ドローンの代表的な用途である建設や測量に関連する大規模展示会、「建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」が千葉・幕張メッセで開催され、多くのドローン事業者がブースを設置し来場者を迎えた。空飛ぶクルマを開発する株式会社SkyDrive(東京)も30㎏の荷物を運べる物流機「SkyLift」を外販仕様として初披露した。同社は近く発表会を開き説明する予定だ。ブースを出展していたあるドローン事業者は「ドローン産業と同じ目標を掲げる技術開発が、専門産業の事業者でも着実に進んでいることを実感します。ドローンもさらに開発に力を入れていきます」と開発への意欲を高めていた。
CSPI-EXPOは建設、測量の機器、技術、サービスなどの展示会で、5月12日から5月14日まで開催された。株式会社小松製作所、日立建機株式会社、コベルコ建機株式会社、住友重機械工業株式会社の建機大手をはじめ、高圧洗浄機メーカー、建設機械用アタッチメントメーカー、土木、測量など関連企業が各社の取り組みのプレゼンテーションを競い合った。ドローン関連のブースも多く、主要市場でのプレゼンス拡大を図っていた。
全国にドローンスクールのネットワークを広げ、水中ドローンや用途向け講習、機体ごとの講習などをそろえるDアカデミーアライアンスのブースは、ドローンや水中ドローンの展示、スクールの説明を展開。多くの来場者が足をとめ質問をしていた。出展関係者は「来場者の関心も高く手ごたえを感じます」と話していた。
SkyDriveが展示した物流機SkyLiftは、昨年(2020年)秋に神戸・六甲山や、北海島当別町で行われた重量のある荷物を運ぶ実験に採用された機体の改良版。機体重量は35㎏、バッテリーは20㎏、最大ペイロードは30㎏で、30㎏の荷物を積んだ際の最大飛行距離は2㎞だ。山道の運搬、高低差のある建築現場への資材搬送などを想定している。展示機はスポーチカーをイメージした外装パーツで外観を整えてあり、外販体制を整えている。
産業用水中ドローンの株式会社fulldepthは洋上風力発電の建設現場などで水の中の状況把握に力を発揮する「ダイブユニット300」を紹介した。ドローン最大手DJIが開発した航空測量向けLiDARソリューションZenmuseL1を、株式会社快適空間FC、株式会社セキド、株式会社JDRONEがそれぞれ展示した。株式会社Skymaticsはドローンで撮影した画像データを専用サイトにアップロードすると自動で地形データを生成するクラウドソリューション「くみき」を展示した。関西大学高度空間計測技術開発コンソーシアムは小型レーザスキャナ、カメラ、GNSSとIMUの取得データを同期する技術を搭載した計測ユニットを展示説明した。
そのほか、エアロセンス株式会社、テラドローン株式会社、株式会社みるくる、扶和ドローン株式会社、イエロースキャンジャパン株式会社、株式会社マイゾックス、株式会社オーピーティーなどがドローン関連技術を展示し、来場者に説明していた。
会場は最先端の建設、測量ソリューションのブースが軒を連ね、ドローン以外の展示にも最所が豊富だ。軟弱地盤での建設工事では土留に使われる鋼矢板を引き抜くと沈下リスクを伴うが、その防止技術として、引き抜きと同時に充填剤を圧送する特許技術「GEOTETS(ジオテツ)」が展示された。異業種中小企業が知見を持ち寄る協同組合MastersのGEOTETSU工法研究会が宮崎大学と共同で開発した技術で、ブースには多くの業界関係者が足を止めていた。中国・湖南省の省都、長沙発祥の建機メーカーSINOBOOMの高所作業車や、建設機械用アタッチメントメーカー、株式会社丸順が展示した産業廃棄物などをつかむオレンジグラップルも存在感も高かった。
CSPI-EXPOは建設・測量生産向上委員会が主催、経済産業省、国土交通省が講演し、民間団体などが協力した。協力団体の中には、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)もある。幕張メッセのホール3つを使い、2万4000平方メートルに1400小間を設置、期間中に4万人の来場を見込んで開催された。