足対策に関連するスマート農業対策推進などの期待から、関連技術としてドローン関連が買われやすくなっていた。
米国でもトランプ大統領令に連動する形でAAM開発のジョビー・アビエーション、アーチャー・アビエーションなどが急騰した。
日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と株式会社コングレは、6月4~6日に千葉・幕張メッセで開催したドローンの大規模展示会「第10回Japan Drone2025/第4回次世代エアモビリティEXPO2025」の来場者は3日間合計で、2万3049人と前年の2万1273人から1776人(8.3%)増えて閉幕したと発表した。
次回の開催は2026年6月3~5日に、千葉・幕張メッセで「第11回Japan Drone2026/第5回次世代エアモビリティEXPO2026」として開催する。また本開催とは別に地方版として、2025年11月26、27日に大阪で「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」の開催も決まっている。
今回の「第10回」の来場者数は、6月4日が7491人(前年初日の6961人から530人、7.6%増)、6月5日が7669人(前年2日目の7062人から607人、8.6%増)、6月6日が7889人(前年3日目の7250人から639人、8.8%増)だった。
出展は285組(社・団体)で、国内が221組、海外64組(9か国・地域)だった。
期間中に開催した「Japan Drone & AAM Awards 2025」の結果は以下の通り。
<ハードウェア部門>
最優秀賞:エバーブルーテクノロジーズ株式会社「除雪ドローン®」
<ソフトウェア・アプリケーション部門>
最優秀賞:株式会社ROBOZ「インドアドローンショー」
<Advanced Air Mobility部門>
最優秀賞:AeroVXR合同会社「①認証コンサルティング事業、②テストパイロット育成事業(JTPS)」
<海外部門>
最優秀賞:上海中研宏科ソフトウェア株式会社「車両とドローンの協調システム」
<オーディエンスアワード>
株式会社ROBOZ「インドアドローンショー」
<10周年記念特別賞>
株式会社Liberaware「IBIS2」
<審査員特別賞>
DIC株式会社「全方位マルチコプター HAGAMOSphere」
また「Drone Movie Contest 2025」の結果は以下の通り。(敬称略)
<一般映像部門 グランプリ>
「厳冬の果て、流氷のまち羅臼」(LOVE.PHANTOM 宮川和之)
<縦ショート動画部門 グランプリ>
「【ホームビデオ】妖精のもりへ」(矢尾板亨)
<審査員特別賞(SEKIDO賞)>
「~四季が彩る安達太良山~福島」(武藤貴之)
<審査員特別賞(ごっこ倶楽部賞)>
「【ドローン撮影】イトーキ本社オフィスを飛行(2025ver.)」(株式会社イトーキ)
作品は以下のサイトで
https://ra-drone.dhw.co.jp/contest/
ドローンの運航サービス、人材育成などを手掛ける株式会社ダイヤサービス(千葉市)が、応急手当講習の普及を目指し協賛パートナー制度を導入した。現在、協賛パートナーの募集を進めている。同社はドローン運航中にけがをしたりさせたりしたさいに、医療機関にかかるまでの間にすべき応急手当の方法を身に付ける講座を6年前から提供している。協賛制度を通じて講習や応急手当の必要性の普及を加速させ、講習の受講料抑制につなげることを目指す。
ダイヤサービスが協賛制度を通じて普及を目指す「ドローン応急⼿当講習」は、ドローンを使っているときにけがをしたりさせたりした場合の応急手当のノウハウを学ぶ講習で、安全を重視するダイヤサービスが、看護師、救急救命士、民間航空機の客室乗務員経験者らとともに開発に着手、2019年3月にカリキュラム化した。「一次救命措置」と呼ばれる措置の手順やそれぞれの方法から具体的な方法、CPRと呼ばれる措置の方法、AEDの使い方、バイタルサイン、PRICES 処置、止血対応などをテキスト、実技を通して体系的に学ぶ。止血方法が含まれるのは珍しい。
受講者には学んだことを証明する認定証「ドローン応急⼿当資格認定者」を発⾏する。「ドローン応急⼿当資格認定者」が在籍する法人は、「ドローン応急⼿当資格取得者在籍事業者」を名乗ることが認められる。また学んだスキルを維持するための3年毎の更新講習もある。
受講者は、ドローンを使う現場が都心部でないことが多いことから、緊急通報をしてもすぐにかけつけてもらえる場所でないことが多いことに伴う不安の解消を求める人が多く、「体系的に効率的に学べる講座として有益」と評価が高い。
同社がカリキュラム化したあとの2021年に成立し、2022年12⽉に施行された改正航空法では、ドローン運用中に事故でけが人が出た場合、操縦者には負傷者の救護義務が課されることが明記された。具体的には航空法第132条90第1項に「無⼈航空機の⾶⾏により⼈が負傷した場合、操縦者は直ちに負傷者の救護等、危険を防⽌するために必要な措置を講じなければならない」とあり、義務を怠った場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰⾦が科される可能性があることが盛り込まれた。
また2022年11月に制定された報告要領(無人航空機の事故及び重大インシデントの報告要領)には、救護義務についてさらに詳しく記されている。まず、「法第132条の90第1項に規定する事故が発生した場合に、『負傷者を救護することその他の危険を防止するために必要な措置』として、操縦者が直ちに無人航空機の飛行を中止し、講じる必要のある措置をいい、具体的には次の事項をいう。なお、事故に該当する場合に限らず、必要と認められる場合には、所要の救護活動を行うべきである」と「次の事項」を必要な措置と定めている。
具体的には「a)負傷者を救護すること 事故が起きたときは、操縦者及びその関係者は次のような措置を講じなければならない。ア)負傷者がいる場合は、医師、救急車等が到着するまでの間のガーゼや清潔なハンカチ等での止血等、可能な応急救護処置を行う。この場合、むやみに負傷者を動かさない(特に頭部に傷を受けているときは動かさない)ようにする。ただし、二次的な事故等のおそれがある場合は、速やかに負傷者を安全な場所に移動させる。(以下略)」などと記され、「止血」が含まれている。ダイヤサービスの「応急⼿当講習」にはこの止血の方法が含まれる。
一方、義務となった救護の方法を身に付ける方法が限られていたり、学習者には身に付ける場を探すことが難しかったりと、応急⼿当の方法を学ぶ場は依然、増えていない。
このためダイヤサービスは協賛パートナーとともに、応急手当の啓蒙、講習の普及拡大、講習内容の随時更新、受講料金の抑制につなげたい考えだ。ダイヤサービスは社団法人を設立したのちに、協賛パートナーを含めた普及・啓蒙活動の主体を社団法人に移管する方針だ。
ダイヤサービスの戸出智祐代表取締役社長は「万が一の事故時に現場で応急対応できる人材は、いまもほとんど育っていません。われわれは6年前から応急手当講習を地道に展開して参りましたが、協賛パートナー制度で万が一の備えを業界の常識にすることに挑戦したいと思っています」と話している。
株式会社ダイヤサービス:https://daiyaservice.com/
協賛パートナー説明と問い合わせ:https://daiyaservice.com/sponsorship/
狭小空間点検用小型ドローンIBIS2Assistを使ったレース、「JR東日本グループドローンDX CHAMPIONSHIP」が6月7日、JR高輪ゲートウェイシティ駅と一体化した一帯に構える大型複合ビルで開幕した。初日の7日はJR東日本の設備点検、工事設計業務などでドローンを活用する部署4チームがIBIS2でタイムを競い合う「JR 東日本グループ Challenge Cup」が行われた。駅そっくりで観客からドローンが見えるよう工夫されたコース、選手の表情が分かるステージ、手に汗握る実況、ドローンの操縦席にのっているような迫力ある映像など、本格的なレース仕様の演出が特徴で、白熱したレースと各チームの熱のこもった応援で来場者も大きな拍手を送った。8日には企業対抗戦が行われる。
ドローンDX CHAMPIONSHIPはJR東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本、東京)、デジタルツインのCaLta株式会社(東京)、Liberawareが開催した。レース演出はプロチームの運営、イベント企画を手がけ、国際レースへの出場や優勝の経験も豊富なDRONE SPORTS株式会社(東京)が担った。
会場はJR高輪ゲートウェイシティ駅改札からすぐのTAKANAWA GATEWAY CITY THE LINKPILLAR 1の地下2階にあるTAKANAWA GATEWAY Convention Center LINKPILLAR Hallだ。
ホール内にJR高輪ゲートウェイシティ駅そっくりのミニチュアコースが設置された。駅の天井をくぐるコース、ホーム床下の配管をもぐるコースのほか、二次元コードを読み取る仕掛けや、SUICA改札にタッチする仕掛けなどJR東日本らしさを取り込んだ。飛行コースは観客の目の高さが中心で、観客が間近でドローンの動きをみられる工夫も凝らされている。
選手は会場内に設置されたステージの上の所定のシートに座り、ゴーグルを装着して、コントローラーを操作してドローンを動かす。ステージの背景の大型スクリーンには、選手の表情や飛行中のドローンの操縦席に座っているかのような映像が映し出される。
レースは2チームの対戦で、勝ちあがる形式で行われた。各チームは3選手で構成され、3つの対戦の総合ポイントで勝者を決め、勝ち上がる。レースがスタートするとスクリーンに経過時間や、ミッションをクリアするたびに加算されるポイントなどが表示される。ドローンが上手にコースを抜けると、チームの応援団から大きな拍手があがるなど白熱した展開が続き、わかりやすいルールに一般公開された身に来た観客も拍手を送っていた。
この日は決勝で最速タイムをたたき出したチーム「E-Wings」(電気ネットワーク部門)が優勝した。2位が「Z3C」( エネルギー企画部)、3位が「チームKENKOU」(建設工事部)、4位が「Kenchiku Smart Maintenance」( 設備部門=東京建築建設技術センター)だった。
2日目の6月8日には、IBIS2を活用する8つの企業チームによる「JR 東日本グループ presents『IBIS2 Master Cup』」が開催される。ソフトバンク株式会社、東京電力ホールディングス株式会社、新潟工科大学フィールドロボティクス研究室/株式会社アグリノーム研究所/九電ドローンサービス株式会社合同チーム、KDDI スマートドローン株式会社、セントラル警備保障株式会社、株式会社えきまちエナジークリエイト、JR東日本コンサルタンツ株式会社、JR東日本ビルテック株式会社がレースに挑み、「通信キャリア対決や、電力大手対決が楽しみ」などの声があがっている。
7日のレース後に取材に応じたJR東日本マーケティング本部まちづくり部門品川ユニット(次世代まちづくり創造)の出川智之マネージャーは、「TAKANAWA GATEWAY CITY は『100年先の心豊かなくらしのための実験場』として新たなビジネス・文化が生まれ続けるまちづくりに取り組んでいますので、ドローン、ロボットの取り組みをお示しすることでその一端をお示しできたと考えています。初日は保守点検、設計など各部署でドローンを使っていることをお客様にも知って頂く機会にしたいとの思いを込めて、社内の取り組みを一般公開することにしました。レースというエンタメ要素を取り込みつつ、これらを通じて安全性や生産性を高めようとしている姿勢を伝えられたのではないかと感じています。また会場内に掲示してあるJR東日本グループのドローンの取り組み、たとえば山間部での使い方や災害時の使い方などを読んでくださっている姿を目にし、JR東日本グループのDXの取り組みを広く知って頂く機会になったと感じています」と述べた。
またこの日、選手としても出場したJR東日本建設工事部基盤戦略ユニット(技術戦略・DX)主務の石田将貴さんは「維持管理などの部署はなかなか表に出る機会が少ないので、このような機会にDXで生産性向上に励んでいる姿勢をお示しできたとも思います。働きやすい環境、職場を目指していることをお示しすることで企業の魅力向上にもつながればいい、とも思っています」などと捕捉した。
さらに大会の今後の開催について出川マネージャーは「お客様を含めて内外の反響などを確認したうえで検討することになります。ただ、JR東日本管内は青森、新潟にも職場がありますので、各地から気軽に参加できる機会はこれからもつくりたいと考えています。個人としては各地でで地方大会を開き、ここ(TGWC)で決勝ができたらおもしろいかな、とは思いますが、これはまだ私個人のアイディアです」と述べた。