DJI JAPAN株式会社(東京都港区)は7月14日、中国電力株式会社(広島県広島市)の子会社で中堅建設コンサルタントの中電技術コンサルタント株式会社(広島県広島市)と鹿児島県の桜島を中心とする桜島活⽕⼭地域で、災害リスクから社会を守る活動の一環として、3次元マッピングなどの検証を実施したと発表した。DJIのMatrice 300 RTK、フルサイズセンサー搭載の航空測量⽤カメラDJI ZenmuseP1などを使った。
今回の共同検証は、桜島の⽴ち⼊り禁⽌区域を対象に、⽕⼭噴⽕や⼟⽯流の発⽣などによる⼟砂変動量を正確に把握するために行われた。行われた作業はドローンを活⽤した3次元マッピング。素材となる写真の撮影はMatrice300 RTKにDJI Zenmuse P1を搭載して行われた。画像処理にはマッピングソフトウェアのDJI Terraを活⽤した。
Matrice300 RTKはZenmuse P1を搭載して40分のフライトが可能なうえ、対地高度149メートルで1ピクセルあたり3センチの高い解像度の画像が撮影できる。検証のさいにパイロットを担った中電技術コンサル河川砂防部の大盛泰我さんは、「危険な環境な中でも安全面に配慮しながら詳細調査ができた」と話している。(動画参照)
検証を行った中電技術コンサルタントは、国土保全、災害リスク対応に力を入れ、土砂災害に対する技術サービスを提供する事業を展開している。
桜島は年間数⼗回以上の規模で⼟⽯流が繰り返し発⽣する活火山地域で、状況確認は環境保全、安全確保のうえで重要な地域のひとつだ。航空機やヘリなどを使った上空からの状況確認に定評がある。一方で、土石流など災害発生のたびに、航空機やヘリを出動させる調査は、危険と隣り合わせであるうえ、コスト高でもあり、撮影したデータも解像度のうえで改善の余地があった。
同社はドローンを2015年に初導入。Phantom3の導入を手始めに、その後Mavic2,Inspire、Phantom4 RTKと機種をそろえ、今回、Matrice300 RTKも導入し桜島検証に活用した。
同社執⾏役員先進技術センター⻑兼 BIM/CIM プロジェクト室⻑の荒⽊義則⽒は「桜島でのドローン計測に成功し、計測精度も⾼い結果が得られたことから、今後も同様の場所や類似の場所において、活⽤できることが確認できた。今後は、⽕⼭地域での防災調査(災害状況の把握、地形変動量の調査、⼟砂移動機構のメカニズム解明)や、社会インフラ(構造物)の維持管理点検・調査への活⽤、特に AI 機能を使って変状の検知や損傷の評価などに応⽤していきたい」と話している。
DJIが新製品を相次いで発表している。10月14日には業務用ドローンのMatrice 300 RTK向けに設計されたRGB統合型LiDAR「DJI Zenmuse L1」と、航空測量用フルサイズセンサーカメラ「DJI Zenmuse P1」をドイツ・ベルリンで開催された測量展示会「INTERGEO」で公開したと発表した。また15日には3軸ジンバル2機種を発表。20日にも新製品の発表を控えている。なお空を飛ぶドローンは今のところない。
「Zenmuse L1」は、Livox製のLiDARモジュールと、20メガピクセルのRGBカメラが一体化されていることが最大の特徴だ。Livoxが開発した非反復走査パターンのスキャンと、ラインスキャンとを併用することで、短時間で全方位のデータを高精度で検知し、リアルタイムでトゥルーカラー点群モデルを生成する。たとえば樹冠の幅、植生密度、面積、株の容積、成長の進捗状況など植生情報が取得できるほか、電力、石油、ガスなどエネルギー関連インフラの情報収集や管理、鉱業、通信などでの利用も想定している。
Matrice 300 RTK、測量ソフトウェアDJI Terraと併用すれば、1日中リアルタイムで3Dデータの収集が可能。保護等級がIP44のため雨、霧などの天候下でも作業可能。アクティブスキャン方式により低照度環境でも飛行が可能になる。
一方、「Zenmuse P1」は建築、技術工学、建設、測量などの専門家からの要請に答えるため開発いた、45メガピクセルのフルサイズセンサーを搭載する航空測量用カメラ。DJIの独自検証では、GCP(地上基準点)なしで水平3 cm、垂直5 cmの精度を実現し、1回の飛行で3 平方キロメートルのカバーをできたという。メカニカルシャッターを搭載し、カメラやフライトコントローラー、RTKモジュールなどの時間をマイクロ秒レベルで同期するTimeSync 2.0システムを採用することで、リアルタイムに位置と方向を補正したメタデータを写真に編み込める。地面の質感、構造、特徴を従来よりも細かくとらえ、現実の忠実な再現を目指した。
安全を確保できる離れた場所からも、垂直面や傾斜面の超高解像度画像データを取得できるようになり、詳細なモデル再構築、地質調査、自然環境遺産の保全、水力工学などに活用することを想定している。DJI Terraを使うことで、リアルタイムのマッピングミッションにも対応する。
先行予約は、DJI Enterprise正規代理店で受け付ける。価格情報などの問い合わせにも応じる。
・DJI Enterprise代理店の所在地: https://www.dji.com/where-to-buy/enterprise-dealers ・DJI Zenmuse L1の詳細情報: www.dji.com/zenmuse-l1 ・DJI Zenmuse P1の詳細情報: www.dji.com/zenmuse-p1
10月15日には撮影の専門家を対象に開発された方手持ち3軸ジンバル「RS 2」「RSC 2」も発表した。RS 2は一眼レフや小型シネマカメラなど重量のあるカメラシステムに対応し、RSC 2はミラーレスカメラやコンパクトカメラを操作するクリエイターの利用を想定して携帯性を強化したことが特徴だ。
RS 2は、基礎構造部分にカーボンファイバーを用いて1.3 kgまで軽量化させ、DJIの試験では4.5 kgの動荷重に対応するという。バッテリー駆動時間は最大12時間。バッテリーが内蔵されたハンドルへ直接急速充電が可能で、15分の充電で2時間駆動させられる。
AIで磨きをかけた、DJIが「Titan安定化アルゴリズム」と呼ぶ予測技術で利用者の動きを補正し、ジンバルの傾きや角度の手動調整負担を軽減し、最大焦点距離100 ミリの望遠レンズで撮影してもブレを生じさせない「SuperSmoothモード」を搭載した。移動やバランス調整を簡単にする軸ロック機構、Arca SwissとManfrottoのどちらの規格にも対応する2層式マウントなどで利便性も向上。タッチ画面の使い勝手も向上させた。
RSC 2は折りたたみ式になったことが最大の特徴。カメラを正面に向けながらジンバルからぶらさげて撮影することができるなど、使い方の自由度も高めた。重さは1.2 kgと、Ronin-Sより約35%軽く、折りたたむとA5用紙に収まる。1回の充電で14 時間駆動できる内臓バッテリーを備え急速充電も可能になった。DJIの試験では3キログラムの動荷重に耐えており、たとえばPanasonic S1H+24-70mmレンズなどの組み合わせも搭載可能という。
両機とも予約を受付ていて、価格はRS 2が単品で 86,900円(税込)、スマートフォンホルダー、フォーカスモーター、RavenEye 映像伝送システム、専用キャリーケース等のアクセサリーが同梱されたコンボセットのオプションのついたRS 2 Pro Combo が 105,600 円(税込)。同様にRSC 2 が単品で 53,900 円(税込)、 RSC 2 Pro Combo が 73,700 円(税込)。RS 2 シリーズは10月30日、RSC 2シリーズは11月上旬に出荷予定だ。
なおDJIは10月20日午後10時(日本時間)にも新製品の発表を予告している。
<製品情報ページはこちら> DJI RS 2:www.dji.com/rs-2 DJI RSC 2: www.dji.com/rsc-2
国土交通省は7月29日、国交相の許可・承認を受けるために国交省に飛行申請をするさい、資料の一部を総略できる機体として、「DJI MAVIC AIR 2」「DJI MATRICE 300 RTK」を追加した。ドローン情報基盤システム(DIPS)上で発表した。今回の追加で対象機は75機となった。2020年に入ってからは、株式会社エンルートの「QC730TS」(3月24日確認)、株式会社ヤマハ発動機「YFA8L(L80)」(4月7日確認)に次ぐ。
7月29日に確認された2機はDJI製で、事業者やユーザーからその性能が格段と進歩したことに対し高い評価を受けている機体だ。
「MATRICE 300 RTK」は産業利用を視野に開発され、DJIが5月7日に発表すると、ユーザーから「産業機の決定版」「革命的な進化」などと高い評価が相次いだ。最大飛行時間は55分、6方向の検知と即位が可能なビジョンシステム、3チャンネル最大伝送15㎞(日本国内では8㎞)、条件次第で運用限界高度海抜7000m、3つのペイロードの同時装着、ライブミッション記録、AIスポット確認、動いている対象物の追尾、ミッション中に制御権が切り替え可能なデュアル制御などを搭載し、すでに多くの現場で高い評価を受けている。
MAVIC AIR2はコンシューマー向けの新型機で、折りたたみサイズが180×97×84 mmで、MAVIC 2 PRO MAVIC MINIの間のサイズ。最大飛行時間が34分でMAVIC 2 PROの31分、MAVIC MINIの18分より長く飛行できることが話題になった。1/2インチ イメージセンサーを搭載し、48 MP写真、4K/60fps動画の撮影が可能であることを特徴にしている。最大バッテリー駆動時間は240分で、手の込んだ映像撮影が可能なフォーカストラックが使える。アクティブトラック技術を備え、障害物を避けながら被写体を追尾する機能が進化した。
これらの対象機は、国交相の許可・承認を申請する場合「機体及び操縦装置の設計図又は写真(多方面)」、「運用限界及び飛行させる方法が記載された取扱説明書の写し」「追加装備を記載した資料(第三者上空の飛行を除く。)」が提出不要になる。