一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長は、8月に開催されたJUIDA5周年記念シンポジウムの基調講演で、国内のドローンの様相をJUIDAの歴史に照らして振り返りながら、現在の取り組みを紹介した。その中で鈴木理事長は、「未来を予想するのは楽しいが難しい」と前置きをして、オーストリアの経営学者、ピーター・ドラッカーの言葉を引用し、「未来を知る方法はふたつある」と参加した未来の担い手に未来づくりへの参加を呼び掛けた。講演の様子を再現する。
JUIDA創立5周年記念シンポジウムにお集り頂きありがとうございます。このきりのいい5年を振りかえりながら、お話をさせて頂きます。
JUIDAは2014年に設立しました。当時は、世界でいろいろな構想がありました。もっともセンセーショナルだったのが、Amazonが2013年12月1日に、ドローンでモノを運ぶプロモーションビデオを世界で流したことで、わたしたちも、ほんとにそういうことができるのか、という思いを抱いたわけです。
DHLは試行的に物流を行っていましたし、Googleが5年間、地上に降りずにソーラー発電で飛び続ける無人機を成層圏に飛ばし続けることで、基地局として使う構想も発表していました。そういう中でわたくしどもは、2014年7月31日に、JUIDAを設立しました。私が理事長で、千田泰弘副理事長、岩田拡也常務理事、熊田知之事務局長、山中武彦監事と、設立当時からこのメンバーで運営しています。
当初は、法律の定めもなく、どう使えばいいのか、ということも含め、暗中模索ではなかったか、と思っております。空撮等で業務用として使われていたところではありましたが、本格的な産業利用に向けて、安全にドローンを使うためのガイドラインが必要ではないか、ということで2015年の1月から、こうした検討を、会員のみなさま、府省のみなさまとはじめていたところでございましたが、ご承知のように、その年の4月22日に、首相官邸の屋上で不審なドローンが見つかりました。これをきっかけにドローンが国民に注目されるところとなり、国では小型無人機に関する、関係省庁連絡会がすぐに作られたことになります。
この出来事をきっかけに、航空法が改正され、12月10日に、空域の利用、飛ばし方、ということで基本的な法律ができあがったことになります。改正にあたっては、国土交通省航空局安全課の、当時の松本大樹課長にご尽力頂きました。きょう、おいで頂いております。実は松本課長は、官邸の出来事があった4月22日がお誕生日でありまして、「なんで私の誕生日に」とおっしゃっておられました。なお、改正航空法の施行は12月10日ですが、交付はそれより前のその年の9月11日でして、これは私の誕生日であります。改正航空法のおかげで、法的な裏付けができ、産業界にとってはありがたいことだったのではないか、と思います。
政府は規制を強化するだけではなくて、ドローンが、国民の生活を豊かにするために活用できるという認識を持って頂きました。安倍総理も2015年11月に、「早ければ3年以内に荷物配送を可能にすることをめざす」と発言されました。それ以降、われわれも、民間団体、官の方々といっしょに、ドローンの利活用にむけた協議を始めるようになりました。これがその年の12月に設置された、官民協議会です。
また、この年にJUIDAの試験飛行場というものが、五光物流株式会社のご協力により、つくばに開設されました(JUIDA・GOKOつくば試験飛行場)。製品になる前の、開発中のドローンを飛ばしたり、新しい飛ばし方の研究をしたりするとなると、いわゆるテストフィールドが必要になります。それをJUIDAが提供できるようになりました。首相官邸の出来事があった直後ということもあって大変多くのマスコミの取材を受けまして、JUIDAの知名度が上がったと思っています。最近では、会員のみなさまのご協力で各地で開設できております。
また、2015年に検討をはじめた認定スクール制度を、2016年春から正式にスタートしました。ドローンの利活用を広げるためには使いこなせる人材を養成しなければいけないという中、各地でスクールは出来ていましたが、統一的な教育制度を定めたほうがよいのではないかと考え、JUIDAで支援しようと始めたわけです。最近では217校を数えるまでになり、卒業者も10000人近くになっています。とくに紹介したいのは、海外です。シンガポールで海外発のJUIDA認定スクールができました。そのほかの国でも開校したいと相談を受けており、世界で広まると思っております。
操縦技能のライセンス取得者も着実に増えていますし、安全に管理できる人材である安全運行管理者の制度も導入しています。安全に、有効に使うための飛行支援サービスとして「SORAPASS」(=ソラパス)という地図サービスや、これに、保険を組み込んで、リアルタイムで飛行状況がわかるようにした「SORAPASS care」(=ソラパスケア)ソラパスケアというものに発展させたものもJUIDAが支援しているところです。
ドローンで物流を行うためのインフラづくりにも力をいれているところでございまして、こうした中、官民協議会でドローンの目視外飛行、まだ無人地帯ではありますけれども、目視外まで飛ばせる新しいルールを作っていこうということで検討をはじめ、これが実ったため、2018年、福島の小高地区と浪江地区の間を、日本郵便株式会社が、書類を運ぶのにドローンが使われるようになりました。まだ郵便物を運ぶところまでは至っていませんが、今後さらに需要が広がると確信しております。
わたくしどもの活動としては、会員のみなさまへの広報、ウェブサイトの充実、SNSの活用を進めてきました。会員のみなさまと直接、交流ができるような本日のような活動も定期的に行っておりますので、積極的にご参加頂ければと思っております。また、一般の方向けにドローンの使い方を理解して頂くように2冊、出版もしました。売れ行きがよく、ベストセラーの中にはっている状況です。「JAPAN DRONE」はドローンに特化した展示会として日本で初めての展示会で、世界でも有数のものに育っています。2016年、2017年、2018年、2019年と4回、開催しておりまして、来場者数は指数関数的に増えております。今年の3月はもうちょっとで1万5000人。出展社数は200を超えるまでになっております。当初は一般の方も見に来ておられたのですが、最近では、いわゆるBtoBの商談の場として機能するようになってまいりまして、BtoBに特化した展示会として定着しております。
有人地帯で目視外まで飛ばす「LEVEL4」という高度な飛行を2022年までに実現しようという政府の方針のもとで、この実現に協力すべく、民間団体としてもさまざまな活動をはじめているところでございます。官民協議会のもとに4つのワーキンググループがあり、その1は「機体の安全確保」、2は「操縦者や運行管理者の技能確保」。JUIDAはここで活動をしているわけです。それとワーキンググループ3が「運航管理」、4が「所有者情報等などの管理の仕組み」。これにも参加しております。さらに高度な利活用にむけた検討を官民一緒に行おうと活動をしているところでございます。
広域災害のさいに自衛隊との協力関係を結ぼうということで、今年の2月に提携を締結しております。ドローンは世界で使われるものであり、世界のいろいろな団体が利活用にむけた活動に取り組んでいて、JUIDAもこうした世界の各団体、16か国23団体とMOUを締結し情報交換しております。国際標準化活動もISO/TC20「航空機および宇宙機」の分科委員会であるSC16「無人航空機システム」の中でJUIDAとして活動をすすめているところであります。昨年日本で総会が開かれたさいには、JUIDA主催のレセプションも開催して、それを議論しているところでございます。現時点で5つのワーキンググループができております。JUIDAはそのなかのワーキンググループ3のOperational priceedures(オペレーショナルプロシージャーズ)という、ドローンの使い方に関する国際標準化で、中心的な役割を果たしております。
JUIDA会員は去年、5000を突破してイベントを開催したばかりですが、今年8月、10000をこえました。これもドローンの利活用が広がってきたからではないかと思っています。
日本のドローンサービス市場はこれからますます大きくなると予想されております。JUIDAとしてこれにいかにお答えできるかというところで活動を行っていくところであります。毎年、新年会でその年のスローガンを発表しています。2014年はJUIDAを設立した年でしたので「ドローン元年」。2015年は実用化を積極的にしようということで「実用化元年」。2016年は航空法の改正で、活用がさらに広がるであろうと「活用元年」、2017年は「事業化元年」、2018年は「物流元年」と打ち出しました。今年2019年は、無人地帯での目視外飛行を実現し、さらに有人地帯をめざしていこうということで「ドローン飛躍元年」と目標をたてたところです。来年も新年会のときに目標をたてます。楽しみにして頂ければ、と思います。
わたくしどもJUIDAは、会員のみなさまとドローンの未来を築いていきたいと思います。未来を考えるということは非常に楽しいことではあるのですけれども、難しいという事実もあるわけです。
100年前にフランスで描かれた「2000年の空」というイラストには、郵便配達のお兄さんが、飛行機のようなものに乗って、郵便物を高層階のベランダに届けてくれる様子が描かれています。残念ながら、実現していないわけです。未来は予測できるか、というと、そんな簡単なことではないわけです。
経営の神様と呼ばれているドラッカーが、『創造する経営者』という本の中で、こう書いております。「われわれは未来について二つのことしかわからない。ひとつは『未来は知りえない』ということ。もうひとつは、『未来は今日存在するものとも、今日予測するものとも違う』ということである」。郵便物を空から届けてくれるということは、まだ実現されていないわけですので、未来予測は実現しない、と言っているわけです。
では、未来はわからないままであるのか、というと、ドラッカーは実は、「未来を知る方法もふたつある」とも言っております。そのひとつは「自分で創ること」であると。成功してきた人、成功した企業はすべて、みずから創ってきたというわけです。自分たちで創れば、それが未来になる。それが一番簡単な、未来を知る方法だと言っているわけです。われわれドローンを使って、新しい未来を自らの手で創っていけば、それが未来になるわけです。
そしてもうひとつは「すでに起こったことの帰結を見ることである。そして行動に結びつけることである」とも言っています。後者は「すでに起こった未来」とドラッカーは名付けています。過去の出来事は、よく調べれば因果関係が分かるので、これを鏡に映して未来を予測する、ということができると言っているわけですね。ルイス・キャロル(イギリスの学者、作家)の『鏡の国のアリス』は、鏡で別の世界を覗き見たわけですけれども、過去の帰結を映してみれば未来が分かる。われわれは「温故知新」という言葉を知っていますし、“Mirror of the past provides image for future.”という言葉もあります。過去起きたことを、ちゃんと振り返って、将来を見通してみよう。5年の振り返りが、今後の5年を見通すのに必要なのではないかと思っております。
古河電気工業株式会社(東京都千代田区大手町)とグループ会社の古河産業株式会社(東京都港区新橋)は特殊大型ドローンで12㎏の飲料水を往復12㎞にわたり自動で運搬する実験を実施したと発表した。運用したドローンは株式会社DroneWorkSystem(福島県いわき市)が開発した最大49㎏積載可能な「EAGLE-49」で、今後は今回の課題の洗い出しを進め、美郷町の防災・減災推進を支える。また古河電工は今後、新規事業分野へのドローンの活用の可能性を検討する見込みだ。
運搬実験は10月25日、島根県邑智郡美郷町で災害時の救援物資運搬を想定した。実験では備蓄用飲料水など総重量12kgの荷物を積み、往復12㎞を自動飛行させるミッションを設定し、想定した通りのミッションを遂行した。今後は実験結果を検証し、課題や改善点を洗い出す。
EAGLE-49は6つのローターを備える回転翼ドローンで、重い荷物を吊るして運ぶ運用に対応する特徴を備える。長尺の木材やパイプなど長さのあるものや液体で満たされた一斗缶など、49㎏までの運搬に対応する。吊り下げた荷物の揺れが飛行に影響することを避けるため、「振り子揺れ防止機能」や縦揺れ防止機能も備えていることが特徴で、2023年5月に千葉・幕張メッセで開催された「CSPI-EXPO」や、2023年9月に長崎市の出島メッセ長崎で開催された「第2回ドローンサミット」、2023年11月に福島県郡山市で開かれた「ロボット・航空宇宙フェスタふくしま2023」などでも展示され、多くの来場者が足を止めて見入っていた。
今回発表された運用例は、重い物を空で運ぶ必要性のある場合の具体的な事例となる。古河電工はドローンの活用について「新規事業分野への活用の可能性についても検討しています」と話している。
古河電工による発表は以下の通り。
● 島根県美郷町と災害時を想定した特殊大型ドローンによる救援物資の運搬に関する実証実験を実施 ● 往復12kmを自動航行し、備蓄用飲料水(総重量12kg)の長距離運搬に成功 ● 本実験で抽出された課題の解決などに取り組み、美郷町の防災・減災に向けたインフラ整備を推進
古河電気工業株式会社(東京都千代田区大手町)とグループ会社の古河産業株式会社(本社:東京都港区新橋)は、島根県邑智郡美郷町と災害時を想定した特殊大型ドローンによる救援物資の長距離運搬に関する実証実験を本年10月に完了しました。
■背景
自然災害が頻発・激甚化するなか、美郷町が位置する中山間地域では、災害時に孤立する恐れがある地域が多数存在することから、ドローンを活用して救援物資を運搬する仕組みを整備するなど対策が急がれています。
当社は2020年11月に美郷町と包括的連携協定を締結し、2022年からは古河産業と「林業イノベーション実証事業」において、特殊大型ドローンにより苗木や資材を急傾斜地などに運搬する実証実験を実施するなど、ドローンに関する実績や知見を活かして中山間地域の課題解決を支援しています。
■内容
今回の実証実験では、美郷町内を流れる江の川が氾濫して道路が通行止めになったという想定のもと、特殊大型ドローンによる救援物資の長距離運搬を行いました。特殊大型ドローンは、美郷町防災公園と吾郷公民館の往復12km(江の川上空を中心としたルート)を自動航行し、総重量12kgの備蓄用飲料水を運搬することに成功しました。LTE回線・自動航行用プラットフォームを活用した自動航行により、背の高い樹木や送電線などを回避しながら片道10分の予定に対して誤差範囲でトラブルなく飛行することができました。
今後は、本実験で抽出された課題の解決などに取り組むことで、美郷町の防災・減災に向けたインフラ整備を推進してまいります。
<実証実験概要>
日時:2023年10月25日(水)
場所:島根県邑智郡美郷町
内容:
・特殊大型ドローン(最大49kgの物資運搬が可能)により総重量12kgの備蓄用飲料水を運搬
・美郷町防災公園と吾郷公民館の往復12km(江の川上空を中心としたルート)を自動航行
・到着地点の公民館で飲料水を取り出し、常備しているバッテリに交換、出発地点の防災公園に戻る
<関連ニュースリリース>
林業の省力化に向けた特殊大型ドローン活用による実証実験を開始
https://www.furukawa.co.jp/release/2022/kenkai_20220908.html
古河電工と島根県美郷町 包括的連携に関する協定を締結
https://www.furukawa.co.jp/release/2020/kei_20201125.html
■古河電工グループのSDGsへの取り組み
当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。
ドローン、エアモビリティ特化型のベンチャーキャピタル、DRONE FUND株式会社(東京都渋谷区)は12月7日、麻布台ヒルズ(東京都港区)のベンチャーキャピタル集積拠点、「TOKYO VENTURE CAPITAL HUB」に移転すると発表した。新オフィス12月18日に稼働を始める予定だ。デザイナーのyamakitakumi氏が作成した「2050年のドローン・エアモビリティ前提社会」をイメージしたイラストを展示する。
DRONE FUNDの発表は以下の通りだ。
DRONE FUNDが、日本初の大規模なベンチャーキャピタル集積拠点である麻布台ヒルズ「TOKYO VENTURE CAPITAL HUB」へ移転
DRONE FUND株式会社(本社:東京都渋谷区、代表:千葉 功太郎、大前 創希、以下:DRONE FUND)は、日本初の大規模なベンチャーキャピタル集積拠点である麻布台ヒルズ内「TOKYO VENTURE CAPITAL HUB」内への移転を決定しました。新オフィスの営業開始は、2023年12月18日(月)を予定しております。
【今回の移転について】
DRONE FUND は、ドローンやフィールドロボットが当たり前のように社会に溶け込んでいる世界、「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現に取り組んでおります。昨年12月には、日本国内で無人航空機のレベル 4飛行(有人地帯における補助者なし目視外飛行)が解禁されるなど、ドローン・エアモビリティは実用化のフェーズに入りつつあります。
そのようななか、投資先スタートアップのさらなる成長を実現するためには、業種・業態を超えた連携機会の創出が重要となります。これまでもDRONE FUNDは、行政機関、事業会社、そして投資先スタートアップとの連携によるエコシステム形成に取り組んでまいりました。国内最大規模のVCの集積拠点である「TOKYO VENTURE CAPITAL HUB」への移転を通じて、多くのVCやCVCの皆様にドローン・エアモビリティ産業への興味・関心を持っていただく機会を提供し、エコシステムの「ハブ」としての役割を更に強化していきたいと考えております。具体的には、投資先CEOを対象とする経営合宿であるDRONE FUND道場合宿などのイベント開催を通じて、エコシステムへの貢献に取り組んでいきます。
新オフィスは、「under construction - 半建築 -」をコンセプトとしており、まだ発展途上で未完成である「過去〜現在」を乗り越え、その先の明るく楽しい「未来」を共に創っていくという思いを込めてデザインしております。新オフィスには、デザイナーのyamakitakumi氏が作成した「2050年のドローン・エアモビリティ前提社会」をイメージしたイラストを展示し、DRONE FUNDの目指す世界観を表現しています。
■ 移転概要
1.新住所
〒105-0001
東京都港区虎ノ門五丁目9番1号 麻布台ヒルズガーデンプラザB 4F
2.営業開始日
2023年12月18日(月)
3. 新オフィスのインテリアデザイン
株式会社ディー・サイン
サイト: https://design-inc.co.jp/
■DRONE FUND 概要
DRONE FUNDは、「ドローン・エアモビリティ前提社会」を目指し、ドローン・エアモビリティ関連のスタートアップ投資に特化したベンチャーキャピタルです。1号・2号・3号ファンドを通じて、国内外の合計70社以上のポートフォリオを形成しています。3号ファンドでは、ドローン・エアモビリティおよびその社会実装に資するスタートアップへの投資活動を幅広く展開してまいります。
会社名: DRONE FUND株式会社
代表パートナー: 千葉 功太郎、大前 創希
所在地: 東京都渋谷区恵比寿三丁目3番6号
設立: 2017年6月
事業内容: ドローン・エアモビリティ関連スタートアップへの投資及び協業支援
ウェブサイト: http://dronefund.vc
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA、東京)と株式会社コングレ(東京)は12月5日、次回の「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2024」(JapanDrone2024)の出展者に向けて概要説明会を開いた。会期、会場などのほか、屋外デモフライト開催を調整していることや、講演などセミナーなど登壇系の催事を充実させる「プログラム委員会」の運用などが報告された。また2024年12月18 日(水)、19日(木)に大阪で地方版Japan Droneを開催する方針も伝えられた。
JapanDrone2024は2024年6月5日(水)~7日(金)の3日間、千葉・幕張メッセの展示ホール5、6に開催される。主催がJUIDA、共催がコングレで、出展、来場ともJapanDrone2023の上積みを目指す。目標は来場者で2万人(前回は19008人)、目標出展社・団体数で300社・団体(同239社・団体)を掲げた。出展申し込みは10月から受付を始めていて、会場中心部や面積の広いエリアを中心に、申し込みや予約が進んでいて、説明会では担当者が「半分が埋まっています」と説明した。
会場内には従来通りデモフライトエリアが設けられるが、このほかに屋外デモフライトエリアの設置を調整中だ。屋外のデモフライトエリアが設置されれば、JapanDroneで初めてとなる。
講演などセミナーなど「コンファレンス」と呼ぶ登壇系の催事も充実を図る。このため有識者で構成する「プログラム委員会」を設け、テーマの設定、人選などを進める。有識者5人が委員に就任し、委員長をJUIDAの鈴木真二理事長がつとめる。
展示を表彰する「Japan Drone & AAM Awards」、動画の応募作品を表彰する「Drone Movie Contest」を例年通り開催するほか、地方活性化を支援する「ドローン×地方創生:自治体PR観光支援ゾーン」も設置する。
地方開催第二弾も発表された。1年後の2024年12月18日(水)、19日(木)に、大阪・関西万博の開催を控える大阪で、JR大阪駅に近い「グランフロント大阪北館」にある「ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター」を会場に、「Japan Drone / 次世代エアモビリティEXPO 2024 in 関西」が開かれる。JD大阪の公式サイトも開設され今後、盛り上げに取り組む。
JUIDAの鈴木真二理事長は「2024年はJUIDA設立10年の節目でもあり、さらなる取り組みを進めて参ります。JapanDroneの展示と議論の場を提供することで産業の発展にお役に立ちたいと思っています」などとあいさつた。
大阪府の吉村洋文知事は11月26日、なんば駅前広場で開催2日目を迎えた「道頓堀リバーフェスティバル2023」(一般社団法人大阪活性化事業実行委員会主催)の会場を訪れ、メインステージの隣に設置、展示されたテトラ・アビエーション株式会社(東京)の1人乗りeVTOL機、Mk-5(マークファイブ)の座席に乗り込む場面があった。吉村知事はいわゆる空飛ぶクルマの実現に積極的で、たびたび「乗りたい」と発言していることで知られる。
吉村知事がテトラのMk-5に乗ったのは26日午前11時半ごろ。道頓堀リバーフェスティバルの2日目の主要行事「第13回よさこい大阪大会」のあいさつのためステージにあがり、「ここミナミは大阪の個性です。ミナミが元気なら大阪が元気になる。大阪が元気なら日本が元気になる。元気な大阪を引き継いでいきたい。そして2025年に大阪・関西万博をやります。批判されている部分もありますが、それを乗り越えてベイエリアで160か国が集まる未来を見据えた万博をやりたいと思います」と、空飛ぶクルマの実現が見込まれる大阪・関西万博をアピールし大きな拍手を浴びた。
吉村知事はあいさつ後にステージからおり、よさこいのパフォーマンスを見学したあと、ステージわきのMk-5に近寄りシートに乗り込んだ。様子を見ていた来場者から「吉村さーん」などと歓声があがり、吉村知事が声の方に向かって手を振った。
吉村知事は2021年9月14日、大阪府、大阪市、株式会社SkyDriveがいわゆる空飛ぶクルマについて「実現に向けた連携協定書」を締結したさい、大阪・天保山の調印式会場に置かれたSkyDriveの前モデル「SD03」に、松井一郎前大阪市長とともに乗りこんだ経験がある。このため吉村知事は国産2機の乗り心地を体験したことになる。
またこの日の会場では前日に続き、VRコーナーに多くの来場者が詰めかけ、参加者がVRゴーグルを装着して空クルの疑似体験を楽しんだ。
大阪・ミナミの玄関口、難波駅前に11月23日に誕生したばかりの「なんば駅前広場」で11月25日、「道頓堀リバーフェスティバル2023」(一般社団法人大阪活性化事業実行委員会主催)が始まり、メインステージのすぐ横にテトラ・アビエーション株式会社(東京)の1人乗りeVTOL機、Mk-5(マークファイブ)が展示され、フェスに訪れた多くの来場者の目を引いた。フェス会場内で行われているいわゆる空飛ぶクルマの疑似搭乗体験ができるVRコーナーにも参加者が集まり、関心の高さを示した。
テトラのMk-5はフェス会場のメインステージの横に設置され、ステージイベントの観覧者はMk-5の機体を背景にパフォーマンスを見る形だ。開幕500日前を控え、機運醸成に一役買った。会場周辺を往来する人々も足をとめてスマホで撮影するなどの姿が見られた。
VRコーナーは、大阪府が力を入れている空の移動革命社会受容性向上事業のひとつで、参加者はVRゴーグルを装着することで空クルの疑似体験ができる。ゴーグルで流される映像は5種類あり、大阪市内から関西国際空港まで渋滞を回避してストレスなく移動するコース、兵庫・淡路島から大阪・中之島までの快適通勤コースなどで、利用シーンを思い描きやすくなっている。対象は13歳以上。参加希望の場合時間枠を予約する必要があり、午前10時の開場以降、続々と予約枠が埋まっていた。
また空飛ぶクルマに関する情報をわかりやすく説明したパネルも設置してあり、足を止めた来場者に担当者がていねいに説明する姿もみられた。
25日のVR体験者は「これはいい。早く乗れるようになってほしい」と期待を寄せた。テトラ機を眺めていた来場者は「実物はかっこいい。いまのうちにこの大きさにあわせた駐車場を準備しないと」と話していた。
初日のステージのオープニングセレモニーには、主催者など多くの関係者が列席。お笑いタレントの間寛平さん、横山英幸大阪市長、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会の堺井啓公機運醸成局長もあいさつし会場を盛り上げた。
フェス会場の「なんば駅前広場」は、南海電車難波駅・高島屋大阪店となんばマルイ前のに地域主導で整備された広場で、11月23日に完成したばかり。「道頓堀リバーフェスティバル2023」はステージでのパフォーマンスや屋台が11月26日午後5時までにぎわいを演出する。
道頓堀リバーフェスティバル2023には大阪市商店会総連盟、産経新聞大阪本社、なんば安全安心にぎわいのまちづくり協議会が共催している。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は11月25日に都内で開催される学生向けの航空業界セミナー「航空技術産業セミナー」(公益社団法人日本航空技術協会など主催)に参加する。航空業界にとって急務な人材確保と、学生の航空業界への就職希望などを叶えることを目指すための開催で、JAXA、ANA、IHIなど航空宇宙関連企業や研究機関、官公庁などが参加する。JUIDAも学生に向けて取り組みをアピールし浸透を図る。
参加リストにはIHI、朝日航洋、JAXA、海上保安庁、川崎重工業、国土交通省航空局、ジェットスター、ジャムコ、スカイマーク、SUBARU、ANA、電子航法研究所、中日本航空、日本航空、日本飛行機、JUIDA、ピーチアビエーション、三菱重工業の18団体の名が並ぶ。場所は東京・飯田橋の会議場「ベルサール飯田橋ファースト」(東京都文京区後楽2-6-1住友不動産飯田橋ファーストタワーB1)で、12:30~18:30。
各機関が業務内容を紹介するブースを設置するほか、国交省航空局、川崎重工、ANAは特別講演も行う。日本航空技術協会によると、航空業界にフォーカスした学生向け産業セミナーの開催は今回が初めてという。