DJI JAPAN株式会社は10月31日、新製品「Mavic Mini」の発表会を開き、日本限定モデルを紹介し、予約の受付を始めた。MavicMiniは、バッテリーを搭載した機体重量が200グラム未満に収まるため、航空法が適用されない「模型航空機」にあたる。発表会では機体の特徴、機能、使い方、楽しみ方を映像やゲストとのトークを交えて紹介するとともに、同時に、「飛行禁止エリアがなくなったわけではありません」と、分かりやすく図示されたアイコンを示しながら、適切な利用を促した。商品が届くのは11月中旬以降になる見通しだ。
発表会では呉韜代表取締役が登壇し、DJIが創業から13年経過したこと、世界に1000万人のユーザーがいること、歴代の主な機体を紹介したうえで、「きょうDJIでもっともコンパクトな新商品を発表します。このMavicMiniは199グラム。日本のために開発した特別な機体です。私も自宅の前のたんぼや、屋根を空から見てみたいと思います」と述べた。
機体の特徴について、DJI JAPANの皆川正昭プロダクトマーケティングマネージャーが。「サイズは小さいですが、DJIの高い技術がしっかり詰め込まれています」と述べたうえで、飛行性能、搭載したカメラの性能、アプリ、アクセサリー、楽しみ方、利用シーンなどごとに順を追って解説した。
その中で最初に最大の特徴に、「199グラムという、スマホとほぼ同じ程度の重さ」を挙げた。日本以外では200gを超える重さで発売されたMavicMiniを日本では199グラムで発売した理由について、「(日本の)多くの方に使って頂きたいという思いで開発しました」と説明。199グラムになったことで、「模型航空機というカテゴリーに該当し、飛行可能条件が大きく広がりました。空撮をはじめたい、楽しみたい方に自信をもってお届けする製品です」と200グラムを切る機体の開発に力を注いだことをs説明した。
特徴として説明したのは、アームを折りたたむとたて14センチ、よこ8.2センチにまで小型化できる携帯性や、MavicAir、MavicZoomと同じ1/2.3インチのCMOSセンサーを搭載し、1200万画素の写真と、2.7K動画に対応する、軸ジンバルにマウントされたカメラなどだ。
そのうえで複雑なカメラワークを自動で行う「クイックショット」として、一定の高度、一定の距離を維持して被写体の周囲をまわる「サークル」、被写体のまわりを旋回しながら上昇する「ヘリックス」。被写体をとらえたまま後ろ向きに進みながら上昇する「ドローニー」、真下に被写体をとらえて真上に上昇する「ロケット」を備えたほか、機体にGPSレシーバー、地面を検出する下方ビジョンセンサーを備えたことで屋内外で安定したホバリング、飛行、着陸が可能になり、「初心者でも楽しめます」と説明した。
日本仕様の最大飛行時間は18分で、送信機は2キロメートルまでのHD動画伝送に対応する。また送信機との接続が切れたり、バッテリー残量がわずかになったりしたら離陸点に自動で戻る自動帰還モードを備える。専用アプリの「DJI FLY」を開発し、直感的でシンプルに使えることを目指したことも特徴にあげた。撮影した映像はアプリ内で編集し、作成した映像をアプリからSNSに投稿、シェアできる。
アクセサリーは、最大3台のバッテリーを充電できる「2WAY充電ハブ」、機体の周囲をとりかこむ「360°プロペラガード」、機体と送信機を収納する「トラベルバッグ」、ステッカーとマーカーで自分好みに装飾できる「クリエイティブキット」、持ち運びのさいに所定の位置でプロペラを固定できる「プロペラホルダー」、ライトアップ機能を持つ「充電ベース」、ブロックアダプターやミニLEDディスプレイを取り付けた「スナップアダプター」などが紹介された。
価格は機体、送信機、バッテリーのスタンダードで税込み46200円、プロペラガード、予備バッテリーがセットになったフライモアコンボは税込み59400円で、第三者への対人対物賠償責任保険が1年間無償で付く。
説明会では「模型航空機に該当しますが、飛行禁止エリアがなくなったわけではありません」と注意。飛行禁止エリア、禁止行為、守るべきルールを、特徴をわかりやすく図案化したアイコンとともに表示して、ルール順守の重要性を念押しした。
このあと、プロモーションビデオで音楽を担当した女性ソロアーティスト、xiangyu(シャンユー)さんをステージに迎えて対談。XianyuさんはMavicMiniを「カエルみたい」と形容し、スタイルのかわいらしさや、使い勝手のよさ、これからどんなふうに使うか、などに想像をめぐらせた。
DJI JAPAN株式会社は10月9日、千葉・幕張メッセで記者会見し、圃場センシング用の「P4 Multispectral」、散布用の「AgrasT16」の、新型ドローン2種を発表した。登壇した呉韜代表取締役は、「P4 Multispectral」について、「日本の開発チームが商品化した、世界初の完全統合型マルチスペクトル イメージングドローン」と紹介した。同社は11日まで幕張メッセで開催中の「第6回農業Week」にブースを構えており、新型機2種の実機も展示している。
新型機はいずれも、DJIが9月に米国で開催した年次カンファレンス「AirWorks2019」で発表している。DJI JAPANは農業従事者が集まるイベント「第9回農業Week」(開催は10月11日まで)の開催にあわせて、会場である千葉・幕張メッセ内にある会議室で会見を開いた。
説明会では商品の説明に先立ち、呉代表が日本の農業の現状について「国内の農業は現在、深刻な人手不足に直面しています。就業人口はこの8年間で3分の1減少し、平均年齢も上昇しています。自分自身も田植えをしていて、年々周囲で農家が減っていることは身をもって実感しています。農業には省力化が必要で、ドローンはそのひとつのツール」と、ドローンを農業の課題解決に役立てたいとの考えを述べた。
説明会では「P4 Multispectral」について「センシングの分野で農業従事者の要望を具体化できた」と指摘。呉代表は「多くのユーザーなどから要望を伺い、協力も頂き、日本の開発チームが商品化した、世界初の完全統合型マルチスペクトル イメージングドローンです」と紹介した。
具体的な特徴として、呉代表は、2メガピクセルの高解像度カメラを6つ搭載していることや、すべてのカメラにグローバルシャッターを採用していて移動中も高精度撮影が可能なこと、農作物の生育状況を総合的に観測できること、RTKによりセンチメートル単位の精密測量に対応していること、3つの日照センサーをRTKアンテナに干渉しないように搭載し、異なる時間帯に観測しても、データを補正することで一貫性の高いデータが取得できること、リアルタイムでデータを手元でみられること、「GS PROアプリケーション」の活用で、飛行プラン策定から画像マップ生成までをひとつのアプリでできることなどを説明した。価格は税込み約85万円で、RTKステーションを組み合わると約120万円だ。
また散布機「AGRAS T16」について、同社農業ドローン推進部の岡田善樹マネージャーが、「効率性、安全性、処理能力で大幅に向上を図った」と説明。具体的には、薬剤タンクが最大16リットルとなったことや、散布幅が最大6.5メートルに広がったこと、8つのスプレーノズルを搭載し最大吐出量が1分あたり4.8リットルとMG‐10月より44%増加したこと、タンクとバッテリーがカセット式になり取り付け、取り外しが簡単になったことなどを説明した。
このほか、機体前方のカメラで正面の障害物を手元で確認できたり、レーダーの刷新で高い精度で地形を認識できるようになり、自動航行中に障害物を検知した場合には、機体自身が障害物を避けた後、本来の飛行経路になめらかに戻る機効を搭載した。岡田マネージャーは「農業ドローンを一貫したソリューションとして考えている。今後次のステージに進んでいきたい」と宣言した。