ドローン物流事業を手掛ける株式会社かもめや(香川県高松市)は、香川県三豊市で、本土と離島である粟島(あわしま)との間をドローンで結んで運送を担うドローン物流航路を、2021年8月に開設する計画を発表した。離島住民の買い物弱者の解消を目指す。運行は悪天候時を除いて原則毎日行う。同社は「海を越える長期定期航路は世界初」と挑戦への意気込みを示している。
かもめやがドローン物流航路を開設するのは、香川県三豊市と瀬戸内海に浮かぶ人口約180人の離島、粟島。往復約8kmを原則毎日運航する計画だ。計画では午前中に粟島の住民から買い物の注文を受け付け、当日の午後にドローンで本土側から荷物を運ぶ。ドローンは粟島で荷物を自動で切り離したあと自動帰還。荷物は、切り離されたあと島のスタッフが自宅まで届けることを想定している。ドローンは日本製の機体を使う予定にしている。
かもめやと三豊市は6月、持続可能なドローン物流エリアモデルの実現などに関連する連携協定を結んでおり、ドローンなどを活用した地域活性化の取組を加速する。物流のほか、災害発生時の情報収集にも力を入れる。
国土交通省のWEBマガジン「Grasp」がDRONE FUNDの創業者、千葉功太郎代表パートナーへのインタビューの後編を掲載した。DRONE FUNDの投資先企業の取り組み事例の紹介や、ドローン物流の展望、都市部での実装について言及している。自家用機の操縦桿をにぎるパイロットでもある千葉氏は、空の便利は地上で想像するよりもはるかに高く、その便利さを誰もが使える社会を目指す、と取り組みへの決意を表明している。
千葉氏のインタビューはGraspが「ロボットの目に映る『物流の未来』」のシリーズの一環で、5月18日に公開した「前編」の続きだ。千葉氏は株式会社エアロネクストなど、DRONE FUNDの投資先企業の取り組みと進捗を紹介したり、千葉氏が住むハワイでの物流での工夫やドローン導入議論の様子を紹介したりと具体例をまじえ、ドローンに対する期待感の高さを伝えている。この中で千葉氏は「ドローン物流は100%実現する未来」と確信し、取り組みを進めていることを明言している。
また、離島、山間部などの地方での移動困難などの課題解決とセットで取り上げられることの多いドローン物流を、市街地での利用でも有効であるとも説明している。具体例としてマンション宅配に活用する構想をイラスト化。マンション宅配の配達員の労力軽減や時間短縮、住民の負担利便性向にドローン物流が効果的であることを説明している。
千葉氏は自身が自家用機の操縦士として空を移動手段に活用していることをふまえ、「空は空いています。(移動は)直線です」と利便性を強調。物流、移動などの空の利用への期待を呼び掛けている。
千葉功太郎DRONE FUND創業者/代表パートナー、千葉功太郎さんインタビュー(後編)
(公表されたままお届けします)株式会社自律制御システム研究所(所在地:東京都江戸川区、代表取締役社長 兼 COO:鷲谷 聡之、以下「ACSL」)は、12 月2日(水)〜12月5日(土)に実施された、ANAホールディングスらによるドローンでの日用品・処方箋医薬品の即時配送サービス実証※1において、5kgペイロードの中型物流ドローン原理試作機の実環境における現場実証を実施し、合計65回、総延長160km以上の飛行をしました。
ACSLは国産の産業用ドローンを開発しており、物流、インフラ点検、災害等、様々な分野で採用されています。ドローンの制御を担うフライトコントローラを自社で開発しており、セキュアで安心なドローンの社会実装を推進してきました。特に物流領域においては、労働力不足という社会問題を解決するためのロボティクス技術として、ドローンの社会実装へのニーズが高まっており、ACSLでは多くの企業と物流領域における補助者なし目視外飛行(Level3)の実証を重ねてまいりました。
こうした各社との実証実験を通して、物流領域においてLevel4が実現した際にドローン物流の社会実装を推進するためには、現状の機体よりもペイロードを大きくし、5kg程度の輸送を可能にすることかつ飛行距離が20km程度あることが重要であることがわかってきたため、2020年8月発表の中期経営方針「ACSL Accelerate FY20」※2において、中型物流ドローンの開発、量産化を戦略の1つとして掲げ、推進しています。
本原理試作機は、12 月2日(水)〜12月5日(土)に福岡市にて実施されたドローンでの日用品・処方箋医薬品の即時配送サービス実証において、実環境における現場実証を実施しました。
今後、ACSLは本実証に用いた中型物流ドローン原理試作機の更なる現場検証を重ね、社会実装可能な物流ドローンの開発を目指してまいります。
※1:本実証実験に関するプレスリリースは以下URLよりご覧いただけます。
https://www.acsl.co.jp/news-release/press-release/1583/
※2:中期経営方針「ACSL Accelerate FY20」は以下URLよりご覧いただけます。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6232/ir_material_for_fiscal_ym/85186/00.pdf
(プレスリリースをそのままお届けします)ブルーイノベーション株式会社、株式会社きっとすき、株式会社オーイーシーと大分県は、この度、大分県杵築市で地域定着を見据えたドローン物流の実証実験を行いました。本実証実験は大分県ドローン物流活用推進事業を活用した取り組みで、大分県杵築市を対象とした地域における実装をゴールとして、ドローンシステムインテグレーターであるブルーイノベーション、地元企業であるオーイーシー、きっとすきが連携して検証を進めるものです。
ドローン物流の社会実装では、採算性の確保が大きな課題になっています。そのため、本事業では観光体験と組み合わせた新たな活用モデルを提案するとともに、①大型ドローンによる大量輸送、②物流ドローン体験の観光活用、③テクノロジー利用による人的運用コストの削減、の3つの施策を検証しました。
①大型ドローンによる大量輸送では、株式会社SkyDrive製の「カーゴドローン」を使い、神田楽市(※DroneTribune注=熊本県杵築市にある食品スーパー。運営主体は店名と同じで株式会社神田楽市)から約1km離れた山香中学校まで、全校生徒分の菓子類(チョコレート菓子とお饅頭)を運搬し、その後、神田楽市から約1km離れた杵築市営サッカー場にいるサッカーチーム、大分トリニータまでスポーツドリンクを運搬しました。
②物流ドローン体験による観光活用では、株式会社自律制御システム研究所製の「PF2」で神田楽市から約3km離れたスポーツ合宿施設「上村の郷」まで補助者なし目視外飛行を行い、ドローンでは杵築市名産のハモ鍋の食材を運搬し、「空飛ぶハモ鍋」を参加者が実食するなどのイベントを開催した結果、大分県内外から約100名を超える見学者が参加しました。
③テクノロジー利用による人的運用コストの削減では、株式会社NTTドコモのLTE通信により、ドローンの位置をリアルタイムでモニタリングし、京セラ株式会社製の通信デバイスを活用することで、離着陸時のドローンポートへの第三者侵入の有無を確認し、少人数での運用時に重要な遠隔での安全確認方法を検証しました。
大分県は傾斜地が多く標高差のある土地であり、沿岸部と山間部から、海の幸と山の幸を双方向で運搬するなどのドローンによる物流需要が見込めます、山間部の温泉街に海の幸をドローンで産地直送するような大分観光の名物となる、採算のとれるドローン物流の新たなモデルケースとして、今後は関係各社で課題を洗い出し、検討を進めて参ります。
■実証実験の背景
大分県杵築市では少子高齢化が進み過疎化が進んでいます。中山間地では日常の買い物が困難な状況に置かれている「買い物弱者」が増加し、移動販売や宅配サービスを行っていますが維持コスト等により十分に行き届いているとは言えない状況です。また、観光面においても農業文化公園や上村の郷などの観光施設があるもの、現在COVID-19などの影響もあり、観光収入が減少しています。そこで物流ドローンの活用可能性に着目し観光利用と組み合わせた実証実験を実施しました。
■社会実装に向けて
■社会実装に向けて
本事業は、 ドローンインテグレーターとしてブルーイノベーションが、各種ソリューション提供会社と強固な連携関係を築き、安全なドローン物流ソリューション「BI ポート」 を含めた様々なソリューションを地域の企業に提供し、社会実装を実現します。
■「BIポート」による物流ソリューションへの取組みについて
ブルーイノベーションでは、独自開発のドローン高精度離着陸システム「BIポート」の技術を軸に、ドローン物流ソリューションを開発しています。BIポートの開発スタートは、産官学共同(国土交通省、東京大学鈴木・土屋研究室、ブルーイノベーション)で、ドローンの目視外飛行において安全に自動離着陸が可能な物流用ドローンポートシステムとしての開発が初でした。GPSによる飛行と違い、画像認識により誤差なく高精度に着陸が可能です。人が立ち入っている場合や、風速が飛行に対して危険な水準である場合は、自動的に離着陸を禁止させる機能も備えています。また、携帯電話などの電波による機体との交信で、飛行計画や位置情報等の様々な情報を統合し、安全な飛行を実現しています。加えて、ドローンポートPCとも通信しており、風速状況や人の立ち入り状況を運航管理システムへ伝達し、安心安全な離着陸を実現しています。本ドローンポートシステムは、複数のドローン・ロボットの統合管理を可能にするプラットフォーム「Blue Earth Platform」を基盤に開発されており、ドローンポートの様々な情報を一元管理、監視が可能です。また、荷物運搬に使用する機体、荷物、各ドローンポートの予約機能も実装されており、物流サービスに最適化されています。
大分県、ブルーイノベーション株式会社(東京)、株式会社オーイーシー(大分市)、株式会社きっとすき(大分県杵築市)は、ドローン物流の採算性を向上に向けた実証実験を11月に大分県杵築市で実施すると発表した。採算性の良い配送ルートの検討、人的コスト削減効果の検証、ドローン物流体験による観光収入増加をテーマに、現在、地元スーパーを起点としたルートを複数、検討している。観光施設向けにバーベキューの食材配送、イベント施設向けの弁当配送などを検討しているという。
杵築市は高齢化に伴う買い物難民の増加、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う観光客の減少、観光地と商業地域が離れていることによる回遊不全などの課題を抱える。地元ではこれらをドローン物流の実現で解決することが求められている。これらの解決に向けて実証プロジェクトを起草し、大分県の「大分県ドローン物流活用推進事業」の制度を活用して実験に取り組む。
実験ではブルーイノベーションが企画、システム提供を、オーイーシーが大分県内企業との調整を、杵築市の地域総合商社、きっとすきが杵築市との調整や実施時の運用を、それぞれ担う。きっとすきは主要事業のひとつにドローン事業があり、空撮、動画制作、操縦体験などを行っている。
きっとすき:https://kit-suki.co.jp/