DJI JAPAN株式会社(東京)、豊橋市(愛知県)、中京テレビ放送株式会社(名古屋市)は2月28日、「ドローンの活用促進に関する協定」を締結した。具体策は今後詰める。DJI JAPANが自治体をまじえて包括的な協定を締結するのは今回が初めてで、締結式に出席した呉韜代表取締役は「地域の課題や機体への要望を、製品の改善に生かし、地域に貢献したい」と述べた。豊橋市はドローンの活用に積極的な自治体として知られ、市職員で構成する運航部隊「豊橋市ドローン飛行隊『RED GOBLINS』」も持つ。中京テレビは放送事業以外の事業創出に力を入れる中でドローンに注目しており、1月にドローンスクールを発足させている。
豊橋市役所で行われた締結式にはDJI JAPANの呉韜代表取締役、豊橋市の浅井由崇市長、中京テレビ放送の村井清隆ビジネスプロデュース局長が出席し協定書に署名した。
浅井市長は「本市のRED GOBLINSのメンバーは日々ドローン技術の向上に努め、『ぼうさいこくたい(防災推進国民大会)』への出場も目指しています。災害対応から物流、農業、測量、調査にも幅を広げたい。どういかすかにチャレンジし、市民が安心安全に暮らせる行政サービスにまでレベルをあげていきたいと思っています。昨年12月に『とよはし産業人材育成センター』がドローンの国家資格の実地試験会場に選定されたこともあり、手探りをしながら活用し、ドローンなら豊橋、といわれるように取り組んで参ります」とあいさつした。
中京テレビの村井ビジネスプロデュース局長は「テレビメディアの使命に大規模災害発生時の迅速な情報提供を通じた地域の生活者の生命、財産を守ることがあります。陸路での被災地へのアクセスが困難な場合に、ドローンが迅速で正確な情報提供を可能にすることがあると思っています。豊橋市のRED GOBLINSのようなチームを多くの行政機関が編成することを期待しておりますが、そのためには人材育成が欠かせず、われわれも1月下旬にドローンスクールドローンスクール『そらメディア』を発足させました。国家ライセンスのほか、農業用、産業用などに対応するほか、今後、撮影用のカリキュラムも構築し、すそ野の拡大に貢献しようと考えています」と事業を紹介した。
DJI JAPANの呉代表取締役は「地域の安全、安心のツールとしてわれわれのドローンが活用されることはメーカーとして光栄です。ドローンの技術や人材育成のノウハウを提供しながら、地域に貢献して参りたいと思います」と述べた。また、締結式後に行われた対談の中では呉代表取締役は「ちょうど5年ほど前、はじめて災害に使えるドローン『MATRICE 200』シリーズを発表しました。この5年間で、現場の声を頂いて改善したり、新機種を開発したりと、現場に鍛えられてきました。使い方の話を伺うと、そこには我々も知らないこともありました。DJI JAPANにも多くの開発陣がいます。今後、ドローンをどうしてほしい、といったアドバイスを頂ければ、それを開発にいかしたいと思っています」と話した。
豊橋市のRED GOBLINSはDJIがMATRICE 200シリーズを発売した2017年に発足させたドローンパイロットのチームで豊橋市の職員31人で構成する。消防のほか、道路、水道など部局をまたいだ職員が兼務しており、人事異動があっても原則、兼務が続く。大規模災害が発生したさいには、自動で参集し、災害対策本部のもとで活動するため、発災と同時に出動が可能な体制を整えている。DJI JAPANにとって、特定目的を掲げない包括的な協定を結ぶのは今回が初めてで、製品の改善ポイントや開発の重要なヒントを得る協定になる可能性がある。
建設設備大手の三機工業株式会社(東京)は7月11日、グループ会社、有限会社キャド・ケンドロ(仙台市)と共同で狭小空間ドローン開発の株式会社リベラウェア(Liberaware、千葉市)のドローンとレーザースキャナを併用した既存設備の3Dモデル化するデジタル化手法を確立したと発表した。Liberawareも同日、三機工業に「IBIS2」を「導入した」と発表した。
三機工業は設備更新や模様替えなどのさいに、現場を3Dモデリングし、現状を把握してから取り組む。完成後の更新や追加工事で現状が図面通りになっていないことが多く、作業の妨げになるおそれがあるためだ。しかし天井裏などでダクトや配管が込み入っている場合に、すべての設備にはレーザーが届き切らずに十分な3Dモデルができあがらない場合がある。こうした課題を乗り越える手法の開発を進めているところ、今回、ドローンとレーザースキャナを併用してデジタル化する手法を開発した。
同社が実施した実用化検証では、IBIS2とレーザースキャナを併用した場合、従来の3Dスキャン手法と比べ、機械室などの天井の無い空間の場合、認識できた建築部材が約135%、天井の一部が解体された天井裏空間で約400%向上したという。
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丸紅株式会社(東京)は7月8日、大阪・関西万博でデモフライトを披露する計画を公表している英ヴァーティカルエアロスペース社(Vertical Aerospace Group Ltd.)開発の5人乗りAAM「VX4」について実施を「見送る」と発表した。英国で行われているVX4試験機での有人飛行試験で判断したという。
丸紅は発表の中で「現在英国で行われているVertical社製VX4試験機による有人飛行試験の進捗状況から、大阪・関西万博でのデモフライトへの対応を見送ることとなりました」と伝えた。VX4のキャビンを再現したモデル空間は予定通り万博会場に出展し、8月から搭乗体験を実施する予定という。
また丸紅が万博で飛ばすもうひとつの機体、米LIFT AIRCRAFT社(以下、「LIFT社」)製の1人乗り機「HEXA」については、デモフライトを近く再開させる方向で調整中だ。HEXAは4月26日のデモフライト中に部品が落下したためデモフライトを中断して原因究明を続けている。
その結果「モーター搭載箇所の部品について、サプライヤーが仕様と異なる素材の部品を誤って供給していたことが判明」したと説明し、「当該部品の交換およびその他重要部品の再点検を完了した上で、再発防止策として、LIFT社において部品の受領・品質管理について包括的な監査を実施し、必要な工程について改善したことを確認しました。関係機関の許可を以て、今後大阪・関西万博でテストフライトを実施し、十分に最終確認を行った後、安全を最優先として関係機関および関係各社と協議・判断し、デモフライトの再開に関しては改めてお知らせいたします」と伝えている。
丸紅は大阪・関西万博でのAAM運航事業者4グループのひとつだ。
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英ロックバンド、オアシスの再結成後初のコンサート会場となるウェールズの首都カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで現地時間7月2日、ドローンで形作られた「OASIS」のロゴが浮かび上がった。ツアーは7月4日に始まり、11月まで世界各国をまわる。ツアー初日を翌々日に控えたドローンの演出はオアシスの公式アカウントで公開されている。
ドローンのロゴは公演開始前に上空に描かれ、オアシスの再結成ツアー開催を祝福し、喜ぶファンの気分の高揚に貢献した。
オアシスは1991年にマンチェスターで結成され、7000万枚以上のアルバムを売ったロックバンドだ。2009年に解散したが昨年2024年に再結成した。再結成後初のコンサートツアーが7月4日にはじまり、北米、南米、オーストラリア、韓国など各地をまわる。2025年は11月23日のサンパウロ公演で幕を閉じる予定だ。日本公演も10月に予定されている。チケットはいったん予定枚数の販売を完了したが、機材席の解放による追加販売が決定し、7月12日正午に抽選の受付を開始する予定だという。
音楽シーンとドローンとは、MV撮影、ライブ映像撮影、演出としての屋内ドローンショーなどの例があるなど縁があり、今後も活用の幅が広がる可能性がある。
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AAM開発の米ジョビー・アビエーションは6月30日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでパイロットが搭乗し、垂直離着陸の固定翼飛行を実施した。ジョビーは「2026年に最初の乗客を運ぶ」と2026年のサービス開始を目指している。ジョビーは開催中の大阪関西万博で「運航事業者」にもなっている。
ジョビーによるドバイでの飛行は、「piloted, vertical-takeoff-and-landing wingborne flights」で、パイロットが乗り、垂直離着陸をしたうえで、機体の固定翼で移動した飛行で、「eVTOL分野では初めての取り組み」としている。ジョビーはこの飛行を通じて、ドバイ地域での商用市場準備の取り組みを開始したことも明らかにした。ジョビーは直接運航、航空機販売、地域パートナーシップを商業化戦略の3本柱と位置付けていて、今回の試験飛行が「重要な一歩」と話している。
試験飛行はドバイ道路交通局、ドバイ民間航空局、UAE民間航空総局と連携して実施された。またドバイ道路交通局長官兼理事会会長のマタール・アル・タイヤー会長が立ち会った。
ジョビーは、ドバイ国際空港(DXB)、ペルシア湾の人工島であるパーム・ジュメイラ、現在建設が進められている世界第2の面積の人工のマリーナであるドバイ・マリーナ、超高層ビルブルジュハリファで知られるドバイ・ダウンタウンでの商業サービス導入を目指している。バーティポートはすでに建設が進められている。
ジョビーはDXBからパーム・ジュメイラまでをエアタクシーサービスで移動した場合、移動時間は12分で、45分かかる車での移動時間が大幅に短縮されると見込んでいる。
ジョビーがエアタクシーサービスで使う機体は電動で、パイロット1人と最大4人の乗客を乗せ、最高時速200マイル(約320km)で輸送できる設計と説明していて、ジョビーは「短時間の通勤、小旅行、地域間のシームレスな移動のために、より速く、より静かで、より便利な空の旅を提供します」と話している。
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東京株式市場グロース市場で7月2日、ACSL株がストップ安となった。午前9時29分にいったん1187円で寄り付いたがその後も売りが殺到し、再び取引の成立したない売り気配で推移した。ACSLは前日の7月1日、前CEOによる不適切取引判明を発表していて嫌気を誘ったとみられる。
ACSL株は取引き開始前から売り注文を集めていて、取引開始がはじまったしばらく値が付かないまま推移した。午前9時29分に値幅制限いっぱいいの、前日終値比300円安のストップ安となる1187円で取引が成立したが、その後も売りは止まらず、再び取引が成立しない展開が続いた。
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株式会社ACSLは7月1日、今年4月30日に退任した鷲谷聡之前代表取締役CEOが不適切な取引を行っていたとして、全容解明のため外部の弁護士と社外取締役の4人で構成する特別調査委員会を設置したと発表した。ACSLは業績に与える影響は精査中で、過年度業績への影響はないと見込んでいる。特別調査委員会7月中旬をめどに最終報告書をまとめる見込みだ。
ACSLによると前CEOによる「個人的な経済状況に関する懸念」が3月に浮上し、4月に社内調査に着手した。調査で「(前CEOが)代表取締役の立場を個人的に悪用して、2025 年3月から、一部業者との間で実態のない不適切な取引を行っていた事実が判明」したという。ACSLは全容解明、厳正な対処、再発防止策構築を目的に7月1日の取締役会で特別調査委員会設置を決議した。
ACSLは「特別調査委員会による調査に全面的に協力し、早急に調査を進めてまいります。また、特別調査委員会による調査の結果、明らかとなった事実関係等につきましても、受領次第速やかに開示いたします」とコメントしている。
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