御殿場市 の記事一覧:4件
  • 2022.9.14

    慶應ドロコンの古谷代表と勝又御殿場市長が対談 9月23日に「ドローンデモンストレーション開催

    account_circle村山 繁
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    ドローン研究と社会実装に力を入れている慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム(古谷知之代表)は、静岡県御殿場市の総合体育施設で9月23日(金)にドローンの実演展示会「富士山ドローンデモンストレーション」を開催する。会場の体育施設のうち陸上競技場では、一般市民が出展者によるドローンの飛行を見学できる。デモンストレーションを前に、デモンストレーションの意義や展望について、御殿場市の勝又正美市長と、慶應ドロコンの古谷知之代表が対談した。DroneTribune編集長の村山繁が進行した。

    「絵になる」富士山背景に飛ぶドローン

    ――御殿場市にとって「富士山ドローンデモンストレーション」の開催の意義とは?

    勝又市長 とても楽しみにしています。昨年もこのデモンストレーション(※2021年は「富士山UAVデモンストレーション」として開催)に立ち会わせて頂きました。富士山の麓の高原都市でドローンが飛ぶ姿は素晴らしく、とても絵になります。慶應義塾大学のみなさまが、この御殿場の地で研究開発、人材育成などを通じてドローンの進化に取り組んでおられることが、御殿場のまちづくりの支えにもなっていて、とても感謝しております。その意味でデモンストレーションの開催は広く、大きな意義があると理解しておりますし、大変うれしく思っています。

    ――慶應ドロコンにとって御殿場市で開催する意義は?

    古谷代表 今年もドローンデモンストレーションを御殿場市で開催させて頂くことになり、市の皆様のご協力、ご尽力に感謝申し上げます。御殿場市とわれわれ慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムとは2019年に、ドローンを中心とする先端技術活用と地域活性化に関する包括連携協定を締結させて頂き、それ以来、ドローン、自動運転などをテーマに、さまざまなロボティクス技術の実用化に関する研究をさせて頂いております。今回のドローンデモンストレーションもその一環です。勝又市長のお話のように、富士山を背景に飛ぶドローンは非常に絵になります。加えて御殿場市は、首都圏に地理的に近いうえ、近隣各都県とも高速道路でつながるアクセスのよさも備え、多くの企業が立地しています。このため産業界のみなさまに声をかけることができ、ロボティクス技術のマッチングを生み出しうる絶好の環境です。デモンストレーションは、実際にマッチングを生み出すきっかけとなるイベントとして、御殿場で開催する意義を強く感じています。

    ■デモンストレーションからマッチングの創出を

    ――今回のデモンストレーションへの期待とは

    勝又市長 御殿場市では民間企業のドローン活用が増えています。教育面では小学生、中学生がプログラミングをはじめ科学に触れる機会があり、それもデモンストレーションが刺激になっています。総合防災訓練ではドローンをいかした取り組みも行っています。そこで感じるのは、ドローンの進歩の速度が目覚ましいことです。毎年、形も中身も進化し、活用法も広がっています。今回のデモンストレーションでその進歩を見ることと、市民のみなさま、全国のみなさまにも御覧頂きたいと思っています。それが、地域産業の活性化、持続可能なまちづくりに生きることを期待しております。子供たちが技術の進歩を目の当たりにすることで、教育効果が高まることも期待しております。

    古谷代表 今回、タイトルを「UAVデモンストレーション」から「ドローンデモンストレーション」に一新しました。今後、空を飛ぶドローンに加え、水中、地上など陸海空のドローンをご覧いただける機会となります。幅広い可能性を感じて頂きたいと期待しております。そのうえで、ドローンをまちづくりや課題解決につなげるために、自治体と地場産業、研究機関と企業とのマッチングが成立すればいいと感じています。是非、地元の皆様、産業会の皆様、多くの皆様にお越し頂き、きっかけとなることを期待しております。

    ――古谷代表がマッチングへの期待を表明しましたが、御殿場市にとってよい効果はありそうですか?

    勝又市長 マッチングは地元経済の活性化を考えるうえで私が一番期待しているところです。農林業にも防災にも幅広く活躍しますので、それを市民や企業、研究者など多くのみなさまにご覧いただき、マッチングが成立すれば、経済効果は高まります。大いに期待したいところです。

    ――熱意の高い地域でデモンストレーションが開催されることは、主催として開催効果を考えるうえでも好ましいのでは?

    古谷代表 その通りです。御殿場市は私どものキャンパス(神奈川県藤沢市)から近いこともありますが、いつ相談に寄っても、市長をはじめみなさまに親身になって頂けることを実感しています。ご相談をもちかけるたびに「御殿場市内にはこういう場所があります」「こういう施設が使えます」とご紹介、ご提案を頂けることもありがたいです。そういった機会も活用させていただきながら、今後も御殿場市で活動を展開させていただきたいなと常々、頃考えております。

    ■「ドローン活用の広がり、市民、市役所内、市内企業にも」(御殿場市・勝又市長)

    ――御殿場市にとって慶應義塾大学と手を携えることへの今後の期待は?

    勝又市長 大いに期待しております。御殿場市は国策にもなっておりますデジタル田園都市国家構想への取り組みを進めており、先行モデル地域となることを目指しております。また、まちづくりに対し科学の進歩やドローンが生かせるところが多くあるとも思っています。まさに慶應義塾大学との連携がいかせるところであると思っております。ドローンを使った取り組みも各方面にアピールしていきたいと考えています。実際、ドローンを使った活動をされる方が市内でも増えてきたことを実感しておりますし、市役所の中にも資格を持つ者が出てまいりました。市内に立地する企業の中にも興味を持っていただくところが増えていて、防災訓練に参加して頂いたところもあります。空からみた渋滞情報は実際に使って訓練をしております。自衛隊にも協力させて頂いております。新しい試みが色々と出てきたと実感しております。

    ■「人材育成にも魅力的な御殿場市」(慶應ドロコン・古谷代表)

    ――慶應義塾大学ドローン社会共創コンソーシアムはドローンをはじめ自律移動ロボットの社会実装を目指して活動しておりますが、御殿場の取り組みは社会実装やまちづくりへの生かし方について、モデルケースになる可能性があるように思えます

    古谷代表 その通りだと思います。特にロボティクス産業を御殿場市と一緒に展開させることで、モデルケースとなりそうです。たとえば御殿場市は、産業立地に強みがあり、それを実際に活かしておられます。私どもが申し上げるまでもなく、さまざまな企業が立地していることからがそれを証明しています。ロボティクス、AI、データ産業など含めてデジタルという観点からも新たな産業誘致を一緒に進め、ロボティクス産業を盛り上げるモデルケースができるのではないかと考えています。物を作り、実験をする取組に参加する自治体は増えてきました。これからは、地域の産業を活性化させ、地域の課題を具体亭に解決する社会実装に局面が移り変わる段階です。社会実装を加速していくエリアとして御殿場市は魅力あるエリアです。また今回のデモンストレーションを開催するにあたり、多くの学生からボランティアとして参加表明がありました。御殿場という場所が魅力的であることもあり、我々の教育の研究拠点としても、新型コロナの感染状況などを横目で見ながら、御殿場市 と取組を進めたいと思っています。

    ――古谷代表は、講演やセミナーなどでドローンを実証実験から社会実装に移すカギとなる要素として、人材育成とインフラ投資を上げています。御殿場市は人材育成とインフラ投資の対象として魅力的だと感じますか?

    古谷代表 とても魅力的です。まず無人機を持ち込んで人材育成をしたい、と話を持ち掛けたときに、御殿場市はきちん共通言語で会話が成立する自治体です。我々にとってとてもありがたい環境です。御殿場市は市長をはじめ市の皆さんが熱意をもっていることの表れと受け止めています。学生に学んでもらうにも適した環境ですし、インフラの整備についても市の皆さんと検討することができたらいいと思います。

    ――御殿場市が慶應と手を携えるうえでの、今後の抱負をお聞かせください

    勝又市長 まず今の古谷代表の言葉は大変ありがたく受け止めました。実はコロナが2年以上続く中で、社会の閉塞感について大変気になっております。特に若者が元気になってこそ街の活性化が進みます。大学生が御殿場で科学技術に取り組む姿を、小、中学生、高校生が目の当たりにすると、閉塞感を打破して元気になるのではないかと期待します。また御殿場市は「御殿場市エコガーデンシティ構想」を策定し、環境をキーワードとした循環社会の実現を目指しています。1/3が山林の高原都市ですので、山林整備が重要で、そこにドローンの技術への期待は高まってまいります。まちづくり、地域活性化、教育の面でも、環境の面でも精力的に取り組んで、古谷代表との枠組みで培った経験を生かして参りたいと思っております。

    ■9月23日はぜひ御殿場に

    ――古谷代表にも、今後、御殿場市との取り組みでの抱負を

     

    古谷代表 我々だけですべての課題の解決できるわけではありませんので、市長をはじめ市のみなさま、そのほかの研究機関、大学のみなさまにも広くお声掛けができたらいいと思っています。ある意味で日本の知の集積地として、御殿場市という地域をうまく使わせていただき、いろんな研究者が集うアカデミアの交流の場にしてなればありがたいと思っております。我々も技術開発も含めて努力して参ります。

     

    ――9月23日にはドローンデモンストレーションが御殿場市総合体育施設の陸上競技場と体育館で開催されます。ドローンが飛行する様子を一般市民が見学できる珍しいイベントだと認識しております。開催に向けたメッセージをお願いします。

     

    勝又市長 これまでもデモンストレーションを開催頂いておりますが、回を重ねるたびに関心が高まっていると感じます。新型コロナに向き合わなければいけない時代になり、その関心の高まりはますます強まっているようにも思えます。市民の間でもドローンのデモンストレーションへの期待が高くなっていることを実感しています、特に若い世代の方、ドローンに関係する企業のみなさま、幅広い層のみなさまに、ドローンの可能性、科学の進歩、 将来性を感じて頂きたいと思っています。ぜひ高原都市、御殿場に足を運んでください。

     

    古谷代表 ドローンが飛ぶところをぜひ、多くの方に直接ご覧頂きたいと思っています。我々のデモンストレーションは、展示するほかに、実際に動いているところを見られるところが大きな特徴です。体験会もご用意しておりますので、ご家族お誘い合わせのうえお越しください。企業、経済界、産業界のみなさまで、これまでドローンと接してこられなかったみなさまにも、どう使えるのか、どう使ったらいいのかなどご相談いただける環境も準備しておりますので、ご関心を持たれた方はぜひお気軽にご来場頂ければありがたく存じます。大勢の方にご来場頂けることを願っております。勝又市長、当日はよろしくお願いします。

     

    勝又市長 こちらこそよろしくお願いします。

     

    ――ありがとうございました。

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2020.9.28

    ドローンの航空ショー「UAVデモンストレーション」11月3日開催 出展は無料!

    account_circle村山 繁
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     ドローンの空を舞う様子を見せる展示会「UAVデモンストレーション」が今年も11月3日に静岡県御殿場市の御殿場市陸上競技場で開催されることが公表されました。主催する慶應義塾大学SFC研究所・ドローン社会共創コンソーシアムが現在、出展者を募っています。出展料は今回に限り、無料です(!)。参観者は晴れていれば富士山を背景にした飛行風景を拝むことができます。過去2回に多くの反響を呼んだ名物企画に出展するなら、この機会を検討してみては。また、ドローンに関心がある方はぜひ参観を!

    富士山を背景にフライト 主催の慶大・南氏「社会受容性の醸成に」

     UAVデモンストレーションでは、機体は陸上競技場のフィールド(トラック)内を離発着し、フィールド上空を飛びます。出展者1組あたり原則、20分が割り当てられる予定で、割り当てられた時間内はフィールド上空を専有的に飛ばすことができます。会場にはマイク、デフィスプレイが用意され、カメラがとらえた映像を投影したり、出展者が説明したりすることもできる予定です。参観者は観客席(エリアは現在検討中)からその様子を見学します。当日は、インターネットを通じた動画配信も計画されています。

     そのほか出展ブース(3000mm✕3000mm 程度の屋内スペースと、1800mm×600mmの長机、椅子等を用意)を準備し、これも無償で貸与されます。飛行させる機体を来場者に間近で見せたり、説明をしたりすることができます。屋外機、大型機がフィールド上空を舞うと同時に、屋内機、小型機を展示ブースで出店し、ドローンへの感度の高い参観者に展示することが可能です。

     UAVデモンストレーションは2018年に、慶応義塾大学ドローン社会共創コンソーシアムが、飛行展示による社会受容性の醸成を実践する目的でスタートしました。企画した同コンソーシアムの南政樹副代表は「ドローンがのびのびと大空を飛んでいる様子やミッションをしっかり実行する姿をみて、無人航空機の可能性を感じてもらうことが、社会的受容性を醸成するために必要」と話しています。

     第1回は神奈川県藤沢市の鵠沼海岸で、第2回は御殿場市「馬術・スポーツセンター」で開催され、それぞれ個性ある、中にはここでしたフライト風景を間近で見ることができない機体が飛ぶ姿を参観者、見物客に披露してきました。今回は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い開催時期を調整し、11月に開催することになりました。

     9月29、30日には千葉・幕張メッセで大型展示会「Japan Drone 2020」が開催され、100組内外のドローン関連事業者がプロダクトやサービスを持ち寄ります。最新情報を交換しあうカンファレンスも開催されます。会場内のブース、フライトエリア、カンファレンスで感じたドローンの可能性を、11月の「UAVデモンストレーション」で確信に切り替える機会になりそうです。

    ■UAVデモンストレーション公式サイトはこちら。

     以下に主催者が発表した今回の開催要領を引用します。

    <今年の出展条件を以下の通りとします>。
    ・出展は無料です(2021年度からはドローン社会共創コンソーシアムの会員企業(幹事・一般)は無料、それ以外は有料)。
    ・出展者の製品告知や紹介などビジネスの場としてご活用いただけます。ただし、外部への告知などでイベントを紹介刷る際には、主催者は「慶應義塾大学ドローン社会共創コンソーシアム」である旨、必ず記載して頂くように御願い申し上げます。
    ・どのような内容を展示されるかは各出展者の裁量とします。できる限り魅力的に見られる展示を心がけてください。
    ・機材の運搬等に掛かる費用、デモフライトに掛かる人件費などはすべて出展者が負担してください。
    ・主催者は御殿場市陸上競技場を離発着地点として提供いたします。その上空(DID地区外)で飛行するための調整(国土交通省航空局への飛行申請は人・モノ30m、イベント上空を取得します。危険物搬送や物件投下については個別にご相談ください)を行うと共に、出展ブース(3000mm✕3000mm 程度の屋内スペースと、1800mm×600mmの長机、椅子等を用意)を無償貸与いたします。
     ・出展者には持ち時間として「20分」の間、上空を専有的に使っていただきます。陸上競技場トラック内・トラック等はご自由にお使いいただけます。観覧席ならびにトラック横にいる観客の皆さんによく分かるようなデモンストレーションを実施してください。
    ・会場内で使えるマイクを用意します。操作画面や飛んでいる様子を捉えたカメラ画面に投影できるようHDMI入力できるディスプレイを準備いたします。また、ネットへの配信も予定しております。
    ・デモ時間以外は、展示ブースで来場者への対応を御願いいたします。
    

    2019年 富士山UAVデモンストレーションに関する情報

    http://agora-web.jp/archives/2041682.html

    汎用マシン「キングフィッシャー」を公開! 「富士山UAVデモンストレーション」開催

    2018年 湘南UAVデモンストレーションに関する情報

    https://drone-journal.impress.co.jp/docs/special/1130760.html

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2019.9.25

    汎用マシン「キングフィッシャー」を公開! 「富士山UAVデモンストレーション」開催

    account_circle村山 繁
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     最新鋭機の飛行姿を鑑賞できる「富士山UAVデモンストレーション2019」が9月22日、静岡県御殿場市の御殿場市馬術・スポーツセンターで開催され、富士山を背景に種類の異なる3種の機体のフライトが披露された。ドローン研究に力を入れている大学や機体、レンズ、バッテリー、運用など必要な技術を備える専門事業者が知見を持ち寄って製作した機体「キングフィッシャー」が初めて一般公開された。パラシュートを備えたセスナ型の機体や、条件次第では1回のフライトで80分間飛び続けることもできるバッテリー機が御殿場の空を彩った。

    若林洋平市長「夢を運ぶ機体、応援を」 フジ・インバック、トラジェクトリーが特徴をアピール

    フジ・インバックのW-T3型機はパラシュートで浮力を得る

     「UAVデモンストレーション」は、ドローンが最も真価を発揮する飛行風景の一般公開が目的で、2018年6月に湘南海岸で開催されたのに続き、今回が2回目だ。慶応義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムが組織する無人航空機デモンストレーション実行委員会が主催し、御殿場市が共催したほか、防衛省南関東防衛局が後援した。冒頭に慶大ドローン社会共創コンソーシアムの古谷知之代表が「目新しい機体や、これから開発に使われる最先端の機体が飛びます」とアナウンス。また会場に足を運んでいた御殿場市の若林洋平市長も「きょうご来場のみなさんはこの日の証人。新しい世界を目に焼き付けてどんどん発信してほしい。今後さらに便利で安心な社会に導き、夢を運んでくれる。応援していきたい」とあいさつした。

     フライトに参加したのは、フジ・インバック株式会社(横浜市)、株式会社トラジェクトリー(東京)、キングフィッシャープロジェクトなど3チームだ。3チームの機体はいずれも個性が強く、来場者は日常生活の中ではなかなか目にしない機体のフライトを目の当たりにした。 

     最初に登場したフジ・インバックはコントロール可能なパラシュートを備えたセスナ型のエンジン機「W-T3型機」で参加した。スタッフが機体を運びこむと、緑の芝に、白とオレンジ色の機体が映え会場の期待を高めた。フライト前のチェックを済ませ、風向や強さを確認するなど準備を整え、エンジンを始動させると会場に小気味よい音が響いた。スタートの合図とともに機体が滑走するとすぐにふわりと浮き上がり、ゆったりと上昇。来場者はその様子を目で追い、機体が会場を旋回した。

     同社の田辺誠治代表が「この機体はセスナのような固定翼機とマルチローター型の機の両方の長所を兼ね備えた機体。パラシュートで浮力を得ているので墜落のおそれが限りなく低い。物資輸送、イノシシ観測にも使われたこともあり、街の上を飛んだこともあるなど用途はさまざまだ。最大の特徴は、ほぼ自社製である、ということ。全自動で運用できる」などと機体の特徴を説明した。

     二番目に登場したトラジェクトリーが持ち込んだ機体は、丸みを帯びたスタイルと、周囲の溶け込みそうなグレーの色が特徴の、バッテリーで飛ぶ4ローターのマルチコプター。イスラエルのドローンメーカー、エアロセンティネル社製の「G2」だ。スタッフがランディングパットで準備をして離陸させると、マルチコプターに特有のプロペラが風を切る音を軽やかに放ち、そのまま浮上した。上空から、機体に搭載したカメラで来場者を映して、会場のモニターに映し出すと、来場者が機体に手を振って応じた。

     同社の小関賢次代表は「G2という機体は、イスラエルのメーカーが軍からの委託で作ったもの。音が静かだと気づいた思うが悟られにくい工夫でもある。空力設計、軽量デザインなど工夫をこらしていて長時間飛べることが最大の特徴。一般に使われるものと同じバッテリーを使っても80分飛ばすことができる。われわれの会社は本来、こういった機体などのハードウェアを扱うことが事業の中心ではない。ドローン向けの航空管制が中心。システムの検証には長時間飛行できる機体がよいため、適切な機体を探しているときにこの機体と出会った。もともと軍用だが東日本大震災のときには救援にかけつけてくれた機体でもある。災害の多い日本では防災などに活用できるのではないか、ということでわれわれで預かることになった。日本とイスラエルの友好の証としてしっかり平和利用したい」などと説明した。

    短い滑走でふわりと浮上するフジ・インバックの機体
    トラジェクトリーがフライトさせたイスラエルのエアロセンティネル社製「G2」は静かな音で安定したフライトを披露
    冒頭、あいさつする古谷知之・慶大SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム代表
    この日の会場は富士山のふもと
    ドローンへの理解を応援を呼びかけた御殿場市の若林洋平市長

    キングフィッシャーPJに慶大、徳島大、D-eyes、Dアカデミー、下田商会など専門各領域の専門事業者が集結

    初めて一般公開されたキングフィッシャー

     最後に登場したキングフィッシャーは、慶応義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム、徳島大学、下田商会無人航空機開発班、Dアカデミー、D-eyes、マクセル、クイック、ドローンかまくら、シアンなど、研究開発や、機体製造、運用などそれぞれのドローンに関わる専門分野を持つ企業、団体の枠をこえて集まった専門集団の機体開発プロジェクトが作り上げた機体だ。6つのローターを持つマルチコプターで、機体をのぞくと参加各社、団体のロゴが見当たる。

     ランディングパットに設置された機体は、慶大ドローン社会共創コンソーシアムの南政樹副代表の操縦で浮き上がると、安定した飛行を披露した。フライトの最中には空を覆っていた雲が薄れ、姿をみせた富士山を背景フライトするシーンも見られた。また、機体に搭載したズームカメラでとらえた映像もモニターに映し出し、来場者が見入っていた。

     南副代表は、「開発のきっかけは汎用的に研究開発に使える機体が欲しい、と思ったこと。空撮機、農薬散布機など用途に分かれた目的を限定した機体は、それ以外の用途に使いにくい現実がある。汎用的に使えればドローンを活用したサービスの活発化につながると感じており、それをみなさんの協力を仰ぎながら、自分たちで開発しようと取り組んだ。やがて、パソコンのように、カスタマイズを加えることで自分用に用途を広げられるようになっていけばよいと思う。日本のドローン産業を成長させていく一助になればという思いで、ドローン事業に取り組むみなさんが実験などに簡単に使えるものを目指して作った。今回は映像をズームでとらえてお見せしたが、今後はそれ以外の、たとえばモノを落下させる、画像解析をしながら自律的に飛ぶ、などにも取り組みたい」と述べた。

     会場ではこのほか、固定翼機、水中ドローンなどが展示され、来場者は展示されている機体も見入っていた。フライト後は来場者が興味津々で関係者に話しかけ、交流をしていた。参加チーム代表者が参加した公表会にも来場者が参加し、衝突回避策や、日本のドローンの展望などについて意見交換が行われた。

     また、慶大SFCでドローンの研究、活用に取り組んでいる学生数人が参加し、体験会を開催。ドローンのフライト未経験の来場者や親子連れなどにトイドローンの操縦を体験してもらい、空間を自在に移動できる楽しさをアピールしていた。

    富士山をバックにキングフィッシャーをフライトさせる慶大・ドローン社会共創コンソーシアムの南政樹副代表(左端)
    キングフィッシャープロジェクトには多くの企業、団体が参加している
    キングフィッシャーの機体
    御殿場市の若林洋平市長(左)に展示された機体を紹介する慶大ドローン社会共創コンソソーシアムの南政樹副代表(右)
    多くの来場者がフライトを見守った
    ドローンに手を振る来場者
    フライト終了後には、参加3チームの代表をまじえた講評会が開かれた
    ドローン未体験の来場者も楽しんだ体験会。SFCの学生がていねいにてほどきした

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2019.9.16

    (※追加情報あり)富士山UAVデモンストレーション9月22日に御殿場で開催 防衛省南関東防衛局後援

    account_circle村山 繁
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      最新鋭機や軍用ドローンの飛行風景を観覧できる「富士山UAVデモンストレーション2019」が9月22日、神奈川県御殿場市の御殿場市馬術・スポーツセンターで開催される。「UAVデモンストレーション」は昨年6月、神奈川県立湘南海浜公園で初開催され、江の島を背景にフライトする様子が話題になった。今年は会場を富士山の裾野の移し、ドローンと名峰との共演が期待される。
    ※追加:降雨、強風などの理由で屋外でのフライトができない場合には、屋内でのフライトと機体展示を実施する。

    会場は馬術の聖地「御殿場市馬術・スポーツセンター」

      「UAVデモンストレーション」は、空を飛ぶドローンが最も真価を発揮するフライト中の様子を広く公開する目的で、昨年初開催された。日本では初めて一般公開される機体のフライトや、江の島を背景にしたフライトシーンが話題を呼んだ。

      主催は慶応義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムなどが組織する無人航空機デモンストレーション実行委員会。御殿場市が共催し、防衛省南関東防衛局が後援する。会場は馬術競技でナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点に指定されている御殿場市馬術・スポーツセンター。「天高く馬肥ゆる秋」のことわざが似合う季節、会場で、昨年の江の島に代わり、富士山がフライトを彩る。完全自律のドローンが、人馬一体ならぬ、人機一体のフライトも見どころとなりそうだ。

      現時点でNEトラジェクトリー、株式会社J.ドローン、キングフィッシャー、フジ・インパックの出展が決まっており、軍用機のフライトがみられるほか、著名メーカーのフライトも調整中という。

      観覧は無料。事務局は観覧希望者に、荒天に伴う中止連絡などのためフォームでの事前登録を呼びかけている(参加申し込みフォームフォーム

    ■概要は以下の通り
    ・開催日時:2019年9月22日、11時00分~17時頃
    ・会場:御殿場市馬術・スポーツセンター(御殿場市仁杉1415-1)
    ・問い合わせ:御殿場市未来プロジェクト課(0550-82-4349)
    ・主催: 無人航空機デモンストレーション実行委員会
    (慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム)
    ・共催:御殿場市
    ・後援:防衛省南関東防衛局

    ※以下、追加情報

      なお、降雨、強風や、天気が崩れる恐れがある場合などの対応は、出展者、主催者が協議のうえ、当日の状況に合わせて弾力的に判断する。屋外でのフライトデモンストレーションができない場合は、屋内馬場でのフライトデモンストレーションと、本部棟内での機体展示に切り替える。

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。