スイスのドローンメーカー、Flyability社(ローザンヌ)と業務提携をしているブルーイノベーション株式会社(東京都文京区)は、Flyabilityが5月19日に発表したLiDARを搭載型屋内用球体ドローン「Elios 3」を、6月21日に千葉・幕張で開幕するJapanDrone2022で公開すると発表した。6月21日11時に、ブルーイノベーションのブースで発表会を開催し、デモンストレーションを行う。ELIOS3は、飛行中にリアルタイムに高精度3Dマップを作成し、専用解析ソフト「Inspector 4.0」を使うことで解像度の高い3Dレポートを出力し、異常を検出した位置をマップ上に表示する。飛行の操作性、安定性も高めた。
ELIOSシリーズは球体ガードに覆われた衝突体制の高い屋内点検用ドローンとして知られ、日本でもブルーイノベーションが紹介して以来、飛行中に設備にあたっても傷つけない安全性が評価され、上下水道や管路、工場、倉庫などの設備内の点検で実績を積み重ねている。
ELIOS2で自己位置推定機能を強化するオプティカルフローセンサや赤外線センサーを搭載したほか、最大1万ルーメンのLEDライトなどを新たに備えて飛行、操作性、撮影などの機能の大幅な向上で利用者を驚かせたが、新モデルELIOS3はさらに飛行空間をリアルタイムに3Dモデル化するSLAMエンジン「FlyAware」を搭載するなどの進化を遂げた。ELIOS3の発表とデモンストレーションは、JapanDrone2022で大きな話題になりそうだ
<発表は以下の通り>
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田 貴之、以下 ブルーイノベーション)は、プラントやインフラ施設、工場や上下水道などの屋内点検向け球体ドローン「ELIOSシリーズ※1」の最新モデル「ELIOS 3」の国内発表およびデモンストレーションを、幕張メッセで開催される「Japan Drone 2022」の会期初日である 6 月 21 日(火) 11:00 より、ブルーイノベーションブース・ステージ(ブース No.AG-11 https://www.blue-i.co.jp/japan-drone/)にて行います。
ELIOS 3 は、世界初の屋内3D マッピング用 LiDARセンサーと、飛行空間をリアルタイムに3D モデル化するSLAM エンジン「FlyAware™」※2を搭載しており、点検対象箇所・施設の多角的かつ高精度なデータ取得と、空間情報の3D化によるドローン周辺環境の容易な把握、それによるドローン操作 の簡易化と高い安定飛行性を実現しました。さらに、取得データはELIOS 3と同時リリースされる専用解析ソフト「Inspector 4.0」※3を通して高解像度な3Dレポートとして出力され、施設の破損や異常箇所の位置を3Dマップ上で正確に把握・共有することができます。
ブルーイノベーションはこれまで、多くのプラントや工場でELIOSシリーズを活用した柔軟な点検体制を構築し、点検に係る危険作業や膨大なコスト、労働力不足などの課題を解決してきました。今回、施設状況や異常箇所をリアルタイムに3Dモデル化するELIOS3のリリースにより、点検業務のさらなる安全確保と効率化に加え、3Dデータ利活用による施設の運用・管理や予兆保全への貢献、DX化の推進に貢献していきます。
■ブルーイノベーション代表取締役社長CEO熊田貴之コメント
今までのドローンを携帯電話(フィーチャーフォン)と例えると、ELIOS 3はスマートフォンだと言えます。既存の画像や映像による点検はもちろん、LiDARセンサーやSLAMエンジンの搭載により、リアルタイムの取得データの精度や範囲、深度、アウトプット、操作性や安全性など様々な要素が飛躍的に向上しました。さらに、各ユーザーの特定のニーズに応じたカスタマイズができるよう、ペイロードにも工夫がされています。ELIOS 3は、点検対象施設のフェーズや課題に合わせて進化する次世代点検ツールであり、皆様の業務改善、DX化推進に貢献できるものと確信しています。
■Japan Drone 2022開催概要
会期:2022年6月21日(火)~23日(木)10:00~17:00
会場:幕張メッセ展示ホール
主催:一般社団法人日本UAS 産業振興協議会(JUIDA)
URL:https://ssl.japan-drone.com
■会社概要
ブルーイノベーション株式会社(東京都文京区)
1999 年 6 月設立。複数のドローン・ロボットを遠隔で制御し、統合管理するためのベースプラット フォーム「Blue Earth Platform®︎(BEP)」を軸に、以下ソリューションを開発・提供しています。http://www.blue-i.co.jp/
・点検ソリューション(プラント・工場・公共インフラなどのスマート点検、3D モデル化など)
・物流ソリューション(倉庫内在庫管理、物流など)
・オフィスソリューション(警備・防犯、監視、清掃など)
・教育ソリューション(社内人材育成、子ども向けプログラミング教育など)
【用語解説】
※1)ELIOSシリーズとは
ELIOS シリーズは、Flyability 社(スイス)が開発した、非GNSS環境下の屋内空間などの飛行特性に優れたドローンです。球体状のガードを備え、配管やボイラー、煙突といった人が入れない目視外の狭小空間や危険な場所の点検に適しており、これまでに以下の 3 機種がリリースされています。
・2018 年「ELIOS 1」
・2019 年「ELIOS 2」
・2021 年「ELIOS 2 RAD」(放射線の検知・計測)
ブルーイノベーションは2018年に日本おける独占販売契約をFlyability 社と締結し、ELIOS シリーズを使用した点検ソリューションの提供を提供。プラントや発電所、下水道などを中心に200カ所(2022年3月末時点)を超える屋内施設でのドローン点検の導入実績を有しています。
詳細はこちら(https://www.blue-i.co.jp/elios2/)をご覧ください。
※2)SLAM エンジン「FlyAware™」
最新の LiDAR 技術とコンピュータビジョン、高性能グラフィックエンジンを組み合わせから成り、センチメートル単位の精度の屋内 GPS として機能。高度な自己位置認識とマッピング能力を有し、点検だけではなく空間の高精度な三次元化や測量を可能にしました。
※3)ELIOS3専用解析ソフト「Inspector 4.0」
Inspector4.0 は ELIOS3の専用解析ソフトです。ELIOS3が取得した各種データから高解像度な3Dモデルレポートを作成・表示し、施設や点検箇所の状況を直感的に把握できます。
自律飛行ドローン開発を手掛ける株式会社自律制御システム研究所(本社:千葉市、ACSL)は1月23日、屋内外での運用に対応した自律飛行ドローン「Mini」の発売を発表した。同社主力機より大幅に軽量化、小型化し、無積載の場合は48分の継続飛行が可能なほか、通信、センシングなどに関わる主要技術、モジュールを日本開発、日本製でそろえた“日本品質”を前面に押し出した。価格は税、オプションを含めず80万円。同社の鷲谷聡之COOは「1年半前から会社をあげて全力で開発を進めてきた産業用途のドローン」と紹介した。またブルーイノベーション株式会社が提供する複数デバイスを連携して遠隔制御する「ブルー・アース・プラットフォーム(BEP)」とも連携し、ソリューションを提供する方針だ。
「Mini」は、プラント、倉庫といった屋内の点検、撮影、状況確認に適した機体の要望が高かったことから1年半ほど前から開発に着手した機体。広いスペースがとりにくい屋内空間を想定し、プロペラ回転域を含めた縦、横の寸法を70.4センチと、同社の主力機「PF-2」の117.3センチより4割の小型化を実現した。重量もバッテリー1本を搭載して3.15キロと、PF-2が飛行に必要なバッテリー2本搭載の7.7キロに比べて半分以下に軽量化させた。バッテリーも見直し、無積載であれば48分、カメラ、ジンバルを搭載しても最大33分と、トップクラスの継続飛行が可能だ。
またGPSの届かない屋内での利用を可能にするため、機体自身が飛行しながら自己位置を推定したり周辺地図を作製したりする技術、Visual SLAM(ステレオカメラ)を採用したほか、前方カメラと6つのセンサーで上下、左右、前後の障害物を検知し、衝突回避を徹底した。屋外でもGPSで自己位置の座標を取得して飛行できるため、1機で屋内外対応が可能な2役のドローンを目指した。屋外では秒速10メートルの風の中での飛行が可能で、IP43の防水防塵機能を備えていて「雨の中でも飛ばせる」という。
さらに工場、倉庫、研究室などの施設を抱える事業主は、点検、状況確認で取得したデータの取り扱いには繊細に注意を払うため、Miniの開発ではセキュリティ対応を特に重視。通信、画像解析などにかかわる部品や技術は、ACSLの自社開発を中心に、国内で開発した技術、日本製の部材、モジュールを採用した。フライトコントローラーも自社開発の「ACSL AP3」だ。
そうした「国産」、「安全」、「小型トップクラスのスペック」に加え、「使い勝手の良い機体設計」も特徴として説明した。
ジンバルを本体の上下に取り付け可能なうえ、プロペラもねじ止めではなく、押し込んでまわすだけのワンタッチで脱着できる機構を採用した。発表会ではACSLの六門(むかど)直哉事業開発本部長が、説明しながら脱着の様子を実演した。
Miniは産業用途のうち、送電線の点検、トンネルの壁の亀裂の有無確認、災害時の状況確認などセンシングの利用を主に想定している機体だ。それぞれの用途によって求められるセンサー、カメラなどが異なることを考慮し、多用なセンサーに対応できる用にしたことも開発のポイント。利用者が積載するセンサー、カメラの需要の範囲を考慮し、最適な小型化を両立したことが、Miniの特徴ともいえる。
この日の発表会にはブルーイノベーションの熊田貴之社長も登壇。同社が開発、展開している複数デバイスを遠隔制御する技術ブルー・アース・プラットフォーム(Blue Earth Platform、BEP)との連携について言及。「これまでもACSLと協業を模索してきた経緯がある。Miniを軸に、ソリューションの開発を検討する。春先には紹介できるようにしたい」と述べた。
鷲谷COOは「ドローンの可能性は無限大。『技術を通じて人をもっと大切なことへ』を掲げて開発している。これからもタフな要望やミッションに、日本品質にこだわってこたえていきたい」と話した。